ビジネスブレイン太田昭和 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ビジネスブレイン太田昭和 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場企業です。コンサルティング・システム開発事業と、人事・経理等のバックオフィス業務を受託するマネージメントサービス(BPO)事業を展開しています。2025年3月期は、既存事業の伸長やM&A効果により、売上収益は388億円と過去最高を更新し、増収となりました。


※本記事は、株式会社ビジネスブレイン太田昭和の有価証券報告書(第58期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. ビジネスブレイン太田昭和ってどんな会社?


会計システムやBPO(業務受託)に強みを持つコンサルティング・システム開発企業です。経営会計の専門性とITを融合させたサービスを提供しています。

(1) 会社概要


1967年に静岡県浜松市で創業し、コンサルティング及びシステム開発を開始しました。2004年にジャスダック証券取引所に上場し、2015年には東京証券取引所第一部へ指定されました。近年はM&Aを積極的に進めており、2014年以降、タイやベトナムに現地法人を設立するなど海外展開も行っています。2024年には子会社2社を吸収合併し、BPO事業の体制強化を図りました。

連結従業員数は2,382名、単体では927名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は同社グループの従業員持株会、第3位は情報通信機器販売等を行う事業会社となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.63%
BBSグループ従業員持株会 6.97%
光通信 6.06%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性1名の計14名で構成され、女性役員比率は7.1%です。代表取締役社長は小宮一浩氏です。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
小宮 一浩 代表取締役社長 1993年井上監査法人入所。1998年同社入社。アカウンティングコンサルティング本部長、グループコンサルティング統括などを歴任し、2020年6月より現職。
松井 雅史 取締役専務執行役員 1984年同社入社。ソリューション本部長、グループ製造統括、グループ品質統括などを歴任。現在はPLMジャパンおよびフレスコの代表取締役も兼任。
井上 典久 取締役専務執行役員 1986年コンピューターサービス入社。2010年同社入社。営業企画推進本部長、グループBPO統括などを歴任。現在はBBSアウトソーシング熊本などの代表取締役も兼任。
上原 仁 取締役専務執行役員 1988年太田昭和監査法人入所。新日本監査法人代表社員を経て2016年同社入社。グループ管理統括兼管理本部長などを歴任し、2025年4月より現職。
中村 裕仁 取締役常務執行役員 1988年同社入社。ソリューションコンサルティング本部長、ソリューション・コンサル統括本部長などを歴任し、2025年4月より現職。
谷渕 将人 取締役常務執行役員 1997年太田昭和監査法人入所。2016年同社入社。アカウンティング・コンサル本部長兼CPA室長などを歴任。現在は海外事業推進室長などを兼任。
杉野 敏也 取締役常務執行役員 1990年セゾン情報システムズ入社。BBSアウトソーシングサービス代表取締役社長を経て、2024年同社入社。同年6月より現職。
野田 久人 取締役常務執行役員 1998年旭情報サービス入社。2007年同社入社。大阪支店長などを経て、2024年6月より現職。


社外取締役は、長家広明(弁護士)、香川尚彦(日立ソリューションズ取締役常務執行役員)、渡邉秀俊(公認会計士)、長谷川洋一(元コブラゴルフジャパン社長)、矢野奈保子(公認会計士)、中島康晴(元新日本監査法人常務理事)です。

2. 事業内容


同社グループは、「コンサルティング・システム開発」「マネージメントサービス(BPO)」事業を展開しています。

(1) コンサルティング・システム開発


経営会計コンサルティング、会計システム導入、システム開発(SI)などを提供しています。主な顧客は企業の経営企画部門や経理部門、情報システム部門です。IFRS対応や電子帳簿保存法対応、連結経営管理基盤の構築など、専門性の高い領域での支援を行っています。

収益は、顧客から受け取るコンサルティングフィー、システム開発における請負代金、ソフトウェアのライセンス料や保守料から構成されます。運営は主にビジネスブレイン太田昭和が行っていますが、特定領域についてはファイナンシャルブレインシステムズ(金融系)やPLMジャパン(エンジニアリング分野)などの子会社が担当しています。

(2) マネージメントサービス(BPO)


人事・給与、経理・財務などのバックオフィス業務のアウトソーシングサービスを提供しています。RPAやAIを活用した業務効率化や、専門家による高品質なBPOサービス(High Value BPO)を展開し、顧客企業の業務改善を支援しています。

収益は、顧客企業から受け取る業務委託料や月額サービス利用料などです。運営はビジネスブレイン太田昭和のほか、BBSアウトソーシング熊本やEPコンサルティングサービスなどのグループ会社が連携して行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2024年3月期は、子会社の売却益計上により税引前利益と当期利益が一時的に急増しましたが、それを除くと売上収益は着実な増加傾向にあります。2025年3月期の売上収益は388億円となり、事業規模の拡大が続いています。利益率は一時的な要因を除けば8%台で推移しており、安定した収益性を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上収益 292億円 323億円 371億円 342億円 388億円
税引前利益 23億円 28億円 32億円 206億円 34億円
利益率(%) 7.9% 8.6% 8.7% 60.1% 8.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 16億円 18億円 18億円 141億円 25億円

