グランディハウス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

グランディハウス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

グランディハウスは、北関東を地盤とする不動産会社です。東証プライム市場に上場しており、戸建住宅の分譲を中心とした不動産販売、建築材料販売、不動産賃貸を展開しています。2025年3月期の業績は、売上高540億円(前期比4.7%増)、経常利益9.2億円(前期比4.7%増)と増収増益でした。


※本記事は、グランディハウス株式会社 の有価証券報告書(第34期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. グランディハウスってどんな会社?


北関東を主要エリアとし、用地仕入から設計・建築・販売までを一貫して行う戸建分譲住宅事業を主力としています。

(1) 会社概要


同社は1991年に栃木県宇都宮市で新日本開発として創業しました。1996年に住宅建築事業へ参入し、事業基盤を拡大しています。2005年に東証二部へ上場を果たし、2011年には東証一部へ指定替えとなりました。その後、2022年の東京証券取引所の市場区分見直しに伴い、プライム市場へ移行しています。地域密着型の展開を進め、北関東における有力ビルダーとしての地位を築いています。

2025年3月31日現在、グループ全体の従業員数は795名、単体では407名です。大株主の状況を見ると、筆頭株主は創業家資産管理会社と思われる新日本物産、第2位は個人株主の菊地氏、第3位は同社の関係会社と思われるグランディ・ストックメイトとなっています。安定株主が上位を占める構成です。

氏名 持株比率
新日本物産 13.69%
菊地 俊雄 10.37%
グランディ・ストックメイト 8.32%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役会長は林裕朗氏、代表取締役社長は佐山靖氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
林 裕朗 取締役会長(代表取締役) 1982年足利銀行入社。2010年同社入社。財務部長、常務、専務、副社長を経て、2018年社長就任。2024年4月より現職。
佐山 靖 取締役社長(代表取締役) 1992年渡辺建設入社。1997年同社入社。開発部長、常務(開発本部長)、専務、副社長を経て、2024年4月より現職。
齋藤 淳夫 取締役副社長管理本部長 1990年エリエールペーパーテック入社。1997年同社入社。財務部長、執行役員、取締役、常務、専務を経て、2017年より現職。
谷 英樹 専務取締役建築本部長 1999年同社入社。邦匠建設を経て2003年同社再入社。建築部長、建築本部長、取締役、常務を経て、2024年4月より現職。
髙橋 加奈 取締役社長室長 1997年同社入社。2018年社長室長。執行役員、サステナビリティ委員会事務局長を経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、小林健彦(税理士)、千頭力(公認会計士)、吉野徹(弁護士)、森田晃文(公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「不動産販売」「建築材料販売」「不動産賃貸」の3つの報告セグメントを展開しています。

不動産販売

分譲用地の仕入れから造成、設計、建築、販売、アフターメンテナンスまでを一貫して行う戸建住宅分譲を主力としています。また、中古住宅の販売やリフォーム事業も展開しています。主要顧客は一般消費者です。

収益は、顧客への住宅・土地の販売代金やリフォーム工事代金です。運営は、エリアごとに同社および子会社(茨城グランディハウス、群馬グランディハウス、千葉グランディハウス、神奈川グランディハウス等)が担当し、中古住宅販売は株式会社中古住宅情報館、リフォームはグランディリフォーム株式会社が行っています。

