リコーリース 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リコーリース 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のリコーグループ唯一の金融事業会社です。事務機器等のリース&ファイナンス事業を中核に、サービス事業やインベストメント事業を展開しています。2025年3月期は、主力事業の契約実行高増やインベストメント事業の伸長により、売上高、経常利益ともに増加し、増収増益となりました。


※本記事は、株式会社リコーリースの有価証券報告書(第49期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. リコーリースってどんな会社?


リコーグループの金融中核企業として、リースや融資に加え、集金代行や太陽光発電、不動産投資などを多角的に展開しています。

(1) 会社概要


同社は1976年にリコークレジットとして設立され、1984年に現在のリコーリースへ商号変更しました。1996年に東京証券取引所市場第二部に上場し、2001年には同市場第一部銘柄に指定されました。2020年にはリコーおよびみずほリースと3社間での業務提携契約を締結し、事業基盤の強化を図っています。

連結従業員数は1,657名、単体では1,131名です。筆頭株主は同社の親会社であるリコーで、第2位は資本業務提携先である総合リース会社のみずほリースです。第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。リコーグループの顧客基盤とみずほグループの金融ノウハウを活用できる強固な体制を構築しています。

氏名 持株比率
リコー 33.57%
みずほリース 19.92%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.65%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性4名の計13名で構成され、女性役員比率は30.8%です。代表者は代表取締役社長執行役員の中村徳晴氏が務めています。取締役13名のうち社外取締役は10名で、社外取締役比率は76.9%です。

氏名 役職 主な経歴
中村 徳晴 代表取締役 社長執行役員 1994年入社。経営企画室長、事業戦略本部長、常務執行役員、業務統括本部長などを経て、2020年4月より現職。
佐野 弘純 取締役 1987年入社。営業本部関西支社長、業務本部長、営業統括本部長、専務執行役員などを歴任。2025年4月より営業担当。
黒木 伸一 取締役 2001年入社。金融サービス本部副本部長、ソーシャルイノベーション本部長、事業戦略本部長などを歴任。2023年4月より専務執行役員。


社外取締役は、荒川正子(株式会社エーエムシーアドバイザーズ代表取締役)、戎井真理(有限会社戎井会計コンサルティング代表取締役)、原澤敦美(五十嵐・渡辺・江坂法律事務所パートナー)、一ノ瀬隆(デクセリアルズ株式会社元代表取締役社長)、座間信久(みずほリース株式会社常務執行役員)、入佐孝宏(株式会社リコーコーポレート上席執行役員)、野地彦旬(横浜ゴム株式会社名誉顧問)、川島時夫(元オムロン株式会社常勤監査役)、中沢ひろみ(元株式会社シーボン常勤監査役)、深山徹(深山法律事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「リース&ファイナンス事業」「サービス事業」「インベストメント事業」事業を展開しています。

(1) リース&ファイナンス事業


事務用・情報関連機器、医療機器、産業工作機械等のファイナンス・リースやオペレーティング・リース、割賦販売を行っています。また、法人向け融資やマンションローン等の貸付業務も手掛けています。

収益源は、顧客からのリース料や割賦手数料、貸付金の利息等です。運営は主にリコーリースが行っており、連結子会社のテクノレントが計測機器等のレンタルを、東京ビジネスレントが住宅ローンの保証業務を担当しています。

(2) サービス事業


集金代行サービスや医療・介護報酬ファクタリングサービス、債権保証などを提供しています。また、海外赴任者向けのリロケーションマネジメントや、介護施設の運営も行っています。

収益源は、集金代行やファクタリング、保証業務に伴う手数料、介護施設運営によるサービス料等です。運営はリコーリースのほか、子会社のエンプラスがリロケーション事業を、Welfareすずらんが介護事業を担っています。

(3) インベストメント事業


太陽光発電事業や住宅賃貸・不動産関連事業への投資を行っています。再生可能エネルギーの普及や住環境への貢献を目的とした事業領域です。

収益源は、売電収入や不動産賃貸収入等です。運営は主にリコーリースが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は安定的に推移しており、直近では3,000億円台を維持しています。利益面では、2024年3月期に一時的な減少が見られましたが、2025年3月期には回復し、経常利益は220億円となりました。当期純利益も増益基調にあります。利益率は比較的安定しており、底堅い収益性を示しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 3,263億円 3,039億円 2,989億円 3,083億円 3,122億円
経常利益 175億円 195億円 216億円 215億円 220億円
利益率(%) 5.4% 6.4% 7.2% 7.0% 7.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 120億円 135億円 149億円 113億円 157億円

