Lib Work 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Lib Work 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロースおよび福証Q-Boardに上場する戸建住宅メーカー。「e土地net」等のポータルサイトやYouTubeを活用したデジタルマーケティングによる集客を得意とし、戸建住宅の企画・施工・販売を行う。直近の業績は、売上高160億円、営業利益8.3億円と増収増益で着地した。


※本記事は、株式会社Lib Work の有価証券報告書(第28期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. Lib Workってどんな会社?


デジタルマーケティングを駆使した集客戦略と、異業種コラボなどの商品開発力を強みとする戸建住宅事業を主力としています。

(1) 会社概要


1997年8月に有限会社瀬口工務店として設立され、2015年8月に福岡証券取引所Q-Boardへ上場しました。2018年4月に現在のLib Workへ商号変更し、翌2019年6月には東京証券取引所マザーズ(現グロース)へ上場を果たしています。2020年7月にはタクエーホームを完全子会社化するなど、事業拡大を進めています。

連結従業員数は324名、単体では274名です。筆頭株主はCSホールディングスで、第2位は同社代表取締役社長の瀬口力氏、第3位は常務取締役の瀬口悦子氏となっています。CSホールディングスは代表取締役社長の瀬口力氏が代表を務める法人であり、経営陣による安定的な株式保有体制となっています。

氏名 持株比率
CSホールディングス 34.33%
瀬口 力 10.71%
瀬口 悦子 8.31%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は瀬口力氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
瀬口 力 取締役社長(代表取締役) 1997年8月同社入社、取締役就任。1999年2月より現職。タクエーホームおよび幸の国木材工業の代表取締役社長を兼任。
瀬口 悦子 常務取締役 1997年8月同社常務取締役就任。2014年9月建築部管掌を経て、2023年10月より常務取締役営業部長。
難家 嘉之 取締役 ユニカ、オービーエム等を経て2013年同社入社。社長室長、執行役員経営企画室長等を歴任し、2024年9月より現職。リブサービス代表取締役社長を兼任。
塚本 則幸 取締役 三菱化学エンジニアリング、住友不動産、住友林業ホームテック等を経て2022年同社入社。建築部カスタマーサポート室長、建築部長を経て2024年9月より現職。
城 浩輔 取締役 トヨタファイナンスを経て2013年同社入社。管理部次長、管理部長を経て2024年9月より現職。


社外取締役は、松村伸也(K&Pパートナーズ代表取締役社長)、西村信男(西村信男税理士事務所代表)、前田隆(トライアンド代表取締役)、杉山浩司(スターティアホールディングス執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「戸建住宅事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) Lib Work事業


土地検索サイト「e土地net」やYouTubeチャンネル等のデジタルメディアを運営し、効率的な集客を行うことでコストパフォーマンスの高い注文住宅を提供しています。自社ブランドに加え、「無印良品の家」や「Afternoon Tea HOUSE」などのコラボ商品も展開しています。

収益は、顧客である一般消費者からの建築請負代金が主な源泉です。運営は主にLib Workが行っています。

(2) 戸建プラットフォーム事業


工務店やビルダー向けに、SaaS型住宅プラン提案サービス「My Home Robo」や、ブランドIPを供与する「IPライセンス事業」を提供しています。生成AIを活用した図面検索や、有名ブランドを活用した集客支援を行います。

収益は、加盟店である工務店やビルダーからのシステム利用料やライセンス料などが該当します。運営はLib Workおよび子会社のリブサービスが行っています。

(3) 3Dプリンター住宅事業


3Dプリンターを用いた住宅建築技術の開発・提供を行っています。建築コストの削減や工期短縮、人手不足解消を目指し、土を主原料としたサステナブルな住宅「Lib Earth House」などを開発しています。

将来的な収益源として、3Dプリンター住宅の販売や技術提供を見込んでいます。開発・運営はLib Workが主導しています。

(4) その他(子会社事業等)


神奈川県を中心とした戸建分譲事業や、熊本県での木材製材・加工販売事業などを行っています。タクエーホームは土地仕入れから販売までの回転率を強みとし、幸の国木材工業は木材の加工・供給を担っています。

