オリコン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オリコン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場する音楽・映像データの提供および顧客満足度(CS)調査大手。ニュース配信やランキング事業を主力とし、高いブランド力を有します。2025年3月期は、CS調査事業が好調に推移し増収を達成しましたが、人件費や投資費用の増加等により減益となりました。


※本記事は、オリコン株式会社 の有価証券報告書(第26期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. オリコンってどんな会社?


音楽ランキングや顧客満足度(CS)調査、ニュース配信など、事実を情報化するビジネスを展開しています。

(1) 会社概要


1999年にデータベース事業等を目的として設立され、翌2000年にはナスダック・ジャパン(現スタンダード市場)へ上場しました。2005年には持株会社体制へ移行し、グループ経営を強化しています。近年では2024年に広告企画制作を行う新旭を子会社化するなど、事業領域の拡大を進めています。

同グループの従業員数は連結で187名、単体で42名です。筆頭株主は創業家資産管理会社の有限会社リトルポンドで、第2位は通信大手企業の光通信となっています。

氏名 持株比率
有限会社リトルポンド 36.03%
光通信 7.91%
株式会社UHPartners2 7.78%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長兼CEOは小池恒氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
小池 恒 代表取締役社長(CEO) 1990年現oricon ME入社。創業家出身としてグループ各社の社長を歴任し、2002年より現職。ニュース配信会社の社長なども兼務する。
原田 健明 取締役 2005年グループ会社入社。事業推進本部長などを経て、2010年取締役副社長兼COOに就任。現在は人事総務本部長等を務める。
佐藤 直也 取締役 2000年グループ会社入社。営業畑を歩み、2012年よりオリコン・リサーチ代表取締役社長を務める。2025年6月より現職。


社外取締役は、藤原誠司(元リクルート、現ムーンインスパイアリング代表取締役)、森川幸(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「コミュニケーション事業」「データサービス事業」「モバイル事業」「広告事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) コミュニケーション事業


顧客満足度(CS)調査事業としてランキングの発表やデータ販売を行うほか、ニュース配信・PV事業として「ORICON NEWS」等のメディア運営を行っています。顧客はランキングデータを活用したい企業や、広告を出稿するクライアント等です。

収益は、CSランキングの商標利用料、Webサイトへの送客実績に応じた手数料、データ販売料、および自社メディアへの広告掲載料等からなります。運営は主にoricon ME、オリコンNewS、オリコンNEXTコミュニケーションズが行っています。

(2) データサービス事業


音楽・映像ソフトや書籍に関する詳細なマーケティングデータを提供しています。放送局、出版社、レコード会社、ECサイト運営企業などが主な顧客です。

収益は、オンラインサービス「ORICON BiZ online」などの利用料や、音楽データベースの提供対価として受け取る情報料等から構成されています。運営は主にオリコン・リサーチが行っています。

(3) モバイル事業


モバイル端末向けに、音楽や書籍などのデジタルコンテンツ配信サービスを提供していました。

収益は、ユーザーが購入するコンテンツの課金料等です。運営を行っていた子会社の全株式を2024年11月に譲渡したため、現在は事業を終了しています。

(4) 広告事業


広告やイベントの企画・制作・運営を行っています。2024年10月に新旭を子会社化したことに伴い、新たに設置されたセグメントです。

収益は、広告主等の顧客から受け取る企画制作費や運営費等です。運営は主に新旭が行っています。

(5) その他


報告セグメントに含まれない事業として、グループ外顧客へのサーバー利用サービスの提供などを行っています。

収益は、外部顧客から受け取るサーバー利用料等です。運営は同社(オリコン)が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は緩やかな増加傾向にあり、直近の2025年3月期は約49億円となりました。一方、利益面では、経常利益や当期純利益が減少傾向にあります。利益率は依然として高い水準を維持していますが、成長投資やコスト増により利益幅が縮小しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 40.3億円 45.0億円 48.8億円 48.0億円 49.2億円
経常利益 10.4億円 15.1億円 17.0億円 15.9億円 14.0億円
利益率(%) 25.9% 33.5% 34.9% 33.1% 28.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 3.3億円 1.8億円 19.9億円 10.4億円 12.1億円

