※本記事は、エムスリー株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
エムスリーは、テクノロジーを創造的に活用し、健康で楽しく長生きできる人を増やし、不必要な医療コストを減らすことを事業目的としています。国内では医師会員35万人以上が利用する医療従事者専門サイト「m3.com」を中心に、世界中で医療従事者のプラットフォームを展開しています。
単体従業員数は750名、連結従業員数は17,010名です。セグメントはメディカルプラットフォーム、エビデンスソリューション、キャリアソリューション、サイトソリューション、ペイシェントソリューション、海外の6つです。
主な国内グループ会社は、エムスリーソリューションズ、イーウェル、コスモテック、エムスリーマーケティング、インフロントなどです。
エムスリーグループは、2025年4月に株式会社イーウェルを、2024年10月には株式会社ノアコンツェルを買収し連結を開始しました。また、株式会社エランの公開買付・子会社化に伴いペイシェントソリューションセグメントを新設しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
エムスリーは、医療分野に特化したテクノロジー活用をミッションに掲げ、社会貢献性の高い事業を展開しています。同社グループの人材戦略は、高い専門性と自律性を持つプロフェッショナル人材の確保を重視しており、個人のパフォーマンスと市場価値を反映した報酬制度が特徴です。多様な人材が働きがいを感じられる環境づくりにも注力しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
エムスリーでは、比較的若手から中堅層の従業員が中心となって活躍している傾向が見られます。平均勤続年数からは、個々人が自律的にキャリアを形成し、成長機会を追求する文化がうかがえます。専門性の高い人材が、自身の能力を最大限に発揮できる環境が提供されていると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 9,759,000円 |
| 平均勤続年数 | 4年6ヶ月 |
| 平均年齢 | 34.8歳 |
| 単体従業員数 | 750人 |
| 連結従業員数 | 17,010人 |
| 単体のグループ内比率 | 4.4% |
エムスリーは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を設けています。国内外のグループ会社が対象です。退職一時金制度がありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
確定給付債務は35.1億円、確定拠出制度の拠出額は70.0億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは「テクノロジーを創造的に活用し、健康で楽しく長生きする人を1人でも増やし、不必要な医療コストを1円でも減らすこと」を事業目的としています。医療業界の複雑な課題解決には、アントレプレナーシップに富む人材や最先端テクノロジーを駆使するエンジニアなど、高い専門性と自律性を備えたプロフェッショナル人材の確保が不可欠であると考えています。多様な価値観を尊重し、人材が活躍できる働きがいのある職場環境の実現を目指しています。
給与決定においては、「多様な分野において、高い専門性と自律性を備えたプロフェッショナルで優秀な人材の確保」を最も重要視しています。画一的なルールや年次、等級に縛られず、「個人のパフォーマンス」と「労働市場における価値」に即した絶対評価による最適化を基本方針としています。個々の社員のプロフェッショナル性を重視した報酬設計を行い、各部門責任者が専門領域、スキル、マインドセットに応じた高度な目標設定と絶対評価で貢献度を細かく確認することで、個人の貢献度とダイレクトに連動する報酬決定を実現しています。
報酬改定は次年度の役割期待の引き上げとセットで行われ、個人の能力拡張と労働市場での価値向上を会社が適正に評価するプロセスです。採用活動を通じて労働市場のダイナミックな変化を捉え、市場競争力のある報酬水準を常にアップデートし、個々の社員の報酬設計・評価に反映させています。成果が事業成長に直結する部門を中心に、個人のパフォーマンスを報酬に直結させる独自のインセンティブ制度を運用し、年次を問わず卓越した成果を出した人材が適正に報われる環境を整えています。さらに、業績貢献度の高い社員にはストック・オプションを積極的に付与し、「全員経営者」意識の浸透と中長期的な動機付けを図っています。
同社グループは、社員一人ひとりが事業目的を共有し、自律的に貢献できる環境づくりを推進しています。個人の強みや個性、Willを尊重した能力開発機会の提供を重視し、画一的な研修に依存せず実践的な能力開発を支援しています。エムスリー単体では、部署の垣根を越えたプロジェクトへの参画や社内公募制度の推進、成果を出した人材に対するダイナミックな役割変更など、個人の成長が新規事業創出や医療課題解決に直結する仕組みづくりを行っています。国籍、性別、年齢等に捉われない多様な人材が活躍できる場の確保にも努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 14.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 81.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 73.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 78.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用労働者) | 50.6% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ エムスリーソリューションズ㈱
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 16.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 46.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 65.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 70.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用労働者) | 65.7% |
▼ ㈱イーウェル
