#記事タイトル:平山ホールディングス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社平山ホールディングス の有価証券報告書(第59期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 平山ホールディングスってどんな会社?
製造現場の請負・派遣を中核に、技術者派遣や海外事業を展開する「ものづくり支援企業」グループです。
■(1) 会社概要
1955年に日用品卸売業として創業し、1967年に法人設立されました。1989年に現在の主力である製造請負業務を開始し、2015年にJASDAQ(現スタンダード市場)へ上場しました。2017年には持株会社体制へ移行して現社名となり、M&Aや海外展開を通じて業容を拡大しています。
2025年6月末時点の連結従業員数は3,379名、提出会社単体の従業員数は9名です。筆頭株主は株式会社SUNBASE、第2位は平山惠一氏、第3位は平山善一氏となっており、創業家およびその関連会社が上位を占めています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 株式会社SUNBASE | 19.59% |
| 平山 惠一 | 12.46% |
| 平山 善一 | 11.87% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は平山善一氏です。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 平山 善一 | 代表取締役社長 | 1986年同社入社。1993年より社長を務め、グループ各社の代表を歴任。現在はトップエンジニアリング代表取締役社長および平山LACC代表取締役会長も兼務し、グループ経営を牽引する。 |
| 平山 惠一 | 専務取締役 | 1987年同社入社。経営企画室長、営業本部長、インソーシング・派遣事業本部長などを歴任。現在は株式会社平山の専務取締役インソーシング・派遣事業本部長も兼務し、事業運営の中核を担う。 |
社外取締役は、松本彰(元日立マクセル取締役)、福田伸(元三井化学常務執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「インソーシング・派遣事業」「技術者派遣事業」「海外事業」および「その他」事業を展開しています。
**(1) インソーシング・派遣事業**
医療機器、輸送用機器、食品関連製品などを製造するメーカーの工場内において、製造工程の請負(インソーシング)および人材派遣を行っています。特に製造請負では、現場改善コンサルタントと連携し、生産性向上とコスト削減を提案するサービスが特徴です。
収益は、顧客メーカーから受領する業務請負報酬および派遣料金によって構成されています。運営は主に株式会社平山、FUNtoFUN株式会社が行っています。
**(2) 技術者派遣事業**
自動車、宇宙航空、家電、精密機器などのメーカーに対し、設計開発や評価・解析部門へ技術者を派遣しています。近年はIT・AI分野での需要拡大に対応し、高スキル技術者の育成・派遣に注力しています。
収益は、取引先企業から受領する技術者派遣料金となります。運営は主に株式会社トップエンジニアリングが行っています。
**(3) 海外事業**
タイを中心に、現地製造業向けの製造派遣および請負サービスを提供しています。日本国内と同様に現場改善コンサルタントと連携したサービスを展開し、現地の生産性向上に寄与しています。
収益は、現地の顧客企業から受領する派遣料金等です。運営はHIRAYAMA (THAILAND) Co.,Ltd.などの現地法人が行っています。
**(4) その他事業**
製造現場の改善コンサルティング、教育事業、有料職業紹介、障害福祉サービス、外国人就労支援などを展開しています。特にコンサルティング事業では、トヨタ生産方式を取り入れた現場改善指導を行っています。
収益は、コンサルティングフィーや紹介手数料、サービス利用料などからなります。運営は株式会社平山、株式会社平山LACC、株式会社平山グローバルサポーターなどが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は過去5期間を通じて着実な右肩上がりを続けており、362億円規模に達しています。経常利益も順調に推移しており、直近では13億円、利益率は3.6%となっています。当期純利益も増加傾向にあり、持続的な成長を実現しています。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 230億円 | 280億円 | 317億円 | 353億円 | 362億円 |
| 経常利益 | 6.5億円 | 7.8億円 | 9.5億円 | 11.7億円 | 13.0億円 |
| 利益率(%) | 2.8% | 2.8% | 3.0% | 3.3% | 3.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.6億円 | 7.1億円 | 7.2億円 | 7.2億円 | 3.5億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は353億円から362億円へ増加し、売上総利益も60億円から66億円へと伸長しています。これに伴い、営業利益は11億円から13億円へ増加し、営業利益率も改善傾向にあります。増収効果に加え、利益率の向上が見られます。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 353億円 | 362億円 |
| 売上総利益 | 60億円 | 66億円 |
| 売上総利益率(%) | 16.9% | 18.2% |
| 営業利益 | 11億円 | 13億円 |
