りそなホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

りそなホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場。主要事業は銀行・信託業務等の金融サービス。業績トレンドは、連結経常収益、経常利益、当期純利益ともに前期比で増加し、増収増益基調にある。特に資金利益やフィー収益が増加し、過去最高益を更新している。


※本記事は、株式会社りそなホールディングス の有価証券報告書(第24期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. りそなホールディングスってどんな会社?


りそな銀行等を傘下に持つ金融持株会社。リテールに強みを持ち、信託併営の商業銀行ビジネスを展開しています。

(1) 会社概要


2001年、大和銀ホールディングスとして設立され、あさひ銀行等を統合して2002年にりそなグループを発足しました。2003年の公的資金注入を経て再生し、2018年には関西みらいフィナンシャルグループが上場。2024年4月、完全子会社化した関西みらいフィナンシャルグループを吸収合併し、組織体制を再編しました。

連結従業員数は20,174人、単体では1,974人です。筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)で、第2位は同様に資産管理を行う株式会社日本カストディ銀行(信託口)、第3位は常任代理人を通じて保有するJP MORGAN CHASE BANKです。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 16.42%
日本カストディ銀行(信託口) 5.60%
JP MORGAN CHASE BANK 385632 4.22%

(2) 経営陣


同社の役員は男性30名、女性4名の計34名で構成され、女性役員比率は11.7%です。代表執行役社長兼グループCEOは南昌宏氏です。社外取締役比率は66.7%(取締役12名中8名)です。

氏名 役職 主な経歴
南 昌宏 取締役兼代表執行役社長兼グループCEO 1989年入社。オムニチャネル戦略部担当、代表執行役社長事業開発・DX担当統括などを経て、2023年4月より取締役兼代表執行役社長兼グループCEO。
石田 茂樹 取締役兼執行役副社長兼グループCRO兼グループCCO 1990年入社。リスク統括部担当、グループCSO兼グループCROなどを経て、2025年4月より現職。
野口 幹夫 取締役 1989年入社。システム部担当、DX企画部門担当統括、グループCIOなどを経て、2025年4月より取締役。りそなビジネスサービス社長も兼務。
及川 久彦 取締役監査委員会委員 1988年入社。コンプライアンス統括部長、内部監査部担当執行役などを経て、2022年6月より取締役監査委員会委員。


社外取締役は、馬場千晴(元みずほ信託銀行副社長・報酬委員長)、岩田喜美枝(元資生堂副社長・指名委員長)、江上節子(元三菱地所社外取締役)、池史彦(元本田技研工業会長・取締役会議長)、野原佐和子(イプシ・マーケティング研究所社長)、山内雅喜(元ヤマトホールディングス会長・監査委員長)、田中克幸(弁護士)、安田隆二(一橋大学特任教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「個人部門」「法人部門」「市場部門」の報告セグメントで事業を展開しています。

個人部門


個人顧客を対象に、個人ローン、資産運用、資産承継等に係るコンサルティングを中心とした金融サービスを提供しています。住宅ローンや無担保ローンなどの融資業務に加え、投資信託や保険商品等の販売、相続関連業務などを行っています。

収益は、顧客から受け取る貸出金利息、投資信託や保険の販売手数料、信託報酬などが主な柱です。運営は主にりそな銀行、埼玉りそな銀行、関西みらい銀行、みなと銀行などのグループ銀行が担っています。

法人部門


法人顧客を対象に、企業向け貸出、信託機能を活用した資産運用、不動産業務、企業年金、事業承継など、企業の成長をサポートするソリューションを提供しています。決済業務や海外ビジネス支援なども行っています。

収益は、企業への貸出金利息、決済手数料、不動産仲介手数料、信託報酬、M&A関連手数料などから構成されます。運営は主にりそな銀行、埼玉りそな銀行、関西みらい銀行、みなと銀行などが行っています。

市場部門


資金、為替、債券、デリバティブ等について、金融市場を通じた調達と運用を行っています。金利リスクや流動性リスクの管理機能も担い、安定的な収益確保を目指しています。

収益は、有価証券の利息配当金や売却益、デリバティブ取引等のトレーディング収益などが中心です。運営は主にりそな銀行等のグループ銀行の市場部門が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近5期間の業績を見ると、連結経常収益は安定して増加傾向にあり、直近の2024年度(2025年3月期)には1兆1,174億円となり、1兆円を突破して大きく拡大しています。

