共立メンテナンス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

共立メンテナンス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

共立メンテナンスは、東京証券取引所プライム市場に上場し、学生寮・社員寮などの寮事業や「ドーミーイン」をはじめとするホテル事業を主力として展開しています。直近の業績は、旺盛な宿泊需要や価格適正化が奏功して売上高・利益ともに大幅な増収増益を達成し、過去最高益を更新する好調なトレンドにあります。


※本記事は、株式会社共立メンテナンス の有価証券報告書(第47期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 共立メンテナンスってどんな会社?


学生寮・社員寮などの運営と、ビジネスホテル「ドーミーイン」やリゾートホテルを展開する企業です。

(1) 会社概要


同社は1979年に設立され、受託給食事業を皮切りに1980年より学生寮事業を開始しました。1993年にはリゾートホテル事業とビジネスホテル「ドーミーイン」事業を立ち上げ、ホテル領域へ進出しています。1999年に株式を上場し、長年にわたり施設管理や外食などの関連事業を拡充しながら成長を続けてきました。近年は自治体向け業務受託事業(PKP事業)を子会社へ承継するなどの組織再編も進めています。

同社グループの従業員数は連結で6,614名、単体で3,544名となっています。筆頭株主は創業者およびその近親者が議決権の100%を所有するマイルストーンで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。第3位には、同社に関連する奨学財団が名を連ねています。

氏名 持株比率
マイルストーン 9.33%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.86%
一般財団法人共立国際交流奨学財団 4.48%

(2) 経営陣


同社の役員は男性14名、女性2名の計16名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は中村幸治氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
石塚 晴久 代表取締役会長 1979年9月同社を設立し、代表取締役社長に就任。長年にわたり同社の成長を牽引し、2006年6月より現職。
中村 幸治 代表取締役社長 1995年同社入社。経理部長等を経て、2006年に取締役就任。その後、経営企画本部長や常務取締役を歴任し、2021年4月より現職。
小原 康緒 常務取締役レジデンスグループ担当 1998年同社入社。寮事業本部長等を経て、2021年6月に常務取締役ドミトリーグループ担当に就任し、2026年4月より現職。
髙久 学 常務取締役経営企画グループ担当 1997年同社入社。経営企画本部財務経理部長等を経て、2021年常務執行役員に就任。2022年常務取締役となり、2025年10月より現職。
横山 博 常務取締役ホテルグループ担当 1992年同社入社。ビルネット代表取締役社長等を経て、2016年同社執行役員に就任。取締役開発本部長等を歴任し、2026年1月より現職。
鈴木 真樹 取締役ホテル事業戦略本部長兼 同本部 ホテル戦略企画部長 1997年同社入社。リゾート事業本部長等の要職を歴任し、2011年取締役に就任。2023年取締役ホテル事業戦略本部長となり、2026年4月より現職。
百瀬 利恵 取締役フーズ本部長 2005年同社入社。フーズ開発部長等を経て、2016年執行役員フーズ管理本部長に就任。2019年取締役に就任し、現職。
武者 隆之 取締役人事総務本部長 2011年同社入社。管理統括部長、人事総務本部人事部長等を経て、2020年に人事総務本部長に就任。2023年取締役となり、2025年10月より現職。
稲岡 秀晃 取締役法人本部長 日興證券等で要職を歴任し、2023年10月に同社入社。2024年に取締役グループ営業企画本部長に就任し、2026年4月より現職。


社外取締役は、久保成人(元国土交通省観光庁長官)、平田恭信(東京逓信病院名誉病院長)、早川貴之(元陽栄代表取締役社長・指名委員長等)、小田恵子(JAT代表取締役社長)、宮城利章(元内藤証券常勤監査役)、川島時夫(元オムロン監査役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「寮事業」「ホテル事業」「総合ビルマネジメント事業」「フーズ事業」「デベロップメント事業」および「その他事業」を展開しています。

寮事業

学生寮、社員寮、ドミール(ワンルームマンションタイプ寮)、受託寮の管理運営を行っています。学校や企業と提携を結び、入居者に対して自宅と同じようなくつろぎの空間と食事などの生活支援サービスを提供しています。

