オリコン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オリコン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オリコンは、東京証券取引所スタンダード市場に上場し、顧客満足度調査や「オリコンニュース」の運営を主力とする情報提供企業です。近年は広告事業へも進出しています。直近の業績は、M&Aによる事業領域の拡大が寄与し、大幅な増収を達成しつつ、営業利益も堅調に推移する増収増益のトレンドを示しています。


※本記事は、オリコン株式会社 の有価証券報告書(第27期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. オリコンってどんな会社?


公平な立場から事実を情報化し、音楽ランキングや顧客満足度調査、ニュース配信などを展開する企業です。

(1) 会社概要


同社は1999年に設立され、2000年に上場を果たしました。2005年に持株会社体制へ移行し、組織再編を進めながら事業領域を拡大しています。2013年にはニュース配信事業を新設分割し、さらに直近の2024年には新旭を子会社化して広告事業へと本格参入するなど、エンタテインメントやライフスタイル分野において多様な情報発信を行っています。

同社グループは、連結で196名、単体で47名の従業員を擁しています。大株主の状況を見ると、筆頭株主は創業者および役員の資産管理会社となっており、上位には投資事業有限責任組合が名を連ねています。

氏名 持株比率
リトルポンド 36.21%
UHPartners2投資事業有限責任組合 7.82%
光通信KK投資事業有限責任組合 6.79%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は佐藤直也氏が務めており、取締役5名中2名が社外取締役となっています。

氏名 役職 主な経歴
小池恒 代表取締役会長 1990年4月オリジナルコンフィデンス入社。1999年10月同社設立、代表取締役社長。oricon ME代表取締役社長などを経て、2026年5月より現職。
佐藤直也 代表取締役社長 2000年4月オリコン・エンタテインメント入社。オリコン・リサーチ代表取締役社長などを経て、2026年5月より現職。
原田健明 取締役 2005年3月オリコン・サウンド・クリエイツ入社。oricon ME代表取締役社長などを経て、2021年6月より現職。


社外取締役は、藤原誠司(元SDIコンサルティング代表取締役)、森川幸(黒田法律事務所入所)です。

2. 事業内容


同社グループは、「コミュニケーション事業」、「データサービス事業」、「広告事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) コミュニケーション事業


顧客満足度(CS)の調査結果や指標を発表するサイトの運営と、総合トレンドメディア「オリコンニュース」などの自社メディアを基盤としたニュース配信事業を展開しています。一般消費者向けに信頼性の高い専門情報を幅広く提供しています。

収益源は、顧客企業に対するCSランキングの商標利用料や送客手数料、データ販売のほか、自社メディアを通じたバナー広告やタイアップ広告の収入です。事業の運営は、主にoricon MEおよびオリコンNewSが行っています。

(2) データサービス事業


音楽ソフト、映像ソフト、書籍に関する各種ランキング情報やマーケティングデータを提供しています。法人向けのオンラインサービス「ORICON BiZ online」や、放送局・ECサイト向けのデータベースを通じて、エンタテインメント関連のデータ活用を支援しています。

顧客からのデータ提供料や、音楽情報の利用量に応じた従量料金が主な収益源となっています。この事業の運営は、オリコン・リサーチが担っています。

(3) 広告事業


広告企画制作を中心に、広告イベント等の企画運営事業などを展開しています。デジタル領域での知見とオフライン広告を融合させたハイブリッド型の広告ソリューションを開発・提供しています。

大型スポーツイベントの企画運営などによる手数料が主な収益源です。この事業は、2024年にグループへ参画した新旭が運営を行っています。

(4) その他


報告セグメントに含まれないその他の事業として、外部顧客向けのサーバー利用料などの収益が含まれています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上高は安定的に推移していましたが、直近の2026年3月期にはM&Aの効果などにより大きく伸長しました。利益面においても、経常利益が10億円台半ばで安定的に推移しており、毎年20%を超える高い利益率を維持している点が特徴です。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 45億円 49億円 48億円 49億円 63億円
経常利益 15億円 17億円 16億円 14億円 16億円
利益率(%) 33.5% 34.9% 33.1% 28.5% 25.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 20億円 10億円 12億円 6億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益および営業利益も拡大しています。広告事業等の原価が増加した影響により利益率の数値は前期より低下していますが、依然として高い水準での収益性を確保しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 49億円 63億円
売上総利益 34億円 37億円
売上総利益率(%) 68.2% 58.7%
営業利益 14億円 15億円
営業利益率(%) 28.5% 24.4%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が5億円(構成比23.5%)、販売促進費が4億円(同17.4%)を占めています。また、売上原価は26億円で、売上高に対する構成比は41.3%となっています。

