※本記事は、株式会社日本エム・ディ・エム の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
日本エム・ディ・エムは、整形外科分野を中心とした医療機器類の輸入、開発、製造、販売を主な事業活動としています。同社グループの売上は、整形外科分野の医療機器類の取り扱いが大半を占めています。
単体従業員数は312名、連結従業員数は539名です。セグメントは日本、米国の2つです。
日本エム・ディ・エムは、米国子会社ODEV社や販売提携契約に基づき国内外メーカーから骨接合材料、人工関節、脊椎固定器具などを仕入れ、日本国内で販売しています。米国子会社ODEV社は、これらの開発製造を行い、日本エム・ディ・エムへの製品供給と、米国市場を中心とした販売を独自に行っています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
日本エム・ディ・エムは、医療機器の開発と販売を通じて医療に貢献する企業として、従業員のキャリア形成支援や多様な働き方を推進しています。事業の成長を支える人的資本の強化を重視し、安定した環境で専門性を高めながら活躍できる機会を提供していると考えられます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の定着を重視する傾向が見られ、平均勤続年数から長期的なキャリア形成が可能な環境であることがうかがえます。平均年齢も比較的落ち着いており、経験豊富な人材が活躍していることが示されています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,441,141円 |
| 平均勤続年数 | 12.1年 |
| 平均年齢 | 39.8歳 |
| 単体従業員数 | 312人 |
| 連結従業員数 | 539人 |
| 単体のグループ内比率 | 57.9% |
同社は退職給付制度として、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型を採用しています。この制度は同社を対象として設けられています。退職一時金制度がありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
日本エム・ディ・エムは、「最先端の優れた医療機器の開発と販売を通じて、医療に貢献する」という経営理念のもと、事業の成長を支える人的資本の強化を重要な課題と位置付けています。人材戦略では、「貢献意識」と「個性の発揮」を重視し、従業員一人ひとりが社会や医療への貢献を実感しながら能力を発揮できるよう取り組んでいます。
CMS(キャリア・マネジメント・システム)を軸に、自律的なキャリア形成の支援、専門性の向上、エンゲージメント向上、後継者育成などを推進しています。従業員の給与・報酬は、各人の職務・役割、能力・経験、成果を総合的に勘案して決定されており、人材の確保・定着や意欲向上を図るための処遇改善にも継続的に取り組んでいます。
また、多様な人材が個性を発揮できる職場づくりを目指し、柔軟な働き方制度の充実やキャリア支援、健康経営などの社内環境整備を進めています。具体的には、時間単位休暇、フレックスタイム勤務、在宅勤務、コンバインドワーク、地域限定勤務、ウェルカムバックなどの制度を充実させています。MyキャリアやMyボイスといったITシステムを活用し、キャリアコンサルティング制度やセルフキャリアドック制度を通じて、従業員のキャリア形成を支援しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女の賃金差異については、管理職に占める男性の割合が高いことや、賞与等の仕組みにより理論年収が非営業職に比べて高い営業職に男性の割合が高いことが要因として挙げられています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 11.5% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全ての労働者) | 79.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 80.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用労働者) | 27.2% |
女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供
対象は正社員です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 労働者に占める女性労働者の割合 | 26.9% |
職業生活と家庭生活との両立
男性の育児休業取得対象者は6名中0名、女性は3名中3名です。働き方に関する制度の活用率は、営業職を除く全正社員に占めるいずれかの制度利用者の率を示しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男女別の育児休業取得率(女性) | 100% |
| 働き方に関する制度の活用率 | 89.3% |
その他、多様性を含む人材の確保と人材開発
中途採用者の定義は雇用保険法等の一部を改正する法律の定義を使用しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める中途採用者の割合 | 67.9% |
| Myボイスの自由コメントの件数 | 156件 |
| Myキャリア更新率 | 100% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
日本エム・ディ・エムは、整形外科分野に特化した医療機器類の輸入、開発、製造、販売を主な事業としています。日本と米国を主要な事業地域とし、グローバルに事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
日本エム・ディ・エムは、整形外科分野に特化した医療機器類の輸入、開発、製造、販売を主な事業としています。骨接合材料、人工関節、脊椎固定器具といった製品群を医療機関に提供しており、自社製品の売上比率が高いことが特徴です。同社グループの事業は、日本と米国の二つの地域別セグメントで構成されています。
日本
