トーカイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

トーカイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場する、医療・介護現場へのリネンサプライや調剤薬局、環境美化用品レンタル等を展開する企業です。主力の健康生活サービスや調剤サービスが伸長し、M&A効果も寄与したことで、直近の連結業績は売上高8.2%増、営業利益1.5%増の増収増益となりました。


※本記事は、株式会社トーカイ の有価証券報告書(第70期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. トーカイってどんな会社?


医療・介護・環境の分野で「清潔と健康」を提供する生活インフラ企業であり、東海地方を基盤に全国展開しています。

(1) 会社概要


1955年に岐阜市で綿業として設立され、1962年に病院用寝具レンタル事業へ進出しました。1968年にはダストコントロール事業を開始し、全国フランチャイズ展開に着手しています。2005年の手術用リネンリユース事業開始などを経て事業を拡大し、2011年に東京証券取引所市場第一部へ銘柄指定されました。近年では、2024年にmik japanや介護センター花岡を連結子会社化するなど、M&Aによる事業拡大を推進しています。

連結従業員数は4,654名、単体では1,972名です。筆頭株主は小野木興産で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。第3位のトーカイ共友会など、安定株主が上位を占めています。

氏名 持株比率
小野木興産 16.67%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.54%
トーカイ共友会 4.38%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は浅井利明氏です。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
小野木 孝二 代表取締役会長 1977年入社。1998年代表取締役社長を経て、2023年6月より現職。
浅井 利明 代表取締役社長 1986年入社。病院関連事業本部長、営業統括などを歴任し、2023年6月より現職。
松野 英子 取締役たんぽぽ薬局代表取締役社長 1996年たんぽぽ薬局入社。同社業務本部副本部長などを経て、2017年同社社長就任。2024年6月より現職。
浅野 智義 取締役病院関連事業本部長 1984年入社。病院関連事業本部副本部長、トーカイフーズ社長などを歴任。2024年6月より現職。
村木 利光 取締役(監査等委員) 1981年入社。執行役員シルバー事業本部長、取締役病院関連事業本部長を経て、2022年6月より現職。


社外取締役は、小里孝(オフィスTO-RESEARCH代表取締役)、川島健資(元メリルリンチ日本証券代表取締役副会長)、後藤智子(RJB法律事務所弁護士)、川添衆(元ライオンハイジーン代表取締役社長)、宇野裕(元厚生省・ひつじ企画代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「健康生活サービス」、「調剤サービス」、「環境サービス」および「その他」事業を展開しています。

(1) 健康生活サービス


医療機関や介護福祉施設に対し、寝具・リネン類のレンタル、看護補助、給食サービスなどを提供しています。また、ホテル等への寝具レンタルや、在宅介護用品のレンタル・販売、リハビリ特化型デイサービスの運営、クリーニング設備の製造、宅配水サービスなども行っています。

収益は、施設や個人顧客からのレンタル料、業務受託料、商品販売代金などが柱です。運営は主にトーカイが行うほか、トーカイ(四国)、同仁社、トーカイフーズ、サン・シング東海、プレックス、mik japanなどの連結子会社が各事業を担っています。

(2) 調剤サービス


東海、北陸、関西、四国地区の基幹病院の門前を中心に、調剤薬局「たんぽぽ薬局」を展開しています。また、関西地区においてドラッグストア「ドラッグミック」の運営も行っています。地域医療への貢献を目指し、かかりつけ薬局としての機能強化を進めています。

収益は、患者からの調剤報酬および一般用医薬品等の商品販売代金です。運営は、連結子会社のたんぽぽ薬局およびmik japanが行っています。

(3) 環境サービス


「リースキン」ブランドによるマット・モップ等の環境美化用品やトイレ関連商品のレンタル・販売を行っています。また、医療機関や介護福祉施設等におけるビル清掃管理事業や、自社所有地を活用した太陽光売電事業も展開しています。

収益は、フランチャイズ加盟店への商品卸売やロイヤリティ、施設からの清掃管理料、売電収入などです。運営は、トーカイのほか、同仁社、リースキンサポート、ティ・アシスト、サカタ、九州メガソーラーなどの連結子会社が行っています。

(4) その他


経営情報の提供等を行っています。

収益は、会員からの情報提供料などです。運営は、連結子会社の日本情報マートが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は5期連続で増加傾向にあり、直近の2025年3月期には過去最高を更新しています。経常利益は安定的に推移していますが、利益率は6〜7%台で推移した後、直近でやや低下しました。当期利益は2023年3月期をピークに減少傾向にあります。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,180億円 1,235億円 1,302億円 1,382億円 1,495億円
経常利益 81億円 89億円 81億円 85億円 88億円
利益率(%) 6.8% 7.2% 6.2% 6.2% 5.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 35億円 39億円 52億円 52億円 60億円

