SHIFT 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

SHIFT 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

SHIFTは東京証券取引所(プライム市場)に上場しており、ソフトウェアテスト・品質保証サービスや開発関連サービスを主力事業としています。直近の業績は、売上高1,298億円(前期比17.3%増)、経常利益152億円(同41.2%増)と増収増益を達成しており、成長を続けています。


※本記事は、株式会社SHIFT の有価証券報告書(第20期、自 2024年9月1日 至 2025年8月31日、2025年11月21日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. SHIFTってどんな会社?


同社は、ソフトウェアの「テスト・品質保証」を専門とするブルーオーシャン市場を開拓し、独自の検定やツールを活用して高品質なサービスを提供する企業です。

(1) 会社概要


同社は2005年9月に設立され、当初は製造業向けコンサルティングを行っていました。2009年にソフトウェアテスト事業を開始し、これが現在の主力事業へと成長しました。2014年にマザーズへ上場し、2019年には東証一部へ市場変更、2022年4月にはプライム市場へ移行しました。積極的なM&A戦略を推進しており、2025年3月には株式会社KINSHAを子会社化するなど、事業領域の拡大を続けています。

連結従業員数は11,688名、単体では6,201名です。筆頭株主は創業者の丹下 大氏で、第2位、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
丹下 大 30.62%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 11.22%
日本カストディ銀行(信託口) 7.96%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性3名の計10名で構成され、女性役員比率は30.0%です。代表取締役社長は丹下 大氏です。社外取締役比率は60.0%です。

氏名 役職 主な経歴
丹下 大 代表取締役社長 株式会社インクス(現SOLIZE)を経て、2005年9月に同社設立、代表取締役社長に就任。
佐々木 道夫 取締役会長 リード電機(現キーエンス)代表取締役社長などを経て、2020年同社取締役副社長。2024年11月より現職。
小林 元也 取締役 株式会社インクス(現SOLIZE)を経て、2007年同社入社。ソフトウェアテスト事業部長などを歴任し、2014年11月より現職。
服部 太一 取締役(非常勤) Indeed Inc. CFO、リクルートホールディングスを経て、2021年同社取締役CFO。2024年11月より現職。


社外取締役は、村上誠典(シニフィアン代表取締役)、元谷芙美子(アパホテル代表取締役社長)、Amy Shigemi Hatta(Nomura Holding America Outside Director)、新井優介(公認会計士)、中垣徹二郎(Theta Times Partners代表取締役)、谷中直子(弁護士・東京国際法律事務所)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ソフトウェアテスト関連サービス」、「ソフトウェア開発関連サービス」および「その他近接サービス」事業を展開しています。

(1) ソフトウェアテスト関連サービス


ソフトウェア製品やサービスのリリースに不可欠なテスト・品質保証業務、コンサルティング・PMO、カスタマーサポート、セキュリティサービスを提供しています。エンタープライズ向けからエンターテインメント向けまで幅広い領域をカバーしています。

収益は、顧客企業からの業務委託料などが主な源泉です。運営は主に株式会社SHIFTが行っているほか、海外拠点のSHIFT GLOBAL PTE. LTD.やSHIFT ASIA CO., LTD.、セキュリティ分野の株式会社SHIFT SECURITYなどが担当しています。

(2) ソフトウェア開発関連サービス


システム開発、システム性能改善、IT戦略策定、システム企画・設計、エンジニアマッチングプラットフォーム、データ分析など、ソフトウェア開発プロセスに直接関与するサービスを提供しています。

収益は、システム開発やコンサルティングに対する対価が中心です。運営は、株式会社メソドロジック、ALH株式会社、Airitech株式会社、株式会社システムアイなどが担っています。

(3) その他近接サービス


Web企画制作、マーケティング、キッティング、クラウドサービス、ローカライズ、M&A/PMI(統合プロセス支援)など、ソフトウェア開発周辺の多様なサービスを提供しています。

収益は、各サービス提供に対する対価です。運営は、株式会社ナディア、株式会社SHIFTグロース・キャピタル、株式会社エスエヌシーなど、多岐にわたるグループ会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は5期間連続で増加しており、急成長を続けています。経常利益などの各利益項目も、2024年8月期に一時的な減少が見られたものの、全体としては拡大傾向にあります。特に直近の2025年8月期は大幅な増益となり、高い利益率を回復しています。

項目 2021年8月期 2022年8月期 2023年8月期 2024年8月期 2025年8月期
売上高 460億円 649億円 880億円 1,106億円 1,298億円
経常利益 47億円 76億円 120億円 108億円 152億円
利益率(%) 10.3% 11.6% 13.6% 9.7% 11.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 22億円 35億円 46億円 45億円 92億円

