※本記事は、NCS&A株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月12日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
NCS&Aは、ITを通じて新しい価値を創造し、社会に貢献することを経営理念としています。企業が抱える経営課題に対し、最適なソリューション提案からシステムの構築、保守・運用までをワンストップで提供する情報サービス企業です。
単体従業員数は946名、連結従業員数は1,228名です。同社グループはITサービス事業の単一セグメントで事業を展開しています。
主な国内グループ会社は、エブリ、NCSサポート&サービス(IT支援サービス)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
NCS&Aは、ITソリューションサービスを主軸とする企業として、社員の専門性向上と働きやすい環境づくりに注力しています。同社グループは、多様な人材が能力を最大限に発揮できるよう、人材育成や健康経営、働き方改革を推進しています。社員一人ひとりが長く活躍できるような制度や文化の醸成を目指していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、社員が長期的にキャリアを築きやすい環境にあると考えられます。安定した環境で専門性を深めたいと考える方にとって、魅力的な職場である可能性があります。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,443,411円 |
| 平均勤続年数 | 16.1年 |
| 平均年齢 | 40.1歳 |
| 単体従業員数 | 946人 |
| 連結従業員数 | 1,228人 |
| 単体のグループ内比率 | 77.0% |
同社および国内連結子会社は、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を設けています。退職一時金制度もあります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。退職給付債務は21.3億円です。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、人材を最も重要な経営資源と位置づけ、多様な価値観を持つ優秀な人材が能力を最大限に発揮し、生き生きと働ける企業風土を目指しています。人材への投資が財務価値向上と社会価値創出につながると考え、継続的な投資を進めています。
人事制度においては、「組織貢献型人事制度」を基盤とし、等格・職群別人事フレームを導入しています。給与は、等格別基本給をベースに、Ⅲ等格以上の社員には職務給や組織職責給を組み合わせて支給する仕組みです。賞与は、部門業績評価(チーム評価)と個人評価に基づいて支給され、成果と努力に報いる方針です。
また、同社グループでは「多様な人材活躍」「健康経営」「働き方改革」を主軸に、働きやすい環境づくりを推進しています。求める人材像として、全体を俯瞰して目標達成を考えられる人、責任を持って自ら行動できる人、社会の変化と技術革新に挑戦し続ける人、得意領域を持ちビジネスに活かす人を掲げています。人材育成方針としては、社員の自己研鑽、職場でのOJT、教育部門による自己啓発支援を一体となって推進しています。具体的には、ライフワークバランス推進委員会の設置、育児・介護支援制度の充実、フェムテックサービスの導入による女性活躍推進、男性育児休職の推進などに取り組んでいます。健康経営優良法人に認定されており、総実労働時間の低減や勤務時間内禁煙、ウェアラブル端末を活用した健康増進活動も行っています。さらに、テレワーク環境の整備やハイブリッド勤務の推進など、多様で柔軟な働き方を実現するための環境整備を進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女賃金差異は、管理職に占める女性労働者の割合の低さ、時短勤務者の女性割合の高さ、男女の勤続年数の違いが主な要因となっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 10.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 79.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 80.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 52.2% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ エブリ株式会社
男性労働者の育児休業取得率は、分母となる「事業主が雇用する男性労働者であって、配偶者が出産したものの数」の対象者がいないため、0%となっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 4.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 77.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 77.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 114.5% |
▼ NCSサポート&サービス株式会社
男性労働者の育児休業取得率は、分母となる「事業主が雇用する男性労働者であって、配偶者が出産したものの数」の対象者がいないため、0%となっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 86.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 81.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 85.5% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.0% |
育児・介護支援
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
健康・安全
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 有給休暇取得日数 | 16.6日 |
| 1月当たりの平均残業時間 | 11.4時間 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
