駅探の筆頭株主による「現経営陣の全員退任」提案が勝利 元社員が明かす「10年以上続くパワハラ体質」

駅探の筆頭株主による「現経営陣の全員退任」提案が勝利 元社員が明かす「10年以上続くパワハラ体質」

マザーズ上場の駅探の筆頭株主が、現経営陣全員の退任を求める株主提案を発表しました。駅探は反対意見を表明し委任状争奪戦に発展しましたが、会社側の敗北が決定的に。事の発端は長年にわたる経営陣によるパワハラですが、駅探の社内で何が起こっていたのでしょうか。実際にパワハラに遭遇して退職した元従業員2人にインタビューしました。


議決権行使助言会社は「会社提案に賛成」だが

乗換案内サービスを運営する駅探(えきたん)。その株式の31%を所有する筆頭株主「株式会社CEホールディングス」が2020年5月21日、株主提案を発表しました。その内容は、現経営陣全員の退任という衝撃的なものでした。

「本株主提案の目的は、事業展開の遅滞と企業価値の減少、常勤取締役によるパワーハラスメント、大量の退職者やメンタル不調者の発生など、組織運営上の重大な問題を発生させ、またそれを看過し、かつ株主を軽視する現経営陣の変更であり、それにより駅探の企業価値向上を実現することです」

駅探はこれに反対意見を表明し、6月29日の株主総会を前にプロキシーファイト(議決権行使書の委任状争奪戦)に発展。両社のサイト上では、株主や駅探社員に対する訴えが連日発表されています。

そんな中、国際的な議決権行使助言会社であるISSが、株主提案に反対し会社提案に賛成するレポートを公開。「敵対的買収の事例ですら経営陣の完全な交代を主張するケースは稀」「現実的でない」と理由を述べているようです。

果たしてこの見方は正しいのか。2017年に退職したエンジニアのAさんは、経営陣の大幅な入れ替えがなければ会社の復活は難しいのではという考えです。

「CEホールディングスとの事業展開などが遅延している理由は、元東芝のキーマンたちの大量退職が原因です。彼らがいなかったら政府関連の大きな案件などが扱えないのに、パワハラで退職してしまい、事がうまく進まないのでしょう。

ただ、事業展開に遅延があるから株主提案したというCEホールディングスの意見は、体裁を和らげるためで、実際にはあまりに長く続いて組織をボロボロにしているパワハラを、大株主としていよいよ見過ごせなくなってきたからだと思います。

問題の元常務は、今回の株主提案を契機とした調査報告書を受けて、取締役候補からの辞退を申し出たようです。しかし個人的には、代表取締役を含む役員の総入れ替えをして、ベンチャーの企業風土に変えなければ、会社は息を吹き返さない気がします」

 

経営陣によるパワハラは「東芝からの独立以来の話」

地味な色合いの「駅探」トップページ(スマホ版。2020年6月24日現在)

駅探はもともと東芝の一部門として、1997年に乗り換え案内サービス「駅前探検倶楽部」として開設されたサービス。2000年にはiモード向けサイトを立ち上げて成長を続け、2003年に東芝の子会社として分社化しています。

創業時から事業をけん引してきた「元東芝のキーマン」のひとり、Bさんにも話を聞きました。分社化の際には30人の社員のほとんどが東芝からの出向者でしたが、Bさんを含めた数名は、IPO(株式公開)を目指すためにリスクを負って東芝を退職し転籍したそうです。

その後、東芝は米原子炉メーカー大手のウエスチングハウスを買収(2006年)する資金を作る必要などがあり、経営陣が投資ファンドと共同で会社を買収(MBO)。2007年に駅探は東芝から独立し、そのタイミングで現社長の中村太郎氏に代表者が交代しています。

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ビジネス会計の知識を生かして執筆活動を行っています。読者にわかりやすい記事を書けるよう日々精進しています。


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筆頭株主との委任状争奪戦に敗れ「全役員クビ」の要求を飲まざるを得なくなった駅探。パワハラによる中核社員の退職などもあって長期間にわたって売上高が伸び悩み、営業利益率は3期連続悪化しています。一方で財務安全性は高く、豊富なキャッシュを活かした適切な投資が望まれるところです。財務諸表などを元に会社の現状と課題を整理します。