※本記事は、株式会社ビジネスブレイン太田昭和 の有価証券報告書(第59期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. ビジネスブレイン太田昭和ってどんな会社?
経営会計コンサルティングやシステム開発、BPOなどを展開する独立系総合ファームです。
■(1) 会社概要
1967年にコンサルティング及びシステム開発を目的に中部ファコムセンターとして創業しました。1986年にビジネスブレイン太田昭和へ商号変更し、2004年にジャスダックに上場しました。その後もBPOセンターの開設や子会社設立を進め、現在はコンサルティングからアウトソーシングまで幅広く展開しています。
従業員数は連結で2,495名、単体で1,066名です。筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位はBBSグループ従業員持株会、第3位は光通信KK投資事業有限責任組合となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.70% |
| BBSグループ従業員持株会 | 6.69% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 6.38% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性13名、女性1名の計14名で構成され、女性役員比率は7.1%です。
代表者の役職は代表取締役社長で、小宮一浩氏が務めています。社外取締役は7名で、比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小宮一浩 | 代表取締役社長 | 1993年に井上監査法人に入所後、1998年に同社へ入社しました。CPA室長やコンサルティング統括本部長などを歴任し、2018年より代表取締役専務執行役員に就任、2020年より現職。 |
| 上原仁 | 取締役専務執行役員グループ管理統括兼経理部長兼コーポレートブランディング部長 | 1988年に太田昭和監査法人に入所し、新日本監査法人代表社員を経て2016年に同社へ入社しました。管理本部長や人事本部長などを歴任し、2025年より現職。フレスコの代表も兼任。 |
| 中村裕仁 | 取締役専務執行役員グループソリューション統括兼イノベーション推進統括本部長 | 1988年に同社へ入社後、ソリューション本部副本部長やソリューションコンサルティング本部長などを歴任しました。2025年にHorizon事業本部長などを経て、2026年より現職。ジョイワークスの代表も兼任。 |
| 谷渕将人 | 取締役常務執行役員グループコンサルティング統括兼アカウンティング・コンサル本部長兼海外事業推進室長 | 1997年に太田昭和監査法人に入所し、2016年に同社へ入社しました。CPA室長やコンサルティング本部長などを歴任し、2023年より現職。BBS(Thailand)のCEOも兼任。 |
| 杉野敏也 | 取締役常務執行役員グループBPO統括兼BPO統括本部長兼AppliedAI推進本部長 | 1990年にセゾン情報システムズに入社し、BBSアウトソーシングサービスの代表取締役社長などを経て2024年に同社へ入社しました。BPO統括本部長などを歴任し、2026年より現職。 |
| 野田久人 | 取締役常務執行役員グループ地域推進兼西日本統括本部長兼L&D推進本部長 | 1998年に旭情報サービスに入社し、2007年に同社へ入社しました。大阪支店支店長や西日本統括本部長などを歴任し、2024年に取締役常務執行役員に就任、2026年より現職。 |
| 牧本功貴 | 取締役常務執行役員グループ営業統括兼ソリューション営業本部長兼東日本営業統括部長兼Horizon事業推進本部長 | 1998年に同社へ入社し、営業2部部長やソリューション営業部部長などを歴任しました。その後、業務管理部長やHorizon事業本部Horizon事業企画部長などを経て、2026年より現職。 |
社外取締役は、長家広明(インテグラル法律事務所設立)、香川尚彦(元日立ソリューションズ取締役常務執行役員)、渡邉秀俊(元新日本有限責任監査法人副理事長)、長谷川洋一(元リンクスゴルフジャパン社長)、矢野奈保子(コンフォートコンサルティング代表取締役社長)、中島康晴(元EY新日本有限責任監査法人パートナー)、南波秀哉(会計教育研修機構代表専務理事)です。
2. 事業内容
同社グループは、「コンサルティング・システム開発」「SES共創ビジネス」「BPO&マネージドサービス」および「調整額」を展開しています。
■コンサルティング・システム開発
経営会計やプロダクトライフサイクルなどの関連領域におけるコンサルティング、ならびにシステム開発、導入支援、保守サービスを提供しています。企業の業務改革やDX推進、各種法規制対応を支援するサービスです。
顧客企業へのコンサルティングサービス提供やシステム開発の対価として収益を得ています。運営は主にビジネスブレイン太田昭和、グローバルセキュリティエキスパート、BSC、フレスコなどが担当しています。
■SES共創ビジネス
証券・金融系システムおよび産業系システム向けに、準委任型のシステム開発やSE派遣、ヘルプデスク、コールセンター業務などの各種サポートサービスを提供しています。
顧客からの業務指示に基づくシステム技術者の役務提供などにより、稼働時間や人員単価に応じた対価を受け取っています。運営は主にファイナンシャルブレインシステムズ、ジョイワークス、トゥインクルが行っています。
■BPO&マネージドサービス
人事給与や経理分野のビジネスプロセスアウトソーシングサービスや、コールセンターオペレーターの派遣を行っています。また、製品ベンダー向け保守などのマネージドサービスも展開しています。
顧客企業のバックオフィス業務等の受託や人材派遣サービスを通じた契約に基づく継続的な手数料等を収益源としています。運営は主にビジネスブレイン太田昭和、BBSアウトソーシング熊本、EPコンサルティングサービスなどが担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、売上収益が323億円から421億円へと順調に拡大しています。一時的に税引前利益が急増した2024年3月期を除き、利益水準も着実な成長傾向にあり、利益率も8%から9%台で安定的に推移しています。主力事業の伸長が業績拡大を牽引している状況です。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 323億円 | 371億円 | 342億円 | 388億円 | 421億円 |
| 税引前利益 | 28億円 | 32億円 | 206億円 | 34億円 | 42億円 |
| 利益率(%) | 8.6% | 8.7% | 60.1% | 8.6% | 9.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 18億円 | 18億円 | 141億円 | 25億円 | 30億円 |
■(2) 損益計算書
売上収益は前期から約33億円増加して421億円となりました。これに伴い売上総利益や営業利益も増加しており、売上総利益率は15.1%から15.8%に、営業利益率は7.4%から7.7%にそれぞれ改善しています。各段階の利益において収益性の向上が確認できます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 388億円 | 421億円 |
