FJネクストホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

FJネクストホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場するFJネクストホールディングスは、首都圏を中心に資産運用型単身者向けマンション「ガーラマンションシリーズ」の開発・分譲を手掛ける企業です。ファミリー層向け開発や不動産管理、建設、旅館事業も展開し、直近は新築・中古販売が好調で増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社FJネクストホールディングスの有価証券報告書(第46期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. FJネクストホールディングスってどんな会社?


主力の資産運用型マンション開発をはじめ、不動産管理や建設、旅館事業など幅広く展開する企業グループです。

(1) 会社概要


1980年7月に不動産販売事業を目的として設立され、1994年8月に資産運用型マンション自社ブランド「ガーラマンションシリーズ」の分譲を開始しました。2004年にジャスダック証券取引所へ上場し、2007年にはファミリー層向けマンションの展開を始めました。2021年10月に持株会社体制へ移行して現在の社名となりました。

従業員数は連結で600名、単体で46名です。筆頭株主はエム・エム・ヨークで、第2位は創業者の肥田幸春氏、第3位は松濤投資倶楽部となっています。

氏名 持株比率
エム・エム・ヨーク 18.91%
肥田 幸春 15.41%
松濤投資倶楽部 14.72%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は肥田恵輔氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
肥田 幸春 代表取締役会長会長執行役員 1980年同社設立とともに代表取締役就任。社長を経て、2019年より代表取締役会長兼社長。2021年より現職。
肥田 恵輔 代表取締役社長社長執行役員 2008年入社。経営企画室次長、取締役経営企画室長などを経て、2024年6月より現職。
益子 重男 取締役専務執行役員 1991年入社。営業本部長やコンサルティング事業部長を歴任し、2021年6月より現職。
鈴木 憲一 取締役(監査等委員) 1996年入社。経営企画室長、内部監査室長、経理部長などを経て、2018年6月より現職。


社外取締役は、鈴木清(鈴木公認会計士事務所開業)、高場大介(高場法律事務所入所)です。

2. 事業内容


同社グループは、「不動産開発事業」「不動産管理事業」「建設事業」「旅館事業」および「その他」事業を展開しています。

不動産開発事業


首都圏において、資産運用型の単身者向け「ガーラマンションシリーズ」や自己居住用のファミリー層向け「ガーラ・レジデンスシリーズ」の開発・販売、および中古マンションの売買や賃貸事業を行っています。
物件の引渡しを行った時点で収益を認識し、売買代金を受領するモデルです。運営は主にFJネクストおよびFJネクストレジデンシャルが行っています。

不動産管理事業


主にマンション区分所有者からの賃貸管理や、管理組合からの建物管理を請け負うほか、伊豆エリアにおける別荘地の管理事業を展開しています。
顧客との契約に基づく管理業務の提供に応じて管理手数料などを受け取る収益モデルです。運営は主にエフ・ジェー・コミュニティおよび伊東一碧管理サービスが行っています。

建設事業


主にマンション等建築物の設計、施工、検査、リノベーション業務を行っています。
長期の工事契約に基づき、履行義務の進捗度に応じて収益を認識するモデルです。運営は主にレジテックコーポレーションが行っています。

旅館事業


静岡県の伊豆エリアにおいて、温泉旅館「伊東遊季亭」「伊東遊季亭 川奈別邸」「玉峰館」「清流荘」の経営を行っています。
宿泊客に対するサービス提供が完了した時点で宿泊料などの収益を認識するモデルです。運営は主に同社およびFJリゾートマネジメントが行っています。

その他


同社顧客およびマンション管理組合向けに融資などの金融サービスを提供しています。
主にアライドライフが運営を担い、資金の貸付等による利息収入などを得ています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績をみると、売上高は823億円から1424億円へと大きく拡大しています。経常利益も91億円から144億円へと成長し、特に直近の決算では大幅な増収増益を達成して高い収益性を確保しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 823億円 847億円 1004億円 1124億円 1424億円
経常利益 91億円 82億円 94億円 95億円 144億円
利益率(%) 11.0% 9.7% 9.4% 8.4% 10.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 63億円 56億円 65億円 65億円 100億円

