※本記事は、極東証券株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
極東証券は、有価証券の売買や受託、引受け、売出しなどを主たる業務とする投資・金融サービス業を展開しています。同社グループは、金融商品取引業、投資業、不動産業、調査・研究業を事業内容としています。
単体従業員数は227名、連結従業員数は238名です。セグメントは「投資・金融サービス業」の1つです。
主な国内グループ会社は、FEインベスト(金融商品取引業・投資業)、極東プロパティ(不動産業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
独自のビジネスモデルを堅持し、人的資本への投資を重視する同社グループは、従業員の専門性向上と働きやすい環境整備に力を入れています。給与水準や働き方の具体的な状況は、以下の詳細データから確認できます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均年齢と平均勤続年数から、比較的長期にわたってキャリアを築いている従業員が多い傾向が見られます。これは、専門性を深めながら安定して働ける環境が整っていることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,378,789円 |
| 平均勤続年数 | 17.1年 |
| 平均年齢 | 44.3歳 |
| 単体従業員数 | 227人 |
| 連結従業員数 | 238人 |
| 単体のグループ内比率 | 95.4% |
同社グループは、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型の制度と、会社が拠出した資金を従業員が運用する確定拠出型の制度の両方を採用しています。具体的には、確定給付企業年金制度(規約型)、中小企業退職金共済制度、退職一時金制度、および確定拠出年金制度(企業型)を同社および連結子会社で採用しています。
退職一時金制度も採用されています。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。2026年3月31日現在の退職給付債務は11.1億円、年金資産は18.8億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
極東証券グループは、「信は萬事の基と為す」を経営理念とし、Face to Faceのビジネスモデルを堅持しています。このビジネスモデルを支える人的資本を中核的な経営資源と認識し、「人的資本の充実」を中期事業計画の重要な柱としています。
同社グループが求める人材像は「多様化・高度化するお客さまニーズに的確に対応できる人材」であり、顧客理解力、課題解決力、意思伝達力、関係構築力、専門知識力、職業倫理観の向上を重点課題としています。報酬制度は実力評価を基本とし、従業員一人ひとりの業績貢献度に応じた適切な処遇を行っています。特に営業部門では成果に連動したインセンティブ報酬の比重を高め、内部部門でも業務の高度化や収益基盤強化への貢献を評価しています。
評価においては、業績だけでなく、重視する能力・行動特性の発揮状況も総合的に勘案されます。また、人材確保と競争力強化のため、新卒初任給の引き上げや各種手当の充実にも取り組んでいます。人材育成プランに基づく研修プログラムの充実や、モチベーション向上につながる社内体制の整備、適材適所の人員配置、差別のない人材登用など、働きやすい職場環境の整備も推進しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。男性労働者の育児休業取得率は、前事業年度に未取得であった対象者が当事業年度に取得したことにより100%を超過しています。男女賃金差異は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象ではないため、記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 23.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 133.3% |
人材獲得・育成
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 営業員のFP取得率 | 98.0% |
| 中途採用者管理職比率 | 50.4% |
多様性の拡大
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 22.5% |
| 男性の育児休業取得率 | 133.3% |
職場環境の整備
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| ストレスチェックスコア(パフォーマンス評価) | 94.4% |
| 月平均所定外労働時間 | 25.4時間 |
| 有給休暇取得率 | 54.7% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
極東証券は、有価証券の売買や引受け、募集・売出しの取扱いなどを主業務とする金融商品取引業者です。証券市場における仲介業務と自己資金による投資活動を通じて収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、有価証券の売買やその受託、引受け、募集・売出しの取扱いなどを主たる業務としています。事業内容は「投資・金融サービス業」という単一セグメントとみなされています。
具体的には、極東証券が国内で第一種および第二種金融商品取引業を営んでいます。また、連結子会社の株式会社FEインベストは、国内で第二種金融商品取引業を営み、投資ファンドの運営・管理や自己資金による長期投資を行っています。
極東プロパティ株式会社は不動産業を営み、主に極東証券の本支店店舗などを賃貸しています。さらに、株式会社極東証券経済研究所は、極東証券の委託に基づき国内外の経済や金融市場の調査・研究を行っています。
同社グループの収益の中心は、証券市場における仲介業者として得られる手数料収入と、自己勘定によるトレーディング損益、そして金融収益です。当期は株式市場の売買高増加や投資信託の販売好調により受入手数料が増加しました。一方で、お客さま向け外国債券販売の伸び悩みや自己保有債券の時価下落により、トレーディング損益は減少しています。