(3) セグメント収益


新旭の子会社化により広告事業の売上高が大きく伸長しました。また、主力のコミュニケーション事業においても、顧客満足度調査の商標利用やニュース配信事業の単価向上が寄与し、前年から順調に増収を達成しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
コミュニケーション事業 39億円 43億円
データサービス事業 7億円 7億円
広告事業 0.8億円 13億円
モバイル事業 2億円 -
その他 0.2億円 0.4億円
連結(合計) 49億円 63億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の営業活動で安定したキャッシュを生み出し、その資金で投資や借入金の返済・株主還元を行っている「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 12億円 11億円
投資CF -2億円 -1億円
財務CF -6億円 -6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も81.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「ファクト-事実-を情報化する」という経営理念を掲げています。フェイクニュースの横行など情報が錯綜する社会において、客観的かつ公平な立場から事実を情報化し、広く提供することで社会からの信頼を獲得し、豊かな生活の実現と産業の発展に貢献する企業を目指しています。

(2) 企業文化


SDGsを経営課題と捉え、「実現可能性」を意識して従業員が身近に達成できるものから取り組む姿勢を重視しています。また、多様な人材が能力・個性を発揮し、心身ともに健康で安心して働ける風土や、定量的な客観指標を良とする文化浸透の下、果敢なイノベーションへの挑戦を促す環境を整えています。

(3) 経営計画・目標


同社は、より一層の利益拡大と企業価値の向上を図るべく、連結ベースの営業利益、営業利益率、前年比増加率、親会社株主に帰属する当期純利益などを重要な経営指標に位置づけています。

* 売上高 65億円
* 営業利益 16億円
* 経常利益 16億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益 10億円
※2027年3月期目標

(4) 成長戦略と重点施策


顧客満足度調査事業のサポート力強化とブランド価値の向上、自社メディアにおける専門情報の幅広い発信と動画分野への展開を進めます。また、デジタルとオフライン広告を融合させたハイブリッド型の広告ソリューションを深化させ、AI等の新技術も積極的に活用しながら事業成長を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「データ資産ほか事業基盤の強化・活用推進」を支えるため、プロフェッショナル人材の育成と定着、最新テクノロジーの利活用を中核に据えています。AIリテラシー向上を含めたリスキリングを推進し、多様な価値観と能力を発揮できる環境を整備することで、企業と従業員の持続的な成長を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.5歳 9.7年 7,421,476円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) インターネット広告市場の構造変化


AIの普及に伴う検索行動の変化や、「ゼロクリック検索」の増加、広告ブロックアプリの利用拡大などにより、広告表示機会が減少し、同社の広告収益に影響を及ぼす可能性があります。

(2) インターネット向けコンテンツのユーザー嗜好変化


技術や市場の変化が激しいため、ユーザーにとって魅力的なコンテンツを適時に提供できない場合や、価格競争力を維持できない場合には、利用者数が減少し業績に影響が及ぶリスクがあります。

(3) システム障害およびサイバーセキュリティ


通信ネットワークへの依存度が高いため、自然災害やハードウェアの欠陥、過負荷によるシステム障害、さらには外部からの不正アクセスによるデータ改ざんや漏洩が発生した場合、事業停止や信頼低下を招く恐れがあります。

(4) 個人情報および機密情報の漏洩


業務遂行において取得した多くの個人情報や機密情報を保有しているため、万一これらが外部に流出した場合、損害賠償請求の発生や社会的な信用の失墜により、今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

【面接対策】オリコンの中途採用面接では何を聞かれるのか

音楽ランキングや顧客満足度調査、ニュースなどを配信しているオリコンへの転職。中途採用は新卒の場合と違い、仕事への取り組み方やこれまでの成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので事前にしっかり対策をすすめましょう。