NCD 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

NCD 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場する企業で、システム開発、インフラ構築・保守、駐輪場運営管理(パーキングシステム)を主要事業としています。直近の業績は、IT関連事業での順調な案件獲得や子会社の寄与、駐輪場事業での大型案件受注や料金改定効果により、増収増益のトレンドにあります。


※本記事は、NCD株式会社 の有価証券報告書(第60期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. NCDってどんな会社?

NCDは、システム開発やインフラ保守を行うIT関連事業と、駐輪場の運営管理を行うパーキングシステム事業を両輪とする企業です。

(1) 会社概要

1967年に設立されシステム開発事業を開始しました。1997年にはパーキングシステム事業へ参入し、事業の多角化を進めました。2000年に店頭登録を行い、現在は東証スタンダード市場に上場しています。2023年にはジャパンコンピューターサービスを完全子会社化し、2024年1月に現社名へ商号変更しました。

連結従業員数は1,439名、単体では780名です。筆頭株主は情報通信サービスの光通信で、第2位は株式会社北斗、第3位は従業員持株会となっています。第5位には代表取締役社長の下條治氏が名を連ねており、経営陣による持株も見られます。

氏名 持株比率
光通信 7.38%
北斗 5.25%
NCD社員持株会 4.94%

(2) 経営陣

同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は下條治氏が務めています。社外取締役比率は55.6%です。

氏名 役職 主な経歴
下條 治 代表取締役社長 1986年同社入社。北海道支店長、取締役執行役員、システムソリューション事業部長等を経て2012年4月より現職。NCDテクノロジーや海外子会社の役員も兼任。
高木 洋 取締役専務執行役員IT事業本部長兼DX担当 2016年同社入社。執行役員、IT事業部担当、NCDテクノロジー代表取締役社長等を歴任。2021年6月より専務執行役員、IT事業本部長兼DX担当として現職。
加藤 裕介 取締役専務執行役員管理本部長 2018年同社入社。総務部長、執行役員等を経て2020年4月より管理本部長。子会社監査役や取締役も兼任し、2021年6月より専務執行役員として現職。
小林 勇記 取締役(常勤監査等委員) 1998年同社入社。経理部長、執行役員、管理本部長等を歴任。子会社取締役や監事も務め、2020年6月より現職。


社外取締役は、宮田晴雄(元メットライフ生命保険執行役員常務CTO)、安岡正晃(元ユニチカ代表取締役専務執行役員)、中山かつお(公認会計士)、奥野滋(弁護士)、圓角健一(元東京ガスエンジニアリングソリューションズ代表取締役社長)です。

2. 事業内容

同社グループは、「システム開発事業」「サポート&サービス事業」「パーキングシステム事業」および「その他」事業を展開しています。

システム開発事業

顧客企業向けにシステム構築ソリューション、パッケージソリューション、アプリケーション保守・運用ソリューションを提供しています。生命保険会社等の金融機関や一般事業会社などが主な顧客です。

収益は、顧客からのシステム開発受託費や保守・運用費等から得ています。運営は主にNCD、NCDソリューションズ、NCDテクノロジー、ジャパンコンピューターサービス、および中国の天津恩馳徳信息系統開発有限公司が行っています。

サポート&サービス事業

インフラ構築ソリューション、インフラ保守・運用ソリューション、業務サポートソリューションを提供しています。企業のITインフラ基盤を支えるサービスとして、テクニカルサポートやヘルプデスク業務等を行っています。

収益は、インフラ構築費や保守・運用サービスの対価として顧客から受け取ります。運営は主にNCD、NCDソリューションズ、NCDテクノロジー、ジャパンコンピューターサービスが行っています。

パーキングシステム事業

駐輪場の設営・運営・管理受託、駐輪場管理システムの販売、自転車関連の総合コンサルティングを行っています。自治体や鉄道会社、商業施設などが主な顧客であり、一般利用者へ駐輪場サービスも提供しています。

収益は、駐輪場利用者からの利用料収入、自治体や企業からの管理受託料、駐輪場機器の販売代金等から得ています。運営は主にNCD、NCDプロス、NCDエストが行っています。

その他

上記報告セグメントに含まれないその他のサービスを提供しています。

収益は、提供するサービスの対価として顧客から得ています。運営は主にNCDソリューションズ、NCDプロスが行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、特に直近では300億円を突破しました。利益面でも、経常利益率が2%台から9%台へと大幅に改善しており、売上規模の拡大とともに収益性が向上していることが読み取れます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 176億円 206億円 229億円 255億円 301億円
経常利益 4億円 10億円 12億円 21億円 29億円
利益率(%) 2.2% 4.7% 5.3% 8.4% 9.5%
当期利益(親会社所有者帰属) -0.3億円 3億円 5億円 14億円 19億円

