※本記事は、明和地所の有価証券報告書(第40期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 明和地所ってどんな会社?
新築分譲マンションの開発を主力とし、不動産仲介から管理まで住まいのサービスを総合的に提供しています。
■(1) 会社概要
1986年に横浜市で設立され、1990年に明和地所へ社名を変更しました。1996年に株式を上場し、1998年には東証第一部へ指定されています。その後、札幌、福岡、名古屋へと拠点を広げ事業規模を拡大し、2023年には東証スタンダード市場へ移行しました。分譲事業を中心とした総合不動産企業として成長を続けています。
従業員数は連結で615名、単体で406名です。筆頭株主は事業会社の英興発で、第2位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、第3位は個人の髙杉純氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 英興発 | 37.32% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 5.69% |
| 髙杉純 | 2.98% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性15名、女性0名の計15名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は原田英明氏が務めています。社外取締役比率は13.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 原田英明 | 代表取締役社長 | 1993年佐藤工業入社。1999年同社入社、取締役、社長室長補佐。2000年マンション事業部長を経て、2005年より代表取締役社長。 |
| 柿﨑宏治 | 常務取締役執行役員 | 1994年同社入社。営業推進部長やマンション事業部長を経て2016年開発事業本部長。タケイチバリュアブル不動産代表取締役などを歴任し、2025年より現職。 |
| 鈴木真 | 取締役執行役員 | 1998年同社入社。営業七部長や営業本部長などを歴任し、営業推進本部や流通事業本部を担当。2025年よりソリューション事業本部担当および本部長。 |
| 三平慎也 | 取締役執行役員 | 1998年同社入社。マンション事業建設一部長、開発事業本部担当などを経て、2023年より流通事業本部を担当。2025年より流通事業本部担当および本部長。 |
| 福眞吉葉 | 取締役執行役員 | 2000年同社入社。マンション事業建設二部長を経て、2018年に開発事業本部長。2021年より取締役執行役員に就任し、2025年より開発事業本部長(マンション事業部担当)。 |
| 川田幸司 | 取締役執行役員 | 2001年同社入社。札幌支店長や営業統括部長を経て2018年に営業本部長。2021年に取締役執行役員に就任し、2025年より営業本部、名古屋事業部、支店担当。 |
| 太田明 | 取締役執行役員 | 1984年楷建築設計事務所入所。リクルートコスモス等を経て2011年同社入社。マンション事業建設一部長や開発事業副本部長を歴任し、2025年より開発事業本部長。 |
| 太田裕 | 取締役執行役員 | 1997年同社入社。営業推進部長を経て、2019年に営業推進本部長。DX推進部長などを歴任し、2023年よりマーケティング推進本部長。2024年より現職。 |
| 島津基実 | 取締役執行役員 | 1996年同社入社。経営企画本部長や管理本部長などを歴任し、経営企画、人事総務、経理財務などを幅広く担当。2024年より社長室長および関係会社担当。 |
| 義澤俊介 | 取締役執行役員 | 1979年日本債券信用銀行入行。2007年同社入社。経理部統括部長や管理本部長、常務取締役などを歴任し、2025年より経理財務本部担当および本部長。 |
社外取締役は、小林大祐氏(ワコー電子代表取締役)、中山正行氏(HOKコンサルタント代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「分譲事業」「流通事業」「管理事業」「賃貸事業」および「その他」事業を展開しています。
■分譲事業
マンション等の開発・分譲を行う事業です。立地や住環境にこだわった高付加価値の環境共生型住宅の開発を推進し、主に一般消費者へ提供しています。
顧客へ分譲マンションを引き渡した時点で売上を計上する収益モデルです。運営は同社が行っています。
■流通事業
中古不動産の売買仲介、買取再販、リノベーション、ウェルスソリューション(投資用不動産の一棟販売)を行っています。主に一般消費者や富裕層が顧客です。
売買の媒介手数料や、取得して資産価値を高めた中古マンションおよび投資用不動産の引渡しにより収益を得ます。運営は同社が行っています。
■管理事業
分譲マンションの総合管理、管理員・清掃業務、リフォーム事業を展開し、管理組合や居住者を顧客としています。
管理委託契約に基づくサービス提供完了時や、工事完了時に収益を計上します。運営は明和地所コミュニティや明和地所ライフサポートが行っています。
■賃貸事業
オーナー所有物件や自社保有のマンション等の賃貸、賃貸管理、サブリース業務、退去後の原状回復工事を行っています。
サービスの提供完了時や工事完了時に収益を得るモデルです。運営は同社および明和地所コミュニティが行っています。
■その他事業
マンション購入客に対する住宅設備機器の企画販売や、購入資金の貸付を行う住宅ローン事業、広告宣伝事業などを展開しています。
住宅設備の引渡しや金利収入などにより収益を得ます。運営は明和地所コミュニティおよび明和地所ファイナンスが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、売上高が持続的に拡大しており、直近の期には901億円に達しました。経常利益も一時的な踊り場を経て直近の期に59億円へと大きく増加しており、増収増益基調による力強い成長を示しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 572億円 | 623億円 | 713億円 | 799億円 | 901億円 |
