※本記事は、東洋埠頭株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
東洋埠頭グループは、物流事業を主軸に展開しています。倉庫業、港湾運送業、自動車運送業、国際運送取扱業など多岐にわたるサービスを提供し、国内外の総合物流を担っています。
単体従業員数は331名、連結従業員数は848名です。セグメントは国内総合物流事業、国際物流事業の2つです。
主な国内グループ会社は、東洋埠頭青果センター(国内総合物流事業)、東洋トランス(国際物流事業)、鹿島東洋埠頭(〃)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
東洋埠頭は、物流という社会インフラを支える事業を展開しており、安定した環境でキャリアを築きたいと考える方にとって魅力的な選択肢となるでしょう。従業員の定着を重視し、長期的な視点での人材育成や働きやすい環境づくりに力を入れていることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数と平均年齢から、従業員が長くキャリアを築いている傾向が見られます。これは、安定した環境で腰を据えて働きたいと考える方にとって、安心材料となるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,936,247円 |
| 平均勤続年数 | 19.7年 |
| 平均年齢 | 44.6歳 |
| 単体従業員数 | 331人 |
| 連結従業員数 | 848人 |
| 単体のグループ内比率 | 39.0% |
当社及び連結子会社は、確定給付型の制度として退職一時金制度を7社が有しており、また当社は確定拠出型の制度として確定拠出年金制度を設けています。これらの制度は、国内グループ会社を対象としています。退職一時金制度がありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、確定給付制度における退職給付債務は19.2億円、年金資産は24.2億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
東洋埠頭グループは、少子高齢化や仕事に対する価値観の変化による人手不足を重要な経営課題と認識し、人材の確保、定着率の維持向上、人材育成に注力しています。ダイバーシティ&インクルージョン方針と人材育成方針を定め、長期ビジョンや経営三カ年計画に反映し、推進しています。
従業員の給与は、基本給、諸手当、賞与で構成されており、基本給は職務内容、能力、経験を考慮して決定されます。昇給は年1回、人事評価に基づいて実施され、賞与は年2回、会社業績と個人の勤務成績を考慮して支給されます。通勤手当などの諸手当や退職金制度、各種社会保険などの福利厚生制度も整備されています。
具体的には、インターンシップや会社見学、広報活動の充実、中途採用を含む通年採用、ダイバーシティの促進を通じて人材確保に努めています。また、ベースアップや昇格制度の明確化など人事・給与制度の見直し、休暇制度や福利厚生の充実を図り、働きがいと働きやすい職場環境の整備を進めています。体系的な研修の実施や職場内のコミュニケーション促進により、人材育成体制を整備し、一人ひとりの能力と組織力の向上を目指しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは、2025年4月から2026年3月を対象期間としています。パート・有期社員の男女賃金差異については、勤続年数が近く職務内容が類似した男性3名と女性1名の対比で59.9%となります。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 9.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 84.4% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正社員) | 85.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期社員) | 43.6% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 志布志東洋埠頭
対象期間は2025年4月から2026年3月です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 5.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 25.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 81.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正社員) | 83.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期社員) | 69.9% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
東洋埠頭は、物流事業とその関連事業を国内外で展開している企業です。港湾運送、倉庫、自動車運送、国際運送取扱といった多岐にわたるサービスを提供し、顧客の物流ニーズに応えています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、物流事業を主軸に収益を上げています。貨物の保管、入出庫、荷役、輸送、通関といった一連の物流サービスを提供することで、顧客から対価を得るビジネスモデルです。
国内総合物流事業
この事業では、倉庫業、港湾運送業、自動車運送業、その他の業務を展開しています。倉庫業では農産品や合成樹脂などの保管・入出庫が増加し、港湾運送業ではコンテナやばら積み貨物の取扱いが増加しました。一方で、自動車運送業では一部貨物の荷動きが低調に推移しています。
収益は、貨物の保管、港湾での荷役、陸上輸送、施設賃貸などから得ています。運営は、㈱オーエスティ物流、鹿島東洋埠頭㈱、東京東洋埠頭㈱、㈱ティーエフ大阪、㈱東洋埠頭青果センター、志布志東洋埠頭㈱、新潟東洋埠頭㈱、東光ターミナル㈱、東永運輸㈱、坂出東洋埠頭㈱などが行っています。
国際物流事業
国際物流事業では、国際輸送、倉庫、通関を主な業務としています。特に中央アジア向けの貨物取扱いが増加し、収益に大きく貢献しました。
