アカツキ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アカツキ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アカツキは東京証券取引所プライム市場に上場し、ゲーム・コミック事業、エンタメ・ライフスタイル事業、AI・DXソリューション事業を展開しています。直近の業績は売上高259億円、営業利益74億円と増収増益を達成しており、新規M&A等を通じて事業ポートフォリオの多角化と収益拡大を推進しています。


※本記事は、株式会社アカツキの有価証券報告書(第16期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アカツキってどんな会社?


モバイルゲーム開発やコミック配信を中心に、エンタメ・AI領域へと事業を多角化する企業です。

(1) 会社概要


アカツキは2010年にモバイルゲームの企画開発を目的として設立されました。2015年の「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」、2018年の「ロマンシング サガ リ・ユニバース」など有力IPの協業タイトルを相次いでリリースし、2016年に上場を果たしました。近年は積極的なM&Aを進めています。

同社グループは連結で537名、単体で34名の従業員を擁しています。大株主の構成をみると、筆頭株主は創業者の香田哲朗氏であり、第2位には事業会社として資本業務提携を結んでいるソニーグループが名を連ねています。第3位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行となっています。

氏名 持株比率
香田 哲朗 10.20%
ソニーグループ 9.69%
日本マスタートラスト信託銀行 8.25%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は香田哲朗氏が務めており、社外取締役の比率は60.0%となっています。

氏名 役職 主な経歴
香田 哲朗 代表取締役社長 2009年アクセンチュア入社。2010年同社を創業し代表取締役社長。2020年より現職。
石倉 壱彦 取締役副社長CFO兼CSO 2005年あずさ監査法人入所。2014年同社監査役、2025年より現職。


社外取締役は、勝屋久(元日本アイ・ビー・エム)、水口哲也(元セガ・エンタープライゼス)、梅津文(元マッキンゼー・アンド・カンパニー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ゲーム・コミック」「エンタメ・ライフスタイル」「AI・DXソリューション」および「その他」の事業を展開しています。

(1) ゲーム・コミック事業


スマートフォン向けゲームや縦読みフルカラーコミックの企画・開発・配信を提供し、一般ユーザーを主な顧客としています。

ゲーム内課金やコミックの購読料等を収益源としています。ゲーム領域は主にアカツキゲームスが、コミック領域はHykeComicが運営を担い、有力IPタイトルやオリジナル作品を国内外のアプリマーケットを通じて提供しています。

(2) エンタメ・ライフスタイル事業


オンラインくじ販売システムの提供やファンアプリプラットフォームの開発、およびスイーツショップブランドの運営を行っています。

オンラインくじの決済手数料やファンクラブのマーケティング支援料、店舗での菓子販売代金を収益源とします。システムの提供は同社やCRAYONが、菓子の製造販売はPAPABUBBLEがそれぞれ運営を担っています。

(3) AI・DXソリューション事業


SNSマーケティング、クリエイターエージェンシー、AIエージェント構築から定着・育成を目的とした内製化支援などのトータル支援サービスを顧客企業に提供しています。

顧客企業からのSNSマーケティング支援料や広告動画の制作受託料、AIソリューションの提供対価を収益源としています。運営はNateeやアカツキAIテクノロジーズが担っています。

