レオパレス21 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

レオパレス21 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場。アパート等の建築請負、賃貸・管理を行う賃貸事業を主力とし、シルバー事業やリゾート運営も展開。当連結会計年度は、家賃単価の上昇や入居率対策の奏功により賃貸事業が堅調に推移し、増収増益(経常利益ベース)を達成しました。


※本記事は、株式会社レオパレス21 の有価証券報告書(第52期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. レオパレス21ってどんな会社?


単身者向けアパートの建築請負と賃貸管理を中核とする不動産会社です。家具家電付き物件に強みを持ちます。

(1) 会社概要


1973年に不動産仲介業として創業し、1985年に都市型アパート「レオパレス21」の販売を開始しました。2002年にはブロードバンドサービス「LEONET」を開始し、2004年に東証一部(現プライム)へ上場しました。2005年よりシルバー事業を開始し、海外展開や太陽光発電事業なども手掛けています。

連結従業員数は3,909名、単体では2,723名です。筆頭株主は投資会社Fortress Investment Groupの関連事業体である千鳥合同会社、第2位は投資事業を行うUH Partners2、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
千鳥合同会社 26.09%
UH Partners2 15.61%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.54%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性1名の計14名で構成され、女性役員比率は7.1%です。代表取締役社長社長執行役員開発事業本部長は宮尾文也氏です。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
宮尾 文也 代表取締役社長社長執行役員開発事業本部長 1990年同社入社。経営企画部長、取締役常務執行役員などを経て2019年5月より現職。
早島 真由美 取締役常務執行役員事業推進本部長 1996年同社入社。コンプライアンス推進本部長、管理本部長などを経て2024年11月より現職。
持田 直道 取締役常務執行役員賃貸営業本部長 三井銀行(現三井住友銀行)出身。2007年同社入社。レオパレス・リーシング社長などを経て2024年11月より現職。
竹倉 慎二 取締役執行役員経営管理本部長開発事業本部 副本部長 1996年同社入社。経営企画部長などを経て2022年6月より現職。
山下 明男 取締役 日本開発銀行出身。フォートレス・インベストメント・グループ・ジャパン日本代表。2021年6月より現職。
劉 勁 取締役 RBS証券等を経てフォートレス・インベストメント・グループ・ジャパン マネージングディレクター。2021年6月より現職。


社外取締役は、渡邊顯(元ファーストリテイリング社外監査役)、中村裕(元パナソニックホームズ品質・環境本部長)、柴田拓美(元野村ホールディングス副社長)、石井歓(元日本政策投資銀行常務執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「賃貸事業」「シルバー事業」「その他事業」の3つの報告セグメントおよび「その他」事業を展開しています。

賃貸事業


自社物件およびオーナーから一括借上したアパート等の賃貸・管理、建築請負、営繕工事、ブロードバンドサービスなどを提供しています。主な顧客は入居者およびアパート等のオーナーです。単身者向けに家具家電を備えたワンルームを大都市圏に集中して提供している点が特徴です。

収益は、入居者からの家賃、共益費、礼金等のほか、オーナーからの建築請負代金や管理手数料などから得ています。運営は主にレオパレス21が行い、子会社のレオパレス・リーシングが仲介業務、プラザ賃貸管理保証が家賃債務保証、レオパレス・パワーが太陽光発電事業等を担っています。

シルバー事業


関東・中部エリアを中心に、介護施設「あずみ苑」を運営しています。要介護認定を受けた高齢者等を対象に、ショートステイ、デイサービス、有料老人ホームなどのサービスを提供しています。

収益は、利用者および介護保険制度に基づく介護報酬等から得ています。運営は、レオパレス21および子会社のアズ・ライフケアが行っています。

その他事業


リゾート施設の運営やファイナンス事業などを行っています。主な施設として、グアム島におけるレオパレスリゾートグアム(ゴルフ場、ホテル等)があります。

収益は、リゾート施設の利用者からの利用料や宿泊料などから得ています。運営は、海外子会社のLeopalace Guam Corporationや同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期から2025年3月期までの5期間の推移です。売上高は4,000億円台前半で推移しており、直近では増加傾向にあります。利益面では、2021年3月期に大きな赤字を計上しましたが、その後回復し、黒字基調が定着しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 4,090億円 3,984億円 4,064億円 4,227億円 4,318億円
経常利益 -342億円 -22億円 65億円 195億円 269億円
利益率(%) -8.4% -0.5% 1.6% 4.6% 6.2%
当期利益(親会社所有者帰属) -187億円 143億円 227億円 446億円 213億円

