進和 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

進和 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム・名証プレミア上場。金属接合、産業機械、FAシステム関連の販売および製造を行うエンジニアリング商社です。主力である自動車業界向けの設備投資が堅調に推移し、直近決算では売上高861億円、経常利益48億円と過去最高を更新する増収増益となりました。


※本記事は、株式会社進和 の有価証券報告書(第75期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 進和ってどんな会社?


金属接合技術を核に、商社機能と製造機能を併せ持つエンジニアリング商社として、自動車産業等を支えています。

(1) 会社概要


同社は1951年に鉄鋼販売を目的として設立され、1964年には特殊肉盛溶接等を行う本社工場を設置し製造分野へ進出しました。1987年に米国現地法人を設立して海外展開を開始し、2005年には東京・名古屋証券取引所市場第一部に指定されました。2022年の市場区分見直しに伴い、プライム市場およびプレミア市場へ移行しています。

連結従業員数は925名、単体では577名です。大株主構成を見ると、筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(10.80%)です。第2位は進和取引先持株会(3.80%)、第3位は進和従業員持株会(3.70%)となっており、取引先や従業員が主要な株主となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 10.80%
進和取引先持株会 3.80%
進和従業員持株会 3.70%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名、計11名で構成され、女性役員比率は18.0%です。代表者は代表取締役会長の根本哲夫氏と、代表取締役社長の瀧谷善郎氏です。社外取締役比率は約45%です。

氏名 役職 主な経歴
根本 哲夫 代表取締役会長経営全般 製造管掌 1979年同社入社。取締役名古屋営業第3部長、製造本部長等を経て2013年代表取締役社長に就任。2023年11月より現職。
瀧谷 善郎 代表取締役社長社長執行役員全社統括 海外管掌 1989年同社入社。タイ、インド、米国など海外現地法人の代表を歴任。海外事業本部長を経て2023年11月より現職。
石川 修示 取締役常務執行役員営業本部長兼中部本店長兼名古屋営業第一部長 1993年同社入社。名古屋営業各部長を歴任し、2018年常務取締役に就任。2025年4月より現職。
濱田 弘樹 取締役上席執行役員戦略事業領域長兼戦略営業推進室長兼名古屋営業第三部統括 1991年同社入社。米国現地法人取締役副社長等を経て2019年取締役に就任。2025年9月より現職。
加藤  清 取締役上席執行役員管理本部長兼情報システム部長 1987年同社入社。調達部長、総務部長、アイシン社長等を経て2019年取締役に就任。2023年11月より現職。
茂木 恒有 取締役(監査等委員) 元東京三菱銀行監査室監査主任。2012年同社入社。管理本部主査、総務部特命部長を経て2020年11月より現職。


社外取締役は、加川純一(元日本特殊陶業専務)、浅井紀子(中京大学教授)、内藤正明(弁護士)、秋葉和人(元十六銀行常務)、木全美加(公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本」「米州」「アジア・パシフィック」「中国」の各報告セグメントおよび「その他」事業を展開しています。

(1) 日本


国内の自動車メーカーや部品メーカー向けに、生産設備や材料の販売、FAシステム関連製品の製造販売などを行っています。特にEV・車載電池関連の生産設備や、工場内物流を自動化するAMR(自律走行搬送ロボット)などが主力製品です。また、肉盛溶接・溶射加工やメンテナンス工事なども手がけています。

収益は、顧客である製造業各社からの設備・材料の販売代金や、工事・メンテナンスの対価から得ています。運営は主に進和が担当し、子会社の進栄が物流業務、ダイシンが自動車部品の樹脂製品製造、アイシンが不動産管理を行っています。

(2) 米州


米国、メキシコ、ブラジルにおいて、日系自動車メーカーや部品メーカー向けに、溶接機器・材料、産業機械、FAシステム等の販売を行っています。現地での生産活動を支える消耗品や材料の供給も重要な事業の一部です。

収益は、現地の日系企業等への商品販売代金が中心です。運営は、米国ではSHINWA U.S.A. CORPORATION、メキシコではSHINWA ENGINEERING S.A. de C.V.、ブラジルではSHINWA REPRESENTAÇÃO COMERCIAL DO BRASIL LTDA.が行っています。

(3) アジア・パシフィック


タイ、インドネシア、マレーシア、インドにおいて、日系自動車メーカーや部品メーカー向けに設備や材料を販売しています。また、タイなど一部地域では溶接加工製品等の生産も行っています。インド子会社が連結化されたことに伴い、セグメント名称が変更されました。

収益は、各国の顧客への販売代金等から構成されています。運営は、SHINWA INTEC Co., Ltd.(タイ)、PT. SANTAKU SHINWA INDONESIA、SHINWA INTEC MALAYSIA SDN. BHD.、SHINWA(INDIA)ENGINEERING & TRADING PRIVATE LIMITEDが行っています。

(4) 中国


上海、煙台、天津を拠点に、熱交換器やろう付材料の生産・販売、FAシステム機器の生産・販売、機械設備のメンテナンス事業などを展開しています。日系自動車メーカーやゴムメーカー、石油・化学メーカーなどが主要顧客です。

収益は、製品の販売代金やメンテナンスサービスの対価から得ています。運営は、那欧雅進和(上海)貿易有限公司、煙台進和接合技術有限公司、煙台三拓進和撹拌設備維修有限公司、進和(天津)自動化控制設備有限公司が行っています。

