ピー・シー・エー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ピー・シー・エー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場。会計ソフト「PCA」シリーズ等の基幹業務ソフトの開発・販売を行う。主力はクラウドサービス「PCAクラウド」や保守サービスで、ストック型ビジネスへ転換中。当期の連結売上高は162億円(前期比8.1%増)、経常利益は27億円(同14.7%増)と増収増益を達成しました。


※本記事は、ピー・シー・エー株式会社の有価証券報告書(第45期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. ピー・シー・エーってどんな会社?


中小・中堅企業向け基幹業務ソフトウェア「PCA」シリーズを展開し、サブスクリプション型への移行を推進しています。

(1) 会社概要


1980年に公認会計士有志により設立され、1994年に店頭登録を行いました。2000年に東証二部、2014年に東証一部へ上場し、2022年の市場区分見直しに伴いプライム市場へ移行しました。2008年には業界に先駆けて「PCAクラウド」を開始し、2020年にはドリームホップを子会社化しています。

連結従業員数は694名、単体では504名です。筆頭株主はKawashimaで、第2位は外国法人のJP MORGAN CHASE BANK、第3位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行です。

氏名 持株比率
Kawashima 40.93%
JP MORGAN CHASE BANK 385632 6.98%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.15%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性3名の計11名で構成され、女性役員比率は37.5%です。代表取締役社長は佐藤 文昭氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
佐藤 文昭 代表取締役社長 1987年近畿日本ツーリスト入社。2003年同社入社。管理本部長、総務部長、取締役副社長などを経て2018年6月より現職。
玉井 史郎 常務取締役 1987年同社入社。営業本部副本部長、営業本部長、事業本部長などを歴任。2021年6月より現職。
佐久間 哲雄 取締役開発本部長 1991年同社入社。クラウドビジネスセンター部長、システム開発本部長などを経て2021年4月より現職。
園田 信彦 取締役コーポレート本部長 1991年同社入社。人事部長、管理本部長などを歴任。2025年4月より現職。


社外取締役は、荒井 久美子(元日本CA)、隈元 裕(システムズ・デザイン代表取締役)、濱口 聡子(ベルシステム24HD常勤監査役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「情報サービス事業」の単一セグメントですが、提供形態により主に以下の事業を展開しています。

**(1) コンピュータソフトウェアおよびクラウドサービス事業**
会計、給与、販売管理などの基幹業務ソフトウェア「PCA」シリーズを開発・販売しています。従来のパッケージソフトに加え、クラウドサービス「PCAクラウド」やサブスクリプション型サービスを提供し、企業の業務効率化を支援しています。
収益は、ソフトウェアのライセンス料、クラウドサービスの利用料、保守サービス料などが柱です。運営は主にピー・シー・エーおよびクロノスが行い、ケーイーシーが導入指導等を担当しています。