(2) 損益計算書


前期と当期の損益構成を比較します。売上高の増加に加え、売上総利益率および営業利益率が改善しており、本業の収益性が向上しています。特に営業利益は前期比で大きく伸長しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 4,227億円 4,318億円
売上総利益 688億円 773億円
売上総利益率(%) 16.3% 17.9%
営業利益 233億円 292億円
営業利益率(%) 5.5% 6.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が134億円(構成比27.9%)、支払手数料が59億円(同12.3%)を占めています。売上原価においては、借上賃料が2,553億円(売上原価合計の75.2%)と大半を占めています。

(3) セグメント収益


賃貸事業が増収増益となり、全社の業績を牽引しました。家賃単価の上昇が入居率の低下影響を補い、収益性が向上しました。一方、シルバー事業とその他事業は営業損失を計上しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
賃貸事業 4,075億円 4,169億円 304億円 381億円 9.1%
シルバー事業 140億円 137億円 -6億円 -8億円 -5.9%
その他事業 12億円 12億円 -24億円 -26億円 -219.9%
連結(合計) 4,227億円 4,318億円 233億円 292億円 6.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループは、必要な資金を主に銀行借入や社債発行等により調達する方針です。

2025年3月期は、営業活動によるキャッシュ・フローが大幅に増加し、事業活動から潤沢な資金を生み出しました。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の償還収入があったものの、定期預金の預入により支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入れによる収入があったものの、借入金の返済や配当金の支払い等により支出となりました。

この結果、現金及び現金同等物残高は大きく増加し、フリー・キャッシュ・フローも増加しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 214億円 259億円
投資CF 9億円 -6億円
財務CF -71億円 -64億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「レオパレス21の価値創造で、賃貸住宅を中心とする住まいの領域において、イノベーティブで持続可能なサービスの提供を続け、これからも社会に必要とされる企業であり続けること」を重点テーマとしています。

(2) 企業文化


施工不備問題を教訓に、コンプライアンスを最優先とする企業風土の醸成に取り組んでいます。毎年5月29日を「変革の日5.29」と定め、全役職員が再発防止を誓うとともに、「コンプライアンスファースト」を徹底する組織づくりを推進しています。

(3) 経営計画・目標


2026年3月期から2028年3月期までの3カ年を対象とする中期経営計画「New Growth 2028」を策定しています。2028年3月期における数値目標は以下の通りです。

* 売上高:4,680億円
* 営業利益:413億円
* 経常利益:401億円
* ROE:20%
* ROIC:18%

(4) 成長戦略と重点施策


「基盤戦略」として、エリア戦略による入居率および稼働家賃単価の向上、法人利用の拡大、外国人入居者の獲得、DX推進に取り組みます。「成長戦略」としては、開発事業を本格的に再開し、管理物件ポートフォリオの最適化やZEH物件の供給による脱炭素社会への貢献を目指します。

* 2029年3月期には建築請負契約におけるZEH比率50%(ZEH Orientedを含む)を目標

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「社員が主役の会社」を人的資本経営ビジョンとして掲げ、ELTV(従業員生涯価値)の最大化を目指しています。具体的には、不動産関連資格保有者の増加、DX人材の育成、キャリア開発支援、および事業戦略と連動した人材ポートフォリオの構築に注力し、従業員が主体的に働き、社会に新しい価値を提供できる環境を整備しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.6歳 13.8年 6,200,441円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金(時間外勤務手当)を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.1%
男性育児休業取得率 69.6%
男女賃金差異(全労働者) 50.7%
男女賃金差異(正規) 69.0%
男女賃金差異(非正規) 47.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(7.9%)、年次有給休暇取得率(82.0%)、定期健診後の精密検査受診率(85.3%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 自然災害・気候変動に関するリスク


地震や台風等の大規模災害により、管理・運営物件に被害が生じた場合、修繕費用等の発生や事業活動の中断により業績に影響を及ぼす可能性があります。特に首都直下地震が発生した場合は、本社機能の被災により事業継続に大きな影響が出る恐れがあります。

(2) ITシステム及び情報セキュリティに係るリスク


サイバー攻撃やシステム障害により、個人情報漏洩や事業停止が発生するリスクがあります。また、個人情報保護規制への違反が生じた場合、社会的信頼の喪失や制裁金の支払いに直面する可能性があります。同社はゼロトラストモデルへの移行やセキュリティ教育を実施しています。

(3) 法的規制に関するリスク


不動産関連法規や建築基準法等の改正、新たな規制の導入により、事業運営コストの増加や権利の制限が生じる可能性があります。同社は関連法令を所管する部署で情報収集と周知徹底を行い、コンプライアンス遵守体制を強化しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。