リログループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リログループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リログループは東証プライム市場に上場し、福利厚生や借上社宅管理などを手掛けるアウトソーシング事業を主力とする生活総合支援サービス企業です。直近の業績では、ストック基盤の拡大などにより売上収益と営業利益は前年を上回る増収増益となった一方、前期の特別要因剥落により最終減益となりました。


※本記事は、株式会社リログループの有価証券報告書(第59期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はIFRSです。

1. リログループってどんな会社?


同社グループは、企業の福利厚生や社宅管理などのアウトソーシングを主力とする生活総合支援企業です。

(1) 会社概要


1984年にリロケーション事業を本格開始し、1993年に福利厚生代行サービスを開始しました。2001年に持株会社体制へ移行し、2011年に東証一部(現プライム市場)へ上場。2016年に現在のリログループへ商号変更し、2022年にはグローバル・リロケーション事業の共同経営を開始しています。

従業員は連結3,451名、単体126名です。筆頭株主は創業者や役員が関連する資産管理会社のササダ・ファンドで、第2位および第3位には信託銀行や投資事業組合が名を連ねています。

氏名 持株比率
ササダ・ファンド 23.10%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.50%
光通信KK投資事業有限責任組合 無限責任組合員光通信 7.00%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性3名の計12名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役CEOは中村謙一氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
中村謙一 代表取締役CEO 1989年に同社入社。リロバケーションズ代表取締役などを経て、2010年に同社代表取締役社長に就任。2022年より現職。
佐々田正徳 取締役会長 三井物産機械販売を経て1971年に同社入社。1978年に代表取締役社長に就任し、2003年より代表取締役会長。2012年より現職。
門田康 取締役CFO兼CIO 太陽神戸三井銀行を経て2000年に同社入社。執行役員、専務取締役などを経て、2022年に取締役CFOに就任。2025年より現職。
河野豪 取締役COO 1997年に同社入社。リロクラブ代表取締役等を経て2018年に取締役就任。2024年に取締役CIO兼CSOを経て、2025年より現職。
小山克彦 取締役CHRO 1989年に同社入社。人材開発室室長、執行役員等を経て2013年に取締役就任。常勤監査役を経て2021年に再度取締役となり、2022年より現職。
田村佳克 取締役 1997年に同社入社。ワールドリゾートオペレーション代表取締役等を経て、2019年にリロバケーションズ代表取締役に就任。2025年より現職。
大木延佳 取締役(常勤監査等委員) 1989年に同社入社。福利厚生倶楽部中国の取締役等を経て、2023年に常勤監査役に就任。2024年より現職。
堤竹あかね 取締役(常勤監査等委員) 1989年に同社入社。リロケーション・ジャパン執行役員等を経て、2014年にダイヤモンド住宅取締役などに就任。2024年より現職。


社外取締役は、櫻井政夫(櫻井公認会計士事務所代表)、佐藤香織(鳥飼総合法律事務所弁護士)、本間洋一(太陽有限責任監査法人社員)、山本節子(ザ・プロトコール代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「アウトソーシング事業」「賃貸管理事業」「観光事業」および「その他」事業を展開しています。

アウトソーシング事業


企業の業務負担を軽減する福利厚生代行サービスや顧客特典代行サービスのほか、借上社宅管理サービス、海外赴任サポートなど、BtoB領域における生活総合支援サービスを総合的に提供しています。

収益源は、会員企業からの会費収入や管理手数料、転居支援サービスの利用料などです。運営は主にリロクラブやリロケーション・ジャパンなどのグループ子会社が行っています。

賃貸管理事業


不動産オーナー向けに賃貸管理を中心としたサービスを展開し、賃貸仲介や修繕・リフォーム工事など、管理業務に付随する幅広いサービスをワンストップで提供しています。

収益源は、不動産オーナーからの管理手数料や賃貸仲介手数料、工事・修繕の請負代金などです。運営は主にリロパートナーズや東都などのグループ子会社が行っています。

観光事業


企業の保養所をはじめとした地方の中小型のホテル・旅館の再生などホテル運営事業を展開するほか、別荘のタイムシェア事業などを手掛けています。

収益源は、ホテルの宿泊料収入やタイムシェア事業における会費および利用料収入などです。運営は主にリロバケーションズなどのグループ子会社が行っています。

その他


主力事業で培った顧客基盤やサービス網を活用し、金融関連事業など多角的なサービスを展開してグループ全体の事業ポートフォリオを補完しています。

収益源は、提供する各サービスに応じた手数料収入や利用料などです。運営は主に同社およびグループの各関連子会社が主体となって行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上収益はストック基盤の堅調な積み上がりにより右肩上がりで成長を続けています。一方、利益面では一時的な損失計上や投資有価証券の売却益などの影響により大きく変動していますが、直近では主力事業が順調に推移し、安定した利益を創出する基盤を維持しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上収益 1131億円 1237億円 1326億円 1429億円 1511億円
税引前利益 22億円 259億円 -194億円 529億円 309億円
利益率(%) 19.2% 20.9% -14.6% 37.0% 20.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 156億円 209億円 -278億円 433億円 207億円

