富士通の転職研究 2026年3月期決算に見るキャリア機会

富士通の転職研究 2026年3月期決算に見るキャリア機会

富士通の2026年3月期決算は、本業の調整後営業利益が3,905億円と過去最高益を更新しました。地域軸から業種軸マネジメントへの刷新や「Uvance」の拡大など、構造改革が着実に成果を上げています。「なぜ今富士通なのか?」「転職希望者がどの事業で、どんな役割を担えるのか」を整理します。


0編集部が注目した重点ポイント

業種軸マネジメントへ刷新しサービス成長を牽引する

2026年度よりサービスソリューションのサブセグメントを従来の地域軸から「エンタープライズ」と「パブリック」の業種軸の管理体制へ変更しました。顧客の業種や業務への理解をより深く深めることで、DXやモダナイゼーション案件を拡大させます。転職者にとっては、自身の専門業界の知識を直接活かせるキャリア機会が拡大する可能性が高まっています。

本業の調整後営業利益が3,905億円へと大きく伸長する

本業の実質的な収益力を示す調整後営業利益は、前年比27.1%増の3,905億円に達しました。サービスソリューションにおける増収効果や採算性の改善に加え、生成AIの適用によるスピード向上と品質安定化が利益の押し上げに寄与しています。強固な利益基盤のもとで過去最高益の更新を続けており、成長の勢いを示す決算となっています。

1連結業績ハイライト

売上収益は微減となったものの、本業の稼ぐ力が大幅に向上し、過去最高益を更新する非常に力強い決算内容となっています。
決算概況(連結)

出典:2025年度決算概要 P.4

売上収益

3兆5,029億円

前年比 ▲1.3%

調整後営業利益

3,905億円

前年比 +27.1%

当期利益

4,494億円

前年比 +104.5%

※調整後営業利益:営業利益から事業再編、事業構造改革、M&A等に伴う損益ならびに制度変更等による一過性の損益(調整項目)を控除した、本業での実質的な利益を示す指標です。

当期の連結業績は、売上収益が3兆5,029億円と微減となりましたが、再編等の影響を除いた実質ベースでは+0.9%の増収を確保しています。特筆すべきは利益面の大幅な伸長であり、調整後営業利益はすべての事業セグメントで増益を達成し3,905億円へと拡大しました。本業の増益に加え、新光電気工業やゼネラルなどのノンコア事業の売却益を計上したことで、当期利益は4,494億円と前年比で倍増しています。

通期の実績は事前に公表していた利益予想を105億円上回る形で着地しており、構造改革と採算性向上の取り組みがしっかりと実を結んでいることから、経営の健全性と成長性は非常に堅調であると評価できます。

2事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

主軸のサービスビジネスが成長を牽引する一方で、ハードウェアやデバイス事業の選択と集中を進めており、各領域で求める専門人材の役割が明確化しています。
事業別セグメント情報

出典:2025年度決算概要 P.6

サービスソリューション(エンタープライズ)

【事業内容】 自動車、製造、流通・小売などの民間企業向けに、独自の「Uvance」オファリングを活用したITサービスやDX推進ソリューションを展開します。

【業績推移】 売上収益は8,663億円、営業利益は1,012億円となり、民間企業のDXデマンドを背景に製造・流通領域が好調に推移してビジネスの成長を強力に牽引しています。

【注目ポイント】 変化のスピードが速い民間企業において、データ&AIを活用した高付加価値なサービスが伸びています。顧客企業の業務深くを理解し、先進テクノロジーを組み合わせた提案力やプロジェクト管理能力を持つコンサルタントやPMへの需要が非常に高まっています。

■ 注目職種: DXITコンサルタント、アカウントエンジニア、プロジェクトマネージャー

サービスソリューション(パブリック)

【事業内容】 官公庁、自治体、防衛、金融、保険、ヘルスケアといった公共性の高いインフラ分野のシステム構築や運用を担います。

【業績推移】 売上収益は1兆4,806億円、営業利益は2,601億円を計上し、金融や防衛領域を中心に安定的な増収増益を達成しています。

【注目ポイント】 ミッションクリティカルな社会システムのモダナイゼーション(システムの近代化)案件が旺盛に継続しています。極めて高い信頼性が求められる領域であり、トラブル予兆検知や安全な運用を担保するための、高度なシステムインテグレーションやセキュリティの知見を持つエンジニアが活躍できる大きなフィールドがあります。

■ 注目職種: システムインテグレーションエンジニア、セキュリティスペシャリスト、インフラアーキテクト

サービスソリューション(海外リージョンズ)

【事業内容】 欧州(Europe)、米州(Americas)、アジア太平洋(Asia Pacific)などのグローバル各地域において、現地に根差したサービスを展開します。

【業績推移】 売上収益は5,752億円と前年の公共系大型商談の反動により2.5%の減収となったものの、営業利益は341億円と前年比42.4%の大きな増益を達成しました。

