城南進学研究社 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

城南進学研究社 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

城南進学研究社は、東京証券取引所スタンダード市場および札幌証券取引所に上場する総合教育ソリューション企業です。個別指導塾「城南コベッツ」などの教育事業とスポーツ事業を展開しています。直近の業績トレンドは、売上高が前年と同水準で推移するなか、経常利益および当期利益は黒字転換を果たし回復基調にあります。


※本記事は、株式会社城南進学研究社の有価証券報告書(第44期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 城南進学研究社ってどんな会社?


教育事業を中核に、学習塾や保育園を展開するほか、スポーツクラブの運営も行う総合教育企業です。

(1) 会社概要


1961年に大学受験等のための城南予備校を創業し、神奈川県内で展開を開始しました。1982年に各種学校の経営指導を目的に城南進学研究社を設立し、1999年に株式を店頭登録、現在は東京証券取引所スタンダード市場等に上場しています。その後、個別指導教室や映像授業教室、保育園事業へと領域を拡大しています。

同社グループは連結従業員数394名、単体従業員数289名の体制で事業を展開しています。筆頭株主は有限会社シモムラで、第2位は学研ホールディングス、第3位は個人の下村友里氏です。

氏名 持株比率
有限会社シモムラ 32.37%
学研ホールディングス 4.81%
下村 友里 4.56%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長CEOは千島克哉氏が務めており、社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
千島 克哉 代表取締役社長CEO 2000年に同社入社後、事業本部長などを経て2019年に専務取締役執行役員COO。2025年9月より現職。
下村 勝己 代表取締役会長 1977年独逸機械貿易設立。1982年同社取締役、1985年社長、2016年社長CEOを経て2025年9月より現職。
杉山 幸広 常務取締役CFO 1991年に同社入社後、管理本部長等を経て2016年取締役執行役員CAO。2019年常務を経て2025年3月より現職。
宮本 和人 取締役(監査等委員) 1984年同社入社後、経営企画室長や情報マーケティング部長などを経て2004年に常勤監査役。2024年6月より現職。


社外取締役は、西村泰夫(弁護士・西村・町田法律事務所)、阿曾友淳(公認会計士・ESネクスト有限責任監査法人パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「教育事業」および「スポーツ事業」を展開しています。

教育事業


大学受験生や高校生対象の「城南推薦塾」、個別指導の「城南コベッツ」、映像授業「河合塾マナビス」などの学習塾に加え、乳幼児教育や保育園、算数教室「りんご塾」、学童保育等の運営を展開しています。また、オンライン学習教材「デキタス」などのデジタル教材販売も行っています。

収益源は、直営教室に通う生徒からの授業料や、フランチャイズ加盟店からの加盟金・ロイヤルティなどです。運営は主に城南進学研究社が行い、保育園は城南ナーサリー等の子会社が担っています。

スポーツ事業


スイミングクラブおよびスポーツジム「マイスポーツ」の運営を行っています。地域に密着した施設の提供を通じて、子どもから大人まで幅広い利用者の健康維持や体力向上を支援しています。

収益源は、スイミングクラブやスポーツジムを利用する会員からの月会費や各種サービス利用料です。運営は子会社の久ケ原スポーツクラブが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は2022年3月期から減少傾向にありましたが、直近は56.2億円と横ばいでの推移となっています。経常利益はマイナスに落ち込む期もありましたが、直近は不採算教場の整理や経費削減が奏功し、0.8億円の黒字に回復しています。当期利益についても長らく赤字が続いていましたが、直近では黒字転換を果たしました。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 62.5億円 59.5億円 58.5億円 56.2億円 56.2億円
経常利益 0.7億円 -0.4億円 0.4億円 -2.3億円 0.8億円
利益率(%) 1.1% -0.7% 0.7% -4.1% 1.4%
当期利益(親会社所有者帰属) -7.8億円 -3.1億円 -2.6億円 -4.4億円 1.0億円

