記事タイトル:セキュアヴェイル転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社セキュアヴェイルの有価証券報告書(第25期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. セキュアヴェイルってどんな会社?
24時間365日体制のセキュリティ運用監視やログ分析など、情報セキュリティ対策に特化した企業グループです。
■(1) 会社概要
同社は2001年に大阪市で設立され、ネットワークセキュリティやログ分析サービスの提供を開始しました。2006年に上場し、2017年に人材サービスを担うキャリアヴェイル、2020年に製品開発を行うLogStareを設立しました。2026年には東証スタンダード市場および札証本則市場へ上場しています。
現在の従業員数はグループ全体で116名、単体で54名です。大株主の構成は、筆頭株主が創業者の米今政臣氏および事業会社であるNRIセキュアテクノロジーズで、第3位は資産管理会社であるeverYoneとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 米今政臣 | 15.60% |
| NRIセキュアテクノロジーズ | 15.60% |
| everYone | 5.40% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は米今政臣氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 米今政臣 | 代表取締役社長 | 1996年新日鉄情報通信システム入社。2001年同社設立、代表取締役社長に就任。2020年よりLogStare代表取締役を兼務。 |
| 堀野友之 | 取締役 | 2008年同社入社。ソフトバンク・テクノロジー等を経て、2021年LogStare取締役CTO等に就任。2025年より同社取締役副社長執行役員。 |
| 白石達也 | 取締役 | 2010年同社入社。東京技術グループリーダ、東京技術マネージャを経て、2020年より同社取締役常務執行役員。 |
| 大政崇志 | 取締役 | 2011年同社入社。技術グループリーダ等を経て、2021年より同社取締役執行役員。 |
| 三木亮二 | 取締役(常勤監査等委員) | 1979年三菱自動車工業入社。1991年新日鉄情報通信システム入社。2001年同社設立に伴い取締役副社長に就任。2016年より現職。 |
社外取締役は、上原武彦(北御堂筋パートナーズ法律事務所設立)、田島剛志(NRIセキュアテクノロジーズマネージドセキュリティサービス推進本部長)、上田勝久(かがやき監査法人代表社員)、小松宣郷(中央会計代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「情報セキュリティ事業」および「人材サービス事業」を展開しています。
■(1) 情報セキュリティ事業
24時間365日体制で顧客のネットワークインフラを監視し、機器故障やサイバー攻撃をいち早く発見する統合セキュリティ運用サービスや、AIを活用した次世代SOCサービスを提供しています。また、ネットワーク監視とログ管理を一本化したセキュリティ運用ソフトの開発・販売も行っています。
収益源は、顧客に提供するセキュリティ運用監視サービスの利用料や、独自開発したソフトウェア製品の販売・保守による対価です。運営は主にセキュアヴェイルおよび製品開発を担うLogStareが担当しています。
■(2) 人材サービス事業
情報セキュリティエンジニア不足が慢性化する社会環境を見据え、専門人材を育成し、顧客企業へ情報セキュリティエンジニアを派遣するサービスを提供しています。
収益源は、顧客企業からの情報セキュリティエンジニアの派遣料金です。既存顧客へのネットワーク型サービスに派遣サービスを合わせたハイブリッド型の提案も行っており、運営は主にキャリアヴェイルが担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の売上高は安定的に成長を続けています。経常利益は一時赤字を計上したものの、直近2期間は黒字に転換し、大幅な増益を達成して収益性が改善しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 9.6億円 | 10.3億円 | 11.0億円 | 11.5億円 | 12.8億円 |
| 経常利益 | -0.8億円 | -0.3億円 | -0.4億円 | 0.4億円 | 1.2億円 |
| 利益率(%) | -8.8% | -3.0% | -3.5% | 3.2% | 9.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -1.1億円 | -0.4億円 | 2.3億円 | 0.4億円 | 1.1億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い売上総利益も順調に拡大しており、売上総利益率は上昇傾向にあります。これにより営業利益も大きく伸び、営業利益率は改善傾向を示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 11.5億円 | 12.8億円 |
| 売上総利益 | 4.5億円 | 5.8億円 |
| 売上総利益率(%) | 39.2% | 45.4% |
| 営業利益 | 0.4億円 | 1.1億円 |
| 営業利益率(%) | 3.1% | 8.8% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が1.1億円(構成比24%)、役員報酬が1.0億円(同22%)、支払手数料が0.9億円(同20%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力である情報セキュリティ事業は既存契約の更新やAIを活用した新規サービスが奏功し増収増益を牽引しました。人材サービス事業も取引拡大や契約金額の交渉により好調に推移しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 情報セキュリティ事業 | 9.4億円 | 10.3億円 | 1.5億円 | 2.6億円 | 25.0% |