利益面を見ると、2021年度に一時的な減少があったものの、その後は回復・成長軌道に乗っています。特に2024年度は、貸出金残高の増加や利回り上昇による国内預貸金利益の増加に加え、不動産等の承継関連業務や法人ソリューション業務等のフィー収益が幅広い領域で伸長し、4期連続で過去最高益を更新したことなどが大きく牽引しました。

これにより、連結経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は直近5年間で最高額を記録し、極めて力強い業績推移を示しています。

項目 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
連結経常収益 8,236億円 8,447億円 8,679億円 9,416億円 1兆1,174億円
連結経常利益 1,909億円 1,587億円 2,276億円 2,229億円 2,921億円
経常利益率(%) 23.2% 18.8% 26.2% 23.7% 26.1%
親会社株主に帰属する当期純利益 1,244億円 1,099億円 1,604億円 1,589億円 2,133億円

(2) 損益計算書

直近2期間の損益状況を銀行業の独自指標で比較すると、本業の収益力が着実に向上していることが分かります。

本業の粗利にあたる業務粗利益は、貸出金残高の増加や国内金利の上昇を背景とした預貸金利益の増加に加え、幅広い領域でのフィー収益(信託報酬や手数料等)の伸長により大きく拡大しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
業務粗利益(本業の粗利) 6,274億円 6,916億円
 うち フィー収益(信託報酬+手数料等) 2,135億円 2,279億円
経費(除く銀行臨時処理分) △4,165億円 △4,441億円
実質業務純益(本業の純粋な儲け) 2,151億円 2,483億円
与信費用(貸倒引当金繰入額など) △356億円 △115億円
株式等関係損益(政策株式の売却益等) 656億円 876億円

人財投資やシステム化への投資によって経費(物件費や人件費)は増加したものの、収益の伸びがそれを上回ったため、結果として銀行本来の業務活動による利益を示す「実質業務純益」は順調に拡大しています。

また、取引先の業績悪化等に備える銀行特有のコストである「与信費用」が前年度から大幅に改善(減少)したことや、政策保有株式の縮減等に伴う「株式等関係損益」の増加も、最終的な利益(経常利益・純利益)を大きく押し上げる要因となっています。

(3) セグメント収益

同社グループの事業は、「個人部門」「法人部門」「市場部門」の3つのセグメントに区分されています。直近の2025年3月期は、法人部門と個人部門の本業が極めて好調に推移し、グループ全体の力強い業績拡大を強力に牽引しました。

セグメント 項目 2023年度 2024年度 前期比増減
個人部門 業務粗利益 2,794億円 3,561億円 +767億円

与信費用控除後業務純益 659億円 1,284億円 +624億円
法人部門 業務粗利益 3,711億円 4,579億円 +867億円

与信費用控除後業務純益 1,423億円 2,313億円 +889億円
市場部門 業務粗利益 △123億円 △1,147億円 △1,023億円

与信費用控除後業務純益 △197億円 △1,193億円 △996億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

すべてのCFがマイナスとなっていますが、これは資金不足を意味するものではなく、手元の現預金を使って積極的な与信(貸出)や有価証券投資、および株主還元を実行していることの表れです。

直近の2025年3月期の状況を見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは、コールマネー及び借用金の増加等による収入があったものの、顧客への資金供給である「貸出金の増加」等による支出が上回り、マイナス2,933億円となっています。

投資活動によるキャッシュ・フローは、将来に向けた有価証券の取得による支出が、売却及び償還による収入を上回った結果、マイナス1兆454億円の支出となっています。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いや自己株式の取得といった手厚い株主還元を行っているため、マイナス889億円となっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -7,338億円 -2,934億円
投資CF -7,115億円 -10,455億円
財務CF -750億円 -890億円

企業の収益力を測る連結自己資本利益率は7.77%(株主資本ROEベースでは9.3%)となっており、順調な利益成長を背景に収益性が大きく向上しています。

一方、財務の安定性・安全性を測る指標として、銀行法等の規制に基づく連結自己資本比率(国内基準)は12.79%となっており、国内基準行に求められる規制水準(4%)を大きく上回る、健全で十分な資本基盤を有しています。(※銀行業の特性上、預金という多額の負債を抱え総資産が大きくなるため、一般企業と同じ計算式による会計上の自己資本比率は3.52%となります。)

