メニコン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

メニコン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム・名証プレミア上場。コンタクトレンズやケア用品等のビジョンケア事業を主力とします。直近の業績は、国内の価格改定効果や1日使い捨てレンズの販売増により売上高・各利益ともに前期を上回り、増収増益となりました。


※本記事は、株式会社メニコン の有価証券報告書(第68期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. メニコンってどんな会社?


日本初の角膜コンタクトレンズを開発したパイオニア企業です。コンタクトレンズおよびケア用品の製造・販売を行うほか、定額制サービスも展開しています。

(1) 会社概要


1951年に創業者が日本初の角膜コンタクトレンズを開発し、1957年に日本コンタクトレンズとして設立されました。2001年には業界初の定額制会員システム「メルスプラン」を開始し、ビジネスモデルを革新しました。2015年に東証一部・名証一部へ上場し、2022年の市場区分見直しに伴いプライム市場・プレミア市場へ移行しています。

連結従業員数は4,325名、単体では1,894名です。大株主の筆頭は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は創業家と関連があると思われる株式会社トヨトミ、第3位は信託銀行です。創業家の田中英成氏やその親族も主要株主に名を連ねており、創業家が一定の影響力を有しています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 12.28%
株式会社トヨトミ 5.17%
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 3.68%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性2名の計13名で構成され、女性役員比率は15.0%です。代表執行役社長最高経営責任者 CEOは川浦康嗣氏です。社外取締役比率は38.5%です。

氏名 役職 主な経歴
川浦 康嗣 取締役
代表執行役社長最高経営責任者 CEO
1992年入社。シンガポールR&Dセンター長、商品開発本部長、生産開発統括本部長などを経て、2023年代表執行役社長に就任。2025年6月より現職。
滝野 喜之 取締役取締役会議長監査委員指名委員 1984年入社。経営管理室経理部長、経営管理室長、経営統括本部経営管理室長などを歴任。2018年6月より現職。
篠田 浩樹 取締役監査委員報酬委員 1986年入社。関東営業部長、国内営業本部長、国内営業統括本部長などを経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、堀西良美(弁護士)、渡辺眞吾(公認会計士)、本多立太郎(エフエム愛知取締役会長)、柳川勝彦(元富士ゼロックス取締役専務執行役員)、寺﨑浩子(名古屋大学名誉教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ビジョンケア事業」および「その他」事業を展開しています。

ビジョンケア事業


コンタクトレンズ(ハード、ソフト、使い捨て等)およびケア用品の製造・販売を行っています。また、月々の定額会費でコンタクトレンズを利用できる会員制システム「メルスプラン」を提供しており、会員に対し継続的なサポートを行っています。

収益は、コンタクトレンズ販売店や卸売業者への製品販売代金、およびメルスプラン会員からの月会費等から得ています。運営は、同社およびメニコンネクト、ダブリュ・アイ・システム、Menicon SAS(フランス)、Menicon Singapore Pte. Ltd.(シンガポール)などの国内外の子会社が行っています。

その他


動物医療事業(動物用眼内レンズやサプリメント等)、環境事業(稲わら分解促進材等)、ライフサイエンス研究、食品事業(農水産物の輸出入等)など、多角的な事業を展開しています。

収益は、各製品の販売やサービスの提供に対する対価から得ています。運営は、同社およびメニワン(動物医療)、メニコンビジネスアシスト(人材派遣等)、板橋貿易(食品事業)などが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は5期連続で増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。利益面では、第67期に一時的な減益が見られましたが、直近の第68期では増益に転じ、回復基調にあります。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 862億円 1,002億円 1,102億円 1,162億円 1,215億円
経常利益 83億円 101億円 118億円 82億円 96億円
利益率(%) 9.7% 10.0% 10.7% 7.1% 7.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 60億円 65億円 74億円 45億円 56億円

(2) 損益計算書


売上高は増加し、売上総利益率も改善傾向にあります。営業利益も増加しており、本業の収益性が向上しています。販売費及び一般管理費は増加していますが、売上高の伸びに伴う範囲内での推移となっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,162億円 1,215億円
売上総利益 610億円 651億円
売上総利益率(%) 52.5% 53.6%
営業利益 90億円 101億円
営業利益率(%) 7.7% 8.3%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び賞与が119億円(構成比22%)、研究開発費が59億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益