日本セグメントでは、日本エム・ディ・エムが中心となり、米国子会社ODEV社や国内外メーカーから整形外科分野の医療機器類を仕入れ、日本国内で販売しています。収益は、これらの医療機器の販売から得ています。
米国
米国セグメントでは、海外子会社Ortho Development Corporation(ODEV社)が、人工関節、骨接合材料、脊椎固定器具などの開発製造を行っています。ODEV社は日本エム・ディ・エムへの製品供給に加え、独自に米国市場を中心に製品を販売しており、収益は主に米国市場での販売から得ています。
同社グループの売上高は、日本と米国で構成されており、米国での売上は為替レートの影響を受ける傾向があります。特定の顧客への売上集中は見られません。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 日本 | 136億円 | 131億円 |
| 米国 | 115億円 | 108億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5年間で変動が見られます。直近の当連結会計年度では、売上高は前連結会計年度から減少となりました。経常利益も同様に減少傾向にあり、当連結会計年度は大幅な減少を示しています。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に損失を計上しましたが、当連結会計年度は黒字に転換しました。営業活動によるキャッシュ・フローは継続してプラスを維持しており、本業によるキャッシュ創出は行われています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 192億円 | 213億円 | 232億円 | 251億円 | 239億円 |
| 経常利益 | 25.9億円 | 20.4億円 | 18.4億円 | 14.9億円 | 5.3億円 |
| 経常利益率 | 13.5% | 9.6% | 8.0% | 5.9% | 2.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 21.4億円 | 14.2億円 | 12.7億円 | △4.6億円 | 2.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 80.95 | 54.03 | 48.31 | △17.54 | 9.99 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前連結会計年度から当連結会計年度にかけて減少しています。また、従業員1人あたりの営業利益も同様に減少傾向を示しています。これらの指標は、組織全体の生産性や収益創出能力の推移を示すものとなります。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 46.7百万円 | 44.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.9百万円 | 1.1百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
株式会社日本エム・ディ・エムの財務状況は、本業で資金を生み出しつつ、将来に向けた投資を積極的に行っている段階を示しています。財務基盤の厚みや資金の流れから、同社グループの安定性と成長への姿勢を読み解くことができます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
株式会社日本エム・ディ・エムの自己資本比率は71.2%となっており、プライム市場の製造業平均と比較して高い水準を示しています。これは強固な財務基盤を構築していることを表しており、事業運営の安定性につながります。
一方、ROE(自己資本利益率)は1.1%で、プライム市場平均を下回っています。手元資金である現金及び預金は31.1億円であり、前期から減少しています。
これらの財務状況は、同社グループが安定した経営を維持しつつ、今後の収益性向上に向けた取り組みを進めている段階にあることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 247億円 | 254億円 |
| 自己資本比率 | 73.3% | 71.2% |
| ROE(自己資本利益率) | △1.8% | 1.1% |
| 現金及び預金 | 31.8億円 | 31.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
株式会社日本エム・ディ・エムの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは2.1億円の収入となりました。これは減価償却費が主な収入要因である一方、棚卸資産の増加額や和解関連費用支払額が支出要因となっています。
投資活動によるキャッシュフローは△20.0億円の支出であり、有形固定資産の取得による支出が主な内訳です。これにより、本業で得た資金を上回る投資を行っている状況を示しています。
財務活動によるキャッシュフローは16.5億円の収入となり、短期借入金の純増額や長期借入れによる収入が主な要因です。これらの資金の流れは、同社グループが事業の成長に向けた投資を積極的に進めており、その資金を借入れで賄っている状況を示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 10.5億円 | 2.1億円 |
| 投資CF | △16.7億円 | △20.0億円 |
| 財務CF | 14.9億円 | 16.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △6.2億円 | △17.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、販売する製商品において他社との競合による売上減少のリスクを認識しています。また、主にUSドル建てでの輸入仕入れを行っているため、為替相場の変動が損益及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、労務問題等に関し訴訟を提起される可能性があり、その動向によっては損益及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあることを認識しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