【注目ポイント】 各地域における不採算事業の整理や効率化といった事業ポートフォリオ改革が功を奏し、利益率が5.9%へと大幅に向上しています。グローバル共通のサービス基盤を強化する中で、各リージョンとの橋渡しを担えるグローバルなマネジメント力を持った人材の価値が高まっています。

■ 注目職種: グローバルプロジェクトマネージャー、海外展開コンサルタント

ハードウェアソリューション

【事業内容】 ICTインフラの基盤となるサーバやストレージ(システムプロダクト)、および携帯電話基地局や光伝送システム(ネットワークプロダクト)を扱います。

【業績推移】 売上収益は1兆0,098億円と公共系大型案件の反動で減少したものの、効率改善を進めたことで調整後営業利益は670億円(前年比9.3%増)と増益を確保しました。

【注目ポイント】 外購品の絞り込みや小規模事業の縮小を進める一方、製販一体体制による事業効率化が利益改善に寄与しています。また、国内や北米向けのフォトニクス(光伝送)領域での伸びも見られるため、インフラの効率的な開発や構築を推進できる専門技術者が求められています。

■ 注目職種: ネットワーク開発エンジニア、インフラソリューションアーキテクト

ユビキタスソリューション

【事業内容】 パソコンなどのクライアントコンピューティングデバイスの製造・販売および関連サービスを提供します。

【業績推移】 売上収益は2,298億円と前年の大口商談の反動等で減収となったものの、高付加価値へのシフトを進め、調整後営業利益は388億円(前年比23.8%増)と利益を拡大させました。

【注目ポイント】 OSのサポート終了に伴う特需が終息した後の市場変化に対し、量から質への転換を図ることで営業利益率は16.9%に高まりました。市場の波を捉えつつ、利益を最大化するための高付加価値商品の企画や効率的なサプライチェーン管理を担う人材が力を発揮できます。

■ 注目職種: プロダクトプランナー、サプライチェーンプランナー

3今後の見通しと採用の注目点

最先端テクノロジーの投資を加速させながら、引き続き過去最高益の更新を計画するアグレッシブな方針が示されています。
2026年度連結業績予想

出典:2025年度決算概要 P.39

2026年度の通期予想は、売上収益3兆5,100億円、調整後営業利益4,250億円を計画しており、営業利益・当期利益ともに引き続き過去最高益を更新する見通しです。特にサービスソリューションにおいては、Uvanceやモダナイゼーションビジネスを成長の主軸として、国内売上を11%成長させる計画です。採算性の改善も継続して進め、強固なポートフォリオ変革を進展させていきます。

成長投資としては、AI、次世代プロセッサMONAKA、量子コンピュータといった先進的な先行研究開発投資へ、前年比プラス200億円の強化を計画的に実施します。このように最先端テクノロジーによる付加価値の創出を加速しているため、最先端エンジニアやDXの専門知識を持ったコンサルタントの採用意欲は今後もますます活発に継続する見込みです。

4求職者へのアドバイス

HINT

志望動機のヒント

同社は地域軸から業種軸のマネジメント体制へと移行し、より顧客のビジネスに踏み込んだDX推進を行っています。志望動機を構築する際は、特定の業界(製造、金融、パブリックなど)におけるご自身の業務知識やプロジェクトの経験を前面に出し、「業種特化型のDXオファリングの拡大に直接貢献したい」という意欲を示すと強いアピールになります。また、国内プロジェクトの7割で生成AIを導入するなどデリバリの高度化を推進しているため、最新テクノロジーを活用して生産性を向上させていく姿勢を盛り込むのも有効です。

Q&A

面接での逆質問例

・「2026年度から新サブセグメントとしてエンタープライズとパブリックに再編されましたが、私が志望する部門において、具体的にどのような業種・組織間の連携、および新規案件の創出が期待されているでしょうか。」

・「国内のプロジェクトで生成AIの利用率が7割に達していると言及されていますが、中途採用で入社した社員が独自のAIデリバリ高度化環境や先端研究のツールを迅速にキャッチアップするための、教育やサポート体制について教えてください。」

5転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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やりがいを感じられる

このあたりの工程の管理やメンバーのマネジメントを好きだと感じる方にはやりがいを感じられると思う。

(30代前半・システムエンジニア・男性) [キャリコネの口コミを読む]
"

見合った評価を得ることが難しい

自分で手を動かしたい方はあまり見合った評価を得ることが難しいと思う。

(30代前半・システムエンジニア・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 富士通株式会社 2025年度 決算概要(2026年4月28日発表)
  • 富士通株式会社 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年4月28日発表)

この記事の執筆者

上場企業の四半期決算から、面接で差がつく「志望動機」や「逆質問」のヒントを導き出す専門チーム。3ヶ月ごとの業績推移と戦略の遂行状況をキャリコネ独自の現場データと照合し、求人票だけでは見えない企業の「現在地」を可視化します。投資家向け情報を、転職希望者が選考を有利に進めるための武器に変える、実戦的な企業研究を配信中。


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