北浜キャピタルパートナーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

北浜キャピタルパートナーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の投資会社。不動産や事業会社への投資を行う「投資事業」を主力とし、ゴルフ場運営やクリーンエネルギー関連事業も展開しています。2024年3月期は、クリーンエネルギー事業の受注ずれ込みや在庫評価損の計上等により、減収および経常損失となりました。


※本記事は、燦キャピタルマネージメント株式会社 の有価証券報告書(第32期、自 2023年4月1日 至 2024年3月31日、2024年6月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 燦キャピタルマネージメントってどんな会社?


投資事業を主軸に、ゴルフ場運営やクリーンエネルギー等の事業会社への投資・育成を行う企業グループです。

(1) 会社概要


同社の起源は1992年に設立された有限会社横浜経営研究所に遡ります。2001年に現社名である燦キャピタルマネージメントへ商号変更し、本格的に投資ファンド運営事業へ参入しました。2006年には大阪証券取引所ヘラクレス(現・東証スタンダード)への株式上場を果たしています。その後、2011年にゴルフ場運営を行う鳥取カントリー倶楽部を設立し、近年では2024年に地方創生・地域活性化事業を行うサンリアルティを設立するなど、投資領域を拡大しています。

2024年3月31日現在、グループ全体の従業員数は40名、単体では3名です。筆頭株主は陽インベストメント株式会社で6.31%を保有しており、次いで個人株主の山内規之氏が3.76%を保有しています。

氏名 持株比率
陽インベストメント 6.31%
山内 規之 3.76%
TKコーポレーション 2.22%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は前田健晴氏が務めています。社外取締役比率は約11%です。

氏名 役職 主な経歴
前 田 健 晴 代表取締役社長 1989年オリックス入社。1997年ワイトレーディング(現同社)社長。鳥取カントリー倶楽部会長兼社長等を歴任し、2023年6月より現職。
佐 藤 哲 寛 取締役副社長管理本部長 1990年オリックス入社。2001年同社取締役。イオス代表取締役、デリバティブリサーチ取締役を経て、2023年6月より現職。
児 玉 舟 取締役副社長 1989年第一建築サービス(現ダイケンビルサービス)入社。レアル代表取締役、SYS代表取締役等を経て、2024年6月より現職。
平 岡 佳 明 取締役副社長 1994年Citibank, N.A.入行。関西インバウンド事業推進協議会理事長、関西インバウンド総研代表取締役等を経て、2024年6月より現職。
増 田 智 取締役 1984年日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。キャタリスト証券代表取締役、かりゆし代表取締役等を経て、2023年6月より現職。


社外取締役は、桂幹人(桂経営ソリューションズ代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「投資事業」、「アセットマネージメント事業」および「その他の事業」を展開しています。

投資事業


不動産だけでなく事業会社や工学技術等へ投資対象を広げ、収益性・安全性・社会性を満たす案件に対し投資活動を行っています。主な投資対象には、ゴルフ場「鳥取カントリー倶楽部」の運営、バイオマス発電事業、ホテル所有などが含まれます。

収益は、不動産賃料、配当、事業会社への投資に伴う事業収入(ゴルフ場収入等)、製品販売収入、投資スキームの企画に伴う手数料や成功報酬などから得ています。運営は同社のほか、鳥取カントリー倶楽部、山陽小野田バイオマス燃料供給、マース、CONQUERなどの連結子会社が行っています。

アセットマネージメント事業


投資家顧客からの資金調達スキームの検討・実行や、投資案件の金融商品化を行っています。具体的には、インカムゲイン型ファンドの運用や、TMKスキーム等を活用した金融商品の組成・提供を手掛けています。

収益は、アレンジメントフィー、媒介手数料、ファンド組成フィー、管理フィー、成功報酬、アセットマネジメントフィーなどを投資家やファンドから受領します。この事業は主に同社が担っています。

その他の事業


グループの金融ノウハウやネットワークを活かしたフィナンシャルアドバイス、仲介業務、M&Aコンサルティング、ビジネスマッチング等を行っています。

収益は、これらの業務に対する手数料(フィー)収入となります。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2020年3月期から2024年3月期までの業績を見ると、売上高は減少傾向にあり、利益面では経常損失および当期純損失が継続しています。特に直近の2024年3月期は大幅な減収となり、依然として厳しい収益状況が続いています。

項目 2020年3月期 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期
売上高 5.1億円 4.7億円 3.9億円 3.8億円 2.3億円
経常利益 -7.3億円 -4.0億円 -6.2億円 -5.5億円 -4.1億円
利益率(%) -144.8% -84.7% -160.4% -143.3% -175.9%
当期利益(親会社所有者帰属) -18.9億円 -9.3億円 -12.4億円 -6.5億円 -7.1億円

