昭和システムエンジニアリング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

 昭和システムエンジニアリング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場。ソフトウエア開発事業とBPO事業を展開。直近の業績は売上高83億円(前期比4.5%増)、経常利益9.6億円(同4.2%増)、当期純利益7.1億円(同8.1%増)と増収増益で推移しています。


※本記事は、株式会社 昭和システムエンジニアリング の有価証券報告書(第59期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

昭和システムエンジニアリング転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

1. 昭和システムエンジニアリングってどんな会社?


ソフトウエア開発の全領域に対応したサービスとBPO事業を展開する独立系システムインテグレーターです。

(1) 会社概要


1966年に株式会社昭和計算センターとして設立され、計算受託業務を開始しました。1986年に現在の商号へ変更し、2000年に店頭登録、2004年にはジャスダックへ上場しました。その後、2022年の東京証券取引所の市場区分見直しに伴い、スタンダード市場へ移行しています。

同社は連結子会社を持たず単体で事業を行っており、従業員数は474名です。筆頭株主は同社代表取締役社長の尾崎裕一氏であり、第2位は個人の古殿恭子氏、第3位は有限会社オーエム商事となっています。

氏名 持株比率
尾崎 裕一 23.78%
古殿 恭子 11.07%
有限会社オーエム商事 4.67%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性0名の計12名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は尾崎裕一氏が務めています。社外取締役比率は16.7%です。

氏名 役職 主な経歴
尾崎 裕一 代表取締役社長 1981年日本ユニバック(現BIPROGY)入社。1995年同社取締役、1998年代表取締役副社長を経て2000年より現職。
関口 雅博 専務取締役 1982年同社入社。ソリューションサービス事業本部副本部長、管理本部長などを歴任し、2025年より現職。
宮本 智之 常務取締役 1981年日本ユニバック(現BIPROGY)入社。同社製造システム本部長などを経て2025年より現職。
川合 雅浩 取締役 1987年同社入社。ソリューションサービス事業本部第三統括部長などを経て2025年より現職。
小口 修一郎 取締役 1983年日本ユニバック(現BIPROGY)入社。同社流通システム三部長などを経て2019年より現職。
高橋 修 取締役 1993年同社入社。経営戦略室企画部長、戦略推進室長などを経て2023年より現職。
山田 竜郎 取締役 1987年日本ユニバック(現BIPROGY)入社。ユニアデックス九州支店長などを経て2025年より現職。


社外取締役は、榮哲男(元ユニアデックス執行役員)、今村哲也(元日興システムソリューションズ取締役副社長)です。

2. 事業内容


同社は、「ソフトウエア開発事業」および「BPO事業」を展開しています。

(1) ソフトウエア開発事業


企業のコンピュータシステムに係るシステムインテグレーション、コンサルティング、ソフトウエアの設計・開発・保守など、基盤領域を含むソフトウエア開発の全領域に対応した総合的なサービスを顧客企業に提供しています。

収益は、顧客企業からのシステム開発や保守・運用サービスの対価として得ています。主な販売先には日興システムソリューションズやBIPROGYなどが挙げられます。運営は主に同社が行っています。

(2) BPO事業


金融機関向けの事務代行、健康診断の予約代行、文書のスキャニングサービスなど、業種を問わず様々な業務支援サービスを顧客企業に提供しています。

収益は、顧客企業からの業務委託料として得ています。運営は主に同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間において売上高は右肩上がりに増加しており、80億円台に達しています。経常利益も順調に拡大し、利益率は10%を超える高水準を維持しています。当期純利益も増益基調が続いており、安定した成長を示しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 60.1億円 64.6億円 70.9億円 79.6億円 83.2億円
経常利益 5.1億円 6.2億円 7.8億円 9.2億円 9.6億円
利益率(%) 8.5% 9.6% 11.0% 11.6% 11.6%
当期純利益 3.5億円 4.2億円 5.3億円 6.6億円 7.1億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに増加しています。売上総利益率は約17.8%前後で安定しており、営業利益率も11%台を維持しています。効率的な事業運営により、収益性が確保されていることがうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 79.6億円 83.2億円
売上総利益 14.0億円 14.8億円
売上総利益率(%) 17.6% 17.8%
営業利益 9.1億円 9.5億円
営業利益率(%) 11.4% 11.4%


