※本記事は、松井証券株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
松井証券は、個人投資家向けのオンライン証券取引サービスを提供する企業です。株式ブローキング事業を主軸に、株式や先物・オプションの委託売買、投資信託の販売、FX(外国為替証拠金取引)など幅広い金融商品を取り扱っています。
単体従業員数は227名です。同社はオンライン証券取引サービスの単一セグメントで事業を展開しています。
松井証券は、個人投資家を対象とした株式ブローキング事業を主たる事業とし、オンライン証券取引サービスを提供しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
松井証券は、個人投資家向けの金融商品・サービス提供を企業目標に掲げており、その実現に向けて社員の成長と働きがいを重視する環境が特徴です。多様な人材が自律的に学習し、成長できる組織を目指し、様々な制度や施策を通じて社員のキャリア形成とウェルビーイングをサポートしています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、社員の定着を促すための取り組みが見られ、平均勤続年数や平均年齢から安定したキャリアを築ける環境であることがうかがえます。年齢構成もバランスが取れており、幅広い年代の社員が活躍している傾向があります。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 11,548,000円 |
| 平均勤続年数 | 9.7年 |
| 平均年齢 | 37.3歳 |
| 単体従業員数 | 227人 |
同社は確定拠出年金制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を採用しています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社の人材戦略は、経営戦略である「多様性のある自律的な組織の実現」を基本方針としています。社員一人ひとりが当事者意識を持ち、自律的に学習・成長する組織を目指し、採用から報酬に至るまで一貫したアクションプランを策定しています。
報酬制度については、「競争力のある報酬体系の維持と追求」を基本方針とし、社会経済や労働市場の状況を踏まえて毎年見直しを行っています。社員の報酬は公正な評価と連動しており、職位ごとに定義されたアカウンタビリティに基づき、人事委員会で評価が実施されます。
人材育成では、変化の激しいビジネス環境に対応できるよう、全社横断の研修・リスキリング制度を策定し、社員の学習を時間と費用面でサポートしています。具体的には、サブスク型動画ツールの導入や、社員が講師となる内製型集合研修プログラム、外部研修への参加支援などがあります。また、社員の定着とキャリア形成を支援するため、新卒から10年程度のジョブローテーション制度やプロフェッショナル職の導入、キャリアワークショップの開催など、多様なキャリアパスを支援する取り組みを進めています。社内環境整備としては、リモートワーク制度や時差出勤、時間単位の有給休暇、育児休業制度や短時間勤務制度の充実を図り、多様な働き方をサポートしています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
女性管理職比率、男性育児休業取得率、および男女賃金差異は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づき算出された、提出会社単体のデータです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 19.6% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 81.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 83.5% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 87.1% |
男女比率
2025年度の人的資本に関する指標です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 全体(男性) | 64.8% |
| 全体(女性) | 35.2% |
| 管理職(男性) | 80.4% |
| 管理職(女性) | 19.6% |
新卒/中途比率
2025年度の人的資本に関する指標です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 全体(新卒入社) | 53.8% |
| 全体(中途入社) | 46.2% |
| 管理職(新卒入社) | 47.8% |
| 管理職(中途入社) | 52.2% |
年齢構成
2025年度の人的資本に関する指標です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 20代 | 28.6% |
| 30代 | 33.2% |
| 40代 | 22.1% |
| 50代以上 | 16.1% |
有給休暇取得状況
2025年度の人的資本に関する指標です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 取得日数 | 18.5日 |
| 取得率 | 82.5% |
育児休業取得率
2025年度の人的資本に関する指標です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性 | 100.0% |
| 男性 | 100.0% |
リスキリング
2025年度の人的資本に関する指標です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 1人あたり時間 | 25.0時間 |
| 1人あたり費用 | 15.2万円 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
松井証券は、個人投資家を主な顧客とするオンライン証券取引サービスを提供しています。主力事業は株式ブローキング事業であり、株式や先物・オプションの委託売買業務を中心に展開しています。
具体的には、投資信託の販売やFX(外国為替証拠金取引)なども手掛けています。同社の収益は、主に株式等の委託売買に伴う受入手数料、FX取引によるトレーディング損益、そして金利水準の上昇を背景とした預託金の収益分配金による金融収支から得られています。同社はオンライン証券取引サービスの単一セグメントで事業を展開しており、海外の外部顧客への売上高はありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、国内株式市場の活況を背景に、営業収益、純営業収益、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれも大幅な増加となりました。特に、株式等委託売買代金の増加が収益を押し上げています。
受入手数料、トレーディング損益、金融収支もそれぞれ増加傾向を示しています。一方で、広告宣伝費の増加などにより販売費・一般管理費も増加しています。自己資本当期純利益率(ROE)も前期から上昇しており、資本効率の改善が見られます。
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
財務の安定性は、企業が持続的に事業を運営していく上で重要な要素です。同社の財務状況から、現在の経営の安定性について確認します。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率とROE(自己資本利益率)、そして手元資金の状況から確認できます。自己資本比率は企業の安定性を示す指標であり、ROEは資本をどれだけ効率的に活用して利益を生み出しているかを示します。手元資金は、不測の事態や事業投資に充てられる資金の厚みを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 769億円 | 823億円 |
| 自己資本比率 | - | - |
| ROE(自己資本利益率) | 13.8% | 19.6% |
