ネクストウェア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ネクストウェア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場するソリューション事業とエンターテインメント事業を展開する企業。当連結会計年度は、売上高30.1億円と増収を達成しました。損益面では、営業損失0.8億円、経常損失0.8億円、親会社株主に帰属する当期純損失1.1億円といずれも赤字ですが、前年同期比で赤字幅は縮小しています。


ネクストウェア転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、ネクストウェア株式会社 の有価証券報告書(第35期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ネクストウェアってどんな会社?

ITソリューションとOSK日本歌劇団の運営というユニークな事業ポートフォリオを持つ企業です。

(1) 会社概要

1990年に日本エス・イーの大阪営業所から分離独立する形で関西日本エス・イーとして設立され、1997年に現社名へ変更しました。2000年に大証ナスダック・ジャパン(現東証スタンダード)へ上場を果たしています。2006年にシステムシンクを子会社化し、2018年にはOSK日本歌劇団を子会社化してエンタメ事業へ本格参入しました。

連結従業員数は201名、単体では164名です。筆頭株主は代表取締役社長の豊田崇克氏で、第2位は兵庫県西宮市に所在する有限会社ティ・エヌ・ヴィ、第3位には従業員持株会が名を連ねています。経営陣や従業員が主要株主となっており、安定的な株主構成となっています。

氏名 持株比率
豊田 崇克 8.20%
有限会社ティ・エヌ・ヴィ 6.94%
ネクストウェア従業員持株会 3.99%

(2) 経営陣

同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は豊田崇克氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
豊田 崇克 代表取締役社長 1984年日本エス・イー入社。1990年同社へ移籍し、1998年より社長を務める。システムシンクやOSK日本歌劇団の社長も兼任。
渡邉 博和 取締役執行役員管理本部長 1991年日立造船入社。2005年同社入社。経理財務本部長を経て2024年4月より現職。
梶原 義浩 取締役執行役員ビジネスイノベーション本部長 1991年鐘紡入社。1995年同社入社。大阪営業本部長などを経て2024年6月より現職。
山口 能孝 取締役 1990年太田昭和監査法人入所。2004年税理士法人堂島会計事務所設立。2007年6月より現職。


社外取締役は、泉秀昭(弁護士)、多田理(元NTTデータ神戸支店長)です。

2. 事業内容

同社グループは、「ソリューション事業」および「エンターテインメント事業」を展開しています。

(1) ソリューション事業

コンピュータシステムのコンサルティング、設計、開発、運用・保守サービスを提供しています。また、顔認証技術などを活用したIoTソリューションや、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するサービスも展開しています。主な顧客は、システム開発を必要とする一般企業や官公庁などです。

収益は、顧客からのシステム開発案件の受託費用、保守・運用サービスの対価、ソリューション製品の販売代金などから構成されています。運営は主にネクストウェア、および子会社のシステムシンクが行っています。

(2) エンターテインメント事業

100年以上の歴史を持つ「OSK日本歌劇団」による歌劇の企画・興行を行っています。また、伝統芸能とテクノロジーを融合させたデジタルコンテンツの開発や配信サービスも手掛けています。

収益は、劇場公演のチケット販売収入、グッズ販売、ファンクラブ会費、デジタルコンテンツの配信料などが主な源泉です。運営は主に子会社のOSK日本歌劇団が行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近5期間の業績を見ると、売上高は約30億円前後で推移していますが、利益面では苦戦が続いています。2024年3月期に大きく赤字転落し、2025年3月期も営業損失および経常損失を計上していますが、赤字幅は縮小傾向にあります。当期純利益については、単体決算の数値を反映しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 32億円 29億円 29億円 28億円 30億円
経常利益 0.5億円 0.9億円 0.4億円 -1.3億円 -0.8億円
利益率(%) 1.4% 3.2% 1.3% -4.6% -2.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.1億円 7.5億円 0.4億円 -1.7億円 0.0億円

(2) 損益計算書

売上高は増加し、売上総利益も増加していますが、販管費の負担により営業損失となっています。ただし、前期と比較して営業損失の額は縮小しており、収益性は改善傾向にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 28億円 30億円
売上総利益 7億円 8億円
売上総利益率(%) 25.6% 26.0%
営業利益 -1.3億円 -0.8億円
営業利益率(%) -4.7% -2.5%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が2.6億円(構成比31%)、役員報酬が1.0億円(同12%)、支払手数料が1.0億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益