同社グループの売上高は本邦の外部顧客へのものが90%を超えており、事業活動は主に国内市場に集中しています。外貨建債券の為替ヘッジ目的で為替デリバティブ取引を行うなど、市場リスク管理には取り組んでいます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、営業収益と各利益は変動しながらも、直近2期は増加傾向にあります。当期は営業収益、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前期から増加となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 営業収益 | 64.9億円 | 43.1億円 | 77.3億円 | 79.9億円 | 83.2億円 |
| 経常利益 | 18.8億円 | 4.9億円 | 37.1億円 | 34.5億円 | 40.1億円 |
| 経常利益率 | 29.0% | 11.4% | 47.9% | 43.2% | 48.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 21.2億円 | 11.7億円 | 43.4億円 | 44.5億円 | 47.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 66.38 | 36.63 | 136.08 | 139.38 | 150.37 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり営業収益は前期から増加し、従業員1人あたり営業利益も前期から増加しています。これは、同社グループの生産性が向上していることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり営業収益(連結) | 33.9百万円 | 34.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 11.4百万円 | 12.8百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは金融商品取引業を営んでおり、その財務基盤は事業活動と投資活動の資金の流れに影響を受けます。現在の資金状況から、今後の事業展開の方向性を読み解くことができます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率はプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準にあり、財務基盤の健全性を示しています。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均に近い水準で推移しています。手元資金である現金及び預金も増加傾向にあり、事業運営における安定性が見られます。これらの財務指標は、同社グループの事業運営における安定性を示しており、従業員の雇用や給与の安定性にも影響を与える要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 516億円 | 525億円 |
| 自己資本比率 | 65.7% | 65.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 8.5% | 9.2% |
| 現金及び預金 | 108億円 | 117億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、信用取引貸付金を中心とした信用取引資産及び信用取引負債の増減により資金を使用しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、純投資目的で保有する投資有価証券の売買により資金を獲得しており、前期に比べて獲得額が増加しました。その結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュ・フローはプラスとなり、資金の余剰が生じています。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いなどにより資金を使用しています。これらの資金の流れは、同社グループが投資活動を通じて資金を創出し、株主還元を行いつつ、事業運営に必要な資金を確保している状況を示しています。これは、従業員の雇用や給与の安定性にも寄与する要素となります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △41.0億円 | △23.6億円 |
| 投資CF | 46.9億円 | 60.1億円 |
| 財務CF | △22.2億円 | △28.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 5.9億円 | 36.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、金融商品取引業という単一領域で事業を行っており、その業績は金融資本市場の変貌や環境変化によって多大な影響を受ける可能性があります。金融資本市場の縮小等によって収益が縮小した場合、それを補完する他の事業がないことから、経営成績や財政状態が急激に悪化するリスクがあります。
また、同社グループはFace to Faceのビジネスモデルに基づいて対面営業を行っており、オンライン取引等に必要なシステムを構築していません。将来的にフィンテック分野での技術を活用したサービスの提供が求められた際、インフラ構築の遅延により収益機会を逃す可能性や、市場競争力が低下するリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、お客さまの多様なニーズに対応できる人材の確保と育成を重要な経営課題としています。人材確保や人材育成が進まなかった場合、将来の事業展開に支障をきたし、同社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
極東証券グループは「信は萬事の基と為す」を経営の基本理念としています。お客さまとの対面での直接対話(Face to Face)を重視したビジネスモデルと健全経営を通じて、信頼に基づく安定的な成長を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、創立以来「信は萬事の基と為す」を経営の基本理念としています。信頼を原点としたFace to Face(お客さまとの対面での直接対話型)のビジネスモデルと健全経営による安定的成長確保を経営の基本方針としています。