| 現金及び現金同等物 | 817億円 | 817億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローは、事業活動、投資活動、財務活動の3つの側面から資金の流れを示しています。各キャッシュフローの具体的な数値は開示されていませんが、資金の出入りを通じて企業の活動状況を把握できます。
キャッシュフローの状況は、企業の資金繰りや投資戦略、株主還元の方針を反映するものです。これらの資金の流れは、企業の安定性や将来の成長性、ひいては雇用や給与の安定性にも影響を与える要素となります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | - | - |
| 投資CF | - | - |
| 財務CF | - | - |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | - | - |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、個人投資家向けの日本株ブローキング事業への依存度が高いことをリスクとして認識しています。株式市況の低迷や競争環境の変化により、株式等委託売買代金や信用取引残高が減少した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、他の金融機関との競争もリスクとして挙げられています。資金力や技術力、顧客基盤等で強みを持つ競合他社との競争激化により、既存顧客の流出や新規顧客獲得数の減少、広告宣伝費の増加などが業績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、役職員等による不正や内部者取引等の法令・規則に対する違反があった場合、信用の低下につながる可能性があると認識しています。このような事態は、同社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
松井証券は、個人投資家の豊かな人生をサポートすることを企業理念とし、オンライン証券として独自の価値提供を目指しています。お客様からの信頼と、投資の楽しさを追求する企業文化を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
松井証券は、「お客様の豊かな人生をサポートする。」ことを企業理念(MISSION)としています。また、「個人投資家にとって価値のある金融商品・サービスを提供する。」ことを企業目標(VISION)として掲げています。同社は、優位性のある顧客体験価値の提供を重視しており、コーポレートスローガン「投資をまじめに、おもしろく。」を体現することを目指しています。具体的には、安定した取引環境、豊富な商品、シンプルでわかりやすいサービス、パーソナライズされたサービスの提供に努めています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、役職員の行動指針として「お客様起点」「進化」「こだわり」「チームワーク」「事実に基づく判断」「社会への貢献」の6つを定めています。これらはステークホルダーとの協働を実現するための基盤となっています。また、「社員一人一人が当事者意識を持ち、自律的に学習・成長する組織になる」ことを組織目標として掲げています。社員のエンゲージメントを「会社の理念、方針、目標に共感し、社員が自ら意欲的に仕事に取組み、仲間や会社に深い思い入れをもつこと」と定義し、その向上に努めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、中長期的な経営戦略を実行する上で、「強いブランドの構築」を優先的に対処すべき課題の一つとしています。金融機関としての信頼性向上と知的エンターテインメント性の両立を推進し、コンプライアンス体制の強化やお客様に寄り添ったサポート体制の維持・発展に努めています。また、「サービスクオリティの向上」では、ヒューマンタッチなコミュニケーション機会の提供を通じて顧客体験価値の向上を目指しています。さらに、「新規事業領域の探索・事業の多角化」や「セキュリティの強化」にも取り組んでいます。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
松井証券は監査等委員会設置会社であり、取締役会が経営の意思決定と監督を担い、監査等委員会が経営の監視機能を果たしています。取締役の過半数を社外取締役が占める体制です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
松井証券の株主構成を見ると、有限会社丸六と有限会社松興社が上位を占めています。これら2社が主要な株主として同社の資本を支えている状況です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社丸六 | 37.54% |
| 有限会社松興社 | 13.87% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.55% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性7名・女性2名)で構成され、女性役員比率は22.0%です。代表取締役社長執行役員は和里田聰氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 和里田 聰 | 代表取締役社長執行役員 | 1994年P&Gファー・イースト・インク入社、1998年リーマン・ブラザーズ証券会社入社、1999年UBS証券会社入社。2006年同社入社、IR室長。2020年同社代表取締役社長就任、2025年より現職。 |
| 鵜澤 慎一 | 取締役専務執行役員コーポレート部門担当 | 1996年新王子製紙入社。2001年同社入社、財務部長。2020年同社常務取締役就任、2024年同社専務取締役就任。2025年より現職。 |
| 松井 道太郎 | 取締役 | 2013年QUICK入社。2018年同社入社、コンプライアンス部。2020年同社取締役就任、戦略部門担当役員。2023年より現職。 |
社外取締役は、小貫聡氏(元興和不動産投資顧問代表取締役社長)、堀俊明氏(元QUICK取締役副社長)、川西拓人氏(のぞみ総合法律事務所パートナー・監査等委員)、小駒望氏(小駒望公認会計士事務所代表・監査等委員)、塩見めぐみ氏(マーサージャパン取締役・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、経営の意思決定・監督機関としての取締役会と、その意思決定に基づく業務執行の全般的統制を図る経営会議を設けています。取締役の過半数を社外取締役が占めることで、経営の監督機能の有効性を確保しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
松井証券の役員報酬は、社内取締役に対しては役割と業績を踏まえた基本報酬と株式報酬型ストックオプションで構成されています。一方、社外取締役(監査等委員である取締役を除く)には独立性を確保するため、株式報酬型ストックオプションを付与せず、基本報酬のみを支給することを基本的な考え方としています。業績連動報酬は含まず、業績向上への意欲と士気を高める目的で社内取締役に株式報酬型ストックオプションを付与しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 9名 | 2.3億円 | 26.0百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 23百万円 | 23.0百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 57百万円 | 9.5百万円 |
なお、取締役(監査等委員及び社外取締役を除く。)に対する非金銭報酬等の総額の内訳は、ストックオプション78百万円です。
報酬等の総額が1億円以上の役員は存在しないため、個人別の報酬開示は行われていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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