(5) その他


上記報告セグメントに含まれない事業として、欧州(イギリス)における事業活動が含まれます。現地の顧客向けに溶接機器・材料、産業機械等の販売を行っています。

収益は、欧州市場での商品販売代金が主となります。運営は、英国のSHINWATEC LIMITEDが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は一貫して増加傾向にあり、第75期には861億円に達しました。利益面では第74期に一時的な落ち込みが見られましたが、第75期には回復し、経常利益率は5.6%となっています。当期利益も30億円台に回復し、増収増益基調を維持しています。

項目 2021年8月期 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 612億円 711億円 761億円 778億円 861億円
経常利益 41億円 56億円 51億円 39億円 48億円
利益率(%) 6.8% 7.9% 6.8% 5.0% 5.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 28億円 38億円 36億円 27億円 33億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で約83億円増加し、売上総利益も増加しました。売上総利益率は15.5%から16.1%へと改善しています。営業利益率も4.6%から5.3%へ上昇しており、収益性が向上していることが読み取れます。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 778億円 861億円
売上総利益 121億円 139億円
売上総利益率(%) 15.5% 16.1%
営業利益 36億円 45億円
営業利益率(%) 4.6% 5.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が37億円(構成比40%)、その他経費が35億円(同38%)を占めています。

(3) セグメント収益


日本セグメントが大幅な増収増益となり、全体の業績を牽引しました。一方、米州セグメントは大型プロジェクトの反動減等により減収減益となりました。アジア・パシフィックはインド子会社の連結化もあり増収増益でしたが、中国は経済減速の影響を受け減収となりました。

区分 売上(2024年8月期) 売上(2025年8月期) 利益(2024年8月期) 利益(2025年8月期) 利益率
日本 562億円 672億円 16億円 31億円 4.6%
米州 111億円 86億円 13億円 7億円 7.7%
アジア・パシフィック 46億円 57億円 5億円 7億円 11.8%
中国 49億円 42億円 1億円 1億円 2.6%
その他 10億円 5億円 1億円 -0億円 -1.0%
調整額 -億円 -億円 -1億円 2億円 -
連結(合計) 778億円 861億円 36億円 45億円 5.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動によるキャッシュ・フローがプラスで、投資活動および財務活動によるキャッシュ・フローがマイナスであるため、本業で稼いだ資金を借入返済や株主還元、将来への投資に充てている健全型(健全な黒字企業)と言えます。

項目 2024年8月期 2025年8月期
営業CF 40億円 113億円
投資CF -7億円 -8億円
財務CF -14億円 -15億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は58.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「進和の企業使命」として、金属接合を事業の核とし製造部門を持つエンジニアリング商社として、産業界のニーズを的確にとらえ、高度なソリューション提供により人、モノ、社会をつなぎ、未来へ続く付加価値創造を実践することで、世界中のお客様から期待される企業となることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は社訓として「三拓の精神」(新商品の開拓、新規需要家の開拓、新規需要の開拓)を掲げています。また、企業行動指針として「現地・現物・現実主義」の信条とフロンティアスピリッツをモットーに、取引先の安心と信頼、満足を追求するため積極果敢なチャレンジを行う文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は第4次中期経営計画(2026年8月期最終年度)において、EV市場の鈍化や中国市場の変化等を踏まえ、経営目標を修正しました。最終年度の目標として以下の数値を掲げています。

* 売上高:870億円
* 営業利益:43億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:31億円
* ROE:7%以上

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画では、「成長市場におけるビジネスの拡大」「生産・開発体制(メーカー機能)の拡充」「グローバルビジネスの拡大と体制整備」等を基本方針としています。国内ではエンジニアリング機能強化や電動化・自動運転対応、グリーンビジネスの拡大を進め、海外では地域統括会社を核とした管理体制構築や重点地域の開拓を推進します。製造部門ではものづくり技術開発の強化を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「三拓の精神」のもと、社員の人格・個性・多様性を尊重し、主体性と創造力を持って活躍できる環境整備を進めています。具体的には、公平なキャリア支援、女性活躍を含むダイバーシティ推進、階層別研修や海外実習などの教育機会提供を行っています。また、チャレンジ精神を重視した評価や、社員の安全・健康確保、心理的安全性の向上にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 40.1歳 11.7年 7,317,721円


※平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.9%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 64.1%
男女賃金差異(正規) 67.4%
男女賃金差異(非正規) 50.3%


※男性労働者の育児休業取得率につきましては、公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 自動車関連産業への依存リスク


同社グループの売上高の約7割は自動車関連産業向けであり、特にトヨタ自動車グループへの依存度が高い状況です。そのため、国内外の自動車産業、とりわけ主要顧客の設備投資動向や生産動向の変化が、同社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 海外展開に伴う為替相場変動リスク


同社グループは米州、アジア、中国等に拠点を持ち、海外売上高比率は約3割を占めます。外貨建て取引については為替予約等でリスクヘッジを行っていますが、急激な為替相場の変動は、円換算後の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

(3) 大型プロジェクト受注のリスク


自動車関連メーカー向けの新工場や生産ライン増設などの大型プロジェクトを受注する場合、工期が長期間に及び、受注金額も多額になることがあります。プロジェクトの進捗遅れや採算悪化が生じた場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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