| 売上総利益 | 59億円 | 67億円 |
| 売上総利益率(%) | 15.1% | 15.8% |
| 営業利益 | 29億円 | 33億円 |
| 営業利益率(%) | 7.4% | 7.7% |
■(3) セグメント収益
各事業セグメントにおいて、売上収益の動向に違いが見られます。主力であるコンサルティング・システム開発事業およびBPO&マネージドサービス事業は前期から売上を順調に拡大し、全社の成長を牽引しています。一方、SES共創ビジネス事業は前期と比較して横ばいから微減の推移となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| コンサルティング・システム開発 | 208億円 | 232億円 |
| SES共創ビジネス | 93億円 | 91億円 |
| BPO&マネージドサービス | 92億円 | 102億円 |
| 調整額 | -5億円 | -4億円 |
| 連結(合計) | 388億円 | 421億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFと投資CFがプラスで財務CFがマイナスとなっており、営業利益+資産売却で借入返済を進める改善局面であることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 28億円 | 45億円 |
| 投資CF | 5億円 | 1億円 |
| 財務CF | -33億円 | -28億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.0%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は63.7%であり、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「お客様の企業価値の向上を通して、社会に貢献する」「お客様の発展の原動力となる」「お客様の利益増加に貢献する」を経営理念に掲げています。創業以来の社訓である「創造」「責任」「連帯」の精神を遵守し、IT技術と経営コンサルティングの融合によりお客様とともに成長し、社会に貢献することを使命としています。
■(2) 企業文化
創業者山崎の経営哲学である「創業者の言葉」がマネジメント層に浸透しています。グループ全体で連携を図りながら発展を目指す「八ヶ岳経営」や、適切な時期に最適なソリューションを提供する「波乗り経営」、また単なるサービス提供ではなくお客様が求める高い価値を組み合わせて提供する「ケーキを売る」などの言葉を大切にする文化が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
2030年度をゴールとする長期ビジョン「Goal2030」を設定し、持続的な成長と発展を目指しています。また、2024年4月から3年間の新中期経営計画「BBS2026 - Evolving Innovations -」をスタートさせており、資本効率を意識した経営を推進しています。
* 連結売上収益1,000億円(2030年度)
* 連結事業利益100億円(2030年度)
* ROE 12%(中期経営計画BBS2026)
■(4) 成長戦略と重点施策
目標達成を見据え、直面する課題に対応するための先行投資を優先して実施する方針です。AIを積極的に使いこなすことで人財依存型ビジネスから脱却し、高収益型のビジネスモデルへの展開を目指します。さらに、開発手法や品質基準の全面的な見直しを図るほか、ノウハウの集大成である「Act-Horizon」ビジネスを加速させ、提案力の強化に取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、社員を最大の経営資源と位置付けています。多様な価値観を持つ人財が生き生きと活躍できる「ダイバーシティ&インクルージョン」を推進しており、社員一人ひとりに対する教育や研修を拡充しています。また、在宅勤務の支援や制度の見直しなど、多様な働き方を認め合い、イノベーションを創出する明るく働きやすい職場環境の整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 38.3歳 | 7.4年 | 7,306,330円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 17.6% |
| 男性育児休業取得率 | 71.4% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 66.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 68.0% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 59.5% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性採用比率(新卒)(45.4%)、平均勤続年数の男女比率(66.6%)、女性役員比率(7.7%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 情報セキュリティ・個人情報の漏洩
顧客の機密情報や個人情報を扱うサービスを展開しているため、外部からの不正アクセスによる情報の漏洩やシステム障害が発生した場合、同社グループの信用が毀損する恐れがあります。これに備え、機密保護管理に関する社内規程の整備や社員教育の徹底、サイバーセキュリティ保険への加入等を通じてリスクの低減に努めています。
■(2) SIおよびBPO等における価格競争の激化
コンサルティング・システム開発事業やBPO&マネージドサービス事業などにおいて、同業他社との価格競争が激しくなっています。同社グループはプロジェクトの生産性向上や高度な専門分野への展開により差別化を図っていますが、競争力の低下による顧客流出や低採算化が進んだ場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 開発プロジェクトにおける進捗・採算管理
大型SIサービスを提供するため、顧客と請負契約を結び開発プロジェクトの進捗管理を行っています。しかし、ソフトウェアの欠陥によるシステムの稼働遅れや手戻りの発生により、プロジェクトの採算性が悪化するリスクがあります。またBPO事業においても受託業務量の見積りを誤った場合、長期の不採算契約となる恐れがあります。
■(4) プロフェッショナルなキーパーソンの確保と育成
同社グループは「社員が最大の経営資源」と認識しており、事業の成長と発展は人材に依存しています。プロフェッショナルなキーパーソンを育成するための人事制度や教育体制を充実させていますが、必要な人材の確保や育成が計画通りに進まなかった場合、同社グループの事業展開や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。



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