(2) 損益計算書


売上高の増加にともない売上総利益も順調に拡大しており、売上総利益率は約18〜19%で推移しています。営業利益率も10%台に向上し、強固な収益基盤を示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1124億円 1424億円
売上総利益 206億円 269億円
売上総利益率(%) 18.4% 18.9%
営業利益 95億円 144億円
営業利益率(%) 8.4% 10.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が43億円(構成比34%)、広告宣伝費が22億円(同17%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の不動産開発事業において新築・中古マンションの販売が伸長し、大幅な増収と利益拡大を牽引しました。建設事業も増収増益となった一方、旅館事業は客室稼働率の低下によりわずかに損失を計上しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
不動産開発事業 999億円 1277億円 80億円 125億円 9.8%
不動産管理事業 42億円 43億円 12億円 11億円 25.9%
建設事業 70億円 90億円 3億円 8億円 9.2%
旅館事業 13億円 13億円 0.1億円 - -0.2%
その他 0.4億円 0.4億円 0.2億円 0.2億円 53.7%
連結(合計) 1124億円 1424億円 95億円 144億円 10.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -139億円 71億円
投資CF 49億円 -35億円
財務CF 38億円 -54億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.0%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も71.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「都市住空間への挑戦と創造を通して、豊かな社会づくりに貢献していく。」を企業理念として掲げています。資産運用型マンション事業を通じて、単身者の生活を支える良質な住空間と収益性の高い資産を提供し、地域や社会と一体となって都市住空間の創造の一端を担うという社会的な意義のもと、持続的な成長と企業価値の向上を図ることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、急激な経営環境の変化に対処し、スピードと革新性を重視した経営を推進することを重視しています。また、コンプライアンス遵守の徹底や、役職員一人ひとりが自律的に学び変化の早い事業環境に対応できる人材へ成長することを人材育成の基本とし、健全な起業家精神の発揮を促す企業文化を築いています。

(3) 経営計画・目標


長期・安定的に成長していくことを基本方針に、売上高経常利益率を重視しています。開発プロジェクトの推進にあたっては、不動産業界を取り巻く環境の変化に的確に対応しながら、安易な拡大路線をとることなく採算性を重視する方針をとり、以下の数値を安定的な達成目標として掲げています。

* 売上高経常利益率 10%前後

(4) 成長戦略と重点施策


自社ブランド「ガーラマンションシリーズ」および「ガーラ・レジデンスシリーズ」の開発用地の継続的・安定的な確保により、マンション市場における地位の盤石化を目指しています。また、所有物件における売却ニーズの増加に対応して売却査定・買取りの体制を強化し、中古マンションの取引拡大も推進します。人的資本やDXへの投資を進め、業務効率化とサービス品質の向上に取り組む方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


従業員一人ひとりの能力発揮と成長が持続的な企業価値向上に不可欠であるとし、資格取得支援や各種研修制度を通じて自律的なキャリア形成を後押ししています。また、DX推進を牽引する専門人材の確保を進めるとともに、女性管理職候補の育成・登用、育児休業からの職場復帰支援など、多様な人材が長期的に活躍できる環境整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 36.2歳 11.0年 7,565,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.5%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 48.3%
男女賃金差異(正規雇用) 50.7%
男女賃金差異(非正規雇用) 18.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職候補者に占める女性労働者の割合(22.5%)、産休・育休取得後の復職率(89.5%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法的規制等の変更リスク


不動産開発事業は宅地建物取引業法や建築基準法など多くの法的規制を受けており、免許の取消しや、特定の自治体によるワンルームマンション建設の規制強化が進められた場合、同社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 資産運用型マンションの投資リスクと訴訟リスク


同社が販売する資産運用型マンションは、入居率の悪化や金利上昇による収支悪化などの投資リスクが内在します。営業職員の説明不足等により顧客の理解が不十分なまま契約が行われ、訴訟等が発生した場合、同社の信用が損なわれ業績に影響が及ぶ可能性があります。

(3) 経済状況や建築費高騰によるリスク


マンション販売事業は景気動向や金利動向、税制などに影響を受けやすく、景気悪化や大幅な金利上昇が発生すると販売が落ち込む懸念があります。また、中東情勢の影響等により資材価格が高騰したり供給が遅れたりした場合、プロジェクトの収益性が低下する可能性があります。

(4) 事業用地の仕入れと土壌汚染リスク


都心部を中心とした事業用地の取得において、十分な情報入手が困難になったり資金調達に支障が生じたりした場合は業績に影響します。また、契約後に事前調査で認識できなかった土壌汚染が発見された場合、追加費用の発生やスケジュールの遅延が生じるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。