収益は、国際運送取扱業における国際輸送や通関サービスなどから得ています。運営は、㈱東洋トランス、OOO東洋トランス、OOOTB東洋トランス、上海青旅東洋物流有限公司などが行っています。
同社グループの営業収益は、本邦の外部顧客からの収益が大部分を占めており、国内市場が事業の中心となっています。
| セグメント | 営業収益(2025年3月期) | 営業収益(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 国内総合物流事業 | 311億円 | 327億円 |
| 国際物流事業 | 39.7億円 | 54.0億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、営業収益は概ね増加傾向にあります。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、変動はありつつも直近の期では大きく増加しています。特に当期は、営業収益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前期を上回る結果となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 営業収益 | 361億円 | 381億円 | 347億円 | 351億円 | 381億円 |
| 経常利益 | 17.7億円 | 18.5億円 | 11.5億円 | 13.8億円 | 19.4億円 |
| 経常利益率 | 4.9% | 4.8% | 3.3% | 3.9% | 5.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 11.3億円 | 12.7億円 | 9.8億円 | 11.2億円 | 14.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 147.10 | 165.15 | 131.56 | 151.76 | 201.44 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの営業収益は、前期から当期にかけて増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から当期にかけて増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。これらの指標の改善は、組織全体の効率化や事業活動の成果が従業員一人ひとりの貢献に結びついていることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり営業収益(連結) | 41.4百万円 | 44.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.4百万円 | 1.8百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で安定した資金を生み出している一方で、将来に向けた投資を積極的に行っている状況です。財務基盤は堅固であり、事業継続性や成長を支える上で重要な要素となっています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は54.7%であり、前期から上昇しています。これはプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準を示しています。ROE(自己資本利益率)は5.1%で、前期から改善しました。手元資金である現金及び預金は44.1億円となっています。これらの財務指標は、同社グループの安定した財務基盤を示しており、事業継続性や将来の成長投資を支える上で重要な要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 275億円 | 308億円 |
| 自己資本比率 | 53.6% | 54.7% |
| ROE(自己資本利益率) | 4.2% | 5.1% |
| 現金及び預金 | 48.9億円 | 44.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当期の営業活動によるキャッシュフローは32.6億円のプラスとなりました。これは営業利益の増益やリース投資資産の減少が主な要因となっています。投資活動によるキャッシュフローは△35.1億円の純支出となり、固定資産の取得による支出が増加したことが影響しています。この結果、フリーキャッシュフローは△2.5億円のマイナスとなりました。本業で得た資金を上回る投資を行っている状況です。財務活動によるキャッシュフローは△2.4億円の純支出となり、長期借入れによる収入の減少が影響しています。同社グループは本業で安定した資金を生み出しつつ、将来に向けた積極的な投資を行っていることが示されています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 21.5億円 | 32.6億円 |
| 投資CF | △22.2億円 | △35.1億円 |
| 財務CF | 22.9億円 | △2.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △0.7億円 | △2.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、国内外の経済・政治・社会情勢、公的規制の変化、IT技術の進展による物流の変化、顧客の物流合理化に伴う競争激化などが財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があると認識しています。また、連結子会社のうち2社がロシアを拠点として物流事業を行っており、ロシアによるウクライナ侵攻後の経済制裁等の情勢によっては現地法人の運営に大きな支障をきたす可能性も指摘されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、労働力人口の減少や労働力確保の競争激化により、十分な人材を確保することが困難になる状況が発生した場合、物流サービスの提供に影響を及ぼす可能性があると認識しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