販売費及び一般管理費のうち、役員報酬が1.4億円(構成比27%)、給与手当が1.1億円(同20%)を占めています。売上原価においては、外注費が33億円(構成比49%)、福利厚生費を含む労務費関連が約34億円(同49%)となっており、外注費と人件費が原価の大半を構成しています。

(3) セグメント収益


ソフトウエア開発事業は、市場・顧客動向を踏まえた提案活動や生産性向上により、売上高・利益ともに増加しました。一方、BPO事業は案件獲得の減少により減収減益となりました。全社利益に対しては、共通費用の調整額が影響しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
ソフトウエア開発事業 78.3億円 82.4億円 13.9億円 14.7億円 17.8%
BPO事業 1.3億円 0.8億円 0.2億円 0.1億円 16.6%
調整額 - - -5.0億円 -5.3億円 -
連結(合計) 79.6億円 83.2億円 9.1億円 9.5億円 11.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFと財務CFはマイナスとなっており、本業で稼いだ現金を投資や借入返済・配当に充てている「健全型」のキャッシュ・フローです。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 7.7億円 6.2億円
投資CF -0.1億円 -3.4億円
財務CF -2.4億円 -2.9億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は61.6%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「顧客満足度向上の追究」「魅力ある人間の育成」「社会への貢献」を経営理念として掲げています。長年培ったナレッジを基に、最適かつ高度なITソリューションを提供する「Knowledge Integrator」として、ITを通じて顧客と社会のインフラを支えていくことを基本方針としています。

(2) 企業文化


同社は、公正さと高い倫理観を持ち、社会の信頼に応えるための「5つの行動指針」を定めています。具体的には、「顧客満足の向上」「社員の人格・個性を尊重」「コンプライアンスの徹底」「反社会的行為への関与の禁止」「社会貢献」を掲げ、全社マネジメントサイクルを通じて周知徹底を図っています。

(3) 経営計画・目標


同社は、2025年4月からの3か年を対象とした新たな中期経営計画「+transform into Values」をスタートさせました。この計画に基づき、人材の強化やDXビジネスの拡大などを通じて、更なる企業価値の向上を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


新中期経営計画の下、①戦略的人材確保、②既存ビジネス領域の維持・拡大、③DXビジネス領域の維持・拡大、④社内業務基盤におけるデジタル技術の拡大、の4つを基本方針としています。特に人材確保に向けた採用・教育への投資拡大や、生成AI等を活用した既存ビジネスの成長、データサイエンティスト等のDX人材育成に注力する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


ビジネス成長に不可欠な人材の確保を最重要課題と位置づけ、新卒採用の拡大やパートナー企業との連携強化に取り組んでいます。また、DX人材の育成に注力し、データサイエンティストやクラウドエンジニアを社員選抜形式で育成するほか、待遇面の向上により従業員エンゲージメントの強化を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 38.7歳 15.5年 6,003,504円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.7%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 83.0%
男女賃金差異(正規雇用) 82.9%
男女賃金差異(非正規) 119.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、障害者雇用率(1.9%)、男女の勤続年数の差異(4.7年)、採用した労働者に占める女性労働者の割合(37.8%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業環境の変化


顧客企業のIT投資動向の変化や、同業者間の価格競争が予想以上に激化した場合、業績に影響する可能性があります。これに対し、顧客との情報共有を強化して動向を早期に把握するとともに、独自のナレッジを活用して顧客の期待に応えることで対策としています。

(2) 主要顧客の経営体制変更


主要顧客のIT投資は経営方針に直結しており、M&A等による方針変更があった場合、発注基準等が変わり業績に影響する可能性があります。同社は主要顧客との情報共有に努めつつ、取引先が過度に集中しないようバランスを意識した事業展開を進めています。

(3) 請負開発の契約不適合責任


納品したシステムに不具合があり、契約不適合責任として損害賠償等を求められた場合、業績に影響する可能性があります。同社は有識者による専任グループでプロジェクトレビューを実施し、課題の早期発見と改善指示を行うことで、品質確保とトラブルの未然防止に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。