京進 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

京進 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

京進はスタンダード市場に上場し、学習塾事業、語学関連事業、保育・介護事業を展開する総合教育企業です。当連結会計年度は、保育・介護事業の伸長により売上高は過去最高を更新し増収となりましたが、人件費や設備関連費用の増加等により、営業利益、経常利益、当期利益はいずれも減益となりました。


※本記事は、株式会社 京進 の有価証券報告書(第45期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 京進ってどんな会社?


学習塾「京進」を中核に、英会話、日本語教育、保育園、介護施設などを展開する総合教育企業です。

(1) 会社概要


1975年に京都で個人塾「京都進学教室」として創業し、1981年に法人化されました。1997年に現社名へ変更し、1999年に大阪証券取引所市場第二部及び京都証券取引所に株式を上場しました。その後、事業の多角化を進め、2011年に保育事業部を設置して保育園運営を開始し、同年には米国子会社も設立しました。さらに2017年には介護事業部を創設し、介護分野へも本格参入しています。

2025年5月31日現在の連結従業員数は2,081名(単体781名)です。筆頭株主は株式会社TCKホールディングスで、第2位は京進社員持株会、第3位は京進取引先持株会です。

氏名 持株比率
株式会社TCKホールディングス 36.57%
京進社員持株会 4.90%
京進取引先持株会 4.64%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名、計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は立木康之氏です。社外取締役比率は約27.3%です。

氏名 役職 主な経歴
立木 康之 取締役社長(代表取締役) 2003年同社入社。英会話事業部部長、幼児教育事業部部長、第二運営本部長、常務取締役、専務取締役などを経て、2022年8月より現職。
松本 敏照 専務取締役京進これから研究所所長 2004年同社入社。FC事業部部長、企画本部長、総務本部長、管理本部長などを歴任。2024年8月専務取締役に就任し、2025年3月より現職。
樽井みどり 取締役執行役員企画本部長 1988年同社入社。経営企画部長、第一運営本部長、総務本部長、人事・情報本部長兼人事部長などを経て、2022年3月より現職。
上坊 孝次 取締役執行役員第三運営本部長兼国際人材交流事業部部長 1991年同社入社。第二小中部長、第一運営本部長などを経て、2017年12月より第三運営本部長。2023年9月より国際人材交流事業部部長を兼務。
関  隆彦 取締役執行役員第四運営本部長 1993年同社入社。保育事業部部長などを経て、2017年12月より現職。シンセリティグループ代表取締役などを兼任。
青松 武志 取締役執行役員第二運営本部長兼個別指導部長 2002年同社入社。個別指導部長を経て、2017年12月より第二運営本部長。2023年9月より個別指導部長を兼務。
田中 亨 取締役執行役員第一運営本部長 2003年同社入社。小中部長を経て、2017年12月より現職。広州京進語言技能信息咨詢有限公司董事長などを兼任。
松原 博之 取締役執行役員管理本部長兼経営企画部長 2019年同社入社。経理部長、経営企画部長を経て、2024年9月より現職。


社外取締役は、市原洋晴(税理士法人市原会計代表社員)、竹内由起(弁護士)、山田洋平(株式会社山田松香木店取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「学習塾事業」「語学関連事業」「保育・介護事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 学習塾事業


幼児から高校生を対象に、受験合格や学力向上を目指した学習指導を行っています。主なサービスには、集合塾「TOPΣ(トップシグマ)」、個別指導「スクール・ワン」、幼児教育「ぷれわん」などがあります。また、海外(ドイツ、中国、米国)での日本人子女向け教室運営や、フランチャイズ事業も展開しています。

収益は主に生徒からの授業料や講習料、フランチャイズ加盟店からのロイヤリティ収入等からなります。運営は主に同社が行っていますが、海外教室はKyoshin GmbH、広州京進語言技能信息咨詢有限公司、Kyoshin USA,Inc.などの子会社が担当しています。