ビジョンケア事業は、国内の価格改定や1日使い捨てレンズの販売増により増収増益となりました。一方、その他事業は、食品事業における中国向け売上の減少などが影響し、減収となり営業損失が拡大しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
ビジョンケア事業 1,069億円 1,123億円 155億円 170億円 15.1%
その他 93億円 92億円 -9億円 -11億円 -12.5%
調整額 - -0億円 -57億円 -58億円 -
連結(合計) 1,162億円 1,215億円 90億円 101億円 8.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は「積極型」です。本業でしっかりと現金を稼ぎつつ(営業CFプラス)、将来の成長に向けた設備投資などを積極的に行い(投資CFマイナス)、不足分を資金調達で補っています(財務CFプラス)。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 119億円 139億円
投資CF -216億円 -197億円
財務CF 146億円 7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は45.5%で市場平均をやや下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「創造」「独創」「挑戦」を経営理念とし、「エンドユーザーファースト」の精神のもと、製品やサービスを通じて顧客の目の健康を守ることを目指しています。また、「人にも動物にも環境にも優しい地球企業」を目指し、社会に役立つ製品とサービスを世界中へ提供することを目標としています。

(2) 企業文化


同社は、スローガンとして‘新しい「みる」を世界に’を掲げ、五感を通じて人々が幸せや豊かさを実感できるような商品やサービスの提供を目指しています。また、持続可能な社会の実現に向け、「五感を刺激する生活の提供」「地球環境の負荷低減」「笑顔あふれる社会への貢献」「100年続く企業基盤づくり」を重要課題として定めています。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画「Vision2030」を策定しており、その達成に向けたマイルストーンとして、以下の数値目標を定めています。

* 連結売上高1,400億円超(2028年3月期)
* 営業利益率12%(2028年3月期)
* ROE12%(2028年3月期)

(4) 成長戦略と重点施策


「Vision2030」実現のため、「1DAY戦略方針」と「オルソケラトロジー関連戦略方針」の2つを掲げています。1日使い捨てレンズの供給能力強化のため、国内工場のライン増設やマレーシア新工場の準備を進めています。また、近視進行抑制への関心が高まる中、アジアを中心にグローバルでオルソケラトロジーレンズ等の販売強化に取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「多様性の融合」「人材戦略の最適化」「組織風土の改革」をポイントに掲げています。国籍や性別を問わない採用、女性活躍推進、オフィス改革等を進めるとともに、「一般教育」「専門教育」「実践教育」の3本柱で人材育成を行っています。また、挑戦や失敗を評価する新人事制度の導入により、イノベーションを生む組織風土の醸成を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 38.3歳 11.9年 6,097,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.1%
男性育児休業取得率 91.9%
男女賃金差異(全労働者) 68.5%
男女賃金差異(正規雇用) 69.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 92.8%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合等の影響


コンタクトレンズ市場には多くの競合他社が存在し、価格競争やプロモーション強化によりシェアを奪われる可能性があります。また、生活スタイルの変化等による顧客ニーズの変化に対応できなければ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。同社は商品開発体制の強化やメルスプランの推進等により、競争力維持に努めています。

(2) 法的規制について


コンタクトレンズは高度管理医療機器であり、製造販売には許可が必要です。医薬品医療機器等法等の改正や新たな規制の制定により、開発期間の長期化やコスト増大が生じる可能性があります。また、法令違反等があれば許可取り消し等の重大な事態を招く恐れがあります。同社は専任部署を設置し、各国の規制動向を把握・対応しています。

(3) 海外での事業展開について


欧州、北米、アジア等で事業を展開していますが、進出国の政治・経済情勢の変化や市場動向、競合他社の動き等により、業績に影響が及ぶ可能性があります。昨今の不安定な世界情勢もリスク要因です。同社は現地法人の販売力強化や営業体制整備を進めるとともに、M&A等による市場開拓も検討し、リスク分散を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。