オイシックス・ラ・大地 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オイシックス・ラ・大地 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オイシックス・ラ・大地は東京証券取引所プライム市場に上場し、食品宅配などのB2Cサブスク事業と給食受託等のB2Bサブスク事業を主力とする企業です。直近の業績では、車両運行事業の譲渡等により売上高は微減となったものの、本業の収益構造の改善や関係会社株式の売却益などにより当期純利益は大幅な増益を達成しています。


※本記事は、オイシックス・ラ・大地株式会社の有価証券報告書(第29期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. オイシックス・ラ・大地ってどんな会社?


独自の安全基準に基づく食品宅配事業や、施設向け給食受託事業などを幅広く展開する企業です。

(1) 会社概要


2000年にオイシックスとして設立され、食品販売サイトを通じて食品宅配事業を開始しました。2013年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場し、2017年に大地を守る会、2018年にらでぃっしゅぼーやと統合して現在の社名に変更しました。2024年にシダックスを子会社化し、給食事業等の強化を進めています。

従業員数は連結で8,196名、単体で916名です。筆頭株主は創業者の髙島宏平氏で、第2位は外国法人の信託銀行、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
髙島 宏平 13.96%
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 8.41%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.95%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性4名の計13名で構成され、女性役員比率は30.8%です。代表取締役社長の髙島宏平氏が経営を牽引しており、社外取締役比率は38.5%です。

氏名 役職 主な経歴
髙島 宏平 代表取締役社長 マッキンゼー・アンド・カンパニー・インクジャパンを経て、2000年より現職。東の食の会代表理事、とくし丸代表取締役会長などを兼任。
堤 祐輔 取締役執行役員 1997年の創業時に入社し、1999年に取締役に就任。2008年より現職。カラビナテクノロジー取締役などを兼任。
小﨑 宏行 取締役執行役員 ダイエーの執行役員や取締役を経て、2008年に顧問として入社。2009年より現職。シダックスヒューマン&フードサービス取締役などを兼任。
松本 浩平 取締役執行役員 2008年に入社し、2014年に執行役員に就任。2018年より現職。Future Food Fund代表取締役などを兼任。


社外取締役は、花田光世(慶應義塾大学名誉教授)、田中仁(ジンズホールディングス代表取締役)、渡部純子(リクルートIDポイントプロダクトサービス開発部部長)、櫻井稚子(NTTドコモ執行役員)、小脇美里(LYLA代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「B2Cサブスク事業」「B2Bサブスク事業」「社会サービス事業」「車両運行サービス事業」および「その他」を展開しています。

B2Cサブスク事業


ウェブサイトやカタログを通じて、環境負荷が少なく高付加価値な青果物やミールキット、日用品などを一般消費者向けに販売しています。「Oisix」「大地を守る会」「らでぃっしゅぼーや」などのブランドを展開し、安全性を重視する顧客にサービスを提供しています。

収益は一般消費者からの商品購入代金やサブスクリプション利用料から得ています。運営は主にオイシックス・ラ・大地が行い、米国向けのヴィーガン食宅配事業は子会社のThree Limes,Inc.が担っています。

B2Bサブスク事業


保育園への食材卸事業に加え、企業、官公庁、学校、病院、老人保健施設などの食堂や給食の受託運営を行っています。また、外食産業向けの食材販売も手がけています。

収益は、施設や企業からの給食業務受託料や食材卸の売上から得ています。運営は主にシダックスコントラクトフードサービスやシダックスフードサービスなどの子会社が行っています。

社会サービス事業


地方自治体からの放課後児童クラブ(学童保育)、図書館、児童館などの施設管理および運営を受託しています。また、民間企業からの各種アウトソーシング業務も請け負っています。

収益は、地方自治体や企業からの業務委託料および施設運営管理料から得ています。運営は主にシダックス大新東ヒューマンサービスなどの子会社が行っています。

車両運行サービス事業


企業の役員向け車両の運行管理や、顧客が所有する自家用自動車の運転管理、コミュニティバス等の運行業務など、車両運行にかかわるアウトソーシングを受託しています。

収益は、民間企業や自治体からの車両運行委託料から得ています。運営は子会社が行っていましたが、2025年10月に該当子会社の株式譲渡に伴い、現在はグループから除外されています。

その他


他社EC支援事業、移動スーパー事業、食分野のスタートアップを対象とした投資事業などを展開しています。

収益は他社からの支援手数料や商品販売代金、運用益から得ています。運営はとくし丸やFuture Food Fundなどの子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高はM&Aなどの影響により急拡大してきましたが、直近では一部事業の譲渡により微減となっています。一方、利益面では収益構造の改善や事業の選択と集中が進み、経常利益は増加傾向にあり、利益率も安定して推移しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1135億円 1152億円 1484億円 2560億円 2514億円
経常利益 42億円 28億円 44億円 66億円 68億円
利益率(%) 3.7% 2.4% 3.0% 2.6% 2.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 25億円 26億円 57億円 36億円 8億円