(2) 損益計算書


直近2期間の比較では、売上高の減少に伴い売上総利益も縮小しています。営業損失は販売費及び一般管理費の削減により縮小しましたが、依然として損失計上が続いています。

項目 2023年3月期 2024年3月期
売上高 3.8億円 2.3億円
売上総利益 2.0億円 1.8億円
売上総利益率(%) 53.7% 76.2%
営業利益 -4.8億円 -3.3億円
営業利益率(%) -126.4% -141.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が0.9億円(構成比18%)、業務委託料が0.9億円(同17%)を占めています。売上原価においては、投資事業売上原価が0.6億円(構成比100%)を占めています。

(3) セグメント収益


投資事業が売上のすべてを占めていますが、減収によりセグメント損失となっています。アセットマネージメント事業およびその他の事業は、ファンド組成やアドバイザリー案件がなく、売上・利益ともに計上されていません。

区分 売上(2023年3月期) 売上(2024年3月期) 利益(2023年3月期) 利益(2024年3月期) 利益率
投資事業 3.8億円 2.3億円 -4.8億円 -3.3億円 -141.1%
アセットマネージメント事業 - - - - -
その他の事業 - - - - -
連結(合計) 3.8億円 2.3億円 -4.8億円 -3.3億円 -141.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローの状況は「救済型」です。本業の営業活動によるキャッシュ・フローが赤字であり、それを保有資産の売却(投資CF)や外部からの資金調達(財務CF)によって補填している状態です。

項目 2023年3月期 2024年3月期
営業CF -5.9億円 -4.7億円
投資CF -0.0億円 1.0億円
財務CF 6.8億円 2.7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-122.5%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は12.2%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、創業以来、社会性、安全性、収益性を投資の基準としています。外部環境に対して柔軟に対応できるよう事業計画を積極的に更新・実践し、高機能かつ高専門性を基盤として常に進化し続ける企業集団を目指しています。

(2) 企業文化


安定した収益の確保のために事業資金を有益に活用し、徹底したコスト管理を行うことを重視しています。また、投資案件の選定においては、グループが有するバリューアップノウハウの活用を想定し、収益性・安全性・社会性の観点から厳選する姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


現在、具体的な数値目標は掲げていませんが、過去に実施した第三者割当増資による調達資金を積極的に活用し、収益基盤の安定と拡充による黒字経営と財務状況の安定化を図ることを目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


「継続企業の前提に重要な疑義」が生じている状況を脱却するため、以下の施策を推進しています。新規事業では「クリーンエネルギー」「インバウンド」「地方創生」「技術」の4分野に注力し、業務提携やM&Aを進めます。既存事業では不動産流通やゴルフ場運営の収益化を図り、同時に経営資源の集約によるコスト削減を徹底します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループの成長戦略を実現するため、高度な専門的知識、技能および経験を有する多様な人材の確保と育成を目指しています。組織規模を追うことなく、少数の専門スタッフを最大限活用する組織構築を念頭に置き、ワークライフバランスを実現しやすい制度やインセンティブ制度の整備、社内外の機会を通じた社員教育に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2024年3月期 33.0歳 2.0年 500,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 50.0%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 75.0%
男女賃金差異(正規) 75.0%
男女賃金差異(非正規) -


※提出会社の男性育児休業取得率については、該当者がいないため記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 継続企業の前提に関する重要事象等


同社グループは重要な営業損失、経常損失、当期純損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義が生じています。これに対し、新規事業(クリーンエネルギー等)での収益獲得、既存不動産事業やゴルフ場運営の強化、経営資源集約によるコスト削減等の対策を講じていますが、これらの実現には不確実性が残っています。

(2) 経済環境・不動産市況の悪化


主力事業である金融・投資事業において、世界的な金融経済不安の再発や、不動産市況の想定以上の悪化が生じた場合、保有資産の価値毀損やファンド運用への悪影響により、同社グループの業績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(3) 大規模災害


台風、地震等の大規模自然災害が発生し、同社グループが保有・運用する不動産や投資資産に被害が及んだ場合、資産価値が大きく毀損し、業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(4) 借入金(金利上昇リスク)


同社グループが管理・運用するSPC(特別目的会社)がノンリコースローンで資金調達を行う際、金利が上昇すると支払利息が増加し、SPCの収益が悪化する可能性があります。これにより、同社グループの業績や財政状態に影響が及ぶおそれがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。