0 編集部が注目した重点ポイント
① 社長直轄の経営企画室を組成し成長投資を加速させる
スターツ出版は、長年蓄積した利益剰余金を原資に、資本提携やM&Aを担う経営企画室を社長直轄で新設しました。2025年6月には観光DX(デジタルトランスフォーメーション)を手掛けるRelyon Tripを子会社化しており、今後は自社アセットとの掛け算による「構造的変化」を通じたキャリア機会の拡大が期待されます。
② 自社原作17作品の映像化でIP収益を最大化する
書籍コンテンツ事業では、2026年に初のテレビアニメ化を含む計17作品の映像化が決定しています。大ヒット作「鬼の花嫁」を中心に、映画・ドラマ・アニメと多角的なチャネル展開を強化する方針です。ライツ部門の増員・強化を進めており、コンテンツの立体的な価値創出に携わるチャンスが広がっています。
③ 生成AI活用による読者サービス開発と生産性を向上させる
「アクセラレーショングループ」を本格稼働させ、業務効率化に留まらない読者・ユーザー向けAIサービスの実装に注力しています。OZmall(オズモール)でのレストラン検索AIチャットや、広告入稿時の規約自動判定システムなど、エンジニアやプランナーが先端技術を社会実装できる環境が整っています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年12月期 決算説明会資料 P.6
2025年12月期の実績は、売上高81億43百万円、営業利益17億56百万円となりました。前年の大ヒット映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」の反動減に加え、新レーベルの創刊ラッシュや物流費・印刷コストの上昇が重なり、先行投資に伴う減収減益という結果です。
一方で、財務基盤は自己資本比率83.5%、借入金ゼロと極めて強固です。2026年12月期は、映像化作品の集中投入やメディア事業の拡大により、売上高90億円(前期比10.5%増)、営業利益20億円(同13.8%増)への反転攻勢を計画しています。
2026年度の通期計画に対する進捗評価としては、豊富な映像化ラインナップを背景に、通期目標の達成は堅調に推移する見込みです。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年12月期 決算説明会資料 P.7
書籍コンテンツ事業
【事業内容】「野いちご」「ベリーズカフェ」などの小説投稿サイトを基点とし、独自のマーケティングに基づき書籍・コミックを発行する出版ビジネスです。
【業績推移】売上高4,804百万円(前期比9.1%減)。大ヒット作の反動や、新レーベル創刊、人員増に伴う人件費増加が営業利益を圧迫しました。
【注目ポイント】ヒット作に依存しない収益構造を目指し、コミックシフトと映像化戦略(IP展開)を徹底強化しています。編集者だけでなく、ライツ営業やマーケティング担当がチームで動く「マーケットイン」型の手法を重視しており、異業界からの企画・マーケティング人材を必要としています。
メディアソリューション事業
【事業内容】「OZmall」や「オズマガジン」等のメディアブランドを活用し、レストラン・宿泊予約やPRソリューションを提供しています。
【業績推移】売上高3,338百万円(前期比1.2%増)。レストラン予約が堅調に推移し、増収増益(営業利益7.2%増)を達成しました。
【注目ポイント】大阪・関西万博を見据えた関西エリアへの進出が奏功しており、地域密着型ソリューションの受注が拡大しています。自治体の魅力発信支援や商業施設の集客支援など、WEBメディアの枠を超えた「送客手数料ビジネス」から「企画提案型ビジネス」への深化が進んでおり、コンサルティング能力の高い人材の活躍余地が大きいです。
新規事業(観光・DX領域)
【事業内容】2025年6月より連結開始。子会社のRelyon Tripが運営する観光DXアプリ「SASSY」等を通じた新たな収益源の創出を担います。
【業績推移】(注:前年同期は未連結のため単純比較不可)グループ全体への寄与はこれからですが、成長投資の主軸として期待されています。
【注目ポイント】アプリとOZmallのデータ連携や、AIを活用した「おでかけ提案」など、メディア×テクノロジーの融合を加速させています。社内公募制度「未来プロジェクト」を通じて社員から新規事業提案を募集しており、若手でもゼロから事業を立ち上げ、拡大させるチャンスが豊富にあります。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年12月期 決算説明会資料 P.15
中期経営計画「ローリング方式(毎期改定)」に基づき、2028年に売上高100億円突破を掲げています。採用における最大の注目点は、「届ける・広げる活動」の徹底強化です。単にプロダクトを創るだけでなく、SNSやAIを活用して最大範囲に行き渡らせる専門チームの編成を急いでいます。
また、社長直轄の経営企画室主導で、既存アセットと親和性の高い企業のM&Aや資本提携を積極的に検討しています。質疑応答でも、利益剰余金約90億円を成長原資とする意向が示されており、M&A後のPMI(経営統合プロセス)や新組織でのマネジメント経験を積みたい人材にとって、またとないタイミングと言えるでしょう。
4 求職者へのアドバイス
スターツ出版は「女性比率73%」「平均年齢36.4歳」と、若手や女性が中心となってマーケットを動かす文化があります。「プロダクトアウトからマーケットインへ」というスローガンに共感し、読者体験(CX)を軸にコンテンツやサービスを再定義したいという意欲を示すことが有効です。特に、アニメ化や海外展開など、既存の枠組みを超えたIP収益の最大化にどう貢献できるかという視点は、高く評価されるポイントとなります。
- 「アクセラレーショングループによるAI実装は、具体的に現場の企画プロセスをどう変えていく計画ですか?」
- 「社長直轄の経営企画室が主導する成長投資において、既存のメディアブランドと最も相乗効果が高いと考えている領域はどこですか?」
- 「IP展開が加速する中で、一人の編集者が担当する作品のマルチチャネル化(映像・SNS・イベント)を支える社内のサポート体制について教えてください。」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
自由に使える有給はあまり残らない
年に10日程度土曜出社日があり、そこにお休みを当てるはめになるため実質は自由に使える有給はあまり残らないように感じる。
(30代・広告宣伝・女性) [キャリコネで給与明細を見る]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料:
- スターツ出版株式会社 2025年12月期 決算説明会資料
- スターツ出版株式会社 2025年12月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)
- 中期経営計画 2026年~2028年(2026年2月公表)



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