ソリューション事業は売上が微増しましたが、利益面では赤字が続いています。一方、エンターテインメント事業は公演の拡大等により大幅な増収となり、黒字転換を果たしました。全社の赤字縮小に貢献しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
ソリューション事業 24億円 24億円 -1.2億円 -0.8億円 -3.3%
エンターテインメント事業 4億円 6億円 -0.1億円 0.0億円 0.5%
連結(合計) 28億円 30億円 -1.3億円 -0.8億円 -2.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ネクストウェアのキャッシュ・フローの状況についてご説明します。

営業活動によるキャッシュ・フローは、エンターテインメント事業の売上増などにより収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得や貸付などにより支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済などにより支出となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 1.1億円 0.0億円
投資CF -0.9億円 -1.4億円
財務CF -0.6億円 -0.1億円

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同グループは、「仕事を通して社会に奉仕すること、仕事を通して家庭を幸福にすること、仕事を通して会社を発展させること」を社訓として掲げています。情報システムを通じて能力を最大限に発揮し、顧客や株主、社会全体に貢献することを目指しています。社会的信用と信頼を基礎として会社を発展させることを基本方針としています。

(2) 企業文化

「今日より明日、明日よりその先の未来へ」をモットーとしています。環境変化を機敏に捉え、最適なソリューションを提供することでお客様の情報化戦略を支援する技術体制を重視しています。また、持続的な成長のためには優秀な人材が生み出すイノベーションが有効であると考え、多様な人材の育成に注力する姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標

成長性と安定性を重視し、企業価値の向上と経営資本の効率化を追求しています。重要な経営指標として、「売上高営業利益率」と「株主資本利益率(ROE)」の向上に努める方針を示しています。具体的な数値目標については記載がありません。

(4) 成長戦略と重点施策

先端デジタル技術(IoT、AI、ビッグデータ分析等)を活用した新製品・サービスやビジネスモデルの創出を目指しています。ソリューション事業ではAI・顔認証技術などのスマートビジネス関連事業を中核とし、エンターテインメント事業では伝統芸能とテクノロジーの融合やデータ活用によるファン拡大を図ります。

* 技術投資と調査研究:先進技術領域への先行投資やパートナー企業との共同開発。
* 収益性の改善:業務改善提案や効率的な開発手法によるプロジェクト収益性の向上。
* 観劇者数の拡大:デジタルコンテンツ制作やグローバル展開による劇団の知名度向上。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

競争力の源泉は「人」であると認識し、多様な専門性や価値観を持つ人材を取り込む方針です。性別や年齢に関係なく活躍できる環境を整備し、新卒・中途採用に加え外国人の採用も積極的に行っています。育成面では、メンター制度や資格奨励金、教育給付金制度などを実施し、自律的なキャリア構築を支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.8歳 14.8年 4,973,000円


※平均年間給与は基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※対象者がいない場合は「-」を記載しています。連結子会社については公表義務の対象ではないため、記載を省略しています。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業績の第4四半期への偏り

ソリューション事業における大規模な受託案件は、顧客の都合により年度末に納期が集中する傾向があります。これにより、売上高および利益が第4四半期に偏る傾向があり、今後も継続すると見込まれています。

(2) 不採算プロジェクトの発生

受注時に利益を見込んでいても、予期せぬ不具合等によりコストが超過し、採算が悪化する可能性があります。徹底した要件ヒアリングや段階的な契約締結により回避に努めていますが、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 継続企業の前提に関する重要事象

継続的な営業損失を計上しており、継続企業の前提に疑義を生じさせる事象が存在しています。これに対し、受託型からクラウド技術を活用したストック型ビジネスへの転換や資金繰りの管理により解消を図っていますが、注視が必要です。

(4) 人材の育成・確保

高度なスキルを持つ技術者の確保が重要ですが、十分に確保できない場合、受注減少や品質低下のリスクがあります。これに対し、最新技術や専門分野のスキル教育を実施し、計画的な育成に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。