※本記事は、東京センチュリー株式会社 の有価証券報告書(第57期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 東京センチュリーってどんな会社?
国内外でリース・ファイナンスを中心に、オートモビリティや環境インフラなど多様な金融・サービス事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
1969年にセンチュリー・リーシング・システムとして設立され、2009年に東京リースと合併して東京センチュリーリースとなりました。その後、2016年に現在の東京センチュリーに社名を変更しています。米国の大手独立系リース会社や航空機リース会社を完全子会社化するなど、グローバルなM&Aを通じて事業領域を拡大してきました。
同社グループの従業員数は連結で8,583名、単体で1,101名です。筆頭株主は事業会社の伊藤忠商事で、第2位は中央日本土地建物、第3位はNTTとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 伊藤忠商事 | 29.94% |
| 中央日本土地建物 | 14.00% |
| NTT | 10.03% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性12名、女性3名の計15名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長CEOは藤原弘治氏が務めています。取締役15名のうち5名が社外取締役であり、社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 藤原弘治 | 代表取締役社長CEO | 第一勧業銀行入行、みずほ銀行代表取締役頭取、みずほフィナンシャルグループ特別顧問を経て、2026年4月より現職。 |
| 雪矢正隆 | 代表取締役会長共同CEO | 伊藤忠商事入社、同社執行役員等を経て、同社代表取締役会長に就任。2026年4月より現職。 |
| 原真帆子 | 取締役専務執行役員トランスポート部門長 | 第一勧業銀行入行、新生銀行市場商品開発部長等を経て、同社専務執行役員に就任。2026年4月より現職。 |
| 平崎達也 | 取締役専務執行役員CFO兼CHRO兼共同CSO | 東京リース入社、同社経理部長等を経て、同社取締役常務執行役員に就任。2026年4月より現職。 |
| 米津隆史 | 取締役専務執行役員共同CFO | 第一勧業銀行入行、みずほ銀行執行役員資金証券部長等を経て、同社専務執行役員に就任。2026年4月より現職。 |
| 今井雅啓 | 取締役 | 伊藤忠商事入社、同社取締役専務執行役員、駐ルワンダ特命全権大使等を経て、2025年6月より現職。 |
社外取締役は、中村明雄(田辺総合法律事務所特別パートナー)、浅野敏雄(旭化成特別顧問)、田中美穂(芝・田中経営法律事務所パートナー)、沼上幹(一橋大学名誉教授)、小笠原浩(安川電機代表取締役会長兼社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「国内リース事業」、「オートモビリティ事業」、「スペシャルティ事業」、「国際事業」、「環境インフラ事業」および「その他」事業を展開しています。
■国内リース事業
情報通信機器、事務用機器、産業工作機械、輸送用機器、商業・サービス業用設備等を対象としたリース・ファイナンスおよびその附帯サービスを提供しています。
国内の法人顧客からのリース料や貸付利息などが主な収益源です。運営は主に東京センチュリーや、NTTグループとの合弁会社であるNTT・TCリースなどが担っています。
■オートモビリティ事業
法人および個人向けのオートリース、レンタカー、カーシェア事業などを幅広く展開し、顧客の移動手段に関わる多様なニーズに応えています。
顧客からのオートリース料やレンタカー利用料を主な収益源としています。運営は主に子会社の日本カーソリューションズやニッポンレンタカーサービスが行っています。
■スペシャルティ事業
船舶、航空機、不動産などのプロダクツを対象とした、国内外におけるリース・ファイナンスおよびその附帯サービス等を提供しています。
航空会社や海運会社、不動産事業者などからのリース料やファイナンス収益が主な収益源です。運営はAviation Capital Group LLCやTC神鋼不動産などが担っています。
■国際事業
東アジア・アセアン、北米・中南米を中心とした海外市場において、リース・ファイナンスおよびその附帯サービス、オート事業等を提供しています。
海外の法人顧客からのリース料やファイナンス収益等を主な収益源としています。運営は米国のCSI Leasing, Inc.をはじめとする現地の子会社・関連会社が行っています。
■環境インフラ事業
再生可能エネルギーなどに係る国内外における発電事業のほか、関連設備を対象としたリース・ファイナンスやその附帯サービスを提供しています。
売電による収益や顧客からのリース料等を主な収益源としています。運営は京セラTCLソーラー合同会社や周南パワーなどの子会社・関連会社が行っています。
■その他
上記の報告セグメントに含まれない事業として、損害保険代理店業や住宅つなぎ立替払業などの各種サービスを提供しています。
保険契約に伴う手数料収入などが主な収益源となっており、運営は主に子会社のTCエージェンシーが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、売上高は一貫して堅調な増加傾向にあります。経常利益についても毎年着実に伸びており、本業の事業規模拡大と収益性の向上が両立していることが伺えます。事業ドメインの多角化が業績の安定成長に寄与しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 12,780億円 | 13,250億円 | 13,461億円 | 13,686億円 | 14,577億円 |
| 経常利益 | 905億円 | 1062億円 | 1173億円 | 1323億円 | 1634億円 |
| 利益率(%) | 7.1% | 8.0% | 8.7% | 9.7% | 11.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 203億円 | 253億円 | 326億円 | 368億円 | 159億円 |
■(2) 損益計算書
