※本記事は、ネクストウェアの有価証券報告書(第36期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ネクストウェアってどんな会社?
AIやデジタル技術を活用したシステム開発と、伝統ある歌劇団の運営という独自の両輪事業を展開しています。
■(1) 会社概要
1990年に関西日本エス・イーとして設立され、1997年にネクストウェアへ商号変更を行いました。2000年に現・東京証券取引所スタンダード市場へ上場を果たしています。その後、2006年にシステムシンク、2018年にOSK日本歌劇団を子会社化し、ITソリューションとエンターテインメントの2本柱による事業体制を構築しています。
従業員数は連結で224名、単体で183名です。筆頭株主は創業者の豊田崇克氏で、第2位は資産管理業務などを行うティ・エヌ・ヴィとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 豊田 崇克 | 8.20% |
| ティ・エヌ・ヴィ | 6.94% |
| ネクストウェア従業員持株会 | 5.01% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は豊田崇克氏が務め、社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 豊田 崇克 | 代表取締役社長 | 1984年日本エス・イー入社。1990年に同社へ移籍し、1997年代表取締役副社長等を経て1998年より現職。システムシンクやOSK日本歌劇団の社長も兼務。 |
| 渡邉 博和 | 取締役執行役員管理部長 | 1991年日立造船入社。2005年同社に入社し、執行役員経理財務副本部長等を経て、2024年4月より現職。システムシンクやOSK日本歌劇団の取締役も兼務。 |
| 梶原 義浩 | 取締役執行役員ビジネスイノベーション部長 | 1991年鐘紡入社。1995年同社に入社し、執行役員大阪営業本部長などを歴任し、2024年6月より現職。システムシンクの取締役も兼務。 |
| 西野 壽 | 取締役執行役員営業副統轄 | 1983年防衛庁入庁後、ロータス等を経て2018年同社に入社。東京営業本部長等を歴任し、2026年6月より現職。 |
| 福田 幸一 | 取締役執行役員営業副統轄兼DX・AI推進部長 | 1982年富士通入社後、日本ヒューレット・パッカード等を経て2011年同社に入社。執行役員東京営業本部長等を歴任し、2026年6月より現職。 |
| 山口 能孝 | 取締役 | 1990年太田昭和監査法人入所。税理士法人堂島会計事務所の設立等を経て、2006年同社取締役内部監査室長に就任。2007年より現職。 |
社外取締役は、泉秀昭(大阪吉野いずみ法律事務所代表)、多田理(元NTTデータ神戸支店長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ソリューション事業」および「エンターテインメント事業」を展開しています。
■(1) ソリューション事業
AI・クラウド・セキュリティを基盤としたソリューションの提供、ITシステムのコンサルティング、設計、開発および運用・保守サービスを提供しています。主に防災・道路・インフラ保全領域や流通小売業界、建設現場などに向けたサービス展開を行っています。
顧客からの受託開発に伴うシステム開発費や製品の販売代金、保守・サポート業務の提供に伴う役務収益等を主な収益源としています。運営はネクストウェアやシステムシンク等のグループ各社が連携して行っています。
■(2) エンターテインメント事業
伝統あるOSK日本歌劇団による歌劇の企画・興行およびデジタルコンテンツの開発・配信サービスを提供しています。一般の観劇ファンに向けた劇場公演や配信に加え、企業向けのレビューショー展開や全国での巡業公演も実施しています。
顧客が購入したチケットの販売金額や、デジタルコンテンツの配信に伴うサービス利用料を主な収益源としています。運営は同社の子会社であるOSK日本歌劇団が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の売上高は28億円から30億円の範囲で推移していますが、経常利益は2024年3月期以降連続して赤字を計上しています。企業のIT投資がクラウドや次世代AI領域へシフトする中、従来型システム開発需要の縮小や次世代分野への戦略的投資の増加により、直近では赤字幅が拡大する厳しい局面を迎えています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 29.2億円 | 28.9億円 | 28.2億円 | 30.1億円 | 28.8億円 |
| 経常利益 | 0.9億円 | 0.4億円 | -1.3億円 | -0.8億円 | -2.7億円 |
| 利益率(%) | 3.2% | 1.3% | -4.6% | -2.6% | -9.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 7.5億円 | 0.4億円 | -1.7億円 | 0.0億円 | -4.5億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の減少と売上原価率の上昇により、売上総利益が減少しました。さらに、次世代AI分野における技術力強化を目的とした人材の採用・育成や研究開発費の計上など、成長に向けた戦略的投資による販売費及び一般管理費の増加が影響し、営業赤字が拡大しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 30.1億円 | 28.8億円 |
