キャンディル 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

キャンディル 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の建築サービス企業です。建物の修繕・改修・維持・管理を行う建築サービス関連事業を主力とし、リペアや内装工事、定期点検などを展開しています。直近の業績は、売上高139億円(前期比4.8%増)、経常利益4.2億円(同19.1%増)と増収増益で推移しています。


※本記事は、株式会社キャンディル の有価証券報告書(第12期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. キャンディルってどんな会社?


建物の修繕や維持管理を行う「建築サービス関連事業」を全国展開し、リペアや内装工事などを提供しています。

(1) 会社概要


1995年、林晃生氏が住宅建材のキズ補修を行う旧バーンリペアを設立したことに始まります。2011年に持株会社体制へ移行し、グループを形成しました。2016年にキャンディルへ商号変更し、2018年に東証マザーズへ上場を果たしました。2022年4月の市場区分見直しに伴い、東証スタンダード市場へ移行しています。

連結従業員数は591名、単体では43名です。筆頭株主は引越運送大手のサカイ引越センターで、同社とは資本業務提携契約を締結しています。第2位は代表取締役社長である林晃生氏、第3位は同氏が代表を務める株式会社TRAとなっています。

氏名 持株比率
サカイ引越センター 27.21%
林 晃生 21.45%
TRA 3.35%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名、計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は林晃生氏です。社外取締役比率は55.6%です。

氏名 役職 主な経歴
林 晃生 代表取締役社長 1995年旧バーンリペア設立。グループ各社の代表を経て、2017年9月より現職。
藤原 泉 取締役(人事・総務・情報システム管掌) 2004年旧バーンリペア入社。管理本部長等を経て、2024年12月より現職。
京極 和博 取締役(事業管掌) 2016年キャンディルテクト取締役副社長。キャンディルデザイン社長等を経て2024年12月より現職。
小澤口 信行 取締役(財務経理・経営管理管掌) 2002年旧バーンリペア入社。執行役員社長室長等を経て、2024年12月より現職。


社外取締役は、大浦善光(ウィズバリュー代表取締役)、笠原悟志(サカイ引越センター上席執行役員)、古川静彦(元日本たばこ産業監査部長)、津村美昭(公認会計士)、飛松純一(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「建築サービス関連事業」の単一セグメントにおいて、以下の4つのサービス分類で事業を展開しています。

(1) リペアサービス


建物における建材や家具などのキズ・不具合を、部材交換せずに修復するサービスです。住宅、商業施設、寺社仏閣など多岐にわたる建物を対象としています。

ハウスメーカーやゼネコンなどから依頼を受け、現場でサービスを提供して収益を得ています。運営は主にバーンリペア、キャンディルデザインが行っています。

(2) 住環境向け建築サービス


住宅の定期点検、メンテナンス、リコール対応(リフィットサービス)、コールセンター運営などを提供しています。住宅の引き渡し後も長く快適に住むためのアフターフォロー体制を支援します。

住宅建設業者に対し、定期点検やメンテナンス、クラウド型ツール「ツナゲルクラウド」などをパッケージ化して提供し、対価を得ています。運営は主にバーンリペア、キャンディルデザイン、キャンディルパートナーズが行っています。

(3) 商環境向け建築サービス


商業施設やオフィスの内装工事、家具の組立・設置、建材揚重(運び込み)などを提供しています。多店舗一斉工事などの同時多発的な現場対応に強みを持っています。

店舗やオフィスのオーナー、建設業者などから工事や作業を請け負い、収益を得ています。運営は主にキャンディルテクトが行っています。

(4) 商材販売


主にリペアサービスで使用する補修材やメンテナンス商材を取り扱っています。国内外のメーカーから仕入れるほか、オリジナル商品の開発も行っています。

ホームセンターやECサイトなどを通じて、プロから一般消費者まで幅広く商材を販売し、代金を得ています。運営は主にキャンディルデザインが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 112億円 113億円 123億円 132億円 139億円
経常利益 0.4億円 3.0億円 4.4億円 3.5億円 4.2億円
利益率 0.3% 2.7% 3.6% 2.6% 3.0%
当期利益(親会社所有者帰属) -0.7億円 1.1億円 2.2億円 1.4億円 2.0億円


