※本記事は、株式会社駅探 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月29日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
駅探は、公共交通機関の乗換案内や時刻情報、運行情報などをリアルタイムで提供する情報コンテンツサービスを核としています。移動体験を価値に変え、“人と人、人と街”がつながり続ける“循環型の移動社会基盤”の創造を目指しています。
単体従業員数は70名、連結従業員数は186名です。セグメントはモビリティサポート事業、広告配信プラットフォーム事業、M&A・インキュベーション事業の3つです。
主な国内グループ会社は、ラテラ・インターナショナル、プラウドエンジン、音生、駅探I&I、グロースアンドコミュニケーションズなどです。
同社グループは、2025年3月21日に株式会社サークアの全株式を譲渡しており、これにより同社の売上高は当連結会計年度の業績から除外されています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
駅探は、情報産業に属し、モビリティサポート事業などを展開する企業です。同社グループは、社会貢献につながる事業成長と社会発展を重視し、高度な専門知識と熱意を持つ人材の採用・育成に力を入れています。社員一人ひとりが能力を発揮し、長期的に活躍できる環境づくりを目指していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均年齢と平均勤続年数から、一定の経験を積んだ人材が安定して在籍している傾向が見られます。情報産業における専門性を重視する人材戦略と合わせて、長期的なキャリア形成を支援する環境が整っていることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,437,813円 |
| 平均勤続年数 | 8.3年 |
| 平均年齢 | 43.8歳 |
| 単体従業員数 | 70人 |
| 連結従業員数 | 186人 |
| 単体のグループ内比率 | 37.6% |
同社グループは、従業員向けに退職給付制度を設けています。
具体的には、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる「確定給付型」と、会社が拠出した資金を従業員が運用する「確定拠出型」の制度を採用しています。これらの制度は国内グループ会社に適用されています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループの人材戦略は、事業活動を社会貢献と結びつけ、その成長を通じて社会発展に貢献できる人材の採用と育成にあります。情報産業において将来を予測し、社会が求める知的集約サービスを提供するため、高度な専門知識と熱意を持つ人材を不可欠な存在と位置づけています。経営方針や事業戦略の共有・共感を通じて、人材が最大限に機能することを目指しています。
従業員の給与決定においては、人材を企業価値向上の重要な経営資本と捉え、確保・育成・定着、そして持続的な成長を実現することを目的としています。給与水準は、職務内容、役割、能力、経験、業務遂行状況に加え、市場動向や外部水準、同社グループの経営環境を総合的に考慮し、適正な水準を維持する方針です。
事業の社会的意義を理解し、経営方針や事業戦略の実現に主体的に貢献する人材を適切に評価することを基本とし、公正性・透明性を確保しながら個人の能力向上と組織への貢献を処遇に反映しています。社員一人ひとりがバックグラウンドやライフステージの違いを超えてワークライフバランスを充実させ、能力を発揮できる環境整備にも取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
同社は、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示項目は記載を省略しています。
育児・介護支援
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 育児休暇取得率(女性) | 100% |
| 育児休暇取得率(男性) | 50% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
駅探は、公共交通機関の乗換案内や時刻情報、運行情報などをリアルタイムで提供する情報コンテンツサービスを核としています。移動体験を価値に変え、“人と人、人と街”がつながり続ける“循環型の移動社会基盤”を創造することを目指しています。同社グループは、モビリティサポート事業、広告配信プラットフォーム事業、M&A・インキュベーション事業の3つのセグメントで事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、乗換案内サービスを基盤とし、地域軸でユーザーとサービスを繋げる「地域マーケティングプラットフォーム」構想を推進しています。強固な国内メディア基盤を活用した収益拡大策や、交通・旅行業界でのBtoBビジネスの提案・開発、インバウンド需要の取り込みなど、多角的な事業展開を進めています。
モビリティサポート事業
この事業では、乗換案内サービス「駅探ドットコム」の有料課金サービスや広告枠の販売を行っています。また、他社ポータルサイトへのコンテンツ提供、携帯キャリアや鉄道会社、地図会社等への乗換案内ASPの提供、地方自治体向けMaaS関連サービスの提供、チケットレス出張手配システムなども含まれます。
収益は、有料課金サービス、広告枠販売、コンテンツ提供、ASP提供、MaaS関連サービス、チケットレス出張手配システム、旅行ガイドブック制作、旅行関連プロモーションなどから得ています。運営は、駅探、ラテラ・インターナショナルが行っています。前期と比較すると、大手顧客への一部交通情報サービスの終了や乗換案内有料会員の減少により、売上高は減少しています。
広告配信プラットフォーム事業
この事業では、主にインターネット広告代理販売やマーケティングASPの販売を行っています。
収益は、インターネット広告代理販売、マーケティングASP販売などから得ています。運営は、プラウドエンジン、音生が行っています。生成AIや広告の自動最適化技術が台頭する事業環境の変化に加え、株式会社サークアの全株式譲渡の影響もあり、前期と比較して売上高は大幅に減少しています。
M&A・インキュベーション事業