(4) その他


報告セグメントに含まれない事業として、スタートアップ企業等への投資と成長支援を行うコンテンツ投資事業などを展開しています。

投資先企業の成長に伴うリターンなどを主な収益源としています。Dawn Capital1号投資事業有限責任組合やEMOOTE PTE.LTD.を通じて投資を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績をみると、売上高は240億円前後で推移していましたが、直近期には新規子会社化などの影響により259億円へと増加しました。経常利益率も一時的に低下したものの直近期には29.5%まで回復し、当期利益も大きな黒字転換を果たしています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 263億円 243億円 240億円 237億円 259億円
経常利益 79億円 52億円 28億円 42億円 76億円
利益率(%) 29.9% 21.4% 11.8% 17.9% 29.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 49億円 36億円 35億円 -27億円 58億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益は微増となりましたが、販売費及び一般管理費が大幅に削減された結果、営業利益は前期比で大きく増加しています。これにより営業利益率も16.6%から28.8%へと改善しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 237億円 259億円
売上総利益 137億円 140億円
売上総利益率(%) 57.9% 54.3%
営業利益 39億円 74億円
営業利益率(%) 16.6% 28.8%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が13億円(構成比19%)、支払手数料が10億円(同15%)、給与手当が8億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のゲーム・コミック事業は既存タイトルの運用効率化等を進める中で売上高が横ばい推移となりました。一方、エンタメ・ライフスタイル事業は好調に推移し、新たに連結対象となったAI・DXソリューション事業も売上に貢献しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
ゲーム・コミック事業 224億円 221億円
エンタメ・ライフスタイル事業 12億円 26億円
AI・DXソリューション事業 - 11億円
その他 1億円 0.2億円
連結(合計) 237億円 259億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態を示す「積極型」となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 36億円 27億円
投資CF -12億円 -33億円
財務CF -21億円 32億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.1%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も72.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、新ビジョン「– Challengers’Community –」を掲げ、「感性とテクノロジーで、世界をもっと楽しく、豊かに変えていく。」というミッションを企業活動の根幹に据えています。人と事業がそれぞれ連携し価値を高め合い、驚きや新しさを持った企画やサービスにスピード感をもって挑戦するコミュニティの構築を目指しています。

(2) 企業文化


組織の哲学として、「成長とつながり」という価値観を重視しています。インスピレーショナルなものづくりや働くということの幸福を感じられる組織として成長することを大切にしており、メンバー、クリエイター、チームや企業などと一緒に挑戦するパートナーとして、魅力的なコミュニティを形成する方針です。

(3) 経営計画・目標


継続的な企業価値の向上を経営上の重要課題と認識しており、売上高および営業利益を重要な経営指標として掲げています。また、株主還元も経営の重要施策と位置づけ、事業環境や投資回収の進捗を勘案しながら、配当総額の基準となる連結株主資本配当率(DOE)を4%に設定するなど、利益拡大と株主還元を重視しています。

(4) 成長戦略と重点施策


主力のゲーム・コミック事業を軸に、IPとクリエイターのポテンシャルを最大化し、デジタルとリアルを融合した体験価値の提供を目指しています。成長戦略として、国内外でのゲームタイトルの開発・運営やオリジナルコミックのグローバル展開を強化するとともに、M&Aや資本業務提携を通じて事業ポートフォリオを多角化していく方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、インスピレーショナルなものづくりと働く幸福を感じられる組織への成長を重視し、優秀な人材の継続的な確保と育成を経営の最重要課題と位置づけています。性別やライフステージなどに関わらず、ビジョンに共感し挑戦する人材をサポートするため、社内外の研修プログラムの充実や自己研鑽支援を通じ、個人の成長と環境整備を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 37.8歳 6.7年 9,263,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 77.9%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 76.6%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 98.9%


※女性管理職比率および男性育児休業取得率については、情報公開項目の選択により記載が省略されています。また、上記は連結子会社であるアカツキゲームスの数値です。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、役員に占める女性の割合(0.0%)、男女の平均勤続年数の差異(-2.6ヶ月)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) プラットフォーム運営事業者の動向


同社グループが提供するアプリは、AppleやGoogleが運営するアプリマーケットに依存しています。各運営事業者の事業戦略の転換や、回収代行手数料・システム利用料などの料率変更が行われた場合、利益率の悪化など業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) ユーザーの嗜好の変化と技術革新への対応


ゲームやコミックのユーザーは嗜好の変化が激しく、ニーズを見誤ると想定した収益が得られず早期撤退に至るリスクがあります。また、通信技術やデバイスの急速な技術革新に適時対応できなかった場合、サービスの競争力が低下し、売上減少につながる可能性があります。

(3) 他社IPの利用と開発期間の長期化


有力なアニメや漫画等の他社IPを利用したタイトルは認知度が高い反面、IP保有会社との方針の不一致や利用契約の変更により、想定した施策が実行できなくなるリスクがあります。さらに、ネイティブアプリの品質向上に伴い開発期間が長期化し、開発費が高騰する傾向も経営上の懸念材料となっています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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