(2) 損益計算書


売上高は前期とほぼ同水準を維持する一方で、売上総利益率は前期から改善し、24.1%となりました。さらに、営業利益は前期の赤字から黒字へと大きく改善し、営業利益率は1.4%に転じています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 56.2億円 56.2億円
売上総利益 11.7億円 13.5億円
売上総利益率(%) 20.8% 24.1%
営業利益 -2.3億円 0.8億円
営業利益率(%) -4.1% 1.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が3.4億円(構成比27.0%)、広告宣伝費が2.0億円(同15.5%)を占めています。

(3) セグメント収益


「教育事業」は前期と同水準の売上高を維持しました。個別指導部門では直営教室の整理等で減収となったものの、映像授業部門の生徒数増加などが補いました。「スポーツ事業」は在籍者数の減少により、前期比で微減となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
教育事業 52.5億円 52.5億円
スポーツ事業 3.7億円 3.7億円
連結(合計) 56.2億円 56.2億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は営業CFと投資CFがプラス、財務CFがマイナスの「改善型」です。営業利益や資産売却等によって創出した資金で借入返済を進める改善局面にあります。

企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は0.3%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は27.2%であり、いずれも市場平均を下回っています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -0.6億円 1.2億円
投資CF -1.8億円 1.2億円
財務CF 4.0億円 -0.4億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「学びをアップデートせよ」という企業理念と「生徒第一主義の実践」という経営理念を掲げています。従来の学習塾や学校教育では実現できない「学び」を創造することで、子どもたちのみならず、あらゆる世代の顧客が未来を豊かに幸せに生きるための教育サービスを提供することを使命としています。

(2) 企業文化


同社は、役職員の行動規範である「クレド」を中心として企業活動を推進しています。時代の本質をとらえ、凝り固まった常識を打破し、予想を超えた形でサービスを提供することを重んじており、経営循環モデル「JOHNAN SUCCESS LOOP」に基づきステークホルダーと共に成長する組織文化を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、企業価値の最大化を図るため、2025年12月に新中期経営計画(2026-2028)を策定しました。「日本が抱える社会課題への挑戦」「保育園事業の成長」「学習塾事業の深化」を重点戦略として掲げ、教育サービス事業の着実な成長と収益力の強化を目指して経営課題に取り組んでいます。

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長戦略として、理系人材不足の課題に対し算数特化型個別指導「りんご塾」を急速拡大させるほか、不登校支援としてオンライン学習教材「デキタス」の拡販や通信制サポート校の開校を推進します。また、保育園事業を「くぼた式育児法」の導入により第2の柱として成長させるとともに、学習塾事業では独自のWEBアプリ「推薦ラボ」などを活用して多様な学びに対応し、差別化を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人材を最重要の経営資源と位置付け、人の成長が事業成長の軸であるとの認識のもと、社会課題解決や事業拡大を担う人材の育成に注力しています。従業員が専門性を高め長期的に活躍できるよう、日常的な業務を通じた育成や1on1ミーティング、資格取得支援などを推進し、働きがいを感じられる環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 39.6歳 10.3年 4,426,641円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 14.7%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 100.4%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 82.7%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 123.2%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントサーベイスコア(77.7pt)、女性の育児休業取得率(100%)、女性の育児休業後復職率(83.3%)、時間外労働時間(8.9時間/月)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合の激化と市場占有率の低下


教育業界では集団塾や個別指導塾が乱立しており、同社の出店地域には多くの競合店舗が存在しています。異業種からの新規参入も想定され、競争激化により同社グループの市場占有率が停滞した場合、業績や財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 人材の確保・育成の遅れ


乳幼児から社会人までを対象とする多様で質の高い教育サービスを提供するため、人材の確保・育成が重要な課題です。事業運営を担う社員や授業を行う講師などの人材を計画通りに確保・育成できない場合、サービスの質的低下を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 個人情報の漏洩・システム障害


同社グループは生徒の個人情報を扱っており、厳重な管理体制を敷いていますが、外部からの不正アクセスや従業員の過失により情報漏洩が発生する可能性があります。また、オンライン学習教材などのインターネットサービスにおいて通信システム障害が発生した場合、安定的なサービス提供ができず業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。