※本記事は、東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社の有価証券報告書(第114期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 東海東京フィナンシャル・ホールディングスってどんな会社?
金融商品取引業を主軸に、資金調達や運用のグローバルなサービスを提供する企業です。
■(1) 会社概要
1929年に高山商店として設立され、2000年に東海丸万証券と合併して東海東京証券へと商号変更しました。2009年には持株会社体制へ移行し、現在の東海東京フィナンシャル・ホールディングスとなりました。近年では、2021年にエース証券を連結子会社化し、2024年にTTソリューションと合併するなど、事業基盤の拡充を推進しています。
同社グループは、連結で2,528名、単体で155名の従業員を擁しています。筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位は金融機関である三菱UFJ銀行、第3位は日本カストディ銀行(信託口)となっており、金融機関を中心とした安定的な株主構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 13.11% |
| 三菱UFJ銀行 | 4.06% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 3.56% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役会長の石田建昭氏、代表取締役社長の春日井博氏が経営を牽引しています。社外取締役比率は55.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 石田建昭 | 代表取締役会長 | 1968年東海銀行入行。同行常務等を歴任。2005年同社社長、2009年東海東京証券会長兼CEOを経て、2021年より現職。 |
| 春日井博 | 代表取締役社長 | 1987年東海銀行入行。三菱UFJモルガン・スタンレー証券役員等を経て、2020年東海東京証券常務に就任。2025年より現職。 |
| 北川尚子 | 取締役 | 1990年丸万証券入社。高木証券副社長や東海東京証券社長等を歴任。2019年同社専務執行役員を務め、2024年より現職。 |
| 大野哲嗣 | 取締役(監査等委員) | 1983年丸万証券入社。同社総合企画部長や執行役員財務企画部長等を歴任。2019年同社常務執行役員を経て、2020年より現職。 |
社外取締役は、中山恒博(元日本興業銀行営業第一部長)、宮沢和正(元楽天Edy執行役員)、山崎穣一(元東海財務局長)、池田綾子(元日本弁護士連合会事務次長)、太田克彦(元新日鉄住金化学社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「投資・金融サービス業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■金融商品取引事業
同社グループは、国内外の金融・資本市場に拠点を置き、有価証券の売買、委託の媒介、引受けおよび売出しなどを展開しています。個人および法人の顧客に対し、資産運用や資金調達の両面から総合的かつグローバルな金融サービスを提供しているのが特徴です。
収益源としては、有価証券売買に伴う委託手数料や、引受け・売出し等の取扱手数料を受け取るモデルとなっています。これらの事業運営は、主に東海東京証券やCHEER証券などの連結子会社群を通じて行われています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、経常利益は市場環境の影響を受けつつも、おおむね堅調に推移しています。当期は利益水準が大きく拡大し、直近5年間で最高の利益を計上しました。一方、当期利益は一時的な特別損益の計上などにより期ごとの変動が見られます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | - | - |
| 経常利益 | 130億円 | 63億円 | 184億円 | 151億円 | 205億円 |
| 利益率(%) | - | - | - | - | - |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 63億円 | 38億円 | 21億円 | 97億円 | 29億円 |
■(2) 損益計算書
2期間の損益を見ると、営業利益は前期の117億円から当期は148億円へと増加し、順調な伸びを示しています。売上高や売上総利益のデータは開示されていませんが、利益ベースでの成長が確認できます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | - | - |
| 売上総利益 | - | - |
| 売上総利益率(%) | - | - |
| 営業利益 | 117億円 | 148億円 |
| 営業利益率(%) | - | - |
■(3) キャッシュ・フローと財務指標
企業のキャッシュ・フローは、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」に分類されます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 208億円 | 47億円 |
| 投資CF | -244億円 | -207億円 |
| 財務CF | 177億円 | -27億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.8%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は12.8%であり、いずれも市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「『誇り』と『憧れ』を感じる企業グループ」となることを目指しています。その実現に向けた行動指針として「“Social Value & Justice” comes first」を掲げており、社会的価値の創出と社会的正義の遂行を最優先に据えた経営を追求し、すべての事業活動の土台としています。
■(2) 企業文化
すべての事業活動において「社会的価値の創出につながるか」「社会に受け入れられる正しい行為か」という視点を重視しています。環境への配慮や人権尊重といったサステナビリティ経営を推進し、専門性と人間性を備えた人材の育成を通じて、社会から信頼される企業風土の醸成に取り組んでいます。
■(3) 経営計画・目標
5ヵ年の中期経営計画「“Beyond Our Limits” ~異次元への挑戦」を策定し、企業価値の向上を目指しています。具体的な目標として以下を掲げています。
・ROE(自己資本利益率)12%の達成
・前年度経常利益の3%を人材投資へ充当
■(4) 成長戦略と重点施策
「金融力の強化」と「異次元に向けた重点施策」を戦略の基本方針としています。富裕層向けの「オルクドール」や準富裕層向けの「クレールシエル戦略」を通じたサービス拡充に加え、デジタル化やAIの活用による業務効率化を推進しています。また、他業種のパートナー企業との協業により、新たな顧客基盤の拡大を図っています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
事業環境の変化に対応するため「人的資本経営」を推進し、高い専門性と人間性を備えた人材の育成を目指しています。ジョブ型人事制度を軸に「学び・挑戦・成長」の好循環を後押しし、自律的なキャリア形成を支援する環境を整備することで、強い組織づくりと持続的な企業価値の向上を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 38.9歳 | 11.9年 | 7,901,258円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 23.4% |
| 男性育児休業取得率 | 90.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 70.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 78.0% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 46.7% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、従業員エンゲージメント(40.7%)、前年度の経常利益に占める教育研修費の割合(3.9%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済情勢および市場変動によるリスク
株価、金利、為替市況の変動や国内外の景気動向の影響を受けやすい事業構造です。投資需要の減退による手数料収入の減少や、急激な市況変動による保有金融資産の価値下落が発生した場合、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 金融商品取引業の法的規制リスク
金融商品取引法等の各種法令による厳格な規制を受けています。登録規制や顧客勧誘規制などに抵触した場合、業務停止等の行政処分を受けるリスクがあります。また、所定の自己資本規制比率を下回った場合にも事業継続に支障をきたすおそれがあります。
■(3) 競争激化と事業拡大に伴うリスク
金融業界における規制緩和や取扱商品の多様化により、他社との競争が激化しています。また、顧客基盤拡大やDX推進を目的とした企業買収・資本提携において、期待したシナジーや収益が得られなかった場合、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。
■(4) 取引先や発行体の信用力悪化リスク
業務の性質上、提携先の株式や多様な有価証券を保有しています。取引先が債務不履行に陥った場合や、有価証券の発行体の信用状況が著しく悪化した場合、元本の毀損や利払いの遅延が生じ、財務状況に深刻な影響を与えるおそれがあります。



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