#共立メンテナンス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社共立メンテナンス の有価証券報告書(第46期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 共立メンテナンスってどんな会社?
学生寮・社員寮「ドーミー」やビジネスホテル「ドーミーイン」、リゾートホテル「共立リゾート」等を運営する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1979年に設立され、受託給食事業を開始しました。1980年に学生寮事業、1985年に社員寮事業を開始し、現在の主力である寮事業の基盤を築きました。1993年にはリゾートホテル事業とドーミーイン(ビジネスホテル)事業を開始し、ホテル事業へ進出しました。2001年には東京証券取引所市場第一部へ指定替えを行っています。
2025年3月31日時点の連結従業員数は6,213名(単体3,235名)です。大株主は、筆頭株主が役員及びその近親者が所有するマイルストーンで、第2位、第3位には資産管理業務を行う信託銀行が並んでいます。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| マイルストーン | 10.86% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.94% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 6.19% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性16名、女性2名の計18名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は中村幸治氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中村 幸治 | 代表取締役社長 | 1995年入社。経理部長、経営企画本部長、常務取締役企画開発グループ担当等を経て2021年より現職。 |
| 石塚 晴久 | 代表取締役会長 | 1979年9月同社設立、代表取締役社長。2006年より現職。 |
| 相良 幸宏 | 常務取締役ホテルグループ担当 | 1991年入社。ドーミーイン事業本部長、西日本事業部長等を経て2019年常務取締役。2023年より現職。 |
| 小原 康緒 | 常務取締役ドミトリーグループ担当 | 1998年入社。寮事業本部首都圏統括事業部長、寮事業本部長等を経て2021年常務取締役。2022年より現職。 |
| 髙久 学 | 常務取締役企画開発グループ担当 | 1997年入社。経営企画本部財務経理部長、経営企画本部長等を経て2021年常務取締役。2024年より現職。 |
| 鈴木 真樹 | 取締役ホテル事業戦略本部長 | 1997年入社。リゾート事業本部長、事業推進部長等を経て2023年より現職。 |
| 君塚 良生 | 取締役シニアライフ事業本部長 | 2009年入社。寮事業統括本部東日本本部第2事業部長、寮事業支店統括本部長を経て2016年より現職。 |
| 横山 博 | 取締役開発本部長 | 1992年入社。ビルネット代表取締役社長、同社事業開発本部長等を経て2024年より現職。 |
| 百瀬 利恵 | 取締役フーズ本部長 | 2005年入社。フーズ開発部長、フーズ管理本部長、フーズ本部長を経て2019年より現職。 |
| 武者 隆之 | 取締役管理グループ担当兼人事総務本部長 | 2011年入社。ドーミーイン事業本部管理統括部長、人事総務本部長を経て2023年より現職。 |
| 稲岡 秀晃 | 取締役グループ営業企画本部長 | 1988年日興證券入社。日興アイ・アール常務取締役等を経て2023年同社入社。2024年より現職。 |
| 上田 卓味 | 取締役(監査等委員) | 2000年入社。取締役副社長、代表取締役社長、取締役相談役を経て2021年より現職。 |
社外取締役は、久保成人(元観光庁長官)、平田恭信(東京逓信病院名誉病院長)、早川貴之(元陽栄ホールディングス社長)、小田恵子(JAT社長)、宮城利章(元内藤証券取締役)、川島時夫(元オムロン監査役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「寮事業」「ホテル事業」「総合ビルマネジメント事業」「フーズ事業」「デベロップメント事業」および「その他」事業を展開しています。
■寮事業
学生寮・社員寮・ドミール(ワンルームマンションタイプ寮)・受託寮の管理運営を行っています。学校とは提携を結び学生寮として、企業とは社員寮として契約し、食事や家具付きの安心・安全な住環境を提供しています。
収益は、入居者や契約企業・学校からの寮費、管理費、入館費、更新料等から得ています。運営は主に共立メンテナンスが行っています。
■ホテル事業
ビジネスホテル「ドーミーイン」事業およびリゾートホテル「共立リゾート」事業を展開しています。大浴場や手作り朝食などのサービスを特徴とし、出張や観光需要に対応した宿泊施設を提供しています。
収益は、宿泊客からの宿泊料や料飲代金等から得ています。運営は主に共立メンテナンスおよび韓国共立メンテナンス等が行っています。
■総合ビルマネジメント事業
オフィスビルやレジデンスビルのマネジメント事業を行っています。建物の維持管理、清掃、警備、修繕工事などを通じ、快適なビル環境を提供しています。
収益は、ビルオーナーや管理組合等からの管理委託料や工事代金等から得ています。運営は主にビルネットおよびセントラルビルワークが行っています。
■フーズ事業
外食事業、受託給食事業、ホテルレストラン等の受託運営事業を行っています。同社の寮やホテルでの食事提供ノウハウを活かし、食のサービスを提供しています。
収益は、外食店舗の利用客からの飲食代金や、ホテル・施設等からの業務受託料から得ています。運営は主に共立フーズサービス、共立オアシス、共立フーズマネジメント等が行っています。
■デベロップメント事業
建設・企画・設計・仲介事業、分譲マンション事業、不動産流動化事業、その他開発付帯事業を行っています。寮やホテル等の開発に関連する不動産業務全般を手掛けています。
収益は、建設工事請負代金、不動産販売収入、仲介手数料等から得ています。運営は主に共立メンテナンスおよび共立エステート等が行っています。
■その他事業
シニアライフ事業(高齢者向け住宅の管理運営)、自治体向け業務受託(PKP事業)、保険代理店事業、人材サービス、融資事業等を行っています。
収益は、入居者からの利用料、自治体からの委託料、保険手数料等から得ています。運営は共立メンテナンス、共立トラスト、共立保険サービス、共立ソリューションズ等が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、売上高が増加傾向にあり、特に直近2期は2,000億円を超えています。利益面でも、2021年3月期は損失を計上しましたが、その後回復し、2024年3月期以降は10%近い利益率を維持しています。当期純利益もV字回復を見せ、直近では132億円に達しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,213億円 | 1,737億円 | 1,756億円 | 2,041億円 | 2,289億円 |
| 経常利益 | -91.2億円 | 18.1億円 | 71.2億円 | 211億円 | 214億円 |
| 利益率(%) | -7.5% | 1.0% | 4.1% | 10.3% | 9.4% |