建築材料販売

住宅用のプレカット材(あらかじめ工場で加工された木材)を中心とした建築材料や部材等の販売を行っています。

収益は、建築会社や工務店等の顧客に対する製品・商品の販売代金です。運営は、ゼネラルリブテック株式会社が行っています。

不動産賃貸

同社グループが所有するオフィスビル、マンション、店舗等の賃貸事業およびパーキング事業を行っています。

収益は、テナントや利用者からの賃貸料収入や駐車料金です。運営は、同社および一部の子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は500億円台で推移していますが、利益面では変動が見られます。2022年3月期には経常利益38億円を記録しましたが、その後は資材価格の高騰や住宅市場の環境変化により利益率が低下傾向にあります。2025年3月期は増収増益となり、売上高は540億円、経常利益は9億円となりましたが、利益率は1.7%と依然として低い水準に留まっています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 472億円 549億円 552億円 515億円 540億円
経常利益 21億円 38億円 31億円 9億円 9億円
利益率(%) 4.4% 6.9% 5.6% 1.7% 1.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 19億円 21億円 20億円 4億円 5億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を比較します。売上高は515億円から540億円へ増加しました。売上原価率は約85%から86%へと推移しており、収益性の改善が課題となっています。売上総利益は微減しましたが、営業利益は12億円で微増となりました。厳しい市場環境下でも、一定の利益水準を維持しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 515億円 540億円
売上総利益 76億円 73億円
売上総利益率(%) 14.7% 13.6%
営業利益 12億円 12億円
営業利益率(%) 2.3% 2.2%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が27億円(構成比44%)、広告宣伝費が7億円(同11%)を占めています。売上原価については、不動産販売事業における土地代や建築費などが大半を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の状況を見ると、主力の不動産販売事業は、首都圏での販売伸長により増収となり、利益も大幅に改善しました。一方、建築材料販売事業は住宅市場の低迷や設備投資の影響で減収減益となりました。不動産賃貸事業は安定的に推移しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
不動産販売 482億円 508億円 3億円 6億円 1.1%
建築材料販売 29億円 27億円 3億円 1億円 2.3%
不動産賃貸 4億円 4億円 2億円 2億円 53.2%
連結(合計) 515億円 540億円 9億円 9億円 1.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -22億円 86億円
投資CF -5億円 -3億円
財務CF 20億円 -77億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.0%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は36.2%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「快適で住みやすく安心して暮らせる住まいのご提供を通じて、豊かな社会の実現に貢献します」を経営基本方針の第一に掲げています。また、法と倫理に則りステークホルダーから信頼される企業を目指すとともに、不断の改革によって事業の発展と企業価値の向上を目指しています。

(2) 企業文化


同社は「真摯に挑戦する」を社訓として掲げています。この精神のもと、誠実に取り組む姿勢を重視するとともに、社員一人ひとりの個性と能力が発揮できる職場づくりを目指しています。ダイバーシティの推進や働き方改革を通じて、社員と会社が持続的に成長できる環境整備に注力しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定しています。事業の成長とROEの向上を図り、成長ステージへの再転換を目指しています。

* 売上高:630億円
* 経常利益:30億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:20億円
* ROE:8.0%

(4) 成長戦略と重点施策


持続的成長に向けて、新築住宅事業では首都圏での受注拡大や注文住宅事業への進出、サステナブルな商品開発を推進しています。ストック事業ではショールーム併設店舗の展開や仲介業務の拡大を図ります。また、収益基盤強化として原価管理やDX推進、在庫リスク管理の徹底を行うとともに、ESG経営や財務体質強化にも取り組む方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「真摯に挑戦する」の社訓のもと、誠実に取り組む姿勢とスキル向上を重視し、自ら学び成長し続ける人材を育成する方針です。ダイバーシティ推進として女性活躍やシニア・社会人経験者の活用を進めるとともに、働き方改革による柔軟な働き方の実現や健康経営を推進し、社員が能力を最大限発揮できる環境づくりに努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 40.9歳 10.1年 5,540,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.2%
男性育児休業取得率 66.7%
男女賃金差異(全労働者) 71.4%
男女賃金差異(正規) 71.2%
男女賃金差異(非正規) 67.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(25.5%)、新卒採用者に占める女性比率(19.0%)、有給休暇消化率(81.3%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 住宅需要の変動


人口動態や景気動向、金利、住宅税制などの影響を受けやすく、これらが変動することで顧客の購入意欲が低下した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。市場動向をモニタリングし、計画や在庫を調整することで対応しています。

(2) 他社競合と市場環境


北関東エリアでの新規参入や、進出中の他県における既存事業者との競合が激化した場合、販売数減少や価格低下のリスクがあります。また、分譲マンションの供給増などによる競合も懸念されます。商品・サービスの品質差別化により優位性確保に努めています。

(3) 資材価格高騰と調達


木材や石油関連資材を使用しており、市況や為替変動による価格高騰が発生した場合、コスト増や調達不足による生産計画への影響が懸念されます。建築材料販売事業を通じて外部顧客との取引も行い、安定的な仕入数量の確保を図っています。

(4) 生産期間と在庫リスク


戸建分譲は用地仕入から完成まで長期間を要するため、経済情勢の変化や天災等により販売計画に狂いが生じると、過剰在庫や商品不足が発生するリスクがあります。市場の需給バランスを監視し、柔軟な生産体制をとることでリスク軽減を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。