システム・ロケーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

システム・ロケーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

システム・ロケーションは、東京証券取引所スタンダード市場および名古屋証券取引所メイン市場に上場する、自動車関連事業者向けのクラウド型BPOサービス企業です。主力商品である新車販売会社向け販売支援システムなどを展開しており、直近の業績は売上高および営業利益ともに増加し増収増益を達成しています。


※本記事は、システム・ロケーションの有価証券報告書(第58期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. システム・ロケーションってどんな会社?


同社は、自動車関連事業者向けに将来価値や現在価値を算定するクラウド型BPOサービスを提供する企業です。

(1) 会社概要


同社は1992年7月に自動車ファイナンス事業者向けの業務支援会社として事業を開始しました。2000年6月には自動車資産の将来価値を算出する「RV Doctor」の販売を開始し、現在のビジネスモデルの基盤を築きました。2006年4月にジャスダック証券取引所へ上場し、直近では2026年2月に名古屋証券取引所メイン市場へ重複上場するなど、事業基盤の拡大を続けています。

現在、同社グループは連結で59名、単体で31名の従業員を抱えています。筆頭株主はタイムラーで、第2位は代表取締役社長である千村岳彦氏、第3位は投資組合である光通信KK投資事業有限責任組合となっています。

氏名 持株比率
タイムラー 48.47%
千村岳彦 22.02%
光通信KK投資事業有限責任組合 6.54%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は千村岳彦氏が務めており、取締役5名のうち2名が社外取締役となっています。

氏名 役職 主な経歴
千村岳彦 代表取締役社長 1992年7月同社創業、営業部長。1996年7月代表取締役社長。2023年6月代表取締役会長を経て、2024年5月より現職。
内村裕一 常務取締役営業管掌開発部門管掌 兼開発部門長 2001年2月同社入社。2006年1月営業部長、同年6月取締役。2017年6月常務取締役などを経て、2025年4月より現職。
後藤清文 取締役管理部門管掌 2021年7月同社顧問。2022年6月常勤監査役を経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、森吉平(元アペックス社長)、吉村桂(大同通運常務)です。

2. 事業内容


同社グループは、「システム業務支援」の単一セグメントで事業を展開しています。

システム業務支援


自動車ファイナンス事業者や自動車販売事業者の業務に必要なシステムを開発・提供する、クラウド型BPOサービスを展開しています。具体的には、過去の販売実績を分析して自動車資産の将来価値や現在価値を算定する「RV Doctor」や「PV Doctor」、車種カタログデータベース、新車販売会社向け販売支援システム「CA Doctor」などを提供しています。

収益源として、自動車販売事業者やリース関連の金融事業者などから、システム利用料およびサービス提供料を継続的に受け取っています。これらの事業運営は、同社を中心とし、自動車販売店向けソリューションを展開する子会社のインスピレーションなどが主体となって行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は13億円規模から17億円規模へと着実に拡大を続けています。経常利益率も一貫して35%を超える高い水準を維持しており、安定した高収益体質を確保しています。一方で、投資有価証券評価損の計上などの影響により、当期利益は直近で微減傾向となっています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 13億円 17億円 17億円 17億円 17億円
経常利益 6億円 6億円 6億円 6億円 6億円
利益率(%) 42.6% 35.6% 35.6% 35.3% 36.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 4億円 3億円 3億円 3億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益がともに拡大しています。特にシステム開発や運用の内製化などによる売上原価の低減効果により、売上総利益率が向上し、それに伴って営業利益率も改善しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 17億円 17億円
売上総利益 13億円 14億円
売上総利益率(%) 77.1% 79.8%
営業利益 5億円 6億円
営業利益率(%) 32.2% 34.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が2億円(構成比22%)、役員報酬が1億円(同14%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社はシステム業務支援の単一セグメントです。主力商品である「CA Doctor」の機能強化が顧客から良好な反応を得ているほか、リース関連事業者からの底堅いシステムニーズにより、売上高は増加基調で推移しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
システム業務支援 17億円 17億円
連結(合計) 17億円 17億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、本業で稼ぎ出した営業利益で配当などの支払いを行い、手元資金で投資も賄う「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 5億円 7億円
投資CF -1億円 -18億円
財務CF -1億円 -1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.7%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も82.5%で市場平均を大きく上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、クルマの「価値(将来価値・現在価値)」を算出し、自動車に係る企業・金融機関とユーザーを結び、クルマの購入・売却・所有・シェアに係るプロセスに変化をもたらすシステムを提供することを目指しています。あらゆる人や企業がクルマの価値を日常的に自然と意識できるよう、事業を構築するプラットフォーム企業となることを経営理念として掲げています。

(2) 企業文化


同社は「Co-Creation」の理念の下、顧客企業とのビジネスやコラボレーションを通じてイノベーションを創出し、社会課題の解決に貢献する姿勢を大切にしています。また、多様な個性と能力の尊重、柔軟な働き方の実現、公平・公正・機会均等を基本方針とし、社員が自律的にキャリア形成できるようローテーションを行うなど、個人の成長と組織の活性化を両立する文化を育んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、安定的かつ持続的な成長を実現する企業であり続けるために、財務体質の強化を図り、収益性と安定性を総合的に向上させるべく、株主資本利益率(ROE)を重要な経営指標として捉えています。特定の数値目標の設定よりも、経営環境の変化に柔軟に対応し、持続的な企業価値の向上に重点を置いた経営管理を行っています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は中長期の成長戦略として、クルマの価値解析エンジンをさらに進化させ、それをユニット化したプラットフォームの利用拡大を図っています。また、既存領域である自動車ファイナンス市場への新たなサービス投入や、成長領域である自動車流通市場での営業強化を進めています。さらに、AIをはじめとする先端技術を活用できる人材の育成に注力し、競争力のある新たなビジネスモデルの創出を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は持続的な企業価値の向上のため、AIやビッグデータを実践的に活用できる企画力と技術力を持った人材の確保・育成を重要視しています。2025年4月からは「複線型人事制度」を導入し、専門職・総合職・一般職の3つのコースを設定することで、多様な人材が適材適所で活躍できる環境を整備しています。また、柔軟な働き方の推進によりダイバーシティの実現に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.3歳 9.7年 6,493,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 新商品開発に伴う先行投資負担


同社グループは、自動車関連事業者向けの新たな業務支援サービスの開発や新規事業への参入を進めており、先行投資を行う可能性があります。これらの投資により一定期間内に当初予測した収益を上げられなかった場合、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 専門人材の確保・育成の困難性


提供するサービスの品質向上や維持には、優秀な人材による開発体制が不可欠です。今後の事業成長に向け、AIなど先端技術を担う専門人材を適時に確保できない場合や、現在在籍している中核人材が予期せず退職した場合、サービス品質の低下や事業展開に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(3) システムトラブルの発生


クラウド型BPOサービスを展開する同社にとって、セキュリティ対策やデータのバックアップ体制は重要です。これらの対策にもかかわらず、人為的過誤や自然災害等によりシステムトラブルが発生した場合、損害賠償の発生やサービスへの信頼低下により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 情報セキュリティと個人情報管理


自動車関連事業者へのITサービス提供において、顧客の機密情報や個人情報を取り扱う業務を行っています。プライバシーマークを取得するなど情報管理を徹底していますが、不正アクセスや予期せぬ事態によって情報漏洩が発生した場合、同社グループの信用失墜につながるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。