unbanked 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

unbanked 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

unbankedは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、対面やインターネットでの金地金の販売・買取を行う金地金事業と、不動産担保融資等を営むノンバンク事業を主力としています。直近の業績は売上高が前期比微減の94億円となった一方、多額の貸倒引当金計上の影響で営業赤字が拡大し、厳しい状況にあります。


※本記事は、unbankedの有価証券報告書(第54期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. unbankedってどんな会社?


同社は金地金の売買を中核とし、貸金業や融資型クラウドファンディングを展開する企業です。

(1) 会社概要


1972年に第一商品と高津商事の合併により設立され、1981年に金地金の現物売買事業を開始しました。2004年にジャスダック(現スタンダード市場)へ上場し、2021年にはネット金取引サービスを開始しています。2025年には商号を現在のunbankedへ変更し、クラウドバンクを子会社化しました。

同社グループの従業員数は連結で31名、単体で6名体制です。筆頭株主はコンサルティング事業などを行うMaaaaRuホールディングスで、第2位はAkatsuki Capital Works、第3位はTMフィナンシャルストラテジーと、事業会社などが上位を占めています。

氏名 持株比率
MaaaaRuホールディングス 16.49%
Akatsuki Capital Works 8.41%
TMフィナンシャルストラテジー 3.33%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.0%です。代表取締役社長は胡燕氏が務めています。社外取締役比率は66.7%です。

氏名 役職 主な経歴
胡燕 代表取締役社長 日本インター、医通佳日などを経て、2009年Freedam Consulting Inc上級管理職。2026年6月より現職。
安達哲也 取締役 ユニバーサル証券等を経て、マネーパートナーズ等に入社。2022年同社入社。2024年6月に同社代表取締役社長に就任し、2026年6月より現職。
竹内博 取締役 東京リコー等を経て、2006年ANAPホールディングス入社。同社専務取締役管理本部長などを歴任し、2026年6月より現職。


社外取締役は、森井じゅん(森井会計事務所代表)、平井兼人(ダブルユニバース代表取締役)、クリストファー・リチャード・レーン(Majime Partners LTD.共同創設者)、楠原孝尭(合同会社SOLAR99業務執行役員)、池辺健太(池辺法律事務所代表)、村田和希(八雲法律事務所弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「金地金」および「ノンバンク」事業を展開しています。

(1) 金地金


金地金等の販売および買取を行っています。国内では主に対面での1キログラムの金地金バーの取り扱いに加え、インターネットを通じて1,000円からの少額売買にも対応しています。海外ではブロックチェーン技術を活用し、金地金を裏付けとした暗号資産を発行して投資需要を取り込んでいます。

収益は、金地金の販売・買取によるスプレッド等から得ています。運営は国内対面取引をunbankedが担い、インターネットでの小口取引は関連会社の日本クラウド証券が担当しています。また、海外での暗号資産発行事業は、海外子会社のKinka(BVI),Ltd.が事業を運営しています。

(2) ノンバンク


不動産担保融資を中心に、貸金業および融資型クラウドファンディング事業を展開しています。都市部を中心に収益性の高い不動産開発案件等への投資ニーズに応えるため、事業者に対して不動産担保融資資金や開発に係るつなぎ資金などを供給しています。

顧客である事業者から受け取る貸付金利息などを主な収益源としています。運営は、貸金業を営むクラウドバンク・キャピタルやクラウドバンク・フィナンシャルサービスが自己資金融資を行うほか、子会社化したクラウドバンクが融資型クラウドファンディング事業を担当し、資金供給の多様化を図っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は2024年3月期から2025年3月期にかけて金地金取引の拡大や事業の追加等により大きく伸長しましたが、2026年3月期は横ばいとなりました。一方、利益面では2024年3月期から黒字転換していたものの、直近では多額の貸倒引当金計上により大幅な赤字に転落しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 52億円 46億円 53億円 95億円 94億円
経常利益 -5億円 -5億円 0.5億円 3億円 -28億円
利益率(%) -10.1% -11.3% 0.8% 3.2% -30.1%
当期利益(親会社所有者帰属) -17億円 -4億円 3億円 2億円 -37億円