収益源は、入居する学生や社会人、または契約する法人顧客から受け取る賃料、管理費、入館費などの利用料です。この事業は主に親会社である共立メンテナンスが主体となって運営を行っています。

ホテル事業

ビジネスホテルである「ドーミーイン」や、全国の観光地に展開するリゾートホテルの運営を行っています。長期滞在者の受け入れや、大浴場の設置、ご当地メニューを取り入れた朝食など、他社とのソフト・ハード面の差別化を図っています。

主な収益源は、顧客から受け取る宿泊料およびレストラン等の飲食代です。事業の運営は、共立メンテナンスのほか、韓国においてホテルを展開する韓国共立メンテナンスなどの子会社が担っています。

総合ビルマネジメント事業

オフィスビルやレジデンスのビルマネジメント業務を提供しています。寮やホテル施設、外部のオフィスビルなどに対し、設備の保守点検、清掃、警備、修繕といった建物管理業務を行い、物件を均質かつ快適な状態に維持しています。

収益源は、建物のオーナーや契約先から毎月受け取る管理委託料や修繕工事の請負代金です。この事業は、子会社のビルネットやセントラルビルワークが運営を担っています。

フーズ事業

外食事業、受託給食事業、ホテルレストラン等の受託運営事業を行っています。同社グループのホテル内レストランでの食事提供やメニュー開発のほか、外部のゴルフ場や企業の社員食堂などの受託運営を手掛けています。

収益源は、一般の顧客から受け取る飲食代や、受託先の企業・施設から受け取る業務委託料です。運営は子会社の共立フーズサービス、共立オアシス、共立フーズマネジメントなどが分担して行っています。

デベロップメント事業

不動産の企画、設計、建設、仲介のほか、分譲マンション事業や不動産流動化事業を手掛けています。同社グループの寮やホテルの開発・建設を担い、事業拡大の基盤を支える役割も果たしています。

収益源は、建設工事の請負代金、不動産の売却代金、および仲介手数料などです。この事業は、共立メンテナンスと、子会社である共立エステートなどが運営を行っています。

その他事業

シニアライフ事業(高齢者向け住宅の管理運営)、PKP事業(自治体向け業務受託)、保険代理店事業、総合人材サービス事業、資金の集金回収代行などを提供し、生活における多様な課題解決をサポートしています。

それぞれのサービスの利用者や契約元の企業・自治体から受け取る利用料、委託料、手数料等が収益源です。運営は、共立トラスト、共立保険サービス、共立ソリューションズ、共立ファイナンシャルサービスなどが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績は、順調な右肩上がりのトレンドを描いています。特に売上高は安定して拡大を続けており、それに伴い経常利益や当期利益も大幅な増益基調にあります。利益率も数パーセント台から10%弱の水準へと大きく改善し、高収益体質が定着しつつあります。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,737億円 1,756億円 2,041億円 2,289億円 2,752億円
経常利益 18億円 71億円 211億円 214億円 262億円
利益率(%) 1.0% 4.1% 10.3% 9.4% 9.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 42億円 124億円 146億円 187億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益と営業利益の双方が拡大しています。売上総利益率は若干低下したものの、営業利益率は同水準を維持しており、コストコントロールが適切に行われ、本業の稼ぐ力が維持されていることが読み取れます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2,289億円 2,752億円
売上総利益 559億円 649億円
売上総利益率(%) 24.4% 23.6%
営業利益 205億円 248億円
営業利益率(%) 9.0% 9.0%


販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が164億円(構成比41.0%)、給料手当及び賞与が71億円(同17.8%)、販売促進費が38億円(同9.4%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のホテル事業が売上高・利益ともに大きく伸長し、全社の成長を強く牽引しています。デベロップメント事業も大幅な増収増益を記録して業績に貢献した一方、総合ビルマネジメント事業は減益となるなど、事業ごとの明暗が分かれました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
寮事業 546億円 575億円 61億円 62億円 10.8%
ホテル事業 1,390億円 1,490億円 185億円 211億円 14.1%
総合ビルマネジメント事業 83億円 90億円 12億円 3億円 3.3%
フーズ事業 19億円 21億円 2億円 6億円 27.8%
デベロップメント事業 80億円 387億円 7億円 30億円 7.9%
その他 171億円 189億円 △4億円 △2億円 -0.9%
調整額 0億円 0億円 △58億円 △62億円 -
連結(合計) 2,289億円 2,752億円 205億円 248億円 9.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 294億円 509億円
投資CF △437億円 △445億円
財務CF 82億円 △22億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.3%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も46.0%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