収益は、戸建分譲住宅の販売代金や木材の販売代金となります。運営はタクエーホーム、幸の国木材工業などの連結子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は直近5期間において一貫して増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。利益面では、経常利益が変動しつつも直近では増加しており、当期純利益も前期比で増加しています。利益率は5%前後で推移しており、成長投資を行いながらも一定の収益性を維持しています。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 94億円 138億円 142億円 154億円 160億円
経常利益 5.8億円 7.1億円 3.1億円 6.0億円 8.5億円
利益率(%) 6.2% 5.1% 2.2% 3.9% 5.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 3.6億円 3.4億円 1.6億円 3.8億円 4.4億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益および営業利益も増加しました。特に営業利益率は前期の3.2%から5.2%へと改善しており、収益性が向上しています。売上原価率は低下傾向にあり、コストコントロールが進んでいることがうかがえます。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 154億円 160億円
売上総利益 37億円 44億円
売上総利益率(%) 24.1% 27.4%
営業利益 5.0億円 8.3億円
営業利益率(%) 3.2% 5.2%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が10億円(構成比28.4%)、広告宣伝費が5.6億円(同15.8%)を占めています。売上原価においては、完成工事原価等が主要な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


同社グループは単一セグメントですが、事業部門別の売上構成を見ると、建築請負事業が堅調に推移し、全体の成長を牽引しています。不動産販売事業は微減となりましたが、その他の事業(プラットフォーム事業等を含む)が増加しており、収益源の多角化が進みつつある状況です。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期)
建築請負事業 105億円 105億円
不動産販売事業 45億円 45億円
その他 9.5億円 9.5億円
連結(合計) 154億円 160億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスの「健全型」です。本業で稼いだ現金を投資に回しつつ、借入金の返済なども進めている、財務的に安定した状態と言えます。なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF 11億円 14億円
投資CF -9.2億円 -5.0億円
財務CF 23億円 -8.6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は40.9%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「HOUSE TECH COMPANYとして住宅のプラットフォーマーを目指す」ことをビジョンとし、「サステナブル&テクノロジーで住まいにイノベーションを起こす」というミッションを掲げています。技術と持続可能性を融合させ、住宅業界に変革をもたらすことを企業の存在意義としています。

(2) 企業文化


同社は、「暮らしを変える、世界を変える、未来をつくる。」というスローガンのもと企業活動を行っています。顧客満足を第一に考え、世界中に感動を与えるものを発信し、顧客の夢の実現に貢献するという経営理念に基づき、変化を恐れず挑戦する姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


2026年6月期を最終年度とする中期経営計画において、事業の成長性と収益性を重視した数値目標を設定しています。

* 売上高:180億円
* 営業利益:10億円
* ROE:11.4%

(4) 成長戦略と重点施策


戸建プラットフォーマーへの加速化を掲げ、各種住宅ソリューションサービスを全国の工務店・ビルダーへ提供することを目指しています。また、戸建住宅事業におけるエリア・顧客層・販売チャネルの拡大と利益率の改善、さらに「家」を再定義する3Dプリンター住宅の開発・販売を推進します。

* デジタルマーケティングの強化:YouTubeチャンネルの育成・投資を推進
* 収益の安定化・多様化:「マイホームロボ」事業やIPライセンスビジネスの拡大
* 施工能力の向上:各業種の自社内製化を推進
* 3Dプリンター住宅事業への積極投資:研究開発及び特許取得の推進

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


新たな事業を推進し市場の変化に柔軟に対応できる人材を確保するため、中途採用者の比率を拡大させています。また、社員のキャリア形成促進のためジョブ型雇用への移行を進めるとともに、高度専門人材の確保や次世代経営人材の育成に注力しています。多様な人材の活躍が成長に不可欠であるとの認識のもと、積極的な採用活動に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 31.1歳 4.4年 5,196,756円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 14.6%
男性育児休業取得率 18.1%
男女賃金差異(全労働者) 72.9%
男女賃金差異(正規雇用) 76.8%
男女賃金差異(非正規雇用) 67.9%


また、同社は「サステナブル」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、中途採用者採用比率(50.9%)、障がい者雇用率(1.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 営業地域の限定について


同社グループは熊本県、福岡県、佐賀県、大分県、千葉県、神奈川県の一部地域で事業を展開しています。そのため、当該地域の経済状況、金利動向、地価動向、住宅需給、雇用情勢等が悪化した場合には、同社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料・資材価格の高騰について


注文住宅を魅力ある価格で提供するため、仕入先の複数確保等により価格抑制に努めています。しかし、世界的な木材需要の高まりやインフレ等により原材料・資材の需要が増加し、仕入価格が高騰した場合には、同社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 特定人物への依存について


代表取締役社長である瀬口力氏は、経営方針や戦略の決定、事業推進において中心的役割を果たしています。権限委譲や組織強化を進めていますが、同氏が何らかの理由で経営に携われなくなった場合、同社グループの業績や事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。