※本記事は、インターアクション の有価証券報告書(第34期、自 2025年6月1日 至 2026年5月31日、2026年8月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. インターアクションってどんな会社?
同社グループは、イメージセンサ検査用光源装置や精密除振装置などの開発・製造・販売を展開しています。
■(1) 会社概要
1992年に半導体検査装置の設計・開発を目的に設立され、1995年よりソニー向けCCD用光源装置の量産を開始しました。2001年に東京証券取引所マザーズへ上場を果たし、その後市場変更を経て現在はプライム市場に上場しています。近年はM&Aを活用し、明立精機や東京テクニカルなどを完全子会社化してインダストリー4.0推進事業を拡大しています。
現在の従業員数はグループ全体で123名、単体で63名となっています。筆頭株主は外国法人のSILVERCAPE INVESTMENTS LIMITEDで、第2位も外国法人のJAPAN ABSOLUTE VALUE FUND、第3位には資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| SILVERCAPE INVESTMENTS LIMITED | 15.11% |
| JAPAN ABSOLUTE VALUE FUND | 11.98% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.58% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は木地伸雄氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 木地伸雄 | 代表取締役社長 | 2006年同社入社。西安朝陽光伏科技有限公司董事長、明立精機代表取締役社長、東京テクニカル代表取締役社長などを歴任し、2020年6月より現職。 |
社外取締役は、織田友理子氏(特定非営利活動法人PADM会長)、宍戸英樹氏(Generate Biomedicines Associate Director)、荒木昇氏(荒木公認会計士事務所代表)、植田祥裕氏(元アシックス執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「IoT関連事業」および「インダストリー4.0推進事業」と「その他」事業を展開しています。
■IoT関連事業
スマートフォンや自動車などに搭載されるCCDおよびCMOSイメージセンサの製造工程で使用される検査用光源装置や瞳モジュールを開発・製造しています。高度な光学設計技術を用いて高精度な検査環境を提供しており、ハイエンドモデル向けを中心にシェアを獲得しています。
収益源は、半導体メーカーなどの主要顧客に対する検査用装置の販売代金です。顧客の設備投資計画や新規生産ラインの構築に合わせて製品を納入し対価を得ています。事業の運営は、主にインターアクションが単体で行っています。
■インダストリー4.0推進事業
ディスプレイや半導体の製造工程に不可欠な精密除振装置や、自動車・ロボット部品に用いられる歯車の精度を測る歯車試験機、表面の傷を自動検知するAI画像処理装置などの開発・製造を行っています。振動ソリューションなどの新規分野にも領域を広げています。
収益源は、ディスプレイメーカーや歯車メーカーなどの産業用機械メーカーに対する装置の販売代金およびシステム提供料です。運営は、インターアクションのほか、子会社である明立精機や東京テクニカルなどがそれぞれの専門領域に分かれて担当しています。
■その他
環境エネルギー事業として輪転印刷機向け乾燥脱臭装置や排ガス処理装置などの開発・製造・販売を展開していましたが、2025年7月に運営子会社であったエア・ガシズ・テクノスの全株式を譲渡したため、現在は報告セグメントから除外されています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の売上高は60億円から78億円の間で推移していましたが、当期は主要顧客の設備投資が一服した影響などにより48億円へと減少しています。利益率も20%前後の高水準を維持していましたが、当期は売上減少に伴い17.3%へと低下しています。
| 項目 | 2022年5月期 | 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 60億円 | 69億円 | 78億円 | 67億円 | 48億円 |
| 経常利益 | 12億円 | 15億円 | 16億円 | 14億円 | 8億円 |
| 利益率(%) | 19.9% | 21.9% | 21.1% | 20.8% | 17.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 8億円 | 10億円 | 11億円 | 8億円 | 5億円 |
■(2) 損益計算書
前期と当期の損益構成を比較すると、売上高の減少に伴い売上総利益および営業利益ともに減少しています。一方で、売上総利益率は45.0%から50.3%へと改善しており、製品の付加価値向上や製品構成の変化が伺えます。
| 項目 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 67億円 | 48億円 |
| 売上総利益 | 30億円 | 24億円 |
| 売上総利益率(%) | 45.0% | 50.3% |
| 営業利益 | 14億円 | 7億円 |
| 営業利益率(%) | 21.3% | 14.6% |
販売費及び一般管理費(17億円)のうち、給料及び手当が4億円(構成比24%)、研究開発費が2億円(同11%)、支払手数料が2億円(同11%)を占めています。売上原価(24億円)のうち、当期製品製造原価(12億円)に占める割合は、材料費が4億円(構成比33%)、労務費が4億円(同29%)、経費が3億円(同24%)となっています。