| 当期純利益 | -130.4億円 | -39.6億円 | 56.3億円 | 66.0億円 | 132億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加し、売上総利益も拡大しています。売上総利益率は24%台で安定しており、営業利益も増加しています。営業利益率は8〜9%程度で推移しており、増収効果が利益の増加に寄与していることが読み取れます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2,041億円 | 2,289億円 |
| 売上総利益 | 490億円 | 559億円 |
| 売上総利益率(%) | 24.0% | 24.4% |
| 営業利益 | 167億円 | 205億円 |
| 営業利益率(%) | 8.2% | 9.0% |
販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が153億円(構成比43%)、給料手当及び賞与が64億円(同18%)を占めています。
■(3) セグメント収益
ホテル事業が売上・利益ともに最大規模であり、大幅な増収増益で全社業績を牽引しました。寮事業も堅調に推移し増益を確保しています。デベロップメント事業は売上が大幅に増加し、利益も伸長しました。一方、その他事業は赤字となっています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 寮事業 | 521億円 | 546億円 | 59億円 | 61億円 | 11.1% |
| ホテル事業 | 1,254億円 | 1,390億円 | 148億円 | 185億円 | 13.3% |
| 総合ビルマネジメント事業 | 78億円 | 83億円 | 8億円 | 12億円 | 14.6% |
| フーズ事業 | 17億円 | 19億円 | 2億円 | 2億円 | 12.6% |
| デベロップメント事業 | 17億円 | 80億円 | 3億円 | 7億円 | 8.4% |
| その他事業 | 155億円 | 171億円 | -3億円 | -4億円 | - |
| 調整額 | - | - | -51億円 | -58億円 | - |
| 連結(合計) | 2,041億円 | 2,289億円 | 167億円 | 205億円 | 9.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、本業で得た資金と外部からの調達資金を合わせ、将来の成長に向けた投資を積極的に行っている「積極型」のキャッシュ・フロー状態にあります。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 241億円 | 294億円 |
| 投資CF | -315億円 | -437億円 |
| 財務CF | -168億円 | 82億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は33.0%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「顧客第一」を原点とし、ライフステージにおける様々な場面での「食」と「住」、さらに「癒し」のサービスを通じて、広く社会の発展に寄与することを経営方針としています。
■(2) 企業文化
「お世話する心」を持った「現代版下宿屋」を事業の中核に据え、人々の生活におけるあらゆる問題解決を企業指針としています。お役に立てるサービスの質向上と発展を目指し、顧客、取引先、地域社会への貢献に努める姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
2028年3月期を最終年度とする中期経営計画「KYORITSU Growth Vision / Rise Up Plan 2028」を策定しています。長期ビジョンとして「3&3&3(トリプルスリー)」を見据え、以下の定量目標を掲げています。
* 2028年3月期 売上高:2,800億円
* 営業利益:280億円(営業利益率10%)
* EPS:200円
* ROE:10%
* ネットD/Eレシオ:1倍以下
* 配当性向:20%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の事業戦略として、「中核事業である寮事業のさらなる拡大展開と収益力再強化」、「成長力の高いホテル事業の基盤強化と拡大」、「第3の柱となる新規事業の早期確立」を掲げています。これらを実践することで企業体質を強化し、サービスの向上と社会貢献を目指します。また、2028年3月期に向けた開発計画として以下を掲げています。
* 寮事業:50,000室(+6,700室)
* ドーミーイン事業:20,000室(+3,600室)
* リゾート事業:5,500室(+1,300室)
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人こそ要」を経営方針の一つに掲げ、人材の採用・育成・戦力化を重要課題と捉えています。サービスレベルの維持・向上に向けた教育制度や階層別研修の充実に加え、職場で積み重ねる「仕事の実践」を成長の軸としています。また、専門職コースの増設や資格取得支援制度など、社員の強みを引き出すキャリア形成支援にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 38.8歳 | 6.1年 | 4,881,893円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 17.4% |
| 男性育児休業取得率 | 56.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 52.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 78.0% |
| 男女賃金差異(非正規) | 77.6% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新入社員女性比率(73.4%)、新入社員外国籍比率(9.0%)、社員に占める外国籍社員比率(共立メンテナンス単体4.6%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 有利子負債への依存及び金利動向の影響
事業資金を金融機関からの借入等により調達しており、総資産における有利子負債比率は49.5%となっています。固定金利調達割合は70.1%と金利上昇の短期的影響は限定的ですが、長期的な金利上昇による調達コスト増加が業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 売上高状況
主力である寮事業は、学校や企業との契約に基づいていますが、大口の指定寮契約解消や企業の一括解約等による空室発生のリスクがあります。ホテル事業では、景気動向による法人需要の低迷や、天候不順、災害等により稼働が低下した場合、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 法的規制・品質管理
食品衛生法、旅館業法、個人情報保護法等の規制を受けており、食中毒や個人情報漏洩等の不測の事態が発生した場合、社会的信用を損ない業績に影響を及ぼす可能性があります。コンプライアンス体制等で対策を行っていますが、リスクは内在しています。



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