グランディハウス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

グランディハウス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場。北関東を中心に新築戸建分譲などの不動産販売、建築材料販売、不動産賃貸を展開しています。直近の業績は販売棟数減少により減収となったものの、在庫・経費管理の徹底などにより大幅な増益を達成しました。首都圏事業の拡大や商品力強化により持続的成長を目指しています。


※本記事は、グランディハウス株式会社 の有価証券報告書(第35期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. グランディハウスってどんな会社?


北関東を中心に新築戸建住宅の分譲など不動産販売、建築材料販売、不動産賃貸を展開する企業です。

(1) 会社概要


1991年に栃木県宇都宮市にて宅地開発を専業として創業し、1996年に注文住宅を主体とする住宅建築事業へ参入しました。2005年に東京証券取引所市場第二部へ上場し、2011年に同市場第一部へ指定替えとなりました。その後も関東エリアで支店や子会社を次々と設立し、2022年の東証再編ではプライム市場へ移行しています。

同社グループの従業員数は連結で768名、単体で401名です。筆頭株主は有価証券や不動産の運用・管理を行う事業会社の新日本物産で、第2位は創業者の菊地俊雄氏、第3位は従業員持株会専用信託口等となっているグランディ・ストックメイトです。

氏名 持株比率
新日本物産 13.66%
菊地 俊雄 10.35%
グランディ・ストックメイト 8.42%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は佐山靖氏が務めています。社外取締役は4名で、社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
佐山 靖 代表取締役社長 渡辺建設入社後、同社入社。開発本部長などを経て、2024年4月より現職。
林 裕朗 代表取締役会長 足利銀行入社後、同社入社。管理本部財務総括などを経て、2024年4月より現職。
齋藤 淳夫 取締役副社長管理本部長 エリエールペーパーテック入社後、同社入社。2020年6月より現職。
谷 英樹 専務取締役建築本部長 同社入社後、邦匠建設を経て再入社。建築本部長などを経て、2024年4月より現職。
髙橋 加奈 取締役社長室長兼総合企画室長 同社入社後、社長室長や執行役員を経て、2025年7月より現職。


社外取締役は、千頭力(千頭力公認会計士事務所開設)、小林健彦(小林健彦税理士事務所開設)、吉野徹(今泉法律事務所入所)、森田晃文(森田晃文公認会計士事務所開設)です。

2. 事業内容


同社グループは、「不動産販売」「建築材料販売」「不動産賃貸」の事業を展開しています。

不動産販売


分譲用地の仕入れから宅地造成、住宅の設計・建築、販売およびアフターメンテナンスまでを自社グループの一貫体制で行い、主に一般消費者向けに新築戸建住宅や宅地を提供しています。また、中古住宅の買取・再販や、住宅の定期点検およびリフォーム事業も手がけています。

主な収益源は、顧客からの不動産売買代金や請負工事代金です。同社が栃木県や埼玉県などを担当するほか、茨城グランディハウスや群馬グランディハウス、千葉グランディハウス、神奈川グランディハウスといった各地域の子会社がそれぞれのエリアで事業を運営しています。また、中古住宅の販売は中古住宅情報館が、リフォームはグランディリフォームが行っています。

建築材料販売


戸建住宅などの建築に使用されるプレカット材を中心とした木材や、建築材料・部材等の販売を行っています。グループ内への資材供給に留まらず、グループ外部の一般顧客や集合住宅等に向けても幅広く製品を販売しています。

主な収益源は、プレカット製品や建築材料の販売による代金収入です。本事業の運営は、子会社のゼネラルリブテックが行っています。

不動産賃貸


同社グループが所有するオフィス用のテナントビルや居住用マンションなどの賃貸事業、およびパーキング事業を展開しています。保有している物件の中には、将来的な分譲開発を見据えて取得した用地も多数含まれています。

主な収益源は、テナントや施設の利用者から受け取る賃貸収入および駐車場利用料です。本事業は同社および一部の子会社が運営を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の売上高は515億円〜552億円の範囲で安定して推移しています。経常利益は2024年3月期に大きく落ち込みましたが、その後は在庫管理や経費管理の徹底により回復傾向にあり、直近の2026年3月期は大幅な増益を達成しました。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 549億円 552億円 515億円 540億円 530億円
経常利益 38億円 31億円 9億円 9億円 15億円
利益率(%) 6.9% 5.6% 1.7% 1.7% 2.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 26億円 22億円 4億円 5億円 9億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で微減となったものの、売上総利益は増加し、売上総利益率も13.6%から14.8%へと改善しました。これに伴い営業利益も大きく増加しており、事業全体の収益性改善が進んでいることがわかります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 540億円 530億円
売上総利益 73億円 78億円
売上総利益率(%) 13.6% 14.8%
営業利益 12億円 19億円
営業利益率(%) 2.2% 3.6%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が25億円(構成比42%)、広告宣伝費が7億円(同12%)、租税公課が7億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益