(2) 損益計算書


売上収益が前年を上回って推移するなか、売上総利益および営業利益もともに増加しています。継続的な事業規模の拡大に加えて、各セグメントにおける効率的な運営体制の構築やコスト管理が奏功し、安定的に高い収益性を維持する堅調な構造を確立していることが伺えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上収益 1429億円 1511億円
売上総利益 63億円 128億円
売上総利益率(%) 4.4% 8.5%
営業利益 304億円 308億円
営業利益率(%) 21.3% 20.4%


販売費及び一般管理費のうち、株式報酬費用が4億円(構成比36%)、役員報酬が3億円(同29%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のアウトソーシング事業は、福利厚生代行サービスでの会員数増加や借上社宅管理での管理戸数増により増収増益を牽引しました。賃貸管理事業もストック基盤の拡大により増収となりましたが、人材投資の強化等によりわずかに減益となりました。観光事業はホテル稼働率の回復などにより堅調に推移しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
アウトソーシング事業 747億円 813億円 222億円 229億円 28.2%
賃貸管理事業 520億円 533億円 82億円 80億円 15.0%
観光事業 158億円 165億円 42億円 43億円 26.1%
その他 14億円 12億円 -2億円 -2億円 -16.7%
調整額 -10億円 -12億円 -39億円 -42億円 -
連結(合計) 1429億円 1511億円 304億円 308億円 20.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


当期のキャッシュ・フローは、営業活動で得た資金を投資や借入金の返済等に充てる「健全型」となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 259億円 225億円
投資CF 300億円 -89億円
財務CF -413億円 -149億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は27.1%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も50.0%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「世界規模で展開する『生活総合支援サービス産業』の創出」をビジョンに掲げています。また、「日本企業が世界で戦うために本業に集中できるよう、本業以外の業務をサポートすること」などの使命を定義し、社会が抱える問題の解決者として、すべてのステークホルダーの繁栄と持続可能な社会に貢献することをパーパスとして事業を展開しています。

(2) 企業文化


「パートナーシップ経営」という経営理念を掲げ、全社員が当事者として経営に参加する風土を重視しています。また、性別や国籍などに関係なく志のある人材に活躍できる環境を用意する「舞台を与える経営」を実践し、顧客満足・感動の創造を生み出しながら、あらゆる面で「一流一番最大最善を追求する」文化が組織に根付いています。

(3) 経営計画・目標


「第四次オリンピック作戦」と銘打った4カ年の中期経営計画を推進しており、最終年度の目標として具体的な経営指標を掲げています。資本効率と財務健全性の両立を目指し、投資効率を意識した持続的な成長と企業価値の向上に取り組んでいます。

* 売上収益:2,000億円(2029年3月期目標)
* 営業利益:500億円(2029年3月期目標)
* 調整後ROIC:15%
* ROE:25~30%
* 自己資本比率:30%以上

(4) 成長戦略と重点施策


人口減少や少子高齢化、働き方改革を背景としたアウトソーシング需要の拡大を見据え、「人材投資」「労働力不足」「シニア・相続」の3領域を起点に戦略を展開しています。既存事業の深化や新規事業の創出に加えて、地方創生やインバウンド需要への対応を通じた地域経済への貢献とM&Aによる事業承継の推進を図っています。

* アウトソーシング事業:営業利益220億円(2029年3月期目標)
* 借上社宅管理事業:営業利益110億円(2029年3月期目標)
* 賃貸管理事業:営業利益120億円(2029年3月期目標)
* 観光事業:営業利益70億円(2029年3月期目標)

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


ビジョンに共鳴する社員を同志(パートナー)として採用し、共に成長を目指す「パートナーシップ経営」を推進しています。また、多様なバックグラウンドを持つ人材を積極的に受け入れ、能力を最大限に引き出す「舞台を与える経営」を基盤に、自己成長やキャリアパスの実現に向けた制度を整備し、中長期的な組織成長を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 40.1歳 8.1年 6,164,000円


※平均年間給与は、税込支払給与額であり、基準外給与および賞与を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 35.5%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全) 77.4%
男女賃金差異(正規) 80.7%
男女賃金差異(非正規) 50.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、従業員持株会加入率(98.2%)、役職者兼務状況(25.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 企業福利厚生制度の欧米型への移行


従来の日本型福利厚生から、成果主義に基づく手当支給などの欧米型制度への移行が進むリスクです。同社は日本型のアウトソーシングを主力としているため、こうした市場の変化に独自のメニュー開発などで対応していますが、適切に適応できない場合、ビジネスモデルの変更を迫られる可能性があります。

(2) 法的規制や会計基準の変更


宅地建物取引業法や旅行業法など、多岐にわたる事業展開において各種免許や許認可が求められるリスクです。関係法令の遵守を徹底していますが、今後の新たな法規制の導入や会計基準の改定に適切に対応できない場合、事業展開や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 人の移動の停滞による影響


借上社宅管理や海外赴任支援など、人の移動に伴って収益が発生する事業モデルに関するリスクです。天災や紛争、感染症等の影響により国内および海外での人の移動が長期間にわたり制約された場合、サービスに対する需要が低下し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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