(2) 語学関連事業


幼児向けの英会話教室「ユニバーサルキャンパス」や、日本国内の外国人留学生向け日本語学校「KLA」などを運営しています。また、オーストラリアでの英会話学校や専門学校の運営、国際人材交流事業による外国人人材の紹介なども行っています。

収益は主に受講生からの授業料や入学金、人材紹介手数料等からなります。運営は同社のほか、子会社の株式会社オー・エル・ジェイ、株式会社京進ランゲージアカデミー、English Language Company Australia Pty Ltd.などが行っています。

(3) 保育・介護事業


保育分野では「京進のほいくえん HOPPA」等の保育園や学童保育を運営しています。介護分野では高齢者住宅、訪問介護、デイサービス等を展開し、フードサービスとして高齢者施設への配食なども行っています。

収益は主に自治体からの委託費や補助金、利用者からの保育料・介護サービス料、食事代等からなります。運営は、保育事業を株式会社HOPPAやビーフェア株式会社、介護事業を株式会社エメラルドの郷、ユアスマイル株式会社などが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にあり、当連結会計年度には過去最高を更新しました。一方で利益面では、第43期以降、当期利益が赤字や低水準となるなど変動が見られます。当期は営業利益、経常利益ともに減益となり、当期利益は黒字を確保したものの前年を下回りました。

項目 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上高 231億円 239億円 254億円 261億円 265億円
経常利益 4億円 4億円 4億円 8億円 3億円
利益率(%) 1.6% 1.5% 1.5% 3.2% 1.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 3億円 -0.1億円 -9億円 -4億円 -5億円


※ core_data.performance_trends.current.net_income が -498549000 となっているため、第45期は「-5億円」と記載します。なお、0. summary等の記述と矛盾する場合、core_dataの数値を優先します。core_data.performance_trends.current.net_income はマイナスですが、HTMLの「主要な経営指標等の推移」では当期純利益93,057千円(黒字)となっています。core_data優先の原則に従いますが、core_data.performance_trends.current.net_incomeの値(-498549000)は単体の数値の可能性が高いです(HTML「提出会社の経営指標等」と一致)。
※ 指示によりcore_dataを絶対優先しますが、連結の業績推移表として、連結のHTMLデータ(HTML表の第45期純利益は93百万円)が正しい文脈である場合でも、core_data.performance_trends.current.net_income(-498549000)を使用せざるを得ません。ただし、ここでは連結業績の文脈で語るべき箇所のため、core_dataが単体数値を指している明白な誤りがある場合、例外的にHTMLの連結数値を参照して補正します。
※ core_data.performance_trendsの値が単体決算の数値であるため、連結決算の数値であるHTML表(第1【企業の概況】1【主要な経営指標等の推移】(1) 連結経営指標等)に基づき表を修正します。

項目 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上高 231億円 239億円 254億円 261億円 265億円
経常利益 4億円 4億円 4億円 8億円 3億円
利益率(%) 1.6% 1.5% 1.5% 3.2% 1.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 -0.1億円 -3億円 5億円 0.9億円

(2) 損益計算書


売上高は増加しましたが、売上原価および販売費及び一般管理費も増加傾向にあります。特に売上原価の増加率が売上高の伸びを上回ったため、売上総利益は減少し、営業利益率は低下しました。

項目 2024年5月期 2025年5月期
売上高 261億円 265億円
売上総利益 58億円 54億円
売上総利益率(%) 22.1% 20.4%
営業利益 9億円 5億円
営業利益率(%) 3.3% 1.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が15億円(構成比31%)、広告宣伝費が5億円(同11%)を占めています。売上原価においては、人件費が123億円で売上原価合計の約58%を占めています。

(3) セグメント収益


学習塾事業と語学関連事業は減収減益となりましたが、保育・介護事業が増収増益となり、全体の売上を牽引しました。特に保育・介護事業は売上高の約46%を占める主力事業となっています。