(2) 損益計算書


売上高は事業譲渡等の影響により減少したものの、売上総利益率は高い水準を維持しています。また、全社的な収益性改善により販管費の抑制が進んだことで営業利益および営業利益率ともに向上し、本業の収益力が高まっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2560億円 2514億円
売上総利益 752億円 739億円
売上総利益率(%) 29.4% 29.4%
営業利益 69億円 73億円
営業利益率(%) 2.7% 2.9%


販売費及び一般管理費のうち、荷造運賃発送費が127億円(構成比19%)、給料手当が118億円(同18%)を占めています。

(3) セグメント収益


B2Cサブスク事業は会員減やコスト増により減収となりましたが、B2Bサブスク事業は価格適正化と運営標準化の進展により増収を達成しました。社会サービス事業も学童保育の好調で順調に伸長しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
B2Cサブスク事業 972億円 943億円
B2Bサブスク事業 765億円 832億円
社会サービス事業 365億円 403億円
車両運行サービス事業 271億円 145億円
その他 187億円 190億円
連結(合計) 2560億円 2514億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益+資産売却で借入返済を進める改善局面となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 35億円 93億円
投資CF -125億円 20億円
財務CF -16億円 -92億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.7%で市場平均を上回るほか、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も25.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「これからの食卓、これからの畑」を企業理念に掲げ、食に関する社会課題をビジネスの手法で解決することをミッションとしています。顧客に美味しく楽しく健康的な食生活を送ってもらうためのサービスを追求し、持続可能な社会の実現を目指しています。

(2) 企業文化


社員目線での多様性や働きやすさを追求するとともに、企業理念を実現するための行動規範である「ORDism(オーディズム)」の実践を重視しています。生産者や顧客の声を直接聞く機会や、農作業体験などを通じて、自身の仕事の意義を深く理解し、社会貢献を実感できる文化を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


2030年を目標年度とした中長期の計画を掲げています。B2Bサブスク事業を主軸とした売上高の持続的成長および収益性改善による増収増益と並行して、B2Cサブスク事業の収益性改善を進め、トップラインの拡大と収益性の向上の両立を強力に推進しています。

(4) 成長戦略と重点施策


B2C事業とB2B事業のシナジー創出を加速させ、商品開発から調達、製造、物流までの一体運営により持続的な成長サイクルを確立します。また、AIやデータ活用によるパーソナライズ化、ロールアップ型M&Aによる給食事業の規模拡大と「タイパ給食モデル」の導入を通じた高付加価値化と省人化を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人が育ち、育てられ、社員が生き生きと働くことが出来る居場所を創造する」というビジョンのもと、内部人材の計画的育成と外部人材の戦略的獲得を推進しています。自律的なキャリア形成を支援する独自の「セルフ・キャリアドック」を導入し、多様な人材が能力を最大限に発揮できる環境整備に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 41.1歳 10.0年 6,937,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 30.1%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 65.0%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 67.8%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 86.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、障がい者の雇用率(2.9%)、採用に対する中途入社者の比率(90.8%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) CtoC市場および給食市場の競争激化


食のEC市場における他社参入やネットスーパーとの競合、B2Bサブスク事業における給食業界内の価格競争などにより、受託価格の低下や顧客離れが生じる可能性があります。同社は、独自性のある商品提案や新しい価値提供を通じて差別化を図り、競争優位性の維持に努めています。

(2) 大規模な風水害等の気候変動リスク


農業や漁業などの一次産業産品を取り扱うため、台風や集中豪雨などの自然災害が発生した場合、商品の調達困難や品質劣化、物流網の混乱に伴う配送遅延が生じるリスクがあります。同社は調達産地を全国に分散させ、複数産地からの供給体制を確保することで影響の軽減を図っています。

(3) サプライチェーンにおける品質と物流リスク


取扱商品の農薬使用等に関する虚偽情報や食品事故が発生した場合、ブランドイメージや信用が低下する恐れがあります。また、物流業務の特定の拠点への集中や、配送委託先からの配送料値上げ要請等により、操業支障やコスト増が発生し、事業に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 情報セキュリティおよびシステム障害リスク


食品宅配事業の大半を業務管理システムに依存しているため、アクセス急増やサイバー攻撃、不具合等によりシステム障害が発生した場合、事業運営に支障をきたす恐れがあります。また、個人情報の漏洩が発生した場合には、社会的信用の失墜や損害賠償に発展するリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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