(2) 損益計算書


売上高は増加し、売上総利益も増加しましたが、利益率は横ばいです。営業利益は微増にとどまり、営業利益率は低下しました。販管費の増加などが利益率の圧迫要因となっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,382億円 1,495億円
売上総利益 336億円 354億円
売上総利益率(%) 24.3% 23.7%
営業利益 81億円 82億円
営業利益率(%) 5.8% 5.5%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が118億円(構成比43.4%)、賞与引当金繰入額が13億円(同4.8%)を占めています。

(3) セグメント収益


健康生活サービスはレンタル需要やM&Aにより増収増益となりました。調剤サービスは増収ながらもコスト増で減益、環境サービスは微減収減益となりました。全社的には増収効果が大きく、全体の利益を押し上げました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
健康生活サービス 714億円 769億円 66億円 71億円 9.3%
調剤サービス 523億円 580億円 28億円 24億円 4.1%
環境サービス 144億円 144億円 13億円 12億円 8.5%
その他 2億円 2億円 0億円 -0.1億円 -6.5%
調整額 -5億円 -6億円 -26億円 -25億円 -
連結(合計) 1,382億円 1,495億円 81億円 82億円 5.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動で得た資金の範囲内で借入返済を行いつつ、将来のための投資も自己資金で賄えている「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 80億円 101億円
投資CF -102億円 -114億円
財務CF -32億円 -52億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.5%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は74.8%で市場平均を大きく上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「人」と「地球」の「清潔と健康」を使命とし、縁ある全ての人々の幸せを実現することをパーパスとして掲げています。また、2035年にありたい姿として「Vision2035」を策定し、人々の「清潔」で「健康」な暮らしを支えるインフラ企業として、“健康長寿社会”の実現に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


創業以来の基幹事業であるレンタルビジネスを通じて廃棄物の削減や循環型社会の実現に貢献すること、超高齢社会における医療介護の健全な発展に貢献することを使命としています。また、グループ全従業員が笑顔で、たくさんのありがとうに囲まれた会社を目指すという「トーカイグループ 3つの宣言」を掲げ、従業員一人ひとりの人間力を高めることを重視しています。

(3) 経営計画・目標


「Vision2035」の実現に向けて、2026年3月期から2028年3月期までの新たな中期経営計画を策定しています。この3年間を「収益性向上と新たな価値創出に向けた種まき」のフェーズと位置づけています。

* 売上高:1,700億円(2028年3月期目標)
* 営業利益:95億円(同上)
* ROE:8%(同上)

(4) 成長戦略と重点施策


各事業における高付加価値サービスへの特化とコスト構造の見直しによる利益最大化を図るとともに、「在宅」および「予防・未病」分野での保険外サービスを含めた新規事業開発に注力します。また、グループシナジーの創出、人的資本への積極投資、バランスの取れた成長投資と株主還元を推進します。

* 成長投資枠:100億円(新規事業開発やM&A中心)
* 株主還元:総還元性向70%超(3カ年累計目安)

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


従業員を「人財」と位置づけ、人間力強化や専門性を高める機会の提供を通じて、挑戦・活躍・成長できる環境整備を進めています。ホスピタリティ、変革マインド、イノベーション創出を重視した人材育成を行い、多様性を尊重した働き方の推進や、女性・中途採用者の活躍推進などダイバーシティ確保にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 40.8歳 10.3年 5,343,335円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.0%
男性育児休業取得率 54.0%
男女賃金差異(全労働者) 58.9%
男女賃金差異(正規雇用) 65.7%
男女賃金差異(非正規雇用) 88.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職候補比率(25.9%)、中途採用者管理職比率(50.1%)、1人当たり年間研修時間(21.4時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 社会保障制度の改定等によるリスク


高齢化に伴う医療・介護費抑制を背景に、介護保険法や診療報酬、薬価等の改定が行われた場合、同社の主力であるシルバー事業や調剤薬局事業等の収益構造に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、顧客である医療機関等の経営状況変化により、リネンサプライ等の受託業務にも間接的な影響が生じる可能性があります。

(2) 人材確保に関するリスク


医療・介護の現場を支える労働集約型の事業を展開しているため、労働力不足が深刻化する中で必要な人材を確保できない場合、機会損失や労務費増加による業績への影響が懸念されます。同社は採用活動や人材育成の強化、DXによる業務効率化等で対応を進めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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