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「りそなグループパーパス」および「りそなグループ経営理念」の下、「お客さまの喜びがりそなの喜び」という基本姿勢を貫いています。創造性に富んだ金融サービス企業を目指し、お客さまの信頼に応え、変革に挑戦し、透明な経営に努め、地域社会とともに発展することを掲げています。将来的には「リテールNo.1」のソリューショングループとなることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「変革への挑戦」をDNAとして重視しています。これまでのビジネス構造・経営基盤を変革するコーポレートトランスフォーメーション(CX)に取り組み、サステナビリティ(SX)やデジタル(DX)の潮流を見据えた変化への適応を図っています。また、透明な経営と地域社会との共生を大切にし、お客さまや社会から支持される企業文化の醸成に努めています。

(3) 経営計画・目標


2023年度から2025年度を計画期間とする中期経営計画において、「リテールNo.1実現への加速に向けてCXに取り組む最初の1,000日」と位置づけ、価値創造力の強化と経営基盤の次世代化に取り組んでいます。最終年度である2025年度の主な経営指標(KPI)として以下を掲げています。

* 親会社株主に帰属する当期純利益:1,700億円以上(実績2,133億円)
* 連結コア収益:1,800億円程度
* ROE:8%以上
* 普通株式等Tier1比率:10%台

(4) 成長戦略と重点施策


「価値創造力の強化」と「経営基盤の次世代化」を柱としています。中小企業向け貸出や承継コンサルティングの強化、キャッシュレス・DXによる利便性向上、資産形成サポートなどを推進しています。また、インオーガニック投資や異業種との提携による「共創・拡大」を図り、顧客基盤や機能の拡充を目指しています。経営基盤面では、ガバナンスの高度化、人的資本への投資拡充、システムや業務プロセスの抜本的な再構築を進めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「共鳴(Resona)」を起点とした人財戦略を策定し、「エンゲージメント」「プロフェッショナル」「共創」の3つを強化の柱としています。自律的なキャリア形成を支援する「トータルキャリアサポート体制」や、多様な人材が活躍できる複線型人事制度を導入しています。また、高度専門人財の育成や女性リーダーの登用、キャリア採用の強化など、人的資本への投資を積極的に行い、価値創造とWell-beingの好循環を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 44.9歳 15.0年 8,890,000円


※平均年間給与は、2025年3月末の同社従業員に対して各社で支給された年間の給与(時間外手当を含む)の合計額を基に算出しております。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 33.6%
男性育児休業取得率 97.0%
男女賃金差異(全労働者) 54.8%
男女賃金差異(正規雇用) 67.0%
男女賃金差異(非正規雇用) 57.4%


※数値は株式会社りそな銀行のデータです。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、高度専門人財(2,562人)、うち40歳以下(687人)、社内公募合格者累計(2021年度~2030年度)(1,991人)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 社会構造・産業構造の変容に伴う競争力低下等


少子高齢化などの社会構造変化やDXの進展に伴い、競争の前提条件が変化しています。異業種参入等による競争激化に対し、必要な人財の不足や戦略投資の効果が出ない場合、預金調達力の低下や成長機会の逸失を招く恐れがあります。これらに対応するため、ビジネスモデルの変革や提携戦略を進めています。

(2) 各種法規制や政策変更等に伴う収益構造変化


銀行法等の各種法令・規制の変更や、日銀の金融政策変更は、同社グループのリスクプロファイルや収益性に直接的な影響を与えます。金利環境の変化による利ざやの縮小や、新たな規制対応コストの発生などが業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動対応などの社会的要請への対応遅れも企業価値毀損のリスクとなります。

(3) 与信費用の増加


国内外の景気後退や取引先企業の業績悪化により、貸出金の回収が困難になるリスクがあります。特に、特定業種への与信集中や地域経済の低迷、地政学リスクによるサプライチェーンの混乱などが、不良債権の増加や与信費用の増大を招き、財務状況を悪化させる可能性があります。厳格な審査とポートフォリオ管理によりリスク抑制を図っています。

(4) 保有有価証券の評価損益悪化


国債や株式などの有価証券を保有しており、市場金利の上昇や株価下落により、評価損や売却損が発生するリスクがあります。金融市場の変動や経済情勢の変化が運用資産の価値に影響を与え、業績や自己資本比率に悪影響を及ぼす可能性があります。リスク限度額の設定や適切なヘッジ取引等によりコントロールに努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

りそなホールディングスの転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

りそなホールディングスの2026年3月期2Q決算は、利上げ効果を背景に中間純利益が前年比25.0%増と好調。デジタルガレージ社との提携強化や住宅ローン過去最高水準の実行額など、攻めの姿勢が鮮明です。「なぜ今りそななのか?」「転職希望者がどの事業で、どんな役割を担えるのか」を整理します。