FJネクストホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

FJネクストホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場。資産運用型マンション「ガーラマンションシリーズ」の開発・分譲を主力事業とします。2025年3月期は、主力の中古マンション販売や新築販売が堅調に推移し、売上高1,124億円(前期比12.0%増)、経常利益95億円(同0.3%増)の増収増益となりました。


※本記事は、株式会社FJネクストホールディングス の有価証券報告書(第45期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. FJネクストホールディングスってどんな会社?


資産運用型マンション「ガーラマンションシリーズ」の開発・販売を中核に、管理や建設、旅館事業も展開する企業グループです。

(1) 会社概要


1980年に不動住販として設立され、1991年にエフ・ジェー・ネクストへ商号変更、1994年に自社ブランド「ガーラマンション」の分譲を開始しました。2004年のJASDAQ上場を経て、2013年に東証一部へ指定替えとなりました。2021年には持株会社体制へ移行し、現社名となりました。

連結従業員数は584名、単体従業員数は46名です。筆頭株主は資産管理業務を行う株式会社エム・エム・ヨークで、第2位は創業者の肥田幸春氏、第3位は資産管理会社の株式会社松濤投資倶楽部となっており、創業者とその関連資産管理会社が上位を占めています。

氏名 持株比率
エム・エム・ヨーク 18.77%
肥田 幸春 15.58%
松濤投資倶楽部 14.73%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長社長執行役員は肥田恵輔氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
肥田 恵輔 代表取締役社長社長執行役員 2008年同社入社。経営企画室長、上席執行役員等を経て、2024年より現職。エフ・ジェー・コミュニティ代表取締役社長を兼任。
肥田 幸春 代表取締役会長会長執行役員 1980年同社設立。社長、エフ・ジェー・コミュニティ代表取締役等を歴任。2021年より現職。FJネクスト代表取締役社長等を兼任。
益子 重男 取締役専務執行役員 1991年同社入社。営業本部長、常務取締役、専務取締役等を経て、2021年より現職。FJネクスト専務取締役を兼任。
鈴木 憲一 取締役(監査等委員) 1986年三宅公認会計士事務所入所。1996年同社入社。内部監査室長、経理部長等を経て、2018年より現職。


社外取締役は、鈴木清(鈴木公認会計士事務所代表)、高場大介(高場法律事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「不動産開発事業」「不動産管理事業」「建設事業」「旅館事業」および「その他」事業を展開しています。

不動産開発事業


首都圏において資産運用型単身者向けマンション「ガーラマンションシリーズ」やファミリー層向け「ガーラ・レジデンスシリーズ」の開発・販売を行うほか、中古マンションの販売・仲介等も手掛けています。伊豆エリアでの不動産事業も行っています。

主な収益源は、マンション購入者からの物件販売代金や仲介手数料、賃貸収入等です。運営は主にFJネクスト、FJネクストレジデンシャルが行っています。

不動産管理事業


マンション区分所有者からの賃貸管理受託、管理組合からの建物管理請負業務を中心に行っています。また、伊豆エリアにおける別荘地の管理事業も展開しています。

主な収益源は、マンションオーナーや管理組合、別荘地所有者から受け取る管理委託料等です。運営は主にエフ・ジェー・コミュニティ、伊東一碧管理サービスが行っています。

建設事業


主にマンション等建築物の設計・施工・検査・リノベーションを行っています。グループ内物件の工事だけでなく、外注工事の管理や品質向上にも寄与しています。

主な収益源は、発注者から受け取る工事請負代金等です。運営は主にレジテックコーポレーションが行っています。

旅館事業


静岡県の伊豆エリアにおいて、「伊東遊季亭」「伊東遊季亭 川奈別邸」「玉峰館」「清流荘」といった温泉旅館の経営・運営を行っています。

主な収益源は、宿泊客から受け取る宿泊料や飲食代等のサービス利用料です。運営は主にFJリゾートマネジメントが行っています。

その他


同社グループの顧客およびマンション管理組合向けに、融資等の金融サービスを提供しています。

主な収益源は、融資先から受け取る利息収入や手数料等です。運営は主にアライドライフが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は右肩上がりで推移しており、特に直近の2025年3月期は1,100億円を突破しました。経常利益は90億円台で安定して推移しています。当期純利益は2024年3月期以降60億円台を維持しており、全体として事業規模の拡大と安定した収益性を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 730億円 823億円 847億円 1,004億円 1,124億円
経常利益 73億円 91億円 82億円 94億円 95億円
利益率(%) 10.0% 11.0% 9.7% 9.4% 8.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 44億円 49億円 43億円 22億円 1億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益も微増しましたが、売上原価の増加により売上総利益率は低下しました。営業利益は横ばいを維持しています。事業規模の拡大に伴い売上は伸びていますが、原材料価格の上昇や販売構成の変化などが利益率に影響を与えている様子がうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,004億円 1,124億円
売上総利益 202億円 206億円
売上総利益率(%) 20.1% 18.4%
営業利益 94億円 95億円
営業利益率(%) 9.4% 8.4%


