※本記事は、株式会社ロック・フィールド の有価証券報告書(第53期、自 2024年5月1日 至 2025年4月30日、2025年7月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ロック・フィールドってどんな会社?
中食市場において、サラダや惣菜の製造・販売を行う企業です。「RF1」や「神戸コロッケ」などのブランドを百貨店や駅ビルを中心に展開しています。
■(1) 会社概要
1972年に設立し、惣菜の製造販売を開始しました。1992年に基幹ブランドとなる「RF1」を創設し、洋惣菜の新しいスタイルを確立します。2000年には東京証券取引所市場第一部へ上場を果たしました。2022年の市場区分見直しに伴いプライム市場へ移行し、同年に冷凍食品ブランド「RFFF(ルフフフ)」を創設するなど、事業領域の拡大を進めています。
連結従業員数は1,616名、単体では1,584名です。筆頭株主は創業者である岩田弘三氏の資産管理会社と思われる株式会社岩田で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は取引先持株会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 岩田 | 8.80% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.67% |
| ロック・フィールド取引先持株会 | 5.66% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は古塚孝志氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 古塚 孝志 | 代表取締役社長 | 1988年入社。生産本部長、購買本部管掌などを経て、2014年に代表取締役社長に就任。2020年より中国子会社の董事長も兼任する。 |
| 吉井 康太郎 | 常務取締役経営企画本部長、管理本部・冷凍食品推進室管掌 | 1995年入社。企画開発本部長などを経て、2022年に取締役就任。2024年より現職にて経営企画および管理部門、冷凍食品事業を管掌する。 |
| 遠藤 宏 | 取締役営業本部管掌 | 1988年入社。東日本販売本部長、経営企画本部長などを歴任。2017年に取締役就任。現在は営業本部を管掌する。 |
| 三好 勝寛 | 取締役企画開発本部長 | 1992年入社。生産本部長などを経て、2024年に取締役就任。現在は企画開発本部長として商品開発等を統括する。 |
社外取締役は、門上武司(株式会社ジオード代表取締役)、松村はるみ(元株式会社シュゼット代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、基幹ブランドである「RF1」などの「惣菜事業」を展開しています。
■(1) 基幹ブランド事業(RF1)
主力の「RF1(アール・エフ・ワン)」は、サラダ、フライ、料理などの洋惣菜を中心としたブランドです。百貨店や駅ビルといった立地を中心に店舗を展開し、健康志向や豊かな食卓を求める顧客層に高付加価値な惣菜を提供しています。旬の素材を使用したサラダや、クリスマス等のイベントに合わせたオードブルなどが特徴です。
収益は、一般消費者への商品販売による代金です。製造から販売までを一貫して行う生販一体のビジネスモデルを採用しており、運営は主に同社が行っています。
■(2) セレクトショップ・専門ブランド事業
「グリーン・グルメ」等のセレクトショップや、専門性の高いブランドを展開しています。和惣菜の「いとはん」、コロッケ専門の「神戸コロッケ」、アジア料理の「融合」、ジュース・スープの「ベジテリア」、冷凍食品の「RFFF」などがあります。多様な食のニーズに対応し、日常の食事からギフトまで幅広い商品を提供しています。
収益は、各店舗における一般消費者への商品販売代金です。また、一部ブランドでは外部のスーパーマーケット等への卸売り(外販)も行っています。運営は同社および中国の連結子会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は500億円前後で安定的に推移していますが、利益面では変動が見られます。特に直近の2025年4月期は、売上が微減となる中で利益率が低下し、当期純利益が大きく減少しました。原材料価格や人件費の上昇が利益を圧迫する傾向にあります。
| 項目 | 2021年4月期 | 2022年4月期 | 2023年4月期 | 2024年4月期 | 2025年4月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 438億円 | 471億円 | 500億円 | 514億円 | 512億円 |
| 経常利益 | 13億円 | 22億円 | 16億円 | 18億円 | 13億円 |
| 利益率(%) | 2.9% | 4.6% | 3.1% | 3.5% | 2.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 11億円 | 14億円 | 11億円 | 13億円 | 2.5億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を比較します。売上高はほぼ横ばいですが、売上原価率の上昇や販売管理費の増加により、各段階利益が減少しています。特に営業利益率は前期の3.4%から2.4%へと低下しており、コストコントロールが課題となっていることが読み取れます。
| 項目 | 2024年4月期 | 2025年4月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 514億円 | 512億円 |
| 売上総利益 | 296億円 | 294億円 |
| 売上総利益率(%) | 57.7% | 57.4% |
| 営業利益 | 17億円 | 12億円 |