創業以来「顧客第一」を原点に、ライフステージにおける様々な場面での「食」と「住」さらに「癒し」のサービスを通じ、広く社会の発展に寄与することを経営方針としています。「お世話する心」を持った「現代版下宿屋」を事業の中核に、人々の生活におけるあらゆる問題解決を企業指針とし、社会価値の向上を目指しています。

(2) 企業文化


同社は「顧客第一を会社の心とする」という理念を経営の根幹とし、すべての判断・行動の起点とする企業文化が定着しています。「お世話する心」を大切にし、顧客と共に、社会と共に、応援するすべての方々と共に立つという社名「共立」の精神を重んじており、多様な人材が活躍できる環境づくりを推進しています。

(3) 経営計画・目標


2028年3月期を最終年度とする中期経営計画「KYORITSU Growth Vision / Rise Up Plan 2028」を推進し、長期ビジョンとして2030年に「トリプルスリー」の達成を見据えています。

* 2030年目標:売上高3,000億円、営業利益300億円
* 2028年3月期目標:売上高2,800億円、営業利益280億円
* 営業利益率10%、ROE10%
* 配当性向20%以上

(4) 成長戦略と重点施策


コロナ禍からの回復と再成長を掲げ、「顧客満足度のさらなる追求とエリアの拡大」を骨子とした戦略を展開しています。寮事業の拡大・収益力再強化、ホテル事業の基盤強化、新規事業の早期確立を進め、大規模な開発投資やDX投資を実行して企業体質とサービスの向上を図っています。

* 2028年3月期までの開発投資:1,950億円
* 大規模修繕:350億円
* DX投資:100億円
* 開発計画:寮50,000室、ドーミーイン20,000室

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人こそ要(人材こそ事業の柱であり要)」を経営方針に掲げ、人材の採用・育成・戦力化やDE&I(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)、人権の尊重を重視しています。階層別研修や専門職コースの増設、資格取得支援などの自立的キャリア支援を通じて、多様な人材が長期的に安心して働ける環境を整備しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 38.1歳 6.1年 5,281,524円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 20.1%
男性育児休業取得率 76.3%
男女賃金差異(全労働者) 51.5%
男女賃金差異(正規雇用) 77.2%
男女賃金差異(非正規雇用) 76.8%


また、同社は「サスティナビリティに関する考え方及び取組み」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、外国籍社員数(740名)、新入社員の外国籍社員比率(9.1%)、新入社員のうち女性社員比率(70.6%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 寮事業における大口契約の解約リスク

寮事業は、学校との提携による学生寮や、企業のニーズに応じた社員寮として展開しています。大口の学校による指定寮扱いの解消や、リストラ等に伴う大口契約企業の一括解約等が発生した場合、大きな空室が生じ、同社の業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2) ホテル事業における需要変動リスク

「ドーミーイン」やリゾートホテルを展開するホテル事業において、長期滞在者の受け入れやサービスの差別化で稼働を安定させていますが、景気動向による法人需要の低迷、天候不順や自然災害による観光需要の減少が発生した場合、想定した売上が確保できず業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 開発投資に伴う財務リスク

持続的な成長のため、寮やホテルの開発を積極的に進めており、財務バランスを考慮しつつ多様な手法を活用しています。しかし、不動産市場の停滞や資産価値の下落、金融情勢の悪化等により計画通りに開発が進まない場合や、金利上昇による資金調達コストが増加した場合、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 法的規制や品質管理に関するリスク

各種サービスの提供において、食品衛生法の規定による衛生管理や個人情報保護法、旅館業法等の法的規制を遵守しています。コンプライアンス体制を整備していますが、万が一食中毒や個人情報漏洩などの不測の事態が発生した場合、同社の社会的信用が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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