NCS&Aは、「コンピューターは社会に奉仕する」という創業精神のもと、ITを通じて新しい価値を創造し社会に貢献することを経営理念としています。経営課題を抱える企業に対し、最適なソリューション提案からシステムの構築、保守・運用まで、ITサービスをワンストップで提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、システム開発、サービス、システム機器等販売の3つの事業を柱としています。顧客からのシステムの設計・ソフトウェア開発の受託や、パッケージソフトウェアのカスタマイズ販売、コンピュータ機器の保守サービス、システムサポートサービスなどを展開しています。
特に、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に貢献するため、マイグレーションサービスや自治体向け給付金システム「The給付」、ホテル・レストラン向けオーダーエントリーシステム「E.M.O」といった自社製品によるソリューションの強化に注力しています。また、生成AI技術を融合したシステム可視化ソリューション「ReverseNeo」の新バージョンや、プログラムコードから技術ドキュメントを自動生成する「DocHelper」をリリースするなど、新しい技術への挑戦も積極的に行っています。主要な顧客として日本電気株式会社への売上が全体の16.6%を占めています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5年間で売上高、経常利益ともに増加傾向にあります。特に当期(2026年3月期)は、売上高、営業利益、経常利益がいずれも前期から増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益は前期から減少しましたが、これは前期に繰延税金資産を計上したことによる法人税等調整額(益)の反動によるものです。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 205億円 | 194億円 | 189億円 | 205億円 | 225億円 |
| 経常利益 | 14.1億円 | 16.2億円 | 17.6億円 | 21.1億円 | 28.7億円 |
| 経常利益率 | 6.9% | 8.3% | 9.3% | 10.3% | 12.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 9.8億円 | 12.7億円 | 15.4億円 | 21.1億円 | 20.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 59.03 | 78.20 | 95.57 | 130.55 | 132.51 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は前期から増加し、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から増加しました。これらの指標の改善は、同社グループが事業拡大と収益性の向上を両立させながら、組織全体の生産性を高めている傾向を示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 16.8百万円 | 18.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.6百万円 | 2.2百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で安定した資金を生み出し、将来に向けた投資も行っています。財務基盤の健全性を保ちながら、事業活動を継続している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な現金及び預金によって安定しています。自己資本比率はプライム市場の平均と比較しても高い水準にあり、事業の安定性を示しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回る水準で推移しており、効率的な経営が行われていることがうかがえます。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にも寄与する要素となっています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 142億円 | 139億円 |
| 自己資本比率 | 66.7% | 64.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 15.9% | 14.7% |
| 現金及び預金 | 112億円 | 110億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは29.8億円の収入となりました。これは税金等調整前当期純利益の計上や賞与引当金の増加、売上債権の減少などが主な要因です。本業で安定的に資金を生み出している状況を示しています。
投資活動によるキャッシュ・フローは△6.1億円の支出となりました。無形固定資産の取得や有形固定資産の取得が主な要因であり、事業成長に向けた投資が行われていることがうかがえます。財務活動によるキャッシュ・フローは△25.1億円の支出となり、自己株式の取得や配当金の支払いが主な要因です。
これらの結果、フリーキャッシュ・フローは23.6億円のプラスとなっており、本業で得た資金が投資を上回る状況です。この資金の流れは、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来の成長に向けた投資余力も確保していることを示しており、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素であると考えられます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 22.1億円 | 29.8億円 |
| 投資CF | △4.2億円 | △6.1億円 |
| 財務CF | △5.1億円 | △25.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 18.0億円 | 23.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、日本電気株式会社(NEC)の販売特約店であり、NECグループの経営方針や取引関係における事業方針の変更が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、経済情勢の変化により顧客企業のIT関連投資が抑制された場合も、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があると認識されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、情報サービス産業において優秀な人材の確保が重要であると認識しています。採用難による人員不足や従業員エンゲージメントの低下に伴う離職者の増加が発生した場合、受注の縮小やプロジェクト採算性の悪化につながる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