売上高と売上総利益はともに前期から増加しており、事業活動のトップラインが順調に拡大しています。売上総利益率および営業利益率も改善を見せており、コストコントロールや高付加価値事業へのシフトが進み、本業における稼ぐ力が着実に高まっていることが読み取れます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 13,686億円 | 14,577億円 |
| 売上総利益 | 2,802億円 | 3,283億円 |
| 売上総利益率(%) | 20.5% | 22.5% |
| 営業利益 | 1,171億円 | 1,483億円 |
| 営業利益率(%) | 8.6% | 10.2% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給与手当・賞与が776億円(構成比43.1%)、貸倒引当金繰入額が61億円(同3.4%)を占めています。
■(3) セグメント収益
各事業セグメントの売上高を見ると、すべての報告セグメントで増収となっています。特に国際事業は大幅な伸びを示しており、海外展開の加速が売上拡大を力強く牽引しています。国内リース事業やオートモビリティ事業などの国内事業基盤も堅調に推移しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 国内リース | 4,491億円 | 4,621億円 |
| オートモビリティ | 3,007億円 | 3,149億円 |
| スペシャルティ | 3,345億円 | 3,430億円 |
| 国際事業 | 2,227億円 | 2,709億円 |
| 環境インフラ | 608億円 | 661億円 |
| その他 | 8億円 | 7億円 |
| 連結(合計) | 13,686億円 | 14,577億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
なお、同社は金融・証券関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に賃貸資産の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は15.5%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
Purpose(パーパス)として「青い地球の未来をつくる」を掲げ、地球規模の社会課題を解決に導く“永遠のベンチャー企業”としてのVision(ビジョン)を目指しています。10年後・20年後の未来をバックキャストで展望し、社会に必要とされる金融・サービスの創出を志向するサステナビリティ経営を推進しています。
■(2) 企業文化
「Values(バリュー)」として「挑戦・共創・信頼」を定めています。多角化するビジネスに対応し、前例に縛られることなく新しいことに挑む挑戦のカルチャーを醸成するため、多様な人材の個性を活かしたチームワークを深化させ、プロフェッショナル集団の形成を促進することを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
「中期経営計画2030」を策定し、事業ポートフォリオの最適化と持続的な成長を実現するため、以下の財務目標を掲げて経営を行っています。
* 当期純利益:2,000億円
* ROE:12.5%以上
* 配当性向:35%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
「長期ビジョン2035」に基づき、「サーキュラー・エコノミー」「エネルギー問題」「社会インフラ」「AI・テクノロジー」の4領域を注力課題として特定しています。「バリューチェーンの拡大」「グローバル展開の加速」「外部資本の活用」の3つの成長戦略を推進し、低採算事業の縮退を含むポートフォリオの変革を図っています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
多様な人材が幅広く挑戦できるよう処遇・育成・環境を高度化し、人的資本の最大化を図ることを方針としています。総合職・業務職のコース統合や、職務ごとのマーケット水準に準拠した報酬制度への刷新を通じて、自律的な学びによる専門性の深化や外部からの専門人材の拡大を推進し、個人の挑戦意欲の向上を支援しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 43.0歳 | 16.0年 | 9,316,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 14.7% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 62.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 62.4% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 40.5% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、キャリア採用比率(35.7%)、障がい者雇用率(3.2%)、有給休暇取得率(81.8%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) ものにかかわるリスク
ファイナンス・リース等の金融からオペレーティング・リースやアセット投資の拡充を図っているため、経済環境の大幅な悪化等により対象資産(航空機、船舶、不動産等)の収益性や価値が低下した場合、減損損失の発生等により業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) システムリスク、情報セキュリティリスク
業務全般で活用しているシステムにおいて、不測の事態による停止や外部からのサイバー攻撃、ランサムウェア等の侵入が発生した場合、情報の漏えいや業務の停滞が生じ、業績や社会的信用に影響を与える可能性があります。
■(3) 人材確保に関するリスク
国内外で事業の多角化を進めているため、専門性の高い多様な人材を安定的に確保する必要があります。必要な人材を十分確保・育成できない場合や人材が流出した場合、サービスの質の低下などを招き、事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。



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