セキュアヴェイル 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

セキュアヴェイル 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東証グロース市場に上場し、情報セキュリティ運用監視サービス「NetStare」やログ分析基盤「LogStare」の開発・提供、セキュリティエンジニアの派遣事業を展開しています。2025年3月期の業績は、売上高が前期比増収となり、営業利益および経常利益は黒字転換を果たしました。


※本記事は、株式会社セキュアヴェイル の有価証券報告書(第24期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. セキュアヴェイルってどんな会社?


情報セキュリティ専業企業として、24時間365日体制の運用監視サービスやログ分析ツール、セキュリティ人材の育成・派遣をワンストップで提供しています。

(1) 会社概要


2001年に設立され、ファイアウォール運用・監視サービス「NetStare」やログ解析サービス「LogStare」の提供を開始しました。2006年に大証ヘラクレス(現・東証グロース)へ上場し、2017年には人材サービスを行うキャリアヴェイル、2020年にはLogStareを設立して事業体制を強化しています。

2025年3月31日時点で、グループ全体の従業員数は106名(単体57名)です。筆頭株主は創業者の米今政臣氏で、第2位は野村総合研究所グループのセキュリティ事業会社であるNRIセキュアテクノロジーズ、第3位は創業者の資産管理会社となっています。

氏名 持株比率
米今 政臣 15.60%
NRIセキュアテクノロジーズ 15.60%
everYone 5.40%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名、計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は米今政臣氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
米今 政臣 代表取締役社長 1996年新日鉄情報通信システム(現日鉄ソリューションズ)入社を経て2001年同社設立。2006年より社長執行役員、2020年よりLogStare代表取締役を兼任し現職。
白石 達也 取締役 2010年同社入社。東京技術グループリーダ、マネージャを経て2018年取締役就任。2020年より常務執行役員を兼任し現職。
大政 崇志 取締役 2011年同社入社。技術グループリーダ、マネージャを経て2018年取締役就任。2021年より執行役員を兼任し現職。
堀野 友之 取締役 2008年同社入社。SBテクノロジーを経て2021年LogStare入社、同社取締役CTO就任。2024年より現職。
三木 亮二 取締役(常勤監査等委員) 三菱自動車工業、新日鉄情報通信システムを経て2001年同社設立時に取締役副社長就任。管理本部長、内部監査室長を経て2016年より現職。


社外取締役は、上原武彦(弁護士)、田島剛志(NRIセキュアテクノロジーズ マネージドセキュリティサービス開発本部長)、上田勝久(かがやき監査法人代表社員)、小松宣郷(中央会計代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「情報セキュリティ事業」および「人材サービス事業」を展開しています。

(1) 情報セキュリティ事業


コンピュータセキュリティの運用・監視・ログ分析サービスや、関連製品の開発・販売を行っています。主力サービスの「NetStare」は24時間365日体制で顧客のネットワークを監視し、障害やサイバー攻撃を発見します。また、「LogStare」はシステム監視とログ管理を一元化した運用基盤を提供しています。

収益は、顧客企業から受け取る運用監視サービスの月額利用料や、セキュリティ製品・ソフトウェアのライセンス販売・保守料などから構成されています。運営は、運用監視サービスをセキュアヴェイルが、ソフトウェア開発・販売をLogStareが主に担当しています。

(2) 人材サービス事業


情報セキュリティエンジニアの育成および派遣を行っています。専門知識を持つエンジニア不足に対応するため、志望者を募集し、独自の育成プログラムで実習訓練を行った上で顧客企業へ派遣するビジネスモデルを展開しています。

収益は、エンジニアの派遣先となる顧客企業から受け取る人材派遣料が主な源泉です。運営は、連結子会社のキャリアヴェイルが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期から2025年3月期までの業績推移です。売上高は一貫して増加傾向にありますが、利益面では赤字と黒字を繰り返しています。直近の2025年3月期は、売上高が11.5億円に達し、経常利益および営業利益が黒字に転換しました。当期純利益も黒字を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 12.0億円 9.6億円 10.3億円 11.0億円 11.5億円
経常利益 0.4億円 -0.8億円 -0.3億円 -0.4億円 0.4億円
利益率(%) 2.9% -8.8% -3.0% -3.5% 3.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.5億円 -1.1億円 -0.4億円 2.3億円 0.4億円