(2) 損益計算書

売上高の増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに増加しています。特に売上総利益率は20.3%から21.8%へ、営業利益率は8.3%から9.3%へと改善しており、増収効果に加え、採算性の向上が進んでいることがうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 255億円 301億円
売上総利益 52億円 66億円
売上総利益率(%) 20.3% 21.8%
営業利益 21億円 28億円
営業利益率(%) 8.3% 9.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が11億円(構成比30%)、賞与引当金繰入額が2.5億円(同7%)を占めています。

(3) セグメント収益

全セグメントで増収増益を達成しています。システム開発事業とサポート&サービス事業は20%を超える増収となり、利益も伸長しました。パーキングシステム事業は大型案件受注や料金改定効果により、売上高の伸びに対し利益が大幅に増加し、収益性が向上しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
システム開発事業 104億円 127億円 15億円 19億円 14.7%
サポート&サービス事業 77億円 94億円 9億円 10億円 10.9%
パーキングシステム事業 73億円 80億円 13億円 18億円 22.4%
その他 0.3億円 0.2億円 0.1億円 0.1億円 38.3%
調整額 -0.1億円 -0.1億円 -16億円 -19億円 -
連結(合計) 255億円 301億円 21億円 28億円 9.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

本業で得た資金に加え、資産売却等による資金流入があり、それを原資に借入返済を進めている「改善型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 26億円 23億円
投資CF -1億円 4億円
財務CF -5億円 -9億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は27.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は48.4%で市場平均とほぼ同じ水準です。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社グループは、社会における存在意義を示すパーパスとして「人の鼓動、もっと社会へ。」を制定しています。また、経営理念として「ユニークな技術とサービスにより、明るい未来に貢献する。」を掲げ、ビジョンとして「ワクワク・イキイキと働く環境を通して、お客様や社会と共に、より多くの価値を創造する企業へ」を目指しています。

(2) 企業文化

創業以来の企業文化として、社員、顧客や社会のすべての人に寄り添い、多様性を尊重することを大切にしています。ユニークな技術とサービス、ダイナミックな発想により社会課題を解決し、誰もが活き活きとわくわく胸躍るような明るい社会を実現することを目指しています。

(3) 経営計画・目標

同社グループは中期経営計画「Vision2026」を推進しており、最終事業年度である2026年3月期の連結売上高、連結営業利益、売上高営業利益率、ROEを経営上の目標達成状況を判断する指標として設定しています。

(4) 成長戦略と重点施策

IT関連事業では、クラウドや生成AI等の先端IT技術に対応した人材育成や即戦力採用を強化し、ニアショア活用やグループシナジー創出に注力します。パーキングシステム事業では、駐輪場運営のDX化やプライシングモデルによる機動的な料金改定を進め、データドリブンによる効率的な運営を加速させるとともに、新規事業や次世代駐輪場開発への投資を行います。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

「自律的なキャリア形成と対話を通じた組織風土の変革」を基本コンセプトとし、人材開発と組織開発を両輪で推進しています。採用広報の強化、グループ統一の人事評価制度の運用、DX人材育成プログラムの展開などを行い、社員一人ひとりが主体的に考え行動する「セルフリーダーシップ」の発揮を促しています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 38.1歳 11.0年 6,311,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 12.9%
男性育児休業取得率 58.3%
男女賃金差異(全労働者) 100.4%
男女賃金差異(正規雇用) 78.8%
男女賃金差異(非正規雇用) 139.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(34.1%)、中途採用比率(47.6%)、有給休暇取得率(83.4%)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済状況の変化

国内外の経済停滞による企業のIT投資抑制や、再開発プロジェクトの延期等が業績に影響する可能性があります。特にIT関連事業やパーキングシステム事業は経済動向の影響を受けやすいため、ビジネスモデルの転換や収益基盤の強化により影響の最小化に努めています。

(2) 特定取引先への依存

メットライフ生命保険株式会社は同社連結売上高の10%以上を占める主要顧客であり、取引規模の縮小や停止が生じた場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。同社は高品質なサービス提供を継続しつつ、新たな価値提案により顧客基盤の拡大を図っています。

(3) 人材の確保・育成

専門性の高い人材の確保や育成が進まない場合、または人材流出が抑制できない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。同社は人的資本経営への取り組みを強化し、採用広報の充実や多様な人材の活用、組織風土改革を進めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。