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 22.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 45.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 70.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用労働者) | 63.0% |
▼ エムスリーマーケティング㈱
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 39.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 40.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 86.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 91.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用労働者) | 73.6% |
グループ全体(連結)の集計値
エムスリー単体及び連結子会社における比率です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 38.0% |
| 女性従業員比率 | 61.0% |
多様性・登用
エムスリー単体の数値です。期中に行われた株主総会での選任結果を反映しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 全取締役に占める女性取締役比率 | 40.0% |
育児・介護支援
エムスリー単体の数値です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 有給休暇取得率 | 79.0% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
エムスリーは、テクノロジーを創造的に活用し、健康で楽しく長生きできる人を増やし、不必要な医療コストを削減することを目的としています。医療従事者専門サイト「m3.com」を中心に、国内外で幅広い医療関連サービスを展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、医療従事者向けのプラットフォームを核に、多岐にわたるサービスを提供しています。国内では医師会員35万人以上が利用する「m3.com」を、海外では「MDLinx」や「Doctors.net.uk」といった医療従事者プラットフォームを世界中で運営しています。これらのプラットフォームを通じて、医療関連企業や医療機関、患者、さらには一般の方々まで、幅広い顧客層にサービスを提供し、収益を得ています。
メディカルプラットフォーム
国内の医療従事者専門サイト「m3.com」を核に、テクノロジーとリアルオペレーションを組み合わせた各種マーケティング関連事業を展開しています。会員医師が情報を受け取る「MR君」ファミリーのサービス、医療従事者向け調査サービス、AIを活用した製薬企業向けマーケティング支援サービスなどが主な内容です。また、医療機関向けにはAI搭載の電子カルテや診療支援システム、画像診断支援AI、開業医向けの第三者継承支援事業、企業向け福利厚生サービスなども提供しています。収益は、製薬会社等の医療関連会社や医療機関へのサービス提供から得ています。
エビデンスソリューション
臨床試験(治験、大規模臨床研究等)の業務支援を行うCRO、治験実施医療機関での治験業務全般の管理・運営を支援するSMO、被験者募集支援を行うPROなどの事業を展開しています。収益は、製薬会社等や医療機関への専門業務サービス提供から得ています。
キャリアソリューション
国内の医療従事者を対象とした人材サービス事業を展開しており、医師や薬剤師向けの求人求職支援サービスが主な内容です。収益は、医療機関や薬局への人材紹介サービス提供から得ています。運営は、エムスリーキャリアが行っています。
サイトソリューション
医療機関の運営をサポートする各種サービスを提供しており、ホスピスや居宅訪問看護事業も手掛けています。収益は、医療機関への運営サポートや看護サービス提供から得ています。運営は、株式会社ノアコンツェルなどが行っています。
ペイシェントソリューション
入院患者や介護施設の利用者等を対象とした患者サポート事業を行っており、CSセットの提供などが主な内容です。収益は、入院患者や介護施設の利用者等へのサポートサービス提供から得ています。運営は、株式会社エランなどが行っています。
海外
米国、英国、中国、韓国、インド、フランス、ドイツ、スペインなど世界中で医療従事者専門サイトを活用し、医療関連会社マーケティング支援、調査、治験支援、人材サービスなどの各種サービスを提供しています。北米では治験支援サービス、欧州では医薬品情報データベースやクリニック向けソフトウェアを提供しています。収益は、海外各国の製薬会社等の医療関連会社や医療機関へのサービス提供から得ています。
その他エマージング事業群
コンシューマ向けサービスや、医療福祉系国家試験対策サービスなどを含んでいます。収益は、これらのサービス提供から得ています。運営は、エムスリーエデュケーションなどが行っています。
同社グループの売上収益は、日本以外の地域からも全体の約27.6%を占めており、海外事業も重要な収益源となっています。特定の外部顧客への収益集中は見られません。
| セグメント | 売上収益(2025年3月期) | 売上収益(2026年3月期) | セグメント利益(2025年3月期) | セグメント利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| メディカルプラットフォーム | 916億円 | 1,078億円 | 341億円 | 359億円 | 33.3% |
| 海外 | 806億円 | 869億円 | 147億円 | 149億円 | 17.1% |
| ペイシェントソリューション | 219億円 | 569億円 | 8.2億円 | 26.9億円 | 4.7% |
| サイトソリューション | 470億円 | 544億円 | 54.2億円 | 57.7億円 | 10.6% |
| エビデンスソリューション | 242億円 | 245億円 | 43.5億円 | 51.2億円 | 20.9% |
| キャリアソリューション | 209億円 | 228億円 | 56.6億円 | 59.2億円 | 26.0% |
