0 編集部が注目した重点ポイント
① 子会社の吸収合併により経営基盤を強固にする
2025年5月に「ヤナゲン」、同年8月に「エール」の連結子会社2社を吸収合併しました。これにより平和堂本体への経営資源集約と管理体制の効率化を推進しています。組織統合によるオペレーションの標準化が進む中で、グループ全体のシナジー最大化を担うPMI(ポスト・マージ・インテグレーション)領域でのキャリア機会が拡大する可能性があります。
② 連結・単体ともに営業収益で過去最高を更新する
当連結会計年度の営業収益は前期比2.5%増の4,560億円を記録し過去最高となりました。戦略的な価格設定による客数の確保や、米相場高騰に伴う売上押し上げが寄与しています。特に子育て世代をターゲットとした大容量パックの強化やPB(プライベートブランド)「ゆめイチ」の拡販が奏功しており、攻めのリテール戦略を推進できる人材への期待が高まっています。
③ 金融サービス「HOPBANK」で小売の枠を超える
三菱UFJ銀行との協業により、スーパーマーケット業界初のBaaS(サービスとしての銀行)を活用した銀行サービス「HOPBANK」を開始しました。単なる物販にとどまらず、顧客のライフスタイル全般を支援するビジネスモデルへの転換を急いでいます。アプリ会員127万人超の顧客基盤を活用したデジタル・金融領域での新規事業創出が加速しています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年2月期 第4四半期 決算説明資料 P.4
営業収益
456,010百万円
前期比 +2.5%
営業利益
13,313百万円
前期比 -0.4%
経常利益
14,605百万円
前期比 -0.2%
親会社株主純利益
9,409百万円
前期比 -12.3%
2026年2月期の連結決算は、増収減益の着地となりました。売上面では食品の既存店売上が103.6%と力強く伸長し、営業収益は過去最高を更新しています。しかし、利益面では人件費の増加(単体で前期比30億円増)や、不採算店舗の閉店損失引当金繰入などの特別損失が響き、親会社株主に帰属する当期純利益は二桁の減益となりました。
通期予想に対する進捗状況としては、営業収益、営業利益ともに概ね計画通りの水準を確保しており、経営の安定性は維持されています。次期は「第五次中期経営計画」の最終年度として、生産性向上による利益率4.5%(2030年目標)への改善に向けた構造改革が正念場となります。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年2月期 第4四半期 決算説明資料 P.16
小売事業
事業内容
平和堂本体を中心に、滋賀県・京阪神・北陸・東海地域でのスーパーマーケット運営および中国湖南省での百貨店事業を展開。
業績推移
営業収益 4,357億円(前期比+2.5%)、経常利益 126億円(同-3.2%)。国内既存店の好調が牽引。
注目ポイント
子会社合併により平和堂単体の規模が拡大。子育て世代に特化した「KVI(キーバリューアイテム)」の強化により30-40代の売上高が増加しています。データドリブンな個店強化とデジタルマーケティングの専任組織による施策品質向上が進んでおり、分析・企画職のニーズが高まっています。
小売周辺事業
事業内容
惣菜・生鮮品の製造加工を行う「ベストーネ」やビル管理の「ナショナルメンテナンス」など、商業基盤を支える事業。
業績推移
営業収益 593億円(前期比+5.6%)、経常利益 19億円(同+3.1%)。供給体制の強化が利益に貢献。
注目ポイント
「ベストーネ」が運営するデリカセンター等のアウトパック活用により、店舗側の総労働時間を0.6%削減しつつ生鮮部門の売上高を拡大。店舗作業の削減と生産性向上を両立させるサプライチェーン改革が急務となっており、食品製造・物流管理のプロフェッショナルが求められています。
その他事業
事業内容
外食事業(ココス、ケンタッキーフライドチキン等のFC展開)および書籍販売、フィットネス事業。
業績推移
営業収益 169億円(前期比-2.0%)、経常利益 7億円(同+1.2%)。収益性の低い事業の縮小で増益。
注目ポイント
外食部門では客単価の上昇と販管費抑制が功を奏しています。一方で、書籍販売やフィットネス事業は不採算事業の縮小を進めるなどポートフォリオの最適化を推進中。多角化経営の中で、既存の枠組みにとらわれない新サービス開発や店舗再生の経験者が活躍できる土壌があります。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年2月期 第4四半期 決算説明資料 P.26
平和堂は、2027年2月期に営業収益4,780億円(前期比4.8%増)、営業利益143億円(同7.4%増)という強気の見通しを立てています。中期経営計画の最終年度として、これまでの先行投資を利益に変換するステージへと移行します。
特筆すべきはIT・DX投資の加速です。サイバーセキュリティの強化に加え、「情報集積基盤」の活用を推進し、個客一人ひとりにパーソナライズされたアプローチを確立しようとしています。また、滋賀県内の圧倒的シェアを基盤とした「HOP経済圏」を金融サービス「HOPBANK」へ繋げることで、小売業の枠組みを超えた「地域密着ライフスタイル総合企業」としての地位を固めるフェーズにあります。デジタルの力で伝統的な店舗運営をアップデートできる人材にとっては、大きな裁量と挑戦の機会が約束されています。
4 求職者へのアドバイス
平和堂は滋賀県での圧倒的なドミナント力を背景に、今まさに「小売×金融×デジタル」の融合という大きな転換点にあります。「地域のインフラとしての使命感」を持ちつつ、業界初となるBaaSによる銀行サービス「HOPBANK」の普及や、127万人のデータを活用したマーケティング改革に自身の専門性をどう活かせるかを語るのが効果的です。特に「子育て世代への価値提供」という明確なターゲット戦略への共感を強調しましょう。
- 「子会社エールとの吸収合併を経て、管理部門やオペレーションの統合において現在感じている最大の課題は何ですか?」
- 「HOPBANKが目標とする年間2万口座の獲得に向けて、店舗というリアルアセットをどのように顧客接点として最適化していく計画ですか?」
- 「人件費高騰という業界全体の課題に対し、パート社員の戦力化をどのように数値化し、評価・教育に反映させていますか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
常連さんとのコミュニケーション能力がついた
仕事の面白みとしては、小売業なのでお客様と接する時間が多く常連さんとのコミュニケーション能力がついた。またイベントを企画したり、商品の陳列を整理したりなど、他の従業員や他社様との打ち合わせをして協力して仕事を行うことが出来る。
(10代後半・代理店営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]上からの指示をきいて動く作業員
売り上げもその店の立地や天気、本部の販促で変わる。店舗スタッフは上からの指示をきいて動く作業員。ヘロヘロでこなすだけ。
(20代後半・店舗スタッフ関連職・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 株式会社平和堂 2026年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- 株式会社平和堂 2026年2月期 第4四半期 決算説明資料



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