売上高は過去5期間で一貫して増加傾向にあり、直近では139億円に達しています。経常利益は2021年9月期に低水準でしたが、その後は回復基調にあります。2024年9月期には一時減益となりましたが、直近の2025年9月期では増益となり、利益率も改善しています。

(2) 損益計算書

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 132億円 139億円
売上総利益 47億円 50億円
売上総利益率 35.5% 36.2%
営業利益 3.6億円 4.2億円
営業利益率 2.7% 3.0%


増収に伴い売上総利益が増加し、営業利益も前期比で増加しています。売上総利益率、営業利益率ともに改善が見られます。

販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が19億円(構成比41%)、地代家賃が3億円(同6%)を占めています。売上原価については、HTMLの連結損益計算書注記に主な内訳の記載はありませんが、単体決算の営業費用明細等から、人件費や外注費が主要な要素であると推察されます。

(3) セグメント収益


全てのサービス区分において増収となりました。特に「住環境向け建築サービス」は定期点検や検査業務の増加により、「商環境向け建築サービス」は大型内装工事案件の増加により、それぞれ好調に推移し、全体の売上成長を牽引しました。「リペアサービス」も単価上昇により堅調でした。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期)
リペアサービス 44億円 45億円
住環境向け建築サービス 39億円 41億円
商環境向け建築サービス 43億円 46億円
商材販売 7億円 7億円
連結(合計) 132億円 139億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


**健全型**:本業である営業活動で現金を稼ぎ出し(プラス)、それを借入金の返済(財務CFマイナス)や設備投資(投資CFマイナス)に充てている、財務体質の健全な状態です。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 3.8億円 4.2億円
投資CF -0.7億円 -0.9億円
財務CF -3.0億円 -3.2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.8%でスタンダード市場平均(7.2%)を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は47.1%で市場平均(非製造業48.5%)をやや下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「革新創造」を社是とし、「世界に誇れる独創的建物サービスで社会と感動を分かち合う」というグループ理念を掲げています。この理念に基づき、「全ての建物に“キャンディル”」というグループビジョンの実現を目指しています。

(2) 企業文化


「革新創造」を社是とし、顧客のニーズや時代の変化に寄り添いながら事業を推進する姿勢を重視しています。世界に誇れる独創的な建物サービスを通じて、社会と感動を分かち合うことを目指す文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


持続的な事業成長と企業価値向上を実現するため、収益力の拡大を最重要課題と位置づけています。特に、安定的な企業価値向上につながる営業利益とその成長率、および営業活動によるキャッシュ・フローの増加を最重要指標としています。

(4) 成長戦略と重点施策


主力サービスの安定成長と需要拡大が見込まれる分野の伸長を目指し、施工体制と経営基盤の強化に注力します。具体的には、「売価アップの推進」「労働力・施工力の拡大」「生産性の向上」「アライアンスの推進」「人的資本経営の推進」の5つを重要課題としています。適正価格への見直しや内部・外部の施工力強化、業務効率化による生産性向上などを進めます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


労働集約型ビジネスであるため、人材を重要な要素と捉え、「人的資本経営の推進」を掲げています。新規労働力の確保に加え、既存労働力の維持・質向上を重視し、待遇改善や多様性の確保、働きやすさの改善に取り組んでいます。また、リスキリングやAI活用スキルの習得支援も進め、生産性向上と持続的成長を支える人的基盤の構築を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 40.6歳 5.6年 5,898,000円


※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.6%
男性育児休業取得率 80.0%
男女賃金差異(全労働者) 79.1%
男女賃金差異(正規) 80.7%
男女賃金差異(非正規) 92.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(31.6%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 建築関連の市場環境の変化


同社グループの事業は、建築関連向けのサービスを主としており、景気動向、金利、地価、税制、政策などの影響を大きく受けます。景気悪化や金利上昇、住宅着工戸数の減少などが生じた場合、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 人材について


事業継続には人材の安定的な確保と育成が不可欠です。人材の確保・育成が計画通りに進まない場合や、退職者の増加、不祥事による損害、士気の低下などが発生した場合、経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

(3) 外注先の確保について


受注したサービスの一部を協力会社に発注していますが、個別の現場トラブルや、受注増に見合う協力会社を確保できない場合、業務の停滞を招き、経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。