| 人材サービス事業 | 2.1億円 | 2.5億円 | 0.1億円 | 0.3億円 | 10.4% |
| 連結(合計) | 11.5億円 | 12.8億円 | 0.4億円 | 1.1億円 | 8.8% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う「健全型」の優良な状態にあります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -0.2億円 | 0.4億円 |
| 投資CF | -0.7億円 | - |
| 財務CF | - | -0.2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.6%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も81.1%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、グループの存在意義である企業理念として「貢献」を掲げています。最高品質のサービスを提供することにより、顧客の発展に貢献し、従業員とその家族を幸せにし、グループの発展と社会への貢献を目的としています。また、使命(ミッション)として、システム運営支援者として「安全」で「役立つ」サービスを提供し、顧客に末永く付き合える企業グループを目指しています。
■(2) 企業文化
同社グループは、社会環境の変化や技術の進化に対応するため、創業時から「創造(Creation)」「挑戦(Challenge)」「信頼(Confidence)」の3つの価値観を大切にしています。年齢や性別に関係なく活躍のチャンスが与えられ、多様な人材が自律的に学び、成長できる明るく前向きな風土づくりに注力しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、収益性および生産性を重視した経営活動を行うべく「売上高営業利益率」を重要な経営指標としています。また、資本コストや株価を意識した経営の実現に向け、「ROE(自己資本利益率)」の向上を意識した経営に取り組んでいます。
・連結売上高:14.4億円(2027年3月期)
・連結営業利益:1.4億円(2027年3月期)
・連結売上高営業利益率:9.6%(2027年3月期)
・ROE:8.0%(2027年3月期)
■(4) 成長戦略と重点施策
同社グループは、AIを活用した次世代SOCサービスである「AI-SOCシリーズ」を成長戦略の中核と位置付け、新たな販売パートナーの開拓と連携強化を推進しています。また、既存顧客に対する定期報告会の実施などを通じた関与度の向上や、組織全体のレベルアップを図るための専門人材の確保・育成を重点施策として取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、従業員を企業価値向上の源泉と位置づけ、多様な人材が活躍できる会社を目指しています。新卒および中途採用を積極的に行い、多様性のある組織づくりに取り組むとともに、スキルや貢献度に応じた人事制度、資格取得支援制度などを整備し、全ての従業員が持てる能力を最大限に発揮できる職場環境の構築を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 34.8歳 | 6.3年 | 4,484,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性役職者の人数(4人)、中途入社者の管理職比率(50%)、月平均残業時間(3.4時間)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
(1) システム障害について
同社グループのサービスはコンピュータシステムと通信ネットワークに大きく依存しているため、システム障害や自然災害等によりサービスの提供を停止せざるを得ない事態が発生した場合、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。対策として、自家発電設備を備えた耐震性等に優れたビルでのサービス提供や技術的対応を講じています。
(2) 競合と自社開発ソフトウェアの機能拡張
情報セキュリティ関連の技術は日進月歩であり、競合他社が顧客のニーズにいち早く対応した高品質な新サービスを開発する可能性があります。また、OSベンダーやハードウェアベンダーが同社の提供するソフトウェアと同等の機能を自社開発し、価格や性能面で競争力を持つ場合、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(3) 情報セキュリティ人材の確保
人材サービス事業において、情報セキュリティエンジニアは重要な経営資源であり、優秀な派遣技術者の確保が事業拡大の必須条件です。効率的な採用活動や人材教育に注力していますが、業界内で専門人材のニーズが増加する中、十分な人材確保が行えない場合、顧客の要請に対応できず事業および業績に影響を及ぼすリスクがあります。
(4) 情報管理とセキュリティ
同社グループは顧客、役員、従業員の個人情報を含む重要情報を扱っており、社内システムはファイアウォール等の多重のセキュリティ対策で保護されています。また、全従業員と秘密保持契約を締結するなどの対策を講じていますが、万一情報漏洩が発生し第三者に損害を与えた場合、損害賠償請求や信用の失墜により事業に悪影響を及ぼす可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。