※本記事は、株式会社ロック・フィールドの有価証券報告書(第54期、自 2025年5月1日 至 2026年4月30日、2026年7月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ロック・フィールドってどんな会社?
サラダ等の惣菜ブランド「RF1」を中心に、百貨店等で製造・販売を行う中食・惣菜のリーディングカンパニーです。
■(1) 会社概要
1972年に設立され、大丸神戸店に惣菜店を出店したのが始まりです。1989年にはコロッケ専門店「神戸コロッケ」を開業し、1991年に株式上場を果たしました。1992年に基幹ブランド「RF1」を創設し、洋惣菜の展開を本格化させています。近年は冷凍食品ブランドを立ち上げるなど、新たな市場も開拓しています。
従業員数は連結で1,590名、単体で1,553名です。筆頭株主は創業者一族の関連会社である岩田で、第2位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、第3位は取引先持株会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 岩田 | 8.80% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.40% |
| ロック・フィールド取引先持株会 | 5.64% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性3名の計9名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は古塚孝志氏が務めています。取締役6名のうち2名が社外取締役です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 古塚孝志 | 代表取締役社長 | 1988年入社。静岡ファクトリーマネージャー、生産本部長などを経て、2014年に代表取締役社長に就任。2018年より現職。 |
| 吉井康太郎 | 常務取締役管理本部・人事本部・品質保証部・冷凍食品推進室管掌 | 1995年入社。企画開発本部長等を経て、2022年取締役に就任。2024年常務取締役となり、2026年より現職。 |
| 三好勝寛 | 取締役企画開発本部長、購買本部管掌 | 1992年入社。生産本部長などを経て、2024年取締役に就任。2025年より現職。 |
| 一宮秀夫 | 取締役営業本部長 | 1983年入社。東日本や西日本の販売本部長を経て、2025年より現職。 |
社外取締役は、柚木和代(元博多大丸社長)、北嶋紀子(フェニックス法律事務所共同代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「惣菜事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■(1) 基幹ブランド「RF1」および関連ブランド
サラダ、フライ、料理等の洋惣菜を中心とした基幹ブランド「RF1」をはじめ、日本の食文化を提案する和惣菜「いとはん」、素材と製法にこだわった「神戸コロッケ」などを展開しています。全国の百貨店や駅ビルを中心に出店し、食卓を彩る多様な惣菜を提供しています。
収益は一般消費者からの店舗での販売代金が主な源泉です。国内ではロック・フィールドが直営店を中心に運営を行っており、中国では子会社の岩田(上海)餐飲管理有限公司が製造・販売を行っています。
■(2) 新市場・新領域への展開
既存の店舗販売に加え、冷凍食品ブランド「RFFF(ルフフフ)」の展開や、野菜や果物を手軽に摂れるジュースブランド「ベジテリア」、若い世代に向けたサラダブランド「Umi & Yama Kitchen」など、多様化するニーズに対応した新たな市場領域を開拓しています。
収益は、直営店舗での販売代金のほか、グルメスーパー等への卸売り(外販)やECサイトからの売上などが源泉となります。これらも主にロック・フィールドが事業運営を担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は社会的な需要の回復により2024年4月期まで増加傾向にありましたが、直近は消費者の節約志向等の影響を受け微減となっています。利益面については、原材料価格や人件費の高騰、システム関連費用などの固定費増加が影響し、経常利益・当期利益ともに減少傾向が続いています。
| 項目 | 2022年4月期 | 2023年4月期 | 2024年4月期 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 471億円 | 500億円 | 514億円 | 512億円 | 511億円 |
| 経常利益 | 22億円 | 16億円 | 18億円 | 13億円 | 8億円 |
| 利益率(%) | 4.6% | 3.1% | 3.5% | 2.5% | 1.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 14億円 | 11億円 | 13億円 | 2億円 | 3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前年と同水準を維持していますが、利益面は圧迫されています。商品設計の見直しや製造工程の改善で売上総利益率は維持したものの、時給単価の上昇に伴う人件費の増加や店舗レジ更新に伴う減価償却費の増加により営業利益は減少しました。
| 項目 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 512億円 | 511億円 |
| 売上総利益 | 294億円 | 293億円 |
| 売上総利益率(%) | 57.4% | 57.3% |
| 営業利益 | 12億円 | 8億円 |
| 営業利益率(%) | 2.4% | 1.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が108億円(構成比38%)、支払手数料が71億円(同25%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力である「RF1」ブランドは、サラダの付加価値追求などが奏功し売上が堅調に推移しています。一方で、「グリーン・グルメ」や「ベジテリア」などは消費者の節約志向の影響を受け売上が減少しました。外販(卸)は、冷凍食品やキットサラダの新規取引先開拓により伸長しています。