この事業は、投資活動と、投資先子会社によるシステム関連業務(開発保守、SES)や労働者派遣などを含んでいます。
収益は、投資先子会社が提供するシステム関連業務や労働者派遣などから得ています。運営は、駅探I&I、グロースアンドコミュニケーションズ、サイバネット、アイティジェイが行っています。期初における顧客のプロジェクト開始遅延や、システム受託開発の主要顧客の内製方針への転換、物価高に伴う労務費・外注費の増大などにより、前期と比較して売上高は減少しています。
同社グループの売上高は、本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えており、国内市場が中心となっています。また、株式会社NTTドコモがモビリティサポート事業の主要な顧客の一つとなっています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| モビリティサポート事業 | 14.2億円 | 13.1億円 |
| M&A・インキュベーション事業 | 10.3億円 | 9.5億円 |
| 広告配信プラットフォーム事業 | 10.5億円 | 7.3億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は変動しながらも、当期は前期から減少しています。経常利益は前期に利益を計上していましたが、当期は損失に転じています。親会社株主に帰属する当期純利益も、前期は利益でしたが当期は損失を計上しています。
当期は、乗換案内サービスのコモディティ化により営業活動から生じる損益が継続してマイナスとなる見込みであることなどから、ソフトウエア等の無形固定資産の回収が困難と判断され、減損損失を計上しています。これにより、親会社株主に帰属する当期純損失が大きく影響を受けています。一方で、営業活動によるキャッシュ・フローは収入を維持しており、本業でのキャッシュ創出力は継続している状況です。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 28.9億円 | 32.1億円 | 40.4億円 | 35.0億円 | 29.9億円 |
| 経常利益 | 1.4億円 | 1.0億円 | 27百万円 | 1.6億円 | △12百万円 |
| 経常利益率 | 4.9% | 3.3% | 0.7% | 4.6% | △0.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 80百万円 | 90百万円 | △7.4億円 | 58百万円 | △3.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 14.56 | 17.04 | △152.02 | 12.15 | △78.09 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期と比較して減少しています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)は、前期は利益を計上していましたが、当期は損失に転じています。
これらの指標の変化は、売上高の減少や減損損失の計上といった要因が影響していると考えられます。組織全体の効率性や収益創出能力の動向を把握する上で、これらの指標は重要な要素となります。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 18.0百万円 | 16.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.6百万円 | △0.1百万円
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業の収益性が課題となる中で、新たな事業構想と戦略の推進に取り組んでいます。フリーキャッシュフローはマイナスとなっており、事業再編と成長に向けた投資フェーズにあることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率はプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準にあります。しかし、ROE(自己資本利益率)は当期にマイナスとなっており、前期と比較しても低い水準を示しています。手元資金である現金及び預金は減少傾向にあります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 16.5億円 | 12.2億円 |
| 自己資本比率 | 67.0% | 65.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 3.5% | △25.7% |
| 現金及び預金 | 12.6億円 | 10.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当期の営業活動によるキャッシュ・フローはプラスですが、投資活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなっています。これにより、フリーキャッシュ・フローはマイナスとなり、本業で生み出した資金だけでは投資を賄いきれていない状況です。財務活動によるキャッシュ・フローもマイナスであり、借入金の返済や配当金の支払いが行われています。
この資金の流れは、同社グループが新たな収益源の創出に向けた投資を進めている一方で、本業の収益性が課題となっている状況を示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.5億円 | 0.2億円 |
| 投資CF | △0.5億円 | △0.5億円 |
| 財務CF | △2.2億円 | △1.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 1.0億円 | △0.3億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの主要サービスである乗換案内サービスは、無料サービスの台頭によりコモディティ化が急速に進んでいます。また、円安や原材料価格の高騰、AIサービスによる需要増により、サービス維持のためのハードウェア及びソフトウェアの調達価格が高騰しています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループが持続的成長を実現するためには、技術者をはじめとする事業人材やマネジメント、経営人材など幅広い領域におけるプロフェッショナルな人材が必要です。適切な人材が十分に確保・育成できない場合、中期経営計画の達成に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