(2) 損益計算書


直近は売上高が前期と同水準を維持したものの、売上総利益の大幅な改善にもかかわらず、販売費及び一般管理費が急増したことで営業損失へと転落しました。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 95億円 94億円
売上総利益 5億円 12億円
売上総利益率(%) 5.2% 13.0%
営業利益 2億円 -28億円
営業利益率(%) 2.0% -29.7%


販売費及び一般管理費のうち、貸倒引当金繰入額が31億円(構成比77%)と大半を占めており、次いで顧問料が2億円(同4%)、業務委託費が2億円(同4%)となっています。

(3) セグメント収益


金地金セグメントは相場の過熱感に伴う投資家心理の慎重化などにより減収となりました。一方、ノンバンクセグメントは旺盛な不動産担保融資需要に加え、子会社化による収益貢献があり、大幅な増収となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
金地金 92億円 80億円
ノンバンク 3億円 14億円
連結(合計) 95億円 94億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -0.7億円 -40億円
投資CF 10億円 -2億円
財務CF -0億円 4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-88.8%であり、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も11.3%と、いずれも市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、2020年に商品先物取引を中心に掲げた理念から脱却し、「人と社会に貢献し、価値を創造する」を新たな企業理念として制定しました。上場会社として正確な財務情報を開示し、法令だけでなく社会規範をも順守することで、健全な組織風土を醸成し、社会に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は組織風土の改善と強化に向け、3つの行動指針を掲げています。具体的には「常に人の役に立つために考え、行動しよう」「広く社会の役に立つために、視野を広げよう」「すべてのものごとに、感謝の気持ちで取り組もう」であり、これらを社内で共有し、内向きで閉鎖的だった過去の企業風土からの脱却を図っています。

(3) 経営計画・目標


同社の事業は金融政策や相場動向の影響を受けやすいため、適正な数値目標を立てることは困難としていますが、健全な財務基盤を確保する観点から、収益の最大化と費用の最小化による収益構造の改革を推し進め、営業利益の安定した黒字化を実現することを目標として掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


金ビジネスに新たな価値観を付加し、小口販売や海外での暗号資産「Kinka」の販路拡大を推進します。また、貸金業子会社の融資残高積み上げとクラウドファンディングへの進出により事業を多角化します。さらに、特別注意銘柄への指定を厳粛に受け止め、ガバナンスと内部管理体制の再構築を最優先課題として実行します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人的資本への投資と従業員エンゲージメントの向上」を方針とし、従業員の成長が企業の成長に直結するとの理念の下で人材育成を進めています。安定的な事業収益確保のため、資格取得の奨励等によるリスキリングを推進し、ITリテラシーの向上を通じたデジタル人材の育成や多様な働き方の整備に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 47.5歳 14.9年 5,847,076円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、すべての役職員向けのコンプライアンス等の研修の参加率目標(100%)、実際のコンプライアンス研修参加率(93.2〜100%)、会計研修参加率(93.8%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特別注意銘柄指定に伴う上場廃止リスク


同社は過去の売上債権未回収事案などに起因し、東京証券取引所から特別注意銘柄に指定されています。内部管理体制やコンプライアンス体制の改善計画が十分に認められない場合、上場廃止となる可能性があり、同社の事業活動や信用力、財政状態に重大な影響を及ぼすリスクがあります。

(2) 貸金業や法規制対応における制裁リスク


ノンバンク事業や証券子会社においては、貸金業法や金融商品取引法の適用を受けます。自己資本規制比率の維持など厳格な規制があり、これに違反した場合には業務改善命令や業務停止処分等の対象となる可能性があり、事業拡大や業績に深刻な影響を与える可能性があります。

(3) 取引先の契約不履行・貸倒れリスク


ノンバンク事業での事業者向け融資や金地金取引においては、取引先の業況悪化や信用不安により、貸付金や売掛債権が回収不能となるリスクがあります。特に経済情勢の悪化に伴う資金繰り悪化や不正取引が発生した場合、多額の貸倒関連費用が計上され、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 暗号資産取引における法規制の強化


海外で発行する金価格連動型の暗号資産「Kinka」について、全世界的または主要国で暗号資産取引に対する法規制が強化された場合、販売が減少または停止するリスクがあります。また、上場先の取引プラットフォームから指定解除された場合、事業の縮小や撤退を余儀なくされる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。