0 編集部が注目した重点ポイント
① サービスソリューションがDX需要を背景に利益を大幅に伸ばす
国内のDX(デジタルトランスフォーメーション)やモダナイゼーション(システムの最新化)商談が強力に牽引し、同セグメントの調整後営業利益は前年同期比で452億円の大幅増益を達成しました。戦略事業「Fujitsu Uvance」の売上も前年比30%増と急成長しており、ITコンサルタントやエンジニアにとって、最先端のビジネス変革を担えるキャリア機会が急速に拡大しています。
② デバイス事業を「非継続事業」へ変更し構造改革を断行する
当第3四半期よりデバイスソリューション事業を今後グループから分離予定の「非継続事業」へ分類変更しました。新光電気工業などの株式譲渡を含むノンコア事業の整理に目途が立ち、リソースをサービスビジネスへ集中させる姿勢を鮮明にしています。事業再編に伴う大規模な組織変革の過渡期にあり、経営企画やPMI(買収後の統合)経験者へのニーズが高まっています。
③ コンサル人材1万人の目標に向け人材投資を強化する
中期的な成長の鍵となる「コンサル人材」の規模を1万人に拡大する方針を掲げています。現在は3,000人規模まで到達していますが、外部採用に加え、既存社員のリスキリング(学び直し)や認定制度を強力に推進しています。人材紹介や教育、組織開発などの領域でも、変革を支えるプロフェッショナルが求められるフェーズにあります。
1 連結業績ハイライト
出典:2024年度 第3四半期 決算概要 P.3
売上収益
2兆6,214億円
(0.8)%
調整後営業利益
1,576億円
+32.6%
調整後四半期利益
1,070億円
+15.6%
※調整後営業利益:営業利益から事業再編、M&A等に伴う損益ならびに一過性の損益を控除した、本業での実質的な利益を示す指標。
第3四半期累計の売上収益は、ハードウェアの減収があったものの、主力のサービスソリューションが増収を維持し、全体で2兆6,214億円となりました。特筆すべきは収益性の改善で、調整後営業利益は前年同期比で387億円増加し、利益率は6.0%に向上しました。これは、不採算プロジェクトの抑制や、高付加価値なDX案件へのシフトが着実に進んでいることを示しています。
通期業績予想(調整後営業利益2,900億円)に対する第3四半期末時点の進捗率は約54.3%です。一見低く見えますが、IT業界の特性として利益が第4四半期(1-3月)に集中する傾向があり、前年度の同時期と比較しても増益幅が拡大していることから、業績は概ね順調に推移していると評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2024年度 第3四半期 決算概要 P.4
サービスソリューション
事業内容
DX推進や基幹システムのクラウド移行(モダナイゼーション)を支援。国内の全業種に展開しています。
業績推移
売上収益1兆5,631億円(前年比2.7%増)、調整後営業利益は38.9%の大幅増益を達成。国内売上が好調です。
注目ポイント
質疑応答で言及された通り、ナショナルセキュリティ(防衛)等のミッションクリティカル領域での受注が非常に強く、品質管理の強化により不採算案件も減少しています。オフショア開発拠点「JGG」の活用拡大やAIを活用した自動化など、生産性向上を主導できるITアーキテクトやプロジェクトマネージャーが強く求められています。
ハードウェアソリューション
事業内容
サーバ、ストレージなどのシステムプロダクトおよび5Gなどのネットワークプロダクトを提供します。
業績推移
売上収益7,128億円(前年比4.7%減)。前年の公共系大型案件の反動や部材コスト増により減益となりました。
注目ポイント
厳しい状況ながら、次世代ネットワーク「O-RAN」などの開発投資は継続しています。従来の「モノ売り」からサービス付随型のハードウェア提供への変革が進んでおり、ソフトウェア定義(Software-Defined)の知識を持つインフラエンジニアにとっては、製品開発の最前線で力を発揮できる環境です。
ユビキタスソリューション
事業内容
法人向けPCなどのクライアントデバイスを提供。国内ビジネスに集中する戦略をとっています。
業績推移
売上収益1,814億円(前年比8.2%減)ながら、調整後営業利益は21.8%増の203億円と採算性が向上。
注目ポイント
2024年4月に欧州ビジネスを終息させ、国内ビジネスへリソースを集中させた効果が利益面に表れています。単なる端末提供にとどまらず、ハイブリッドワークを支えるセキュアなPC環境の構築など、付加価値サービスとのセット提案が加速しており、法人営業やソリューション営業の経験が活かせる領域です。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2024年度 第3四半期 決算概要 P.11
2025年度の中期経営計画達成に向け、最注力領域である「Fujitsu Uvance」の売上構成比を30%(7,000億円)まで引き上げる野心的な計画を推進中です。質疑応答で言及された通り、コンサル人材の獲得は外部採用に苦戦しつつも、社内リスキリング等により3,000人規模まで増強されました。今後、更なる拡大に向けて外部の専門知見を積極的に取り入れる姿勢を示しており、中途採用者にとっての「即戦力枠」は非常に大きいと言えます。
また、社内DX基盤「OneERP+」が国内7万人を対象に稼働を開始しました。データドリブン経営のスタートラインに立ったことで、今後は自社で実践した変革ノウハウを顧客へ外販する「リファレンスモデル」としての展開も期待されています。自社の変革プロセスそのものを商品化するダイナミックな試みに携われることは、変革を志向するキャリアにとって大きな魅力です。
4 求職者へのアドバイス
富士通は現在、ハードウェアメーカーから世界屈指の「サービスカンパニー」への脱皮を鮮明にしています。志望動機では「提供価値の価格転嫁」や「Fujitsu Uvanceによる社会課題解決」への共感を軸に、自身の専門性をどう掛け合わせるかを語るのが効果的です。特に、従来の受託型SI(システム統合)ではなく、標準化されたオファリング(サービスメニュー)によって顧客の経営をトランスフォームしたいという、ビジネスモデルの変革に対する意欲が高く評価される傾向にあります。
- 「OneERP+」の導入により、現場の意思決定やプロジェクト管理のスピードはどのように変化すると期待していますか?
- 「コンサル人材1万人」の目標において、外部採用した人材と既存エンジニアから転換した人材が相乗効果を発揮するための組織的な仕組みはありますか?
- 「Fujitsu Uvance」のオファリングビジネスを推進する上で、顧客固有のカスタマイズ要求と標準化のバランスを現場ではどのように管理されていますか?
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
フレキシブルな勤務体制が魅力的
フレキシブルな勤務体制が魅力的で、特にテレワークが基本となっているため、通勤のストレスから解放され、効率的に仕事に取り組むことができます。必要に応じて出社も可能なので、オフィスでの作業を好む人にも適しています。日中の予定に合わせて自由にスケジュールを組めるため、例えば昼休みを長めに取ることも可能です。
(30代前半・システムエンジニア・男性) [キャリコネの口コミを読む]上司の主観が評価に影響を与えることもある
評価制度は、個人の成果よりもチーム全体の協力を重視する傾向があります。上司の主観が評価に影響を与えることもあるため、透明性に欠けると受じることもあります。
(20代前半・人事・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2025年3月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)
- 2024年度 第3四半期 決算概要 プレゼンテーション資料
- 2024年度第3四半期 決算説明会 質疑応答議事録(2025年1月31日開催)



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。