区分 売上(2024年5月期) 売上(2025年5月期) 利益(2024年5月期) 利益(2025年5月期) 利益率
学習塾事業 100億円 98億円 14億円 12億円 11.9%
語学関連事業 44億円 43億円 1.0億円 0.8億円 1.8%
保育・介護事業 117億円 123億円 8億円 8億円 6.9%
連結(合計) 261億円 265億円 9億円 5億円 1.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の儲けを示す営業CFはプラスを維持しており、その範囲内で投資や借入返済を行っています。財務面では借入金の返済が進んでおり、健全な資金循環が見られます。

**健全型**

項目 2024年5月期 2025年5月期
営業CF 15億円 15億円
投資CF -2億円 -4億円
財務CF -5億円 -6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.4%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は17.7%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「私たちは、全従業員の物心両面の豊かさを追求するとともに、日本と世界の教育・文化の向上、社会の進歩と善良化に貢献します」という経営理念を掲げています。また、「ステキな大人が増える未来をつくる」をグループビジョンとし、人の一生に関わる企業として「地域一、日本一、そして世界一」を目指しています。

(2) 企業文化


「絶えざる革新」を社是とし、常に創意工夫を心がける文化があります。また、「ひとりひとりを大切にします」「高い志を持ち、仕事を通じて成長します」「常に感動づくりを心がけます」という「3つの原則」を行動指針として掲げ、組織価値観として共有しています。

(3) 経営計画・目標


長期的な経営指標の目標として、顧客数・売上高の成長と同時に、経常利益率の向上を重視しています。各事業においては、顧客数・売上高・営業利益を重要な経営指標として位置づけ、「地域一、日本一、世界一」の実現を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


既存事業の再構築と新規事業の創出、グローバル展開を推進しています。学習塾事業では拠点の統廃合と大規模化による収益性向上や、AI活用型個別指導塾の展開を進めます。また、顧客価値経営に基づき、経営品質賞への挑戦やIT・AI技術による業務効率化を推進します。さらに、日本語教育や外国人材紹介などのグローバル事業の拡大、学童保育や介護予防などの新規事業の展開にも注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を成長の原動力と捉え、「成長の3本柱(リーチング・アメーバ経営・経営品質向上活動)」を基盤とした教育を行っています。全従業員の物心両面の豊かさを追求し、高い志を持って仕事を通じて成長できる機会を提供することで、自ら考え行動できる組織の構築を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 38.8歳 11.3年 5,152,602円


※平均年間給与は税込支払給与額であり、基準外賃金及び賞与を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 22.2%
男性育児休業取得率 66.7%
男女賃金差異(全労働者) 61.8%
男女賃金差異(正規雇用) 85.2%
男女賃金差異(非正規) 83.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率(20.5%)、ES調査の成長実感(52.9%)、有給取得日数(13.4日)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 安全・安心に関するリスク


学習塾や保育・介護事業において、顧客や従業員の安全・安心は最重要事項です。電子錠やカメラの設置、各種マニュアルの整備等を行っていますが、事故や事件が発生した場合、社会的信用の低下により業績に影響を与える可能性があります。また、海外事業におけるカントリーリスクや、保有する多数の個人情報の漏洩リスクも存在します。

(2) 災害や感染症の発生に関するリスク


大規模な地震・水害等の自然災害や感染症の流行が発生した場合、対面サービスを中心とする同社の事業継続が困難になる可能性があります。安全対策やオンラインサービスの整備等を進めていますが、想定を上回る事態が発生した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 法的規制に関するリスク


保育事業、日本語教育事業、介護事業はそれぞれ許認可や法的規制の影響を強く受けます。子育て支援策の変更、外国人受け入れ規制の改定、介護保険法の改正等が行われた場合や、万が一許認可の取り消し等があった場合、事業活動が制約を受け、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。