| 営業利益率(%) | 3.2% | 3.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給与及び賞与が20億円(構成比39%)、広告宣伝費が6億円(同12%)を占めています。売上原価に関しては、その大半が労務費等の人件費で構成されています。
■(3) セグメント収益
主力のインソーシング・派遣事業は、医療機器関連等の受注増や請負化の進展により増収増益となりました。技術者派遣事業も需要増で増収となりましたが、採用・教育コスト増により減益となりました。海外事業はタイの景気停滞の影響で減収減益となっています。
| 区分 | 売上(2024年6月期) | 売上(2025年6月期) | 利益(2024年6月期) | 利益(2025年6月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| インソーシング・派遣事業 | 283億円 | 294億円 | 16億円 | 18億円 | 6.3% |
| 技術者派遣事業 | 29億円 | 31億円 | 1.3億円 | 1.0億円 | 3.2% |
| 海外事業 | 29億円 | 24億円 | 0.8億円 | 0.6億円 | 2.5% |
| その他 | 12億円 | 13億円 | 3.0億円 | 3.7億円 | 28.0% |
| 連結(合計) | 353億円 | 362億円 | 11億円 | 13億円 | 3.5% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 10.0億円 | 9.9億円 |
| 投資CF | 0.7億円 | -1.0億円 |
| 財務CF | 5.3億円 | -7.6億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は40.5%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「全社員の一心同体経営」および「仕事から得られる心の利益を大切にする」という2つの経営理念を掲げています。これらを基盤に、人に付いた技術で日本のものづくりを支援し、「設備と敷地を持たない製造業」や「人材輩出企業」への進化を目指しています。
■(2) 企業文化
社会的存在価値のある尊敬される企業を目指し、国籍や性別、障がい等に関係なく誰もが安心して働ける雇用環境の確保を重視しています。また、SDGsへの取り組みを推進し、「製造請負優良適正事業者」の認定を取得するなど、事業の健全性と透明性の確保に努める文化があります。
■(3) 経営計画・目標
2030年のありたい姿「VISION HIRAYAMA 2030」の実現に向け、中期経営計画「ファーストステージ」(2025年6月期~2027年6月期)を推進しています。最終年度である2027年6月期および2030年6月期の数値目標は以下の通りです。
* 2027年6月期:売上高460億円、営業利益22億円
* 2030年6月期:売上高600億円、営業利益36億円
* ROE:20%超(2027年6月期)
* 営業利益率:4.8%(2027年6月期)
■(4) 成長戦略と重点施策
「稼ぐ力の強化、高収益構造への転換」「M&AおよびAlliance戦略の推進」「経営基盤の強靭化」を重点施策としています。具体的には、医療・自動車関連への資源投入、半導体・設備保全分野の強化、現場改善コンサルティングの拡充を進めます。また、ROICを活用した効率的な投資と、DXによる業務効率化を推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「設備と敷地を持たない製造業」として、人材育成を最重要戦略と位置づけています。特に「フィールドエンジニア」の育成強化や、未経験者を含む全方位的なエンジニア教育を推進しています。また、多様性を重視し、女性・外国人・中途採用者を区別なく管理職へ登用する方針を掲げています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月期 | 51.9歳 | 3.8年 | 9,988,048円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 11.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 83.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) | 79.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用) | 99.0% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定の取引先への依存について
同社グループは、テルモ株式会社の国内工場に対し製造請負および製造派遣を行っており、総売上高に占める同社への売上割合が13.7%と高い水準にあります。良好な関係を維持していますが、同社の事業方針変更や生産動向の変化が生じた場合、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 人材の確保及びその維持にかかる影響
事業の根幹は人材の採用と育成にあります。募集広告の効率的運用や教育体制の強化を行っていますが、計画通りの人材確保が進まない場合、売上機会の喪失やコスト増により業績に影響が出る可能性があります。また、景気後退局面においては、無期雇用社員の維持コストが負担となる可能性もあります。
■(3) 労働災害等のリスク
製造請負の現場では、同社グループが業務遂行上の責任を負います。安全衛生管理やリスクアセスメントを徹底していますが、万が一、同社グループの瑕疵により労働災害が発生し、労働保険の適用を超える補償を求められる事態や訴訟に発展した場合、業績や社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。



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