| 売上総利益 | 7.8億円 | 6.5億円 |
| 売上総利益率(%) | 26.0% | 22.7% |
| 営業利益 | -0.8億円 | -2.8億円 |
| 営業利益率(%) | -2.5% | -9.8% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が2.8億円(構成比30%)、支払手数料が0.9億円(同10%)を占めています。また、売上原価については、労務費が8.5億円(構成比53%)、外注費が4.8億円(同30%)を占めています。
■(3) セグメント収益
ソリューション事業は次世代AIの台頭による従来型システム開発需要の減少等で減収となり、先行投資の増加により赤字幅が拡大しました。エンターテインメント事業は高採算の自主公演数の減少等により減収となり、一部資産の評価見直しに伴う費用計上も重なって赤字転落となりました。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ソリューション事業 | 23.8億円 | 22.6億円 | -0.8億円 | -2.1億円 | -9.2% |
| エンターテインメント事業 | 6.3億円 | 6.2億円 | 0.0億円 | -0.7億円 | -11.8% |
| 連結(合計) | 30.1億円 | 28.8億円 | -0.8億円 | -2.8億円 | -9.8% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、本業・投資・財務いずれもマイナスで資金繰りが危機的となる「末期型」の傾向を示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.0億円 | -1.4億円 |
| 投資CF | -1.4億円 | -0.2億円 |
| 財務CF | -0.1億円 | -0.0億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-46.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は72.6%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「仕事を通して社会に奉仕すること、仕事を通して家庭を幸福にすること、仕事を通して会社を発展させること」を社訓として掲げています。情報システムを通じて自らの能力を最大限に発揮し、社会全体に貢献するとともに、それによって得た社会的信用や信頼を基礎として会社を発展させることを基本方針としています。
■(2) 企業文化
"今日より明日、明日よりその先の未来へ"をモットーに、独自のデジタルトランスフォーメーションサービスの開発に取り組んでいます。環境変化を機敏に捉え、最適なソリューションの提供によって顧客の情報化戦略を支援するとともに、多様な専門性や価値観を持つ人材が意欲をもって活躍できる活力ある組織の構築を推進しています。
■(3) 経営計画・目標
成長性と安定性を重視し、企業価値の向上と経営資本の効率化を追求した事業運営を推進しています。これらを実現するための重要な経営指標として、売上高営業利益率と株主資本利益率(ROE)の向上に努めています。
■(4) 成長戦略と重点施策
ソリューション事業においては、DX・AX(AIトランスフォーメーション)領域および次世代AI関連事業を重点領域と位置づけ、既存顧客からの継続的な受注確保と新規顧客の開拓に努めています。また、エンターテインメント事業においては、伝統芸能とプロジェクションマッピング等のテクノロジーの融合や、データサイエンスに基づくファンサービス向上のノウハウを生かし、ファンの拡大を図る方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を最も重要な経営資源と位置づけ、競争力の源泉である「人」の育成と多様性の確保に注力しています。新卒や中途、外国籍人材の積極的な採用を通じ、多様な知見やアプローチを組織内に取り込んでいます。また、資格取得奨励金制度や教育給付金制度など、従業員一人ひとりの自律的なキャリア構築を支援する環境整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 41.3歳 | 14.0年 | 4,981,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 不採算プロジェクトの発生
受注時には利益が期待できるシステム開発等のプロジェクトであっても、予期し得ない不具合の発生などにより見積りを上回るコストが発生し、採算性が悪化するリスクがあります。同社は機能要件ヒアリングの徹底による高精度な見積書の提示や、段階的な契約締結によって不採算の発生回避に努めています。
■(2) 優秀な人材の育成及び確保
多様化する顧客ニーズに応えるため、高度な専門スキルを有する優秀な技術者を安定的に確保する必要があります。必要な人材を十分に確保できなかった場合、受注の減少やサービス品質の低下を招くリスクがあり、同社は最新技術や専門スキルの教育など計画的な技術者育成に取り組んでいます。
■(3) 情報セキュリティと情報漏洩
同社グループは個人情報を含む顧客情報や機密情報を多数管理しています。万一情報漏洩が発生した場合は、信用失墜や損害賠償債務の発生によって業績に影響を及ぼすリスクがあります。これを防ぐため、全社員を対象とした研修を実施するなど情報管理の強化に努めています。



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