(2) 損益計算書


売上高は増加しましたが、売上原価および販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は減少しました。売上総利益率は依然として高いものの、販管費の増加が利益を圧迫する構造となっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 48.0億円 49.2億円
売上総利益 32.9億円 33.5億円
売上総利益率(%) 68.6% 68.2%
営業利益 15.6億円 14.0億円
営業利益率(%) 32.4% 28.5%


販売費及び一般管理費のうち、その他が7.9億円(構成比40%)、給与手当が4.7億円(同24%)を占めています。売上原価については内訳の詳細記載がありませんが、全体として3.7%増加しました。

(3) セグメント収益


主力であるコミュニケーション事業は、CS調査が好調で増収増益となりました。データサービス事業もマーケティングデータの拡販により増収増益です。一方、モバイル事業は事業譲渡により減収減益となりました。新設の広告事業は売上寄与しましたが、初期段階のため赤字となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
コミュニケーション 37.9億円 39.4億円 23.5億円 23.9億円 60.7%
データサービス 6.7億円 6.9億円 2.5億円 2.6億円 37.6%
モバイル 3.4億円 1.8億円 1.0億円 0.5億円 28.4%
広告 - 0.8億円 - -0.1億円 -13.5%
その他 - 0.2億円 - 0.2億円 100.0%
調整額 -0.8億円 -0.8億円 - - -
連結(合計) 48.0億円 49.2億円 15.6億円 14.0億円 28.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は81.8%で市場平均を上回っています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 13.1億円 12.1億円
投資CF -1.6億円 -2.1億円
財務CF -6.0億円 -6.3億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「ファクト-事実-を情報化する」を経営理念として掲げています。フェイクニュースなどが横行し情報が錯綜する現代社会において、客観的かつ公平な立場から事実を情報化し提供することで、社会からの信頼を獲得し、豊かな生活の実現と産業の発展に貢献する企業を目指しています。

(2) 企業文化


「オリコン」ブランドを活用し、信頼性の高い情報を広く社会に提供するという基本姿勢を堅持しています。公平中立な第三者の立場を貫くことで、メディアや産業界との信頼関係を構築し、ブランド価値の向上に努める文化があります。また、法令遵守や企業倫理に基づいた行動規範を重視しています。

(3) 経営計画・目標


2026年3月期の通期連結業績目標を掲げ、既存事業の強化と新規連結子会社とのシナジーによる成長を目指しています。

* 売上高:60.0億円(前期比22.0%増)
* 営業利益:14.5億円(前期比3.4%増)
* 経常利益:14.5億円(前期比3.6%増)
* 親会社株主に帰属する当期純利益:9.6億円(前期比3.2%減)

(4) 成長戦略と重点施策


AI技術などの新テクノロジーを積極的に活用し、事業基盤の強化とサービスの利便性向上を図ります。CS調査事業では、生成AIを用いたSEO対策やパーソナライズ機能の強化により、認知拡大と収益増を目指します。また、新旭との連携による新たな広告手法の提案など、グループシナジーを追求します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


新しい知識や技術を積極的に取り入れ、従業員の成長を支援する方針です。具体的には、DX教育やリスキリング、SEOなどの専門研修を推進しています。また、性別を問わない能力本位の管理職登用や、在宅勤務・時短勤務制度の整備により、多様な人材が活躍できる環境づくりに努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.3歳 10.1年 7,369,533円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は常時雇用する労働者が300人以下であり公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職割合の実績(部長以上)(19.0%)、女性管理職割合の実績(ユニット長以上)(28.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) インターネット広告市場の動向


インターネット広告市場は成長を続けていますが、利用者数の伸び悩みや市場構造の変化、または景気後退による企業の広告費削減などが起きた場合、広告収益に依存する同社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) ユーザー嗜好の変化とコンテンツ競争力


インターネット向けサービスは技術や流行の変化が激しく、ユーザーにとって魅力的なコンテンツを適時提供できない場合や価格競争力を維持できない場合、利用者数が減少し、収益が悪化する恐れがあります。

(3) システムトラブルとセキュリティ


事業は通信ネットワークに依存しており、災害や事故、またはサイバー攻撃等によりシステムが停止した場合、直接的な損害だけでなく信頼性の低下を招く可能性があります。また、データの消失や改ざんのリスクも存在します。

(4) 個人情報の管理


業務上多くの個人情報を保有しているため、万が一情報漏洩が発生した場合、損害賠償請求や社会的信用の失墜により、業績や事業展開に深刻な影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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