**(2) メンタルヘルス関連事業**
企業向けのメンタルヘルス対策支援を行っています。ストレスチェックサービスやEAP(従業員支援プログラム)などを通じて、企業の健康経営や従業員のメンタルヘルスケアをサポートしています。
収益は、ストレスチェック等のサービス利用料などから得ています。運営は主に子会社のドリームホップが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は順調に拡大しており、特にクラウドサービスの伸長が寄与しています。利益面でも、一時的な変動はあるものの、高収益体質への転換が進んでおり、経常利益率も高い水準を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 133億円 134億円 130億円 150億円 162億円
経常利益 23億円 27億円 13億円 23億円 27億円
利益率(%) 17.6% 20.2% 10.2% 15.6% 16.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 17億円 24億円 9億円 16億円 17億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益も拡大しています。営業利益率は16.2%と前年から改善しており、収益性が向上しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 150億円 162億円
売上総利益 96億円 102億円
売上総利益率(%) 64.2% 63.0%
営業利益 23億円 26億円
営業利益率(%) 15.4% 16.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が23億円(構成比30%)、支払手数料が9億円(同12%)を占めています。売上原価においては、労務費や経費(外注加工費等)が主な構成要素です。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、サービス別の売上高を見ると、クラウドサービスが前期比26%増と大きく成長し、全体の約6割を占めています。一方、従来の製品販売はパッケージ版の販売終了に伴い減少しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
クラウドサービス 75億円 94億円
保守サービス 36億円 37億円
製品 12億円 6億円
商品 5億円 5億円
その他営業収入 22億円 20億円
連結(合計) 150億円 162億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は株主への還元を重視し、配当金の支払いを財務活動による資金支出の主な要因としています。
営業活動では、税金等調整前当期純利益や契約負債の増加により資金を得ています。
投資活動では、投資有価証券の取得・償還や有形固定資産の取得により資金を支出しました。
財務活動では、株主への配当金支払いが主な資金支出となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 35億円 29億円
投資CF 1億円 -3億円
財務CF -5億円 -17億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、パーパスとして「『はたらく』に新しい価値を創出し、すべての人に豊かな時間と可能性を提供する」を掲げています。また、ミッションを「基幹業務の高度な自動化を実現するソフトウェアの提供を核に、企業の円滑な経営・運営をサポートする『マネジメントサポート・カンパニー』であり続ける」としています。

(2) 企業文化


同社は、社員が大切にする価値観(バリュー)として3つの要素を定めています。高度な技術と知識を持つ「Professional」、顧客に対し真摯に向き合う「Customer First」、そして互いに尊重・協力し一体感を持って取り組む「As One」です。

(3) 経営計画・目標


「2027中期経営計画」において、収益性の向上と高い成長性の確保を目指しています。初年度である2025年度の目標として以下の数値を掲げています。
* 売上高:176億円
* 営業利益:28億円
* 売上高営業利益率:16%

(4) 成長戦略と重点施策


主力事業の収益基盤確立のため、クラウドビジネスの拡大やストック型ビジネスモデルへの転換を促進しています。また、AIなどの新技術の応用研究や新事業領域の発掘を行い、新たなビジネスチャンスの創造に取り組んでいます。さらに、DX推進基盤の構築やセキュリティ対策の強化により、高収益で持続可能な経営管理基盤を構築します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人的資本を最重要視し、「当社グループの持続的成長」と「社員のWell-being実現」の両立を目指しています。人材育成体系の再構築や自律的なキャリア形成の支援を行うとともに、柔軟な働き方の推進や職場環境の整備により、社員が能力を最大限に発揮できる環境づくりを進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 40.4歳 14.7年 7000000円


※平均年間給与には、基準外賃金及び賞与が含まれております。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 9.3%
男性労働者の育児休業取得率 76.4%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 63.3%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 69.2%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 120.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメント指標(70.9%)、ワークエンゲージメント指標(71.6%)、快適に働き続けるための環境指標(64.6%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合等により収益が圧迫されるリスク

基幹業務および周辺業務領域において、低価格サービスを提供する事業者や異業種からの参入が増加しています。競争の激化や新たなビジネスモデルとの競合により、販売製品の価格競争が激化し、収益性が圧迫される可能性があります。

(2) クラウド事業におけるリスク

主力であるクラウドサービスにおいて、長時間のシステム障害やサービス停止が発生した場合、顧客からの信頼を失う恐れがあります。また、競合他社が同等機能のサービスを大幅な低価格で提供した場合、顧客流出につながる可能性があります。

(3) 機密漏えいのリスク

顧客の重要な情報を多数取り扱っているため、サイバー攻撃や不正アクセス等により情報漏えいが発生する可能性があります。万一、機密情報の漏えいが生じた場合、社会的信用の失墜や損害賠償請求などにより、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 自然災害等によるリスク

開発・サポート拠点やデータセンターが大規模な自然災害の影響を受けた場合、製品の供給やサービスの提供が困難になる可能性があります。バックアップ体制等は整備していますが、想定を超える災害が発生した場合には業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。