NCS&Aは、創業の精神である「コンピューターは社会に奉仕する」のもと、ITを通じて新しい価値を創造し、社会に貢献することを経営理念としています。お客様とともに成長し続けることで、企業価値の向上に努めている会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
NCS&Aグループは、「コンピューターは社会に奉仕する」という創業の精神のもと、ITを通じて新しい価値を創造し、社会に貢献することを経営理念としています。確かな技術で新たな価値を創造し、社会に貢献することを目指しています。
企業メッセージとして「Grow on with Clients, now and forever」を掲げ、お客様とともに成長し続けることで企業価値の一層の向上に努めています。
中長期的な経営戦略では、2024年度から2026年度までの中期経営計画を策定し、収益基盤の安定を維持しながらサービス事業への転換を図る方針です。開発を通じた技術力向上と主力ソリューション強化を両立させ、自主ビジネスの強化と新ビジネスの創出を促進しています。
また、社員が生き生きと活躍できる環境の構築や人材への積極的な投資、リスクマネジメントの強化、サステナビリティへの取組の継続的な推進も基本方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
NCS&Aグループは、行動指針として「夢と未来にむかって、あたらしさへ挑戦します」「お客様の心の声に、しなやかな発想で応えます」「的確な判断と責任のもと、すばやく行動します」を掲げています。これらの指針に基づき、お客様とともに新しい価値を創造する姿勢を大切にしています。
同社グループが目指す6つのテーマとして、社会への貢献、お客様の事業を支えること、新しい技術への挑戦、人生を豊かにすること、地球環境への貢献、透明で公正な経営ガバナンスを掲げています。
求める人材像としては、全体を俯瞰して目標達成に必要なことを考えられる人、責任を持って自ら論理的に考え行動できる人、社会の変化と技術革新に挑戦し続ける自己成長のエンジンを持つ人、自らの得意領域を持ちビジネスに活かす人を挙げています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
NCS&Aグループは、外部要因の変化に影響を受けない自立した企業となるため、「稼ぐ力の強化」「人材への積極投資」「企業価値の向上」を基本方針としています。
具体的な施策として、経済産業省の「2025年の崖」に対応するレガシーシステム刷新需要に応えるべく、自社ソリューションの機能強化やマイグレーション事業の強化に取り組んでいます。また、マイグレーション後のシステム保守事業も開始しています。
2018年度から始めた「社内スタートアップ制度」を拡充し、協業ビジネスへの発展を目指しています。生成AIなどの新しい技術を活用した新規事業の創出や、AIを活用できる人材の育成、社内でのAI利用環境の整備にも取り組んでいます。
さらに、経済産業省と日本健康会議が主催する「健康経営優良法人 2026」に認定されており、従業員が生き生きと働けるよう職場の環境改善を継続し、多様な働き方を提供できる企業を目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
NCS&Aは監査役制度を採用しており、社外取締役を含む取締役会が経営の監督機能を担っています。機動性を重視した体制でコーポレート・ガバナンスの強化に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社であるZENです。次いで個人株主や機関投資家が上位に名を連ねています。特定の株主グループが経営に強い影響力を持つといった記述は見られず、多様な株主によって支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ZEN | 12.25% |
| 丸山幸男 | 6.27% |
| 明治安田生命保険相互会社 | 3.51% |
| NCS&A従業員持株会 | 3.00% |
| アイ・システム | 2.67% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性5名・女性3名)で構成され、女性役員比率は37.5%です。代表取締役社長は辻隆博氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 松木 謙吾 | 代表取締役会長 | 1993年12月日本アイ・ビー・エム株式会社退社後、1994年1月同社入社。事業企画推進本部長、常務取締役、代表取締役専務、代表取締役社長を経て、2018年4月より現職。 |
| 辻 隆博 | 代表取締役社長 | 1983年4月同社入社。ソリューション事業本部営業事業部長、執行役員、取締役執行役員などを歴任し、2018年4月より現職。 |
社外取締役は、團博己氏(元NECネクサソリューションズ代表取締役執行役員社長)、後藤祐子氏(一般社団法人ジャパンバレーボールリーグ経営アドバイザー)、榮藤稔氏(一般社団法人情報社会デザイン協会代表理事)です。
同社は監査役制度を採用しています。取締役5名のうち3名が社外取締役であり、監査役3名のうち2名が社外監査役である体制により、経営の監督機能と健全性の確保に努めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、固定報酬、業績連動報酬、非金銭報酬(譲渡制限付株式)で構成されており、中長期的な企業価値向上へのインセンティブ設計がされています。社外役員に対しては固定報酬のみが支給されています。固定報酬は役職に応じた基準で定められ、業績連動報酬は営業利益達成率や役割達成度を指標としています。非金銭報酬は譲渡制限付株式として支給され、固定報酬、業績連動報酬、非金銭報酬の比率の目安は6:3:1となっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 2名 | 2.0億円 | 97.9百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 20百万円 | 19.6百万円 |
| 社外役員 | 7名 | 28百万円 | 4.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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