| 営業利益率(%) | 3.4% | 2.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が106億円(構成比38%)、支払手数料が70億円(同25%)を占めています。人件費と店舗運営に関わる手数料が主なコスト要因です。
■(3) セグメント収益
同社は惣菜事業の単一セグメントですが、ブランド別の売上動向を見ると、主力ブランドの「RF1」をはじめ、「神戸コロッケ」「融合」などで前期比減収となっています。一方、「ベジテリア」やオンラインショップを含む「その他」は増収となりました。全体としては微減収で推移しています。
| 区分 | 売上(2024年4月期) | 売上(2025年4月期) |
|---|---|---|
| RF1 | 314億円 | 313億円 |
| グリーン・グルメ | 102億円 | 102億円 |
| いとはん | 36億円 | 36億円 |
| 神戸コロッケ | 30億円 | 30億円 |
| その他(融合・ベジテリア等) | 31億円 | 31億円 |
| 連結(合計) | 514億円 | 512億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動によるキャッシュ・フローはプラスで、投資および財務活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなっており、本業の収益で借入返済や投資を賄う「健全型」のパターンを示しています。
| 項目 | 2024年4月期 | 2025年4月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 36億円 | 20億円 |
| 投資CF | -12億円 | -14億円 |
| 財務CF | -20億円 | -12億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は81.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「私たちは、SOZAIへの情熱と自ら変革する行動力をもって、豊かなライフスタイルの創造に貢献します。」という理念を掲げています。惣菜(SOZAI)を通じて、ステークホルダーの信頼に応えつつ、健康で豊かなライフスタイルを提案し続けることを目指しています。
■(2) 企業文化
「健康」「安心・安全」「美味しさ」「鮮度」「サービス」「環境」という6つの価値観を大切にしています。また、2030年に向けたビジョンとして「食の可能性を切り拓き、豊かな未来を共創する。SUSTAINABLE FOOD COMPANY」を掲げ、持続可能な食の未来の実現を目指す文化があります。
■(3) 経営計画・目標
2026年4月期から2028年4月期までの3カ年の中期経営計画を策定しています。「成長へ繋げる改革」と「未来へのチャレンジ」を基本方針とし、最終年度である2028年4月期に向けた数値目標を設定しています。
* 売上高:569.1億円
* 営業利益:28.2億円
* 営業利益率:5.0%
* ROE:6.0%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
中期経営計画の達成に向け、「既存業態の利益率向上」「新たな市場領域への拡大」「人財の活躍促進」の3つを戦略テーマとして掲げています。既存店では高付加価値商品の追求やサービス強化を図りつつ、冷凍食品の拡大や新ブランド開発によって新たな顧客層の開拓を進める方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を価値創造の源泉と捉える人的資本経営の方針のもと、個人の成長を通じた企業の持続的成長を目指しています。具体的には、店舗や生産現場における専門能力向上のための施策を実施し、プロフェッショナル人材の育成と活躍促進を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年4月期 | 38.9歳 | 14.6年 | 5,002,093円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 12.5% |
| 男性育児休業取得率 | 61.6% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 66.1% |
| 男女賃金差異(正規) | 77.2% |
| 男女賃金差異(非正規) | 95.4% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性の監督職比率(31.3%)、障がい者雇用率(2.4%)、適正体重維持者率(65.9%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原材料の調達リスク
一次産業における担い手不足や、気候変動による異常気象・自然災害等の影響により、農・水産物の収穫量や品質が低下するリスクがあります。これにより原材料の安定調達が困難になったり、調達価格が高騰したりすることで、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 人材の確保と人件費の上昇
労働人口の減少に伴う採用難により、新規出店や生産量が抑制される可能性があります。また、最低賃金の引き上げ等による時給単価の上昇は人件費の増加を招き、利益を圧迫する要因となります。働き方の多様化への対応遅れ等が人材流出につながるリスクもあります。
■(3) マーケット環境の変化
高齢化や単身世帯の増加により中食ニーズは拡大していますが、内食・外食・他業種を含めた競争は激化しています。生活者の嗜好の変化や食のトレンドを捉えきれない場合、競争力やブランド力が低下する恐れがあります。
■(4) 食の安心・安全の確保
惣菜の製造・販売において、食中毒の発生や食品表示の誤りなどの問題が生じた場合、ブランドイメージの毀損や信頼の失墜を招きます。また、店舗の営業停止や商品回収に伴う多額の費用が発生し、業績に重大な影響を与える可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。