(2) 損益計算書


前期と比較して売上高が増加し、売上総利益率および営業利益率ともに改善しています。特に営業利益の伸びが著しく、収益性が向上していることがわかります。

項目 2024年8月期 2025年8月期
売上高 1,106億円 1,298億円
売上総利益 354億円 450億円
売上総利益率(%) 32.0% 34.7%
営業利益 105億円 156億円
営業利益率(%) 9.5% 12.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が117億円(構成比40%)、採用費が41億円(同14%)を占めています。

(3) セグメント収益


全てのセグメントで増収増益を達成しました。主力のソフトウェアテスト関連サービスが順調に拡大したほか、その他近接サービスでは大幅な増益となっています。

区分 売上(2024年8月期) 売上(2025年8月期) 利益(2024年8月期) 利益(2025年8月期) 利益率
ソフトウェアテスト関連サービス 713億円 843億円 162億円 215億円 25.5%
ソフトウェア開発関連サービス 350億円 401億円 18億円 26億円 6.5%
その他近接サービス 83億円 107億円 2億円 7億円 6.9%
調整額 -41億円 -53億円 -76億円 -92億円 -
連結(合計) 1,106億円 1,298億円 105億円 156億円 12.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は「健全型」(営業CF+、投資CF-、財務CF-)です。本業で稼いだ現金を投資に回しつつ、財務活動においても支出を行っている状態です。

項目 2024年8月期 2025年8月期
営業CF 91億円 157億円
投資CF -99億円 -117億円
財務CF 42億円 -12億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は24.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は52.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「新しい価値の概念を追求し、誠実に世の中に価値を提供する」ことを企業理念とし、世の中の人が幸せになるサービスや事業を創造していくことを目指しています。また、「すべてのソフトウェアにMade in Japanの品質を」を合言葉として各種サービスを提供しています。

(2) 企業文化


同社は「無駄のないスマートな社会の実現」というビジョンのもと、従来の属人的な業務プロセスを効率化・標準化することを重視しています。独自の検定制度「CAT検定」によりエンジニアの適性を評価するなど、経歴に関わらず実力のある人材が活躍できる環境や、多様なバックグラウンドを持つ人材を受け入れる文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社は、「無駄のないスマートな社会の実現」に向けた通過点として、売上高3,000億円を目指す中期成長戦略「SHIFT3000-シフトスリーサウザンド-」を掲げています。また、経営上の目標達成状況を判断する指標として、以下をモニタリングしています。

* 売上高
* 売上総利益率の改善を伴った各段階利益
* 顧客単価、顧客数、エンジニア単価、エンジニア数

(4) 成長戦略と重点施策


「SHIFT3000」の達成に向け、営業、人事・採用、サービス・技術、M&A/PMIの4つの側面から事業成長を推進します。具体的には、CIOとのリレーション構築による顧客開拓、IT業界トップクラスの採用力による人材確保、上流工程から開発・近接サービスへの領域拡大、そしてM&Aと標準化されたPMIによる成長加速に注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、IT未経験者でも活躍できるよう業務の徹底的な標準化と独自の検定試験「CAT検定」を導入し、積極採用と生産性向上を両立させています。今後は売上高3,000億円を目指し、各分野のスペシャリストを中心とした優秀な人材の採用を強化する方針です。また、実力主義の人事評価や、多様な働き方の提供、従業員エンゲージメントの向上にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年8月期 38.0歳 3.2年 6,849,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.1%
男性育児休業取得率 73.0%
男女賃金差異(全労働者) 71.0%
男女賃金差異(正規雇用) 69.7%
男女賃金差異(非正規) 102.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、人口流入数(採用人数)(2,217人)、社内のエンゲージメント(離職率)(6.6%)、年間昇給率(5.6%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 人材の確保について


同社グループの事業において人材採用は極めて重要です。IT業界の求人倍率が高い中、独自の検定や各種施策により人材確保に努めていますが、競争激化等により十分なエンジニアを確保できない場合、サービス提供や受注活動が阻害され、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 市場の動向について


同社グループはソフトウェアテスト市場の拡大を見込んでいますが、市場が期待通りに拡大しなかった場合や、景気変動等により顧客企業のIT投資が抑制された場合、事業成長や経営成績に影響が出る可能性があります。これに対し、幅広い業界への顧客開拓やクロスセル推進により対応力を強化しています。

(3) 赤字プロジェクトの発生防止について


業務委託契約において、顧客とのコミュニケーション不足等により業務遂行に問題が生じ、損害賠償責任を負うなどしてプロジェクトが赤字化した場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。対策として、契約前の十分な擦り合わせや主要プロジェクトの進捗確認を行っています。

(4) M&A及びマイノリティ出資について


事業拡大等のためM&Aや出資を推進していますが、想定したシナジーが得られない場合や、対象企業の業績悪化によりのれん等の減損処理が発生した場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、専門家によるデューデリジェンスや投資後のモニタリング体制の強化を行っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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