この基本方針を堅持し、市場環境や規制環境の変化に柔軟に対応しながら、持続的な成長を可能とする収益基盤の構築を目指しています。同社グループは、事業活動を通じて国民全体の資産形成に貢献し、社会全体に付加価値をもたらすことで、国民経済全体の発展に貢献することを念頭に置いています。
中長期的には、独自のビジネスモデルを堅持し、サステナビリティ基本方針に基づき、全てのステークホルダーを意識した企業価値向上と持続可能性への貢献を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、お客さまからの信頼と「親切・丁寧な対応」を重視するFace to Faceの対面営業を創業以来一貫して堅持しています。お客さま満足度向上の重要な指標として「既存のお客さまによる新規顧客のご紹介」を継続的に採用しています。
企業価値を差別化する要因として「お客さまからの信頼」というブランドと、お客さまのニーズを的確に捉えた「旬の商品の提供」というノウハウを掲げています。人的資本の充実を最も重要な経営課題と認識し、人材育成プランの策定や社員のモチベーション向上につながる社内体制の整備を進めています。
また、「お客さま本位の業務運営に関する方針」に基づき、「誠実・公正」な業務運営の徹底を図っています。法令・諸規則の遵守と高い倫理観に基づく業務遂行を重視し、コンプライアンスを徹底する企業風土を醸成しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、中期事業計画(2024年度~2026年度)において、「収益基盤の拡大・充実」、「人的資本の充実」及び「コンプライアンスの徹底」を対処すべき課題としています。
これらの課題に対し、お客さまとの関係性強化と「親切・丁寧な対応」を推進し、営業員が付加価値の高い提案活動に専念できる環境を整備しています。また、お客さまのニーズに対応できる人材育成を重要な施策とし、人材育成プランを通じて社員の対応力・提案力向上と
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
極東証券は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、コーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要課題と位置付けています。経営環境の変化に迅速に対応できる組織体制の構築に注力しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
極東証券の筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)であり、機関投資家が上位を占める資本構成となっています。上位株主には創業家関係者も複数名含まれています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.50% |
| 有限会社みつる | 8.38% |
| 七十七銀行 | 5.13% |
| 三井住友銀行 | 4.84% |
| 三井住友信託銀行 | 4.26% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は菊池一広氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 菊池 廣之 | 取締役会長 (代表取締役) | 1964年4月 野村證券株式会社入社。1972年7月 同社入社、1972年11月 代表取締役副社長、1979年12月 代表取締役社長を経て、2012年4月より代表取締役会長現職。極東プロパティ株式会社代表取締役社長を兼任。 |
| 菊池 一広 | 取締役社長 (代表取締役) | 1990年4月 野村證券株式会社入社。1999年3月 同社入社、1999年6月 代表取締役副社長を経て、2012年4月より代表取締役社長現職。 |
| 後藤 昌弘 | 取締役 専務執行役員 営業本部長 | 1985年4月 同社入社。大阪支店長、本店資産管理第二部長、執行役員、常務執行役員を経て、2016年6月より取締役専務執行役員営業本部長現職。 |
| 茅沼 俊三 | 取締役 専務執行役員 企画管理本部長 | 1980年4月 東京証券取引所入所。株式会社東京証券取引所渉外広報部長、株式会社日本取引所グループ国際担当企画統括役等を経て、2013年12月 同社入社。執行役員、常務執行役員を経て、2017年6月より取締役専務執行役員企画管理本部長現職。 |
社外取締役は、堀川健次郎氏(元QUICK代表取締役会長)、吉野貞雄氏(平和不動産顧問)、菅谷貴子氏(菅谷パートナーズ法律事務所代表弁護士)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役3名を選任しています。社外取締役は、経営戦略や経営計画に対する助言、および経営陣の監督を通じて、中長期的な企業価値向上に貢献する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
極東証券の役員報酬は、企業価値の持続的向上を目指し、取締役の経験や職責、貢献度、業績を反映する方針です。報酬は定期同額報酬と業績連動報酬で構成されており、社外取締役には定期同額報酬のみが支給されます。業績連動報酬は金銭報酬であり、連結経常利益と単体の特別損益を指標としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 3.2億円 | 81.2百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 13百万円 | 13.0百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 44百万円 | 8.8百万円 |
役員報酬の総額は3.82億円であり、対象となる役員は10名です。
個人別報酬が開示されている役員は、菊池廣之氏(1.16億円)、菊池一広氏(1.50億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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ただ、数字だけでは見えてこないこともあります。職場の雰囲気、上司との関係、実際の残業の実態、昇給のリアル——こうした情報は、現役社員やOB・OGの声から得られます。
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