| 経常利益 | 32億円 | 50億円 | 40億円 | 38億円 | 59億円 |
| 利益率(%) | 5.5% | 8.0% | 5.6% | 4.7% | 6.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 26億円 | 44億円 | 28億円 | 29億円 | 38億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益と営業利益の双方で力強い伸びを記録しています。売上総利益率および営業利益率もともに改善しており、収益性の向上が伺えます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 799億円 | 901億円 |
| 売上総利益 | 166億円 | 192億円 |
| 売上総利益率(%) | 20.8% | 21.3% |
| 営業利益 | 52億円 | 78億円 |
| 営業利益率(%) | 6.6% | 8.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が31億円(構成比27%)、広告宣伝費が16億円(同14%)、支払手数料が13億円(同11%)を占めています。売上原価は、外注工事費が283億円(構成比42%)、用地費が181億円(同27%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の分譲事業が堅調に売上を伸ばすとともに、流通事業が前期から大きく売上を拡大し、全社的な増収を力強く牽引しています。管理事業も着実に売上を伸ばしており、安定した収益基盤の拡大が確認できます。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 分譲事業 | 525億円 | 552億円 |
| 流通事業 | 205億円 | 275億円 |
| 管理事業 | 60億円 | 67億円 |
| 賃貸事業 | 7億円 | 7億円 |
| その他 | 1億円 | 1億円 |
| 連結(合計) | 799億円 | 901億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型のパターンを示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -334億円 | 6億円 |
| 投資CF | -58億円 | -6億円 |
| 財務CF | 268億円 | -16億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は24.4%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「生活の基盤となる住まいに関わる多様なニーズに対応するため、包括的な住まいのサービスを一体的に提供すること」を掲げています。創業以来の顧客視点に立った姿勢を貫き、社会の変化に対応しながら、住まいを通じた新しい価値を創造することで、グループの持続的な成長と企業価値の一層の向上を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「想いをかなえ、時をかなでる。」の企業理念のもと、「信頼」「共創」「共感」に基づいたステークホルダーとの協働を重視しています。また、行動指針である「アクションポリシー」を通じて、社員一人ひとりが主体的に行動し、仕事への情熱を持って社会に付加価値を提供することや、顧客のニーズを第一に考える姿勢を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
「中期経営計画2027」に基づき持続的な成長を目指しています。当事業年度において売上高・利益ともに計画を大きく超過し、最終年度(2027年3月期)には減収減益の予想ながら、利益額は目標値を上回る見込みです。資本回転を意識したROIC(投下資本利益率)の向上や、配当性向30%を目処とした株主還元を目標に掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
「選ばれる企業」となるべく環境共生型住宅(ZEH-M Oriented等)や高付加価値マンションの開発を推進します。また、流通事業の回転率改善とアセットライト化を進めるほか、不動産M&Aや再開発・建替え事業を通じて分譲事業の安定した案件パイプラインを整備し、持続的な成長基盤を強固にする方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、持続可能な成長と企業価値の向上を成し得る源泉は従業員であると考え、人材価値の最大化を重点課題と位置付けています。2026年1月に人材開発部を新設し、採用から育成、組織構築までを連携させる人的資本経営を推進します。また、役割や成果に基づく公正な評価制度を導入し、多様な人材が能力を最大限に発揮できる環境整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 35.8歳 | 7.3年 | 7,300,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 6.4% |
| 男性育児休業取得率 | 33.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 67.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 70.2% |
| 男女賃金差異(非正規雇用労働者) | 94.3% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正規雇用労働者の中途採用比率(27.3%)、管理職に占める中途採用比率(56.3%)、健康診断受診率(100.0%)などです。



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