| その他エマージング事業群 | 24.5億円 | 22.3億円 | 10.0億円 | 48.8億円 | - |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上収益は、過去5年間で一貫して増加傾向にあります。税引前当期利益と親会社の所有者に帰属する当期利益は、一時的な減少が見られたものの、直近の連結会計年度では再び増加に転じました。売上収益に対する税引前当期利益の割合は、過去5年間で変動しながらも、直近の連結会計年度では前期からわずかに減少しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 2,082億円 | 2,308億円 | 2,389億円 | 2,849億円 | 3,514億円 |
| 税引前利益 | 962億円 | 743億円 | 688億円 | 648億円 | 763億円 |
| 税引前利益率 | 46.2% | 32.2% | 28.8% | 22.7% | 21.7% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 638億円 | 490億円 | 453億円 | 405億円 | 491億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 94.06 | 72.22 | 66.68 | 59.62 | 72.53 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上収益(連結)は、前期から当期にかけて増加しました。これは、従業員数の増加を上回る売上収益の成長があったことを示しています。
また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から当期にかけて増加しており、組織全体の生産性が向上している傾向が見られます。これらの指標の改善は、同社グループが事業規模を拡大しながらも、効率的な経営を維持していることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上収益(連結) | 18.5百万円 | 20.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 4.1百万円 | 4.3百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務基盤は、安定した自己資本と潤沢な手元資金によって支えられています。本業で着実に資金を創出し、将来に向けた投資も行っている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は64.0%となっており、プライム市場の非製造業平均と比較して高い水準を示しています。ROE(自己資本利益率)も12.5%と、プライム市場平均を上回っています。手元資金である現金及び現金同等物は1,562億円と潤沢であり、安定した財務基盤がうかがえます。これらの状況は、入社後の雇用や給与の安定性につながる要素であると言えます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 3,784億円 | 4,082億円 |
| 自己資本比率 | 65.1% | 64.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 11.1% | 12.5% |
| 現金及び現金同等物 | 1,349億円 | 1,562億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益の計上を主な要因として、702.6億円の収入となりました。これは前期から増加しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出等により、158.9億円の支出となりましたが、前期と比較して支出額は減少しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得や親会社の株主への配当による株主還元を行ったこと等により、354.7億円の支出となり、前期から支出額が増加しました。
これらの結果、フリーキャッシュ・フローは543.7億円のプラスとなっており、本業で安定的に資金を創出し、投資を賄った上で余剰資金を生み出している優良な状態を示しています。この資金状況は、同社グループが将来に向けた新規投資に機動的に対応できることを示しており、入社後の雇用や給与の安定性、そして事業の成長性につながるものと言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 517.4億円 | 702.6億円 |
| 投資CF | △391.5億円 | △158.9億円 |
| 財務CF | △271.7億円 | △354.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 125.9億円 | 543.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、医療及びヘルスケア市場の停滞や縮小、新たな市場動向への対応ができない場合に業績が影響を受ける可能性があります。また、主力サービスである「MR君」の代替となるマーケティングツールの普及や、他企業の新規参入、顧客が業務を自ら手掛けることによる収益圧迫のリスクも認識されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業拡大のために企業家的な人材の確保と育成が不可欠であると認識しています。人材の確保が計画通りに進まない場合や、既存人材の社外流出等により業務遂行が困難になった場合には、事業活動及び業績に悪影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
エムスリーは、テクノロジーとメディアの力を活用し、医療の世界に変革をもたらすことを目指しています。健康で楽しく長生きできる人を増やし、不必要な医療コストを削減するという明確なミッションを掲げ、事業を展開しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
エムスリーグループの経営の基本方針は、「テクノロジーを創造的に活用し、健康で楽しく長生きできる人を1人でも増やし、不必要な医療コストを1円でも減らすこと」です。これは同社グループの願いであり、事業の目的とされています。社名のエムスリーは、医療(Medicine)、メディア(Media)、変容(Metamorphosis)の3つのMを表しており、テクノロジーとメディアの力を活かして医療の世界を変革することが設立の志です。