■(3) セグメント収益
主力であるIoT関連事業は海外向けの販売が好調だったものの、国内向け設備投資が落ち着いたため減収減益となりました。インダストリー4.0推進事業も、精密除振装置および歯車試験機分野での販売が低調に推移し、前年を下回る結果となっています。
| 区分 | 売上(2025年5月期) | 売上(2026年5月期) | 利益(2025年5月期) | 利益(2026年5月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| IoT関連事業 | 38億円 | 30億円 | 19億円 | 13億円 | 45.7% |
| インダストリー4.0推進事業 | 21億円 | 19億円 | 3億円 | 1億円 | 5.4% |
| その他 | 8億円 | 0.1億円 | 0.4億円 | 0.1億円 | 100.0% |
| 調整額 | -億円 | -億円 | -8億円 | -8億円 | -% |
| 連結(合計) | 67億円 | 48億円 | 14億円 | 7億円 | 14.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業(健全型)のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 36億円 | 13億円 |
| 投資CF | -3億円 | -3億円 |
| 財務CF | -4億円 | -17億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は89.5%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、経営理念として「人・技術・組織の相互作用から革新を生み出し『見えない価値』に光をあてる」ことを使命に掲げています。特定の技術にとらわれず、相互作用の力で社会の持続的な発展に資する汎用性の高いソリューションを創出し、社会に本質的な変化を実装する「スマート光学ソリューション企業」を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、創立以来のモットーである「クライアントファースト」を合言葉に、顧客の心のヒダをつかむきめ細かな対応とサポートを重視しています。また「Interaction Value(共創価値)」を掲げ、同社が中心(ハブ)となって技術・人・会社を繋げ、相互作用によって新たな価値を共創する企業文化を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
2025年7月に策定した新中期経営計画において、質の高い成長と企業価値の向上のための重要指標として「ベース売上高」「売上総利益率」「一人当たり営業利益」「営業利益成長率(CAGR)」「ROE(連結)」を設定し、事業の強靭性や収益性の向上を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
既存事業における新製品開発や戦略的パートナーシップの構築を進めています。スマートフォン向けイメージセンサの高機能化への対応に加え、自動運転やロボティクスなどフィジカルAIの普及を見据えた製品ラインナップの拡充を図ります。また、半導体計測関連製品など特定の顧客に依存しない新たな事業領域の開拓を推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
市場競争力の核である技術開発力を維持・強化するため、光学やAI等の専門性の高い技術人材を継続的に確保・育成しています。また、新規事業創出に向けて企画・マーケティング人材の採用を強化しています。独自教育プログラム「英雄アカデミア」を通じたスキルアップ支援や、多様な人材が活躍できる職場環境の整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年5月期 | 41.7歳 | 7.4年 | 7,279,599円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
同社および連結子会社は女性活躍推進法および育児・介護休業法に基づく公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、従業員の女性比率(19.0%)、外国人比率(3.2%)、技術職社員における女性比率の現状(5.3%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 半導体設備投資の変動リスク
同社の主力製品である検査用光源装置の需要は、半導体メーカーによるイメージセンサへの設備投資動向に大きく影響を受けます。顧客製品の販売不振や経営方針の転換等によって設備投資が抑制された場合、同社の業績に影響が生じる可能性があります。同社は固定費負担を軽減する半ファブレス体制で柔軟に対応しています。
■(2) 小規模組織・人材確保のリスク
同社グループは専門性の高い技術者を中心とした小規模な組織体制で運営されています。事業拡大を支える優秀な人材の確保や社内教育が計画通りに進まない場合、あるいは社員に不測の事態が生じたり社外へ流出した場合には、業務遂行に支障をきたし業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 為替相場の変動リスク
同社グループの事業は海外向けの販売も行っており、急激な為替変動は外貨建取引から生じる資産・負債の円換算額や製品価格に影響を与える可能性があります。ただし、部品の大部分は国内調達であり、現状は海外への販売も大部分が円建取引となっているため、為替変動の影響を受けにくい体制を構築しています。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。