ジェノバ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ジェノバ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース市場に上場する、GNSS(全球測位衛星システム)補正情報配信サービスの専門企業です。測量や建設、農業分野向けに高精度な位置情報データを提供しています。2025年9月期の売上高は14億円、経常利益は8億円で、利用拡大に伴い増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社ジェノバ の有価証券報告書(第25期、自 2024年10月1日 至 2025年9月30日、2025年12月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ジェノバってどんな会社?


測量、建設、農業等の現場で必要とされる、センチメートル級の高精度な位置情報補正データを配信する事業を展開しています。

(1) 会社概要


2002年に設立され、GPS補正情報配信サービスを開始しました。2013年には国土地理院の電子基準点に対応したマルチGNSS配信サービスの全国展開をスタートしています。その後も対応衛星システムを拡充し、2023年4月に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしました。

同社の従業員数は単体で17名と少数精鋭の体制をとっています。大株主構成を見ると、筆頭株主は個人株主の南安子氏で、第3位には測量機メーカー等の事業を展開する株式会社トプコンが名を連ねており、同社とは業務提携関係にあります。

氏名 持株比率
南 安子 19.75%
南 尚子 19.74%
トプコン 11.34%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は戸上敏氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
戸上 敏 代表取締役社長 1988年ジェック入社。2002年同社入社後、管理部長、代表取締役専務などを経て、2024年10月より現職。
細谷 素之 取締役 1972年パスコ入社。同社測量事業部長、常務取締役、代表取締役社長、顧問などを経て、2024年12月より現職。


社外取締役は、長尾隆史(長尾法律事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「GNSS補正情報配信サービス等事業」を展開しています。

GNSS補正情報配信サービス等事業


衛星測位(GNSS)で生じるメートル級の誤差をセンチメートル級に補正するデータを配信しています。リアルタイムに補正データを提供する「リアルタイムデータ配信」と、観測データを後日分析する「後処理データ配信」があり、測量・建設・農業などの分野で利用されています。また、サービスの利用に必要な通信機器の販売も行っています。

収益は、主にサービスの利用者から受け取る「配信利用料」(従量プラン、定額プラン等)と、初回登録料によって構成されています。また、通信機器販売による売上もあります。運営は主にジェノバが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は11億円から14億円へと着実に増加しています。経常利益も5億円台から8億円近くまで拡大しており、高収益体質を維持しながら成長を続けています。利益率はいずれの期も50%前後と非常に高い水準で推移しており、効率的な事業運営が行われていることが読み取れます。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年9月期 2024年9月期 2025年9月期
売上高 11億円 12億円 12億円 13億円 14億円
経常利益 5.1億円 6.0億円 6.4億円 7.0億円 7.8億円
利益率(%) 48.9% 51.4% 53.2% 55.1% 57.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 3.6億円 4.1億円 4.4億円 4.8億円 5.4億円

(2) 損益計算書


直近2期間の比較では、売上高の増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに増加しています。売上原価率は低く抑えられており、売上総利益率は80%を超える高い水準を維持しています。営業利益率も50%台後半で推移しており、極めて高い収益性を確保しています。

項目 2024年9月期 2025年9月期
売上高 13億円 14億円
売上総利益 10億円 11億円
売上総利益率(%) 81.7% 82.1%
営業利益 6.9億円 7.7億円
営業利益率(%) 54.9% 56.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が0.7億円(構成比19%)、役員報酬が0.7億円(同20%)を占めています。売上原価においては、支払手数料が0.8億円(構成比33%)、労務費が0.6億円(同25%)となっています。

(3) セグメント収益


同社はGNSS補正情報配信サービス等事業の単一セグメントですが、サービスごとの売上高が開示されています。主力のデータ配信サービスは、測量分野での底堅い需要に加え、ICT土木やIT農業分野での利用拡大により増収となりました。通信機器販売は概ね横ばいで推移しています。

区分 売上(2024年9月期) 売上(2025年9月期)
データ配信サービス 12.3億円 13.3億円
通信機器 0.4億円 0.4億円
合計 12.7億円 13.7億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業の儲けを示す営業CFがプラス、将来のための投資を示す投資CFがマイナス、借入返済や配当支払い等を示す財務CFがマイナスとなっています。これは、本業で稼いだ資金を投資や株主還元、財務体質の改善に充てていることを示しており、健全型のキャッシュ・フロー状態と言えます。

項目 2024年9月期 2025年9月期
営業CF 5.7億円 5.9億円
投資CF -2.1億円 -2.7億円
財務CF -0.3億円 -7.6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は88.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「高品質な位置情報の提供により安心・安全な社会づくりに貢献する。」というミッションを掲げています。また、「リアルタイムかつ高精度な位置情報サービスで事業を拡大する。」をビジョンとし、顧客の課題に対して最適なサービスと知見を提供することで解決を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、新しい分野・業界へのアプローチを継続することを重視しています。既存の分野にとどまらず、高精度な位置情報が必要とされる領域へ積極的にサービスを拡大していく姿勢を持っています。また、法令遵守や社会的責任を果たすことを基本とし、公正で透明性の高い経営に取り組むことを基本的な考えとしています。

(3) 経営計画・目標


同社は、持続的な成長と事業拡大を目指し、事業の成長性や収益性の向上に取り組んでいます。その達成状況を判断するための重要な経営指標(KPI)として、期末時点における「リアルタイムデータ配信における契約数」を設定しています。

* 2025年9月期末契約数:9,348件

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、従来の測量領域での事業を拡大しつつ、i-Construction(ICT土木)、IT農業、ドローン点検などの新分野での配信を進めることで事業拡大を図る方針です。具体的には、補正情報配信サービスのブランド確立、顧客ニーズを汲み取ったビジネス開拓、パートナーとのリレーション強化などに取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、高精度の位置情報を利用したビジネスの多様化に対応するため、専門的知見を持つ高付加価値な人材の確保と労働生産性の向上を重視しています。継続的な採用活動を行うとともに、教育・研修体制の充実を図り、業務システム等の構築・連携による業務効率化を進めることで、全社的な生産性向上に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年9月期 45.5歳 9.6年 7,846,815円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は常時雇用する労働者の数が300人を超えないため公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) GNSSへの依存について


同社のサービスは、国土地理院の電子基準点におけるGNSSデータを利用してお客様のデータを解析する仕組みです。そのため、GNSS自体や国土地理院側でトラブルが発生しデータ取得ができなくなった場合、サービス提供に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 小規模組織であることについて


同社は小規模組織であり、業務執行において各部門の責任者が重要な役割を担っています。事業拡大やサービスの多様化に対して、人員補強や業務の自動化など適切な対応が取れない場合、企業競争力や事業推進力に支障が生じ、業績に影響を与える可能性があります。

(3) システム障害等について


同社のサービスは通信ネットワークを通じて提供されています。サーバーの冗長化などの対策を行っていますが、災害、事故、サイバー攻撃、ソフトウェアの不具合などにより通信やサーバー機能が停止した場合、サービスが提供できなくなり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 競合他社による影響について


高品質なデータ配信により優位性を築いていますが、高精度な位置補正情報のニーズ拡大に伴い、競合他社が参入しています。特許取得などの対策は行っているものの、他社との品質や価格競争が激化した場合には、売上の減少などにより業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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