同社グループは、株主、顧客である医療従事者や医療関連会社、従業員、そして社会の4つのステークホルダーを意識した経営を行っています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
エムスリーグループは、多様な人材こそが同社グループ全体の強みの源泉であると考えています。性別、年齢、国籍、人種、宗教、障害の有無等による制限を受けることなく、それぞれの社員が持つ可能性を引き出すことを重視しています。この考えは採用方針だけでなく、多様な状況下にある社員が働きやすく、かつ働きがいのある職場環境の整備方針の前提となっています。
一人ひとりが自律的かつ自由にキャリアを描けるような組織づくりに注力しており、自ら新たな価値を創り出す社員が高く評価されることで、医療業界の改善と個人・会社の成長を目指しています。同社グループは、2015年にエムスリーグループ行動規範を策定し、汚職・贈収賄防止、情報セキュリティ、人権、人的資本、環境、調達といった分野で具体的な基本方針類を定めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
エムスリーグループは、今後の成長と展開において、次の5項目に重点を置いた経営を進めています。一つ目は、「m3.com」サイトの一層の価値向上を通じて、提供するサービスの価値を底上げすることです。二つ目は、メディカルプラットフォーム事業をはじめとした既存事業の更なる成長と、AI活用による医療課題解決、医療の全体最適の実現です。
三つ目は、医療従事者会員プラットフォームから生まれる事業機会を順次事業化し、新規事業を立ち上げることです。四つ目は、日本で開発したサービスの海外展開に加え、各国のニーズに合った独自サービスの開発を進めることです。五つ目は、多岐にわたる事業間のシナジーを強化し、グループ全体でのエコシステムシナジーを実現することです。同社グループでは、成長を促進する手段として、必要に応じて提携、買収、資本参加を進めています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
エムスリーでは、株主価値の最大化と医療の改善、従業員の成長、社会貢献を意識した経営が行われています。監査等委員会設置会社として、取締役会による意思決定と監督、監査等委員会による監査が機能する体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
エムスリーの筆頭株主はソニーグループであり、同社グループの資本構成において重要な位置を占めています。その他、日本マスタートラスト信託銀行や日本カストディ銀行といった機関投資家も上位株主として名を連ねています。代表取締役社長の谷村格氏も大株主の一人です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ソニーグループ | 34.50% |
| 日本マスタートラスト信託銀行 | 14.60% |
| 日本カストディ銀行 | 8.50% |
| 谷村 格 | 2.90% |
| STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 | 2.60% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性6名・女性4名)で構成され、女性役員比率は40.0%です。代表取締役社長は谷村格氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 谷 村 格 | 代表取締役社長 | マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、2000年9月より同社代表取締役社長に就任し、現職。 |
| 都 丸 暁 彦 | 取締役 | マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、2003年1月同社入社。M3 USA Corporation取締役、2012年6月より同社取締役、現職。 |
| 槌 屋 英 二 | 取締役 | 朝日生命保険相互会社、デロイト・トーマツコンサルティング等を経て、2006年8月同社入社。2016年6月より同社取締役、現職。 |
| 中 村 利 江 | 取締役 | リクルート、夢の街創造委員会(現 出前館)代表取締役社長等を経て、2022年3月同社執行役員。2022年6月より同社取締役、現職。 |
| 田 中 良 直 | 取締役 | マッキンゼー・アンド・カンパニー等を経て、2016年7月同社入社。2023年6月より同社取締役、現職。 |
| 山 崎 聡 | 取締役 | メビックス株式会社等を経て、2017年6月同社入社。2023年6月より同社取締役、現職。エムスリーテクノロジーズ代表取締役も務める。 |
社外取締役は、津川友介氏(UCLA医学部准教授)、山崎繭加氏(華道家・監査等委員)、江端貴子氏(ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ統括責任者・監査等委員)、鈴木智子氏(一橋大学大学院教授・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会は社外取締役4名を含む10名で構成されています。また、独立社外取締役が過半数を占める任意の指名報酬委員会を設置し、取締役の指名・報酬等に関する独立性・客観性を強化しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
エムスリーの役員報酬は、業務執行を担う取締役に対しては、基本報酬(金銭報酬)と新株予約権(非金銭報酬)で構成されています。これは、単年度および中長期の業績連動性と持続的な企業価値向上へのインセンティブを重視した報酬体系です。業務執行を行わない取締役の報酬は、基本報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 3.5億円 | 70.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 21百万円 | 5.2百万円 |
なお、報酬等の対象となる役員の員数には、無報酬の社外取締役および同社の子会社からのみ報酬が支払われている取締役は含まれていません。当事業年度において、取締役会は代表取締役社長の谷村格氏に、各取締役(監査等委員である取締役を除く)の個人別の報酬額の具体的内容の決定を委任しています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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