東洋埠頭は、ステークホルダーへの価値提供と持続的な発展を追求する企業です。同社グループがどのような価値観を持ち、どのような未来を目指しているのかを見ていきましょう。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、お得意さま、株主さま、地域社会、協力会社、従業員など、すべてのステークホルダーに対し、現在以上に価値ある企業、そして持続的に発展していく企業を目指すことを経営方針としています。この方針に基づき、2028年度を最終年度とする経営三カ年計画「Fly to the Next 2028」を策定し、目標達成に取り組んでいます。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、すべてのステークホルダーにとって現在以上に価値ある企業になるため、「サステナビリティに関する考え方」をまとめています。事業展開そのものが社会全体のサステナビリティ確保につながるよう、ESG(Environment、Social、Governance)それぞれの取り組みに対して方針を定めています。
「行動の指針」や「長期ビジョン」では、事業を通じた社会貢献、省エネルギーによる地球環境の保全、働きやすい職場環境の確立への積極的な対応を掲げています。人材の多様性確保を含む人材育成、安全衛生、物流品質の向上も重要な価値観としています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、経営戦略を推進するために複数の重点テーマに着手しています。管理本部を設置し、管理機能の強化、コンプライアンス・リスクマネジメント態勢の整備、コーポレート・ガバナンスの強化、ESG経営の推進を図っています。
また、カーボンニュートラル社会の実現に向けた先進的CCS事業への参画や、液化二酸化炭素の港湾出荷基地整備の検討を進めています。デジタル戦略とシステム開発の強化、サイバー攻撃や情報漏洩リスクへの対策強化も重要な課題としています。さらに、採用活動の強化と人材育成、安全及び物流品質の向上、デジタル化及び新技術の活用による業務プロセスの改善・効率化も継続的に取り組んでいます。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
東洋埠頭は監査等委員会設置会社であり、監査権や意見陳述権を持つ監査等委員が取締役会の議決権を保有することで、コーポレート・ガバナンスの向上を図っています。また、重要な業務執行の決定権限を取締役へ委任し、取締役会の適切な監督のもとで経営の意思決定と執行の迅速化を図る体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
東洋埠頭の株主構成を見ると、第一生命保険が筆頭株主となっています。上位株主には、三井埠頭や株式会社デイ・シイといった事業会社、さらに複数の生命保険会社が名を連ねています。これらの株主は、同社の安定的な経営基盤を支える存在として位置づけられています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 第一生命保険 | 5.71% |
| 三井埠頭 | 4.84% |
| デイ・シイ | 4.33% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性10名・女性1名)で構成され、女性役員比率は9.0%です。代表取締役社長は原匡史氏が務めています。社外取締役比率は45.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 原 匡史 | 代表取締役社長 | 1985年4月同社入社。執行役員経営企画部長、取締役常務執行役員業務部長兼港運部長兼営業部・青果営業部・国際営業部担当を経て、2014年4月より現職。 |
| 西 修一 | 専務取締役 川崎支店長 | 1986年11月同社入社。執行役員志布志支店長、取締役執行役員川崎支店長、常務取締役川崎支店長兼港運部長を経て、2022年4月より現職。 |
| 三上 慎治 | 常務取締役 業務部長 関西・中京地区統括 青果営業部 国際営業部 経営企画部 デジタル推進部 通関部管掌 | 1987年4月同社入社。執行役員青果営業部長兼川崎支店青果部長、取締役執行役員業務部長、青果営業部、国際営業部、経営企画部管掌を経て、2023年4月より現職。 |
| 冨永 超 | 取締役執行役員 志布志支店長 九州地区統括 コンテナ部管掌 | 1990年4月同社入社。執行役員志布志支店長、取締役執行役員志布志支店長、九州地区統括、コンテナ事業推進部管掌を経て、2026年4月より現職。 |
| 大野 武一 | 取締役執行役員管理本部長 総務部 経理部 情報管理部 業務監査部 安全品質管理部 広報部管掌 | 1989年4月第一生命保険相互会社入社。2009年4月同社に出向。執行役員経理部長、業務監査部担当を経て、2025年6月より現職。 |
社外取締役は、堀龍義氏(株式会社東光コンサルタンツ常務取締役)、南部雅実氏(第一生命保険代表取締役専務執行役員)、山本博毅氏(原合同法律事務所パートナー・ユニオンツール社外取締役・監査等委員)、鴇田英之氏(株式会社鴇田ビジネスパートナーズ代表取締役・公認会計士・監査等委員)、杉本尚子氏(杉本会計事務所代表・税理士・監査等委員)です。
東洋埠頭は監査等委員会設置会社であり、監査等委員が取締役会の議決権を保有することでガバナンスの向上を図っています。社外取締役比率は45.5%であり、経営の透明性と客観性の確保に努めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
東洋埠頭の役員報酬は、各取締役の職責に応じた適正な水準を基本方針としています。社内の監査等委員でない取締役の報酬は、役職や在任年数、他社水準、従業員給与水準を総合的に考慮して決定されています。また、株主との利益共有を図るため、中長期的な業績向上への取り組みの成果に応じて、株式購入資金を金銭報酬に組み入れています。社外取締役の報酬は固定報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 6名 | 1.1億円 | 17.7百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 2名 | 22百万円 | 11.0百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 28百万円 | 5.6百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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