**記事タイトル:FJネクストホールディングス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態**
※本記事は、株式会社FJネクストホールディングスの有価証券報告書(第46期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. FJネクストホールディングスってどんな会社?
首都圏における資産運用型マンションの開発・販売を中心に、総合的な不動産事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
1980年に不動産販売事業を目的として設立され、マンション販売を開始しました。1994年に資産運用型マンションの自社ブランド「ガーラマンションシリーズ」の分譲を開始し、事業の柱を築きました。2004年にジャスダック証券取引所へ上場を果たし、2021年には持株会社体制への移行に伴い現在の社名に変更しています。
現在の従業員数は連結で600名、単体で46名となっています。大株主については、筆頭株主が資産管理などを行うとみられるエム・エム・ヨークで、第2位は創業者の肥田幸春氏、第3位も資産管理を行う松濤投資倶楽部となっており、創業者および関連法人が上位を占めています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| エム・エム・ヨーク | 18.91% |
| 肥田 幸春 | 15.41% |
| 松濤投資倶楽部 | 14.72% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長 社長執行役員は肥田恵輔氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 肥田 幸春 | 代表取締役会長会長執行役員 | 1980年同社設立・代表取締役就任。2019年代表取締役会長兼社長を経て、2021年より現職。 |
| 肥田 恵輔 | 代表取締役社長社長執行役員 | 2008年同社入社。経営企画室長などを経て、2024年より現職。 |
| 益子 重男 | 取締役専務執行役員 | 1991年同社入社。営業本部長などを歴任し、2021年より現職。 |
| 鈴木 憲一 | 取締役(監査等委員) | 1996年同社入社。経理部長兼内部統制推進室長などを経て、2018年より現職。 |
社外取締役は、鈴木清氏(公認会計士・税理士)、高場大介氏(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「不動産開発事業」「不動産管理事業」「建設事業」「旅館事業」および「その他」事業を展開しています。
■不動産開発事業
首都圏において、資産運用型単身者向け「ガーラマンションシリーズ」やファミリー層向け「ガーラ・レジデンスシリーズ」の開発・販売、中古マンションの売買などを展開しています。
収益は顧客からの不動産売買代金や賃貸収入から得ており、主にFJネクストおよびFJネクストレジデンシャルが運営を担っています。
■不動産管理事業
マンション区分所有者からの賃貸管理や、管理組合からの建物管理、伊豆エリアにおける別荘地管理の請負業務を提供しています。
収益は顧客からの管理委託料などから得ており、主にエフ・ジェー・コミュニティおよび伊東一碧管理サービスが運営を行っています。
■建設事業
マンションなどの建築物の設計、施工、検査、およびリノベーション工事を提供しています。
収益は工事などの請負代金から得ており、レジテックコーポレーションが運営を担っています。
■旅館事業
静岡県の伊豆エリアにおいて、「伊東遊季亭」「玉峰館」「清流荘」などの温泉旅館の経営を行っています。
収益は宿泊客からの宿泊代金などから得ており、FJリゾートマネジメントなどが運営を行っています。
■その他
報告セグメントに含まれない事業として、顧客およびマンション管理組合向けの融資などの金融サービス事業を展開しています。
収益は貸付金利息などから得ており、主にアライドライフが運営を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績は、主力事業の好調を背景に売上高が一貫して増加傾向にあります。利益面でも、一時的な落ち込みは見られるものの、当期は大幅な増益を達成しており、堅調な推移を示しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 823億円 | 847億円 | 1004億円 | 1124億円 | 1424億円 |
| 経常利益 | 91億円 | 82億円 | 94億円 | 95億円 | 144億円 |
| 利益率(%) | 11.0% | 9.7% | 9.4% | 8.4% | 10.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 49億円 | 43億円 | 22億円 | 0.8億円 | 19億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の拡大に伴い、売上総利益および営業利益ともに前期から大幅に増加し、利益率も向上しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1124億円 | 1424億円 |
| 売上総利益 | 206億円 | 269億円 |
| 売上総利益率(%) | 18.4% | 18.9% |
| 営業利益 | 95億円 | 144億円 |
| 営業利益率(%) | 8.4% | 10.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が43億円(構成比34.5%)、広告宣伝費が22億円(同17.3%)を占めています。売上原価の内訳については有価証券報告書に記載がありません。