不動産販売事業は販売棟数の減少により減収となりましたが、在庫管理や経費管理の徹底などにより利益は大幅に改善しました。建築材料販売事業は新設備導入による減価償却費の増加などで損失を計上しています。不動産賃貸事業は稼働率が堅調に推移し増収増益となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
不動産販売 508億円 497億円 6億円 12億円 2.5%
建築材料販売 27億円 28億円 0.6億円 -0.0億円 -0.2%
不動産賃貸 4億円 5億円 2億円 2億円 53.8%
調整額 -億円 -億円 0.4億円 0.1億円 -
連結(合計) 540億円 530億円 9億円 15億円 2.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 86億円 18億円
投資CF -3億円 -20億円
財務CF -77億円 -7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は36.5%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「快適で住みやすく安心して暮らせる住まいのご提供を通じて、豊かな社会の実現に貢献します」「法と倫理に則り、良き企業市民として、ステークホルダーの皆様から信頼される企業を目指します」「より多くのお客様にご満足いただける商品づくりと不断の改革によって、事業の発展と企業価値の向上を目指します」という経営基本方針を定めています。

(2) 企業文化


「真摯に挑戦する」という社訓のもと、社会の発展に貢献し、ステークホルダーから信頼される企業を目指しています。誠実に取り組む姿勢を身につけ、知識と経験を高め融合することで企業価値の向上を図る文化が根付いています。また、多様性を尊重し、社員個々の能力が最大限に発揮できる環境づくりにも注力しています。

(3) 経営計画・目標


2027年3月期を最終年度とする3か年の中期経営計画において、事業の成長とROEの向上を図り、成長ステージへの再転換を遂げることを基本方針としています。事業環境の変化を踏まえ、最終年度の数値目標は以下のように設定されています。

* 売上高:580億円
* 経常利益:16.5億円

(4) 成長戦略と重点施策


新築住宅事業においては、首都圏における事業拡大の加速、注文住宅事業への進出による新たな顧客層の取り込み、付加価値の高いサステナブルな商品の開発を重点施策としています。また、ストック事業ではショールーム併設店舗の展開や仲介業務の拡大を進めます。あわせて、原価・在庫管理の徹底やDX推進により収益基盤を強化し、持続的な成長を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


持てる能力を発揮し企業価値の向上を牽引する人材を育成するため、「ダイバーシティの推進」「働き方改革」「人材育成」を三つの柱として社内環境の整備を実施しています。また、首都圏事業の拡大など新規事業領域を牽引するための戦略的な採用活動や、社員一人一人が豊かな社会生活を営むための健康経営の推進などにも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 41.4歳 10.4年 5,739,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.8%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 69.6%
男女賃金差異(正規労働者) 68.9%
男女賃金差異(非正規労働者) 72.4%


※提出会社の男性育児休業取得率については、当事業年度において対象となる労働者がいないため「-」となっています。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(25.7%)、新卒採用者に占める女性比率(14.3%)、定年退職者再雇用比率(100.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 住宅需要の変動と価格高騰リスク

人口動態や景気、金利、住宅税制などの変化に加え、物価上昇を背景とした住宅価格の高騰が顧客の購買意欲を低下させる可能性があります。同社グループは市場動向を常にモニタリングし、開発計画や在庫棟数・価格を柔軟に調整することでリスク軽減を図っています。

(2) 北関東および首都圏における競合激化

基盤とする北関東や事業拡大中の首都圏などにおいて、新規参入事業者やローコスト住宅との競争が生じます。また、市街地再開発に伴う分譲マンションの大量供給による競合も想定されます。同社は品質面での差別化を図り、過度な価格競争に陥らないよう努めています。

(3) 優良な分譲用地の安定的確保

新築戸建住宅の分譲には事業の前提となる用地確保が不可欠です。立地条件に恵まれた用地の仕入れが困難になったり、土地価格の高騰によって計画通りの調達ができなかったりするリスクがあります。同社は不動産仲介会社との連携強化や専任体制の構築により、優良な用地確保に取り組んでいます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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