unbanked 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

unbanked 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所スタンダード市場に上場し、金地金等の販売を行う金地金事業と、不動産担保融資を中心とするノンバンク事業を展開しています。直近の業績は、金価格の高騰や貸金業の子会社化により、売上高が前期比約1.8倍、経常利益も大幅に伸長するなど、増収増益のトレンドにあります。


※本記事は、UNBANKED株式会社 の有価証券報告書(第53期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

なお、同社は現在、unbanked株式会社に商号変更しています。

1. UNBANKEDってどんな会社?


商品先物取引業から転換し、現在は金地金販売と不動産担保融資などのノンバンク事業を主軸とする企業です。

(1) 会社概要


1972年に設立され、商品先物取引員として許可を取得。2004年にジャスダックへ上場しました。その後、2021年に商品先物取引業を廃止し、金地金事業へ転換。2024年に商号を現在のUNBANKEDへ変更するとともに、クラウドバンク・キャピタルを子会社化し、ノンバンク事業を強化しています。

2025年3月31日現在、連結従業員数は8名、単体従業員数は5名です。筆頭株主は投資事業組合であるCB戦略1号投資事業有限責任組合で、第2位は個人の一村哲也氏、第3位は個人の勝えり子氏となっています。

氏名 持株比率
CB戦略1号投資事業有限責任組合 12.76%
一村哲也 4.99%
勝えり子 3.37%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性1名の計5名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は安達哲也氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。

氏名 役職 主な経歴
安達哲也 代表取締役社長 証券会社を経て、PayPay証券や日本クラウド証券等で要職を歴任。2024年6月より現職。
七條利明 取締役 1997年に入社。管理本部長や関連会社の役員を経て、2023年6月より現職。


社外取締役は、広瀬里美(弁護士)、クリストファー・リチャード・レーン(Majime Partners Ltd.共同創設者)、楠原孝尭(合同会社SOLAR99業務執行社員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「金地金」、「ノンバンク」事業を展開しています。

(1) 金地金


国内においては主に対面で1kgの金地金バーを取り扱うほか、インターネットを通じた少額売買にも対応しています。海外ではブロックチェーン技術を利用し、金地金を裏付けとした暗号資産「Kinka(XNK)」を発行し、海外の金投資需要を取り込んでいます。

収益は、金地金等の販売による代金や暗号資産の販売益などが主な源泉です。運営は、同社および関連会社である日本クラウド証券、海外子会社のKinka(BVI),Ltd.が行っています。

(2) ノンバンク


貸金業として、主に不動産担保融資事業を行っています。都市部を中心に収益性の高い不動産開発事業への投資ニーズに対応し、資金需要に応えるサービスを提供しています。

収益は、貸付金に対する利息収入が主な源泉です。運営は、連結子会社のクラウドバンク・キャピタルが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は53.1億円から94.9億円へと急拡大しています。利益面では、かつて赤字が続いていましたが、直近2期は黒字を維持しており、回復傾向にあります。特に当期は経常利益が大きく伸びており、事業構造の転換が進んでいることがうかがえます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 69.0億円 51.5億円 46.4億円 53.1億円 94.9億円
経常利益 -13.7億円 -5.2億円 -5.2億円 0.5億円 3.1億円
利益率(%) -19.9% -10.1% -11.3% 0.9% 3.2%
当期利益(親会社所有者帰属) -10.0億円 -17.1億円 -3.7億円 3.9億円 2.4億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は約1.8倍に増加しました。売上総利益も増加していますが、営業利益は前期の赤字から1.9億円の黒字へと転換しました。販売費及び一般管理費の削減効果もあり、利益体質への改善が見られます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 53.1億円 94.9億円
売上総利益 4.5億円 5.0億円
売上総利益率(%) 8.4% 5.2%
営業利益 -1.5億円 1.9億円
営業利益率(%) -2.8% 2.0%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与が0.6億円(構成比21%)、業務委託費が0.6億円(同19%)を占めています。売上原価は売上高の大部分を占めており、金地金の仕入費用などが主な内訳です。

(3) セグメント収益


金地金事業は金価格の上昇や需要増により大幅な増収増益となりました。ノンバンク事業も貸出残高の増加により収益を伸ばしています。全社費用を除いた各セグメント単体では黒字を確保しており、両事業が業績に貢献しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
金地金 49.3億円 91.5億円 0.1億円 1.0億円 1.1%
ノンバンク 1.4億円 3.4億円 0.4億円 2.6億円 75.5%
連結(合計) 53.1億円 94.9億円 -1.5億円 1.9億円 2.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

UNBANKEDは、不動産担保融資の旺盛な需要を背景に、営業活動では貸付金の増加等により資金が支出となりました。一方、投資活動では有価証券等の売却により資金が得られ、財務活動では自己株式の取得等によりわずかな資金支出となりました。これらの結果、期末の資金は前期末に比べて増加しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -10.1億円 -0.7億円
投資CF 4.9億円 9.6億円
財務CF 0.8億円 -0.0億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、これまでの商品先物取引中心の理念から脱却し、「人と社会に貢献し、価値を創造する」を新たな企業理念として掲げています。法令順守にとどまらず社会規範を守り、健全な組織風土の醸成を通じて、ステークホルダーへの貢献を目指しています。

(2) 企業文化


組織風土の改善を強固にするため、3つの行動指針を掲げています。「常に人の役に立つために考え、行動しよう」「広く社会の役に立つために、視野を広げよう」「すべてのものごとに、感謝の気持ちで取り組もう」という指針のもと、内向きな風土を改め、社会に開かれた組織を目指しています。

(3) 経営計画・目標


金融政策の動向が収益に大きく影響するため、具体的な数値目標の設定は困難としています。しかし、健全な財務基盤を確保する観点から、収益の最大化と費用の最小化を進め、営業利益の黒字化を図ることを目標としています。

(4) 成長戦略と重点施策


金地金事業では、富裕層のニーズ掘り起こしや小口取引サービスの拡充、海外での暗号資産「Kinka」の販路拡大を進めます。ノンバンク事業では、子会社のクラウドバンク・キャピタルを通じ、自己資金やファンドによる融資残高を積み上げ、収益拡大を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業の基盤強化のため、従業員の知識・スキルの向上とコンプライアンス意識の徹底を図っています。特に業務に直結する資格取得や外部セミナー参加を推奨し、金銭面でのバックアップを行っています。また、テレワーク環境の整備など、多様な働き方による生産性向上にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 49.7歳 16.5年 6,106,224円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本稿の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 貸金業等の規制対応


グループ会社が貸金業法の適用を受けており、法令違反時には行政処分等の可能性があります。また、法令改正により規制が強化された場合、事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。社内管理体制の構築に努めていますが、コンプライアンスの徹底が重要課題です。

(2) 紛議及び訴訟


顧客との取引において、意思疎通の欠如等により紛議や訴訟に発展する可能性があります。その場合、解決金や損害賠償費用の発生により、業績に悪影響を与えるリスクがあります。実際に損害賠償請求訴訟が係属しており、結果次第で損失が発生する可能性があります。

(3) 競合リスク


金地金事業では地金商と、ノンバンク事業では銀行や他の貸金業者と競合しています。競争激化により、仕入価格の上昇や貸付金利の低下、顧客の減少などが生じ、収益性が低下する可能性があります。また、無理な融資拡大による不良債権増加のリスクもあります。

(4) 継続企業の前提に関する事象


過去の主力事業であった商品先物取引業の廃止や店舗閉鎖等により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象が存在しています。現在は新事業による収益化やコスト削減を進め、手元資金も確保していますが、事業基盤の再構築が途上にある点に留意が必要です。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。