■(3) セグメント収益
主力の不動産開発事業が全体の売上と利益の大部分を牽引しています。当期は新築および中古マンションの販売が好調に推移し、同事業が大幅な増収増益となったことが、全体の業績拡大に大きく寄与しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 不動産開発事業 | 999億円 | 1277億円 | 80億円 | 125億円 | 9.8% |
| 不動産管理事業 | 42億円 | 43億円 | 12億円 | 11億円 | 25.6% |
| 建設事業 | 70億円 | 90億円 | 3億円 | 8億円 | 8.9% |
| 旅館事業 | 13億円 | 13億円 | 0.1億円 | - | -0.2% |
| その他 | 0.4億円 | 0.4億円 | 0.2億円 | 0.2億円 | 50.0% |
| 連結(合計) | 1124億円 | 1424億円 | 95億円 | 144億円 | 10.1% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業とされるパターンです。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -139億円 | 71億円 |
| 投資CF | 49億円 | -35億円 |
| 財務CF | 38億円 | -54億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は71.2%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「都市住空間への挑戦と創造を通して、豊かな社会づくりに貢献していく。」を企業理念として掲げています。事業を通して社会の発展に貢献し利益を上げることで、持続的な成長と企業価値の向上を図ることを基本的な方針としています。
■(2) 企業文化
事業環境の変化に的確に対応しながら、安易な拡大路線をとることなく採算性を重視する堅実な文化が根付いています。また、コンプライアンスの遵守やリスクマネジメントを最重要課題と位置づけ、全役職員が自らの役割を認識し、能動的にリスク管理に取り組む姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
長期・安定的に成長していくことを基本方針とし、収益性の指標として売上高経常利益率を重視しています。不動産業界を取り巻く環境の変化に的確に対応しながら、以下の数値目標の安定的な達成を目指しています。
・売上高経常利益率:10%前後
■(4) 成長戦略と重点施策
主力である単身者向けの資産運用型マンション市場において、安定した賃貸需要が見込める土地を厳選し、付加価値の高い商品を継続的に供給していく方針です。また、中古マンションの売買やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、人的資本やサービス体制の充実による事業基盤の強化を重点施策として掲げています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
中長期的な成長と企業価値向上を実現するため、人的資本を重要な経営資源と位置付けています。従業員一人ひとりが自律的に学び成長できる環境を目指し、資格取得支援や各種研修制度を充実させています。また、DX推進を牽引する専門人材の確保や、多様な人材が活躍できる職場環境の整備に注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 36.2歳 | 11.0年 | 7,565,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 5.5% |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 48.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 50.7% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 18.7% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職候補者に占める女性労働者の割合(22.5%)、産休・育休取得後の復職率(100%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 資産運用型マンション販売事業について
顧客の資産運用目的での購入が大半を占めるため、入居率の悪化や家賃相場の下落、金利上昇による収支悪化リスクがあります。これに対し、顧客への十分な説明と販売後の長期的な賃貸サポート体制の構築により、空室発生や資産価値下落などのリスク低減に努めています。
■(2) 国内外の経済状況等の影響について
景気動向や金利、税制、供給過剰による販売価格の下落など外部要因の影響を受けやすい事業です。不動産市況の変動や建築費の高騰などが生じた場合、プロジェクトの収益性が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 事業用地の仕入れについて
都心部を中心とした事業用地の取得を進めていますが、資金調達の難航や不動産関連情報の入手困難、あるいは購入後の土壌汚染の発見などによる追加費用の発生が、計画の遅延や収益性低下を招くリスクがあります。



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