(2) 損益計算書


売上高は増加し、それに伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は若干の改善が見られ、15%台後半で推移しています。営業利益も増加しており、営業利益率は約7%を維持しています。全体として、収益性の向上と安定した利益確保が図られています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 3,083億円 3,122億円
売上総利益 456億円 485億円
売上総利益率(%) 14.8% 15.6%
営業利益 210億円 217億円
営業利益率(%) 6.8% 7.0%


販売費及び一般管理費のうち、その他経費が107億円(構成比40%)、従業員給料及び手当が72億円(同27%)、支払手数料が62億円(同23%)を占めています。売上原価については、リース・割賦等の原価が2,599億円(同99%)と大半を占めています。

(3) セグメント収益


リース&ファイナンス事業は微減収ながらも増益となり、利益率は高い水準を維持しています。サービス事業は増収増益で、利益率も10%を超えています。インベストメント事業は大幅な増収増益を達成し、利益率も20%を超え、全体の利益成長に貢献しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
リース&ファイナンス事業 2,935億円 2,929億円 209億円 213億円 7.3%
サービス事業 88億円 94億円 13億円 13億円 13.4%
インベストメント事業 60億円 99億円 11億円 21億円 20.8%
連結(合計) 3,083億円 3,122億円 210億円 217億円 7.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

リコーリースは、インベストメント事業において物流施設向け信託受益権投資が伸長し、売上高・セグメント利益を増加させました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、賃貸資産等の営業資産取得による支出増により、前期比で支出が増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、社用資産取得による支出減により、前期比で支出が減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、コマーシャル・ペーパー発行や借入金実行による収入増により、前期比で収入が増加しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -8億円 -944億円
投資CF -134億円 -123億円
財務CF 50億円 1,031億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「私達らしい金融・サービスで豊かな未来への架け橋となります」という経営理念を掲げています。サステナビリティ経営を軸に、持続可能な循環社会の創造を目指しており、誠実な事業活動による地球社会への貢献や、想定を超えるサービス提供、社員がいきいきと働ける環境づくりを基本姿勢としています。

(2) 企業文化


同社は、「Happiness αt work(ハピネス アット ワーク)」を人事戦略の基盤に置いています。社員一人ひとりが仕事のやりがいとその先にある個々の幸せを手にすることを目指し、働きやすさだけでなく、事業成長につながるチャレンジの促進や組織の活性化を重視しています。また、多様な人財が活躍できるダイバーシティ&インクルージョンを推進しています。

(3) 経営計画・目標


2023年4月より3ヵ年の中期経営計画を推進しており、最終年度となる2026年3月期には以下の数値目標の達成を目指しています。また、中長期ビジョンとして「循環創造企業へ」を掲げ、4つのマテリアリティ(重要課題)に取り組んでいます。

* 営業利益:235億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:160億円
* ROA(総資産当期純利益率):1.1%以上
* ROE(自己資本利益率):7%以上
* 配当性向:40%以上

(4) 成長戦略と重点施策


既存ビジネスの強化に加え、「新たなビジネスモデルへの挑戦」として、モノ中心からコト中心への転換を図る「as a Service分野」や企業の経営課題解決に貢献する「BPO分野」に注力します。また、サービス付加による事業多様化として、「環境分野」「不動産分野」「介護分野」での展開を加速させます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、事業成長と社員の幸福を両立させるため、「変異」をキーワードに人財戦略を展開しています。自ら変化を創り出し、新たな循環を創造できる人財の育成を目指し、教育投資や働きがいのある職場環境整備を推進しています。また、経営戦略と人事戦略を連動させ、人的資本への投資が企業価値向上につながる道筋を可視化する取り組みも行っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.5歳 13.5年 7,686,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 23.8%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 64.7%
男女賃金差異(正規) 62.7%
男女賃金差異(非正規) 104.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントスコア(71点)、一人当たり教育費(58,176円)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 噴火・地震・津波


自然災害や感染症等の予測不能な事象により、従業員や事業所、取引先に被害が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は災害備蓄品の準備や訓練、安否確認システムの整備、情報関連設備の堅牢化などを進めています。

(2) 大口顧客の貸倒


主力事業であるリース&ファイナンス事業では、景気変動等により貸倒れが増加するリスクがあります。同社は独自の審査システムによる自動化やスコアリング精度の向上、1契約当たりの小口分散化により、貸倒損失の低減を図っています。

(3) サイバー攻撃


サイバー攻撃を受けた場合、システム停止や情報漏洩等により経営に重大な影響が生じる可能性があります。同社は技術的なセキュリティ対策に加え、社員へのメール訓練やCSIRTの強化など、人的・組織的な対策も実施しています。

(4) 情報システム障害・破壊


小口大量の業務処理においてシステムの安定稼働は不可欠であり、障害発生時には業務停止のリスクがあります。同社はバックアップシステムの構築や緊急時の初動対応策定等により、リスク低減に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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