駅探は、公共交通機関の乗換案内サービスを核に、人々の移動を支える情報コンテンツサービスを提供しています。移動体験を価値に変え、人と人、人と街がつながり続ける社会基盤の創造を目指している会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、公共交通機関をメインとした乗換案内サービスを核としています。移動体験を価値に変え、“人と人、人と街”がつながり続ける“循環型の移動社会基盤”を創造することを目指しています。
事業コンセプトとして「同社は、移動に関する情報とデータを通じて、人の移動を支える企業です」を掲げています。BtoC事業では経路検索・交通情報サービスを提供し、BtoB事業では業務向けソリューションや交通データの提供を通じて、企業や自治体のサービス運営や業務効率化に貢献しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、移動機会を広げ、人の流れを生み出し、新たなスキームによって経済効果を高め、持続的に循環する仕組みを提供することを目指しています。現代社会における「移動」と「地域経済」に関わる課題を重要課題(マテリアリティ)としています。
具体的には、「社会インフラとしての移動の最適化」「地域経済の活性化」「持続的な成長を支える基盤としての人的資本強化」「競争力の源泉としての知的財産」をマテリアリティとしています。社員一人一人が、それぞれのバックグラウンドやライフステージの違いを越え、ワークライフバランスを充実し、能力を発揮することが重要であると考えています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、中長期的な企業価値の向上と持続的な成長を実現するため、いくつかの課題に優先的に取り組んでいます。その一つが「人材の確保と育成」です。
中期経営計画を達成するため、豊かな経験と高いスキルを持つ人材や、潜在能力の高い人材の獲得に向けた採用活動を行っています。また、社員の役割に見合ったスキルの獲得のための育成施策の実施や、評価制度の改善を通じて、社員の総合的な能力を高めることに注力しています。
さらに、「グループガバナンス体制の強化」も重要なテーマです。業容拡大に伴う業務の増大に対応して、内部統制の仕組みを改善し、連結子会社を含む同社グループ全体のコーポレート・ガバナンス体制を強化しています。サステナビリティに関する課題への対応も経営の重要課題と認識しており、サステナビリティ委員会を設置し、基本方針や重要課題の特定、リスクと機会の検討、施策の進捗管理を行っています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
駅探は監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会が経営を監督する体制を構築しています。多様な専門性を持つ社内外の役員が経営に参画し、ガバナンスの強化に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
駅探の筆頭株主は事業会社であるBold Investmentです。上位株主には複数の個人株主も名を連ねており、多様な株主によって支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| Bold Investment | 35.94% |
| 渡辺 佳昭 | 3.44% |
| 柿沼 佑一 | 2.53% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性6名・女性2名)で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は菊井健大氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 菊井 健大 | 代表取締役 社長 | 2008年富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ入社、2016年マーケットエンタープライズ入社、2021年Bold Investment入社。2024年同社COO、2025年君沢サンヨー代表取締役、東京コンポーネント取締役より現職。 |
| 藤井 知明 | 取締役 | 1985年日栄証券入社、2007年モーニングスター入社、2014年高木証券入社、2017年あかつき証券入社。2022年Imperator入社、2023年Bold Investment入社より現職。 |
| 島田 零三 | 取締役 | 1987年奥野製薬工業入社、1989年共信電気入社、2000年ジャパンライフ入社。2003年ノア入社、2004年同社取締役管理本部長。2011年東京コンポーネント入社、2025年同社代表取締役CEOより現職。 |
社外取締役は、成清紘介氏(KIC取締役)、村田晴香氏(三浦法律事務所パートナー)です。
同社は監査役会設置会社を採用しており、社外取締役2名が経営の管理監督環境を確保しています。社外監査役を中心とした監査体制により、経営の意思決定に対する実効性のある監査を行う体制です。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
駅探の取締役の報酬は、金銭報酬としての基本報酬(固定報酬および評価報酬)、業績連動型株式報酬、譲渡制限付株式報酬により構成されています。社外取締役に対しては、その職務に鑑み固定報酬としての基本報酬のみを支給する方針です。取締役の報酬決定においては、任意の諮問機関である指名・報酬諮問委員会が審議を行い、公正性・透明性・客観性を確保しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 23百万円 | 4.6百万円 |
| 社外役員 | 10名 | 22百万円 | 2.2百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
また、非金銭報酬等の総額は譲渡制限付株式報酬であり、期中に退任した役員に対する費用も含まれています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。