(2) 損益計算書


売上収益は前期比で増加し、事業規模が拡大しました。営業利益率は前期の60.5%から当期は7.4%へと変化していますが、これは前期に子会社支配喪失に伴う多額の利益が計上されていた特殊要因の剥落によるものです。本業の収益力を示す売上総利益率は22%〜23%程度で安定的に推移しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上収益 342億円 388億円
売上総利益 79億円 86億円
売上総利益率(%) 23.0% 22.1%
営業利益 207億円 29億円
営業利益率(%) 60.5% 7.4%


販売費及び一般管理費のうち、給与・手当・賞与が約11億円(構成比約20%)、役員報酬が約3億円(同約6%)を占めています。売上原価においては、人件費等の従業員給付費用が大きな割合を占めています。

(3) セグメント収益


コンサルティング・システム開発事業は、会計システム関連やPLM支援ソリューションが伸長し増収増益となりました。マネージメントサービス(BPO)事業は、子会社の通年寄与や新規顧客獲得により大幅な増収となりましたが、再編費用等の影響で減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
コンサルティング・システム開発 259億円 277億円 18億円 22億円 8.0%
マネージメントサービス(BPO) 87億円 115億円 7億円 7億円 5.8%
調整額 -4億円 -4億円 -0.2億円 -0.1億円 -
連結(合計) 342億円 388億円 25億円 29億円 7.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は「改善型」のキャッシュ・フロー状態です。本業で得た現金に加え、投資活動(資産の売却等)による収入もあり、それらを借入金の返済や株主還元(配当・自己株式取得)に充てています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 31億円 27億円
投資CF -21億円 6億円
財務CF -14億円 -33億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.5%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は64.3%で市場平均を大きく上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「お客様の企業価値の向上を通して、社会に貢献する」「お客様の発展の原動力となる」「お客様の利益増加に貢献する」を経営理念として掲げています。顧客、取引先、株主、従業員などのステークホルダーと共に持続的な成長と発展を目指しています。

(2) 企業文化


創業者である山﨑氏の経営哲学が「創業者の言葉」として重視されています。グループ全体で連携・協働する「八ヶ岳経営」、適切な時期に適切なソリューションを提供する「波乗り経営」、単純なサービスではなくこれらを組み合わせて高い価値を提供する「ケーキを売る」といった考え方が、経営の指針となっています。

(3) 経営計画・目標


2030年度のゴールとして「Goal2030」を設定し、売上規模の拡大と収益性の向上を目指しています。また、中期経営計画「BBS2026」においては、成長、資本効率、投資の3分野でKPIを設定し、戦略的なパフォーマンス管理を行っています。

* 連結売上収益:1,000億円(2030年度目標)
* 連結事業利益:100億円(2030年度目標)
* ROE:12%(BBS2026目標)

(4) 成長戦略と重点施策


「BBSサイクル」の強化を軸に、コンサルティング、システム導入、BPOをシームレスに提供することで他社との差別化を図ります。SaaS市場の成長に対しては自社開発の次世代基盤等を投入し、パッケージビジネスにおいてもBBSサイクルによる付加価値提供で対抗します。BPOでは高付加価値な「High Value BPO」や「BPaaS」を推進します。

* RCN2戦略:ロイヤルカスタマーとの取引拡大と社数増加
* No.1戦略:強みである経営会計を中心に顧客基盤や事業領域を拡大
* High Value BPO × BPaaS戦略:専門領域へのBPO展開とDX融合による生産性向上

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「社員が最大の経営資源」と認識し、プロフェッショナルなキーパーソンとして育成するための人事制度や教育を充実させています。多様な価値観を尊重するダイバーシティ&インクルージョンを推進し、イノベーション創出のための職場環境整備(BBS Smile Work Style)や次世代管理職育成プログラムに取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 39.1歳 8.3年 7,070,512円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 16.4%
男性育児休業取得率 37.5%
男女賃金差異(全労働者) 68.9%
男女賃金差異(正規) 71.1%
男女賃金差異(非正規) 46.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性採用比率(49.3%)、女性役員比率(7.6%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 情報セキュリティ及び機密情報の漏洩


顧客の機密情報や個人情報を扱う事業特性上、不正アクセス等による情報漏洩やシステム停止が発生した場合、信用の毀損や損害賠償により業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、顧客システムを操作する際の不適切な操作による損害リスクもあります。

(2) 景気動向の影響


コンサルティング・システム開発事業は、顧客企業の設備投資動向の影響を受けやすい性質があります。景気悪化により顧客の投資意欲が減退した場合、受注の減少や利益率の低下、回収サイトの長期化などが生じ、業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(3) 価格競争の激化


SI・システム開発およびBPO事業において、同業他社との価格競争が激化しています。プロジェクトの生産性向上や高付加価値化(High Value BPO)に取り組んでいますが、価格面での圧力や競争力の低下が生じた場合、顧客離れや低採算化を招くリスクがあります。

(4) 開発プロジェクトの管理リスク


システム開発における不具合や手戻りによる採算悪化、納期遅延が発生する可能性があります。また、BPO事業においても、契約時の業務量見積もりの誤りや業務改善の失敗により、長期的な不採算契約となるリスクが存在します。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

【面接対策】ビジネスブレイン太田昭和の中途採用面接では何を聞かれるのか

50年以上にわたり企業会計の経営とシステムコンサルティングを行うビジネスブレイン太田昭和への転職。採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果を具体的に問われる他、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力、共に働く仲間として多角的に評価されるので事前に対策をすすめましょう。