販売費及び一般管理費のうち、その他が50億円(構成比45%)、給料手当及び賞与が40億円(同36%)、広告宣伝費が18億円(同16%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の不動産開発事業が増収を牽引しました。不動産管理事業も堅調に推移し増益となりましたが、建設事業は完成工事件数の減少により減収減益となりました。旅館事業は売上・利益ともに増加しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
不動産開発事業 862億円 999億円 79億円 80億円 8.0%
不動産管理事業 40億円 42億円 11億円 12億円 28.5%
建設事業 89億円 70億円 4億円 3億円 4.2%
旅館事業 13億円 13億円 0億円 0.1億円 0.9%
その他 0.5億円 0.4億円 0.1億円 0.2億円 48.7%
調整額 0.5億円 0.4億円 0.1億円 0.2億円 50.0%
連結(合計) 1,004億円 1,124億円 94億円 95億円 8.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 47億円 -139億円
投資CF -50億円 49億円
財務CF -23億円 38億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.2%で市場平均(9.4%)を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は69.1%で市場平均(24.2%)を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「都市住空間への挑戦と創造を通して、豊かな社会づくりに貢献していく。」を企業理念として掲げています。この理念のもと、資産運用型マンション「ガーラマンションシリーズ」等の企画・開発・分譲を通じ、社会の発展に貢献し利益を上げることで、持続的な成長と企業価値の向上を図ることを基本方針としています。

(2) 企業文化


同社は、地域や社会と一体となり都市住空間の創造の一端を担うという社会的意義を重視しています。また、従業員一人ひとりを尊重し、多様なライフスタイルに合わせた職場環境の整備や女性活躍の推進に努めるなど、人を大切にする文化を持っています。コンプライアンス遵守やリスク管理にも全社的に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は、長期・安定的に成長していくことを基本方針とし、売上高経常利益率を重視しています。安易な拡大路線をとることなく採算性を重視し、以下の数値を安定的に達成することを目指しています。

* 売上高経常利益率:10%前後

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、自社ブランドマンションの企画・開発・販売に加え、中古マンション売買にも積極的に取り組む方針です。具体的には、安定した賃貸需要が見込める土地の厳選、情報力強化による用地仕入、DX推進や多様な販売チャネルの活用による販売力強化を進めます。

* 中古マンションの取引拡大(売却査定・買取り体制の強化)
* 人的資本やDXへの投資による業務効率化とサービス品質向上

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、人材育成の強化・推進を最重要課題のひとつと位置づけ、次代を担う人材の継続的な輩出を目指しています。採用・教育制度の整備充実を図るとともに、女性管理職登用の推進や、従業員のライフスタイルを尊重した職場環境の整備(年間休日の増加、定年延長等)により、活力ある企業を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 36.2歳 10.8年 7,355,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.8%
男性育児休業取得率 21.4%
男女賃金差異(全労働者) 49.3%
男女賃金差異(正規雇用) 51.7%
男女賃金差異(非正規) 23.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職候補者における女性労働者の割合(22.2%)、産休・育休取得後の復職率(89.5%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法的規制等について


不動産業界は宅地建物取引業法や建築基準法など多くの法的規制を受けています。また、東京都特別区などでのワンルームマンション建築規制条例等が強化された場合、同社グループの商品開発や事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 資産運用型マンション販売事業について


同社の商品は主に資産運用目的で購入されますが、空室リスクや家賃下落、金利上昇等の投資リスクが内在します。顧客への説明不足等によるトラブル発生や、経済情勢の変化による運用環境の悪化が生じた場合、事業に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 国内外の経済状況等の影響について


主力事業は景気、金利、販売価格動向等の影響を受けやすく、市況悪化時には業績に影響が出る可能性があります。また、開発期間が長期にわたるため、その間の建築費高騰や市況変動、米国の通商政策等の影響による資材価格高騰などがリスク要因となります。

(4) 有利子負債への依存について


事業用地の仕入資金を主に金融機関からの借入で調達しており、連結総資産に対する有利子負債比率は17.3%です。金利上昇局面や金融機関の融資姿勢の変化、資金調達環境の悪化が生じた場合、業績や事業展開に影響が及ぶ可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。