| 区分 | 売上(2025年4月期) | 売上(2026年4月期) |
|---|---|---|
| RF1 | 313億円 | 317億円 |
| グリーン・グルメ | 102億円 | 98億円 |
| いとはん | 36億円 | 36億円 |
| 神戸コロッケ | 30億円 | 30億円 |
| 融合 | 9億円 | 9億円 |
| ベジテリア | 9億円 | 8億円 |
| Umi & Yama Kitchen | - | 0.2億円 |
| 外販(卸) | 7億円 | 8億円 |
| その他 | 6億円 | 5億円 |
| 連結(合計) | 512億円 | 511億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業(健全型)と言えます。
| 項目 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 20億円 | 23億円 |
| 投資CF | -14億円 | -17億円 |
| 財務CF | -12億円 | -10億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は0.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は82.1%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「私たちは、SOZAIへの情熱と自ら変革する行動力をもって、豊かなライフスタイルの創造に貢献します。」を企業理念として掲げています。また、2030年の目指す姿として「ビジョン2030」を策定し、「食の可能性を切り拓き、豊かな未来を共創する。SUSTAINABLE FOOD COMPANY」を宣言して、惣菜を通じて健康で豊かなライフスタイルの提案を行っています。
■(2) 企業文化
「健康」「安心・安全」「美味しさ」「鮮度」「サービス」「環境」を価値観として定めています。また、人的資本の基本方針として「仲間のチャレンジを推奨し、個人と会社が共に成長できる風土をつくる」ことを約束しており、多様な人材が主体性を持ち、連携し合って新しい価値を創造する文化を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
「ビジョン2030」の実現に向けた中期経営計画では、「成長へ繋げる改革」と「未来へのチャレンジ」の両立を基本方針としています。持続的な収益力の強化と資本効率の向上を重視し、2028年4月期の最終年度において以下の目標を掲げています。
* 売上高:569億円
* 営業利益:28億円
* 営業利益率:5.0%
* ROE:6.0%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
具体的な戦略として、「既存業態の利益率向上」「新たな市場領域への拡大」「人財の活躍促進」の3つを推進しています。既存店舗では付加価値の追求や設備稼働の向上を図ります。また、冷凍食品カテゴリーの拡大や外販・ECサイトの強化、若年層向け新ブランドの出店により新しい市場を開拓し、日常使いの店舗としての利用機会を創出していく方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を企業価値向上の源泉と捉え、「多様な人財の活躍促進」「健康経営の推進」に注力しています。「経験や保有能力」よりも「役割や成果」を軸とした人事制度を運用し、プロフェッショナル人材の育成を目指しています。また、勤務地・勤務時間を選択できる働き方コースの導入など、従業員が育児や介護と両立しながら挑戦できる環境を整備しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年4月期 | 39.2歳 | 15.1年 | 5,001,219円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 17.4% |
| 男性育児休業取得率 | 71.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 68.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 78.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 96.3% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性の監督職比率(32.7%)、障がい者雇用率(2.4%)、定年退職後の再雇用率(58.3%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 消費者の購買行動の変化
物価高騰による節約志向の高まりやライフスタイルの変化により、店舗への来店客数や購買動向が変動するリスクがあります。これに対し、食のトレンドを踏まえた商品開発の強化や、オンライン・外販等の販売チャネル多様化により、新たな顧客との接点創出と需要の平準化を図っています。
■(2) 人手不足と人件費の上昇
少子高齢化による労働人口の減少に伴い、人材獲得競争の激化や人件費の上昇が懸念されます。同社は、生産ラインや店舗の機械化・少人化による生産性の向上を図るとともに、柔軟な働き方の導入や人材育成の強化など、働きやすい職場環境の整備を進めて人材の定着に努めています。
■(3) 原材料調達と物流の制約
一次産業の担い手不足や物流業界の人手不足、地政学リスク等により、原材料の安定調達や物流コストの上昇が事業に影響を及ぼす可能性があります。対策として、契約農家との連携強化による安定的な供給体制の構築や、新たな産地の開拓、複数ルートの確保など、サプライチェーンの最適化を推進しています。



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