(2) 損益計算書


直近2期間の業績を比較すると、売上高は4.6%増加し、売上総利益も微増しました。販管費の削減が進んだことで、営業損益は前期の赤字から黒字へと改善しています。売上総利益率は約39%と安定した水準を維持しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 11.0億円 11.5億円
売上総利益 4.4億円 4.5億円
売上総利益率(%) 40.3% 39.2%
営業利益 -0.3億円 0.4億円
営業利益率(%) -3.0% 3.1%


販売費及び一般管理費のうち、役員報酬が1.1億円(構成比26%)、給料手当及び賞与が0.9億円(同22%)を占めています。売上原価に関しては、詳細な内訳データはありません。

(3) セグメント収益


情報セキュリティ事業は、既存顧客の契約更新や新規案件獲得により増収となり、人員増や設備投資を行いながらもセグメント利益は大幅に増加しました。人材サービス事業は、取引拡大や単価交渉により2割以上の増収となりましたが、利益面では減少しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
情報セキュリティ事業 9.3億円 9.4億円 0.8億円 1.5億円 15.8%
人材サービス事業 1.7億円 2.1億円 0.2億円 0.1億円 4.9%
調整額 -0.4億円 -0.4億円 -1.3億円 -1.2億円 -
連結(合計) 11.0億円 11.5億円 -0.3億円 0.4億円 3.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業・投資・財務いずれもマイナスで資金繰りが危機的である「末期型」のパターンを示しています。ただし、手元現金は11億円あり、これは月商の約11ヶ月分に相当するため、直ちに資金繰りに窮する状況ではありません。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -0.3億円 -0.2億円
投資CF 4.6億円 -0.7億円
財務CF -0.0億円 -0.0億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は76.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「貢献」を企業理念として掲げています。最高品質のサービスの提供を通じて、顧客の発展に貢献し、従業員とその家族を幸せにし、グループの発展と社会への貢献を目的としています。また、システム運営支援者として「安全」で「役立つ」サービスを提供することを使命としています。

(2) 企業文化


創業時から「創造(Creation)」「挑戦(Challenge)」「信頼(Confidence)」を大切にしています。社会環境の変化や技術の進化に対応するため、自ら考え行動できる人材の育成を目指しており、様々な知識や経験を持つ人材が自律的に学び、成長できる環境整備に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


2026年3月期を最終年度とする経営指標を掲げています。収益性と生産性を重視し、「売上高営業利益率」を重要な経営指標としています。また、規模拡大のために売上高と営業利益も重要視しています。

* 連結売上高:13.2億円
* 連結営業利益:1.09億円
* 連結売上高営業利益率:8.2%

(4) 成長戦略と重点施策


「営業体制の強化」「顧客との関係性強化」「サービスの強化及び新規開発」「人材確保と育成」を対処すべき課題として挙げています。販売パートナーの開拓や深耕、クラウド型サービスの提供、ストック型ビジネスにおける解約防止に取り組み、安定収益の維持とサービス領域の拡大を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


企業理念に共感する有能な人材を確保するため、新卒・中途採用を積極的に行い、多様性のある組織づくりに取り組んでいます。年齢や性別等に関係なく活躍できる職場環境を整備し、グループ内公募制や資格取得支援、女性活躍推進などの施策を通じて、従業員が能力を最大限発揮できる体制を構築しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 32.4歳 5.1年 426万円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本稿の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性役職者の人数(4人)、中途入社者の管理職比率(40.0%)、月平均残業時間(3.3時間)、有給取得率(61.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 情報漏洩リスク


ISO/IEC 27001認証の取得や社内システムのセキュリティ強化、従業員との秘密保持契約締結など、情報管理には十分な注意を払っています。しかし、個人情報を含む重要情報の漏洩が発生した場合は、損害賠償請求や信用失墜により、事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) システム障害リスク


サービス提供はコンピュータシステムと通信ネットワークに依存しており、システム障害や自然災害等により停止する可能性があります。自家発電装備のあるデータセンター利用等の対策を講じていますが、万が一の事態が発生した場合には、業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 人材サービス事業における人材確保


人材サービス事業において、優秀な情報セキュリティエンジニアの確保は事業拡大の必要条件です。ニーズ増加に伴い人材獲得競争が激化しており、派遣技術者の確保が十分に行えない場合は、顧客の要望に対応できず、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。