日本エム・ディ・エムは、医療機器の開発と販売を通じて患者様のQOL向上に貢献することを経営理念としています。持続可能な社会の実現と企業価値向上を目指し、ESGの観点から事業活動を推進している会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「最先端の優れた医療機器の開発と販売を通じて医療に貢献する」ことを経営理念としています。日米共同開発を基軸に、整形外科分野の医療機器の開発・製造・輸入・販売を通じて、日本だけでなく世界の医療マーケットに真に価値ある医療機器を提供していくことを経営方針としています。
また、「患者さんのQOL向上に貢献する」というパーパス(存在意義)のもと、持続可能な社会の実現と中長期的な企業価値向上の両立を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、経営理念である「最先端の優れた医療機器の開発と販売を通じて、医療に貢献する」ことを基盤としています。ESG活動を通して企業の社会的責任(CSR)を果たすと共に、SDGs(持続可能な開発目標)に貢献する姿勢を示しています。
国連グローバル・コンパクトに加盟し、「人権の保護」「不当な労働の排除」「環境への対応」「腐敗の防止」の10原則の実現に努めています。人権尊重を全ての企業活動の前提と認識し、グループ全体でその取り組みを推進しています。
人材育成においては、社会や医療、患者様、仲間への『貢献意識』の醸成を重視しています。また、“自分らしさ”を大切にし、属性を問わず活躍できる『個性の発揮』を推進するとともに、各ポジションにおける専門性の向上を目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、事業環境の変化や一連の報道事案を踏まえ、成長機会の取り込み、収益性の改善、及びガバナンスの強化を重要な経営課題として認識しています。これらの課題に対応するため、各種施策を着実に実行し、中長期的な企業価値の向上を目指しています。
日本では高齢化社会に対応した新製品の継続的導入を課題としています。また、資本効率の改善として株価純資産倍率(PBR)1倍割れへの対応に取り組んでいます。
さらに、国内における報道事案を踏まえ、コンプライアンス及びガバナンス体制の強化を重要な経営課題と位置付けています。サステナビリティへの取り組みとして、「患者QOLの向上」「環境負荷の低減」「人権尊重」「多様な人材の活躍推進」「医療ニーズへの高品質対応」「コーポレート・ガバナンスの強化」をマテリアリティ(重要課題)として特定し、事業活動を推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
日本エム・ディ・エムは、医療機器の開発と販売を通じて社会貢献を目指し、持続的な成長と企業価値向上を目的としたコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。監査役会設置会社として、独立社外取締役を複数名選任し、経営の透明性・公正性の確保と監督機能の強化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
日本エム・ディ・エムの株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社である三井化学です。その他、信託銀行や複数の個人株主が上位に名を連ねています。特定の株主グループが経営に強い影響力を持つというよりは、多様な株主によって支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三井化学 | 30.01% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.82% |
| 渡邉 崇史 | 4.41% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性7名・女性2名)で構成され、女性役員比率は22.0%です。代表取締役社長は弘中俊行氏が務めています。社外取締役比率は66.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 弘中 俊行 | 代表取締役社長 | 1986年伊藤忠商事入社後、デル・コンピュータ、レノボ・ジャパンを経て、2009年同社入社。取締役営業担当、経営企画担当などを歴任し、2023年4月より代表取締役社長より現職。 |
| 日高 康明 | 取締役 | 1992年同社入社。営業本部営業部長、西日本営業部長、事業推進本部マーケティンググループトラウマ製品部長などを経て、2020年6月より取締役。2025年4月より取締役上席執行役員トラウマ事業本部長より現職。 |
社外取締役は、岡村友之氏(三井化学ライフ&ヘルスケアソリューション事業本部医療事業推進室長)、佐分紀夫氏(レイズネクスト社外取締役監査等委員)、横山秀樹氏(アイ・エム・アイ代表取締役会長)、古島ひろみ氏(一色法律事務所・外国法共同事務所パートナー)です。
同社は監査役会設置会社であり、独立社外取締役が複数名選任され、経営の意思決定や業務執行の監督に助言を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
日本エム・ディ・エムの役員報酬は、役割と責務に見合った水準とし、企業業績と中長期的な企業価値向上への動機付けを重視した体系です。取締役の報酬は、基本報酬、業績連動報酬、業績連動型株式報酬で構成されており、目標達成時にはそれぞれ60%、30%、10%の割合となります。社外取締役の報酬は業績連動型を含まず、監査役の報酬は監査業務の分担を考慮し決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 71百万円 | 23.7百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 14百万円 | 7.0百万円 |
| 社外取締役 | 4名 | 22百万円 | 5.5百万円 |
| 社外監査役 | 2名 | 9百万円 | 4.5百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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