0 編集部が注目した重点ポイント
①2025年4月にモビリティ音響を音響機器事業へ組み替える
2025年4月1日付の組織改正により、従来「その他」に含まれていたモビリティ音響機器関連事業の報告セグメントを「音響機器」へと変更しました。これにより音響機器事業でのキャリア機会が拡大する可能性があり、前年同期比データも変更後の区分で比較されています。
②事業利益がコスト高騰等で前年比13.2%減の319億円に減少する
2026年3月期通期は、米国の追加関税影響や部品・原材料費の高騰、デジタルミキサーの販売減によるミックス変化などが響き、課題事業の構造改革や価格適正化を進めるも、事業利益は319億円と前年比13.2%の減益を余儀なくされました。
③ゴルフ用品事業の終了を決定し構造改革費用19億円を計上する
競争激化や収益構造の悪化を背景に、当連結会計年度においてゴルフ用品事業の終了を決定しました。これにより在庫処分損等を含む19億54百万円の構造改革費用を計上し、成長分野へ経営資源を集中させるポートフォリオ再編を断行しています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 決算説明会資料 P.3
売上収益
4,653億円 +0.7%
事業利益
319億円 -13.2%
親会社所有者帰属当期利益
237億円 +77.7%
※事業利益 = 売上総利益 - 販売費及び一般管理費(日本基準の営業利益に相当する、事業の経常的な業績を測る指標)
当連結会計年度の売上収益は、中国でのピアノ販売減や業務用音響機器の高需要一巡があったものの、北米を中心としたギターの販売増や全地域での電子楽器の成長、円安の追い風により前年並みを維持しました。一方で事業利益は、米国追加関税の影響や調達コストの上昇が重なり、価格適正化を進めるも減益を余儀なくされました。
これにより、中期経営計画での前回通期予想(事業利益330億円)に対して実績が届かず、目標を下回る結果となり、進捗が遅れていると評価されます。今後はコストアップの打ち返しを加速し、早期の業績回復を図る方針です。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 決算説明会資料 P.5
楽器事業
【事業内容】 ピアノ、電子楽器、管弦打楽器、ギター等の製造販売をグローバルに展開する同社の主軸事業です。
【業績推移】 売上収益は3,049億円(前年比3.0%増)、事業利益は212億円(前年比3.9%減)となりました。
【注目ポイント】 ピアノは中国市場低迷の影響で減収となったものの、電子楽器や管弦打楽器、ギターが北米や新興国で着実にシェアを拡大し増収を牽引しました。特にギター事業では構造改革が計画を前倒しで進展し、収益性改善に成功しています。今後は生産拠点再編完了に伴い、高付加価値商品の拡売とコスト削減を両立させるため、生産管理やマーケティングの専門人材の需要が高まっています。
注目職種
グローバル生産管理、海外マーケティング、製品開発エンジニア
音響機器事業
【事業内容】 オーディオ機器、業務用音響機器、情報通信機器、モビリティ音響機器等の製造販売を多角的に展開しています。
【業績推移】 売上収益は1,424億円(前年比3.6%減)、事業利益は108億円(前年比25.0%減)となりました。
【注目ポイント】 欧米でのプロフェッショナル音響機器の高需要が一巡したことや、中国市場におけるモビリティ音響機器の減少により減収減益となりました。しかし、国内でのモビリティ音響機器の伸長や、ホームオーディオの構造改革・外部委託生産拡大が着実に進展しています。今後はデジタルミキサーやスピーカーの拡売、車載オーディオの新規採用獲得による成長回帰に向け、技術開発やグローバル営業の専門人材が必要不可欠です。(注:当期よりモビリティ音響機器事業が組み替えられています)
注目職種
音響信号処理エンジニア、車載オーディオ営業、SCM企画
その他の事業
【事業内容】 自動車用内装部品事業、FA機器事業、ゴルフ用品事業、リゾート事業などを内包するセグメントです。
【業績推移】 売上収益は180億円(前年比1.4%減)、事業利益は1億円の損失(前期は2.9億円の利益)となりました。
【注目ポイント】 自動車用内装部品やFA機器が増収を確保したものの、競争激化や収益構造の悪化に直面していたゴルフ用品事業の終了を決定したことで、全体として減収および損失計上となりました。今後は収益性の低い事業からの撤退による構造改革を完了させ、成長性の高いFA機器等の領域へ経営資源を集中させる方針です。ポートフォリオの最適化を推進するため、経営企画や事業再生のスキルを持つ人材の活躍が期待されています。(注:ゴルフ用品事業は終了が決定しており、今後グループから完全に分離される予定です)
注目職種
経営企画・事業統括、FA機器営業、財務アドバイザー
日本地域
【地域概要】 国内の楽器・音響機器・その他の事業の販売およびサービス展開を統括する基盤地域です。
【業績推移】 国内の管楽器販売が好調で、モビリティ音響機器も計画通り日本国内で伸長しました。
【注目ポイント】 国内市場は管楽器や車載オーディオの採用拡大が順調に推移し、底堅さを見せています。一方で、国内楽器事業全体としては価格適正化や店舗・教室の統廃合を進めているものの、市場自体の冷え込みから目標に対する進捗に遅れが生じています。今後は「Yamaha Music School Online」などのデジタル完結型タッチポイントの強化や体験価値の向上を推し進めるため、DX推進やマーケティングのプロフェッショナル人材の獲得が急務となっています。
注目職種
デジタルマーケティング、国内営業企画、教育サービス開発
北米地域
【地域概要】 米国を中心とする楽器・音響機器等の世界最大規模の重要市場です。
【業績推移】 ギターカテゴリー(アコースティックギター、Line 6製品)が非常に堅調で、増収を強力に牽引しました。
【注目ポイント】 北米市場ではギター事業が着実にシェアを拡大し、実質2桁増収を記録するなど高い成長性を示しています。米国追加関税のマイナス影響を強く受けたものの、主力ディーラーとのパートナーシップ強化や高付加価値商品の投入により外部要因を打ち返す施策が展開されています。さらに、後発事象として米国関税の還付手続き(約74億円)が開始されており、今後はさらなる成長投資を加速するための現地マーケティングやSCMの専門人材の必要性が高まっています。
注目職種
北米エリアマネージャー、国際物流・SCMプランナー、ディーラー営業
欧州地域
【地域概要】 欧州各国における伝統的な楽器販売および業務用音響機器の展開を担う中核市場です。
【業績推移】 管楽器が堅調だったものの、プロフェッショナル音響の高需要一巡により減収影響を受けました。
【注目ポイント】 欧州市場では、消費や投資の減速といった厳しい経済環境に直面し、前年に活発だった業務用音響機器の特需が一服したため一時的な足踏み状態となりました。しかし、顧客一人ひとりに最適な音楽体験を提供する「Yamaha Music ID」を活用したメンバーシッププログラムの運用を欧州から先行して開始するなど、未来の顧客基盤拡大に向けた戦略投資が着実に進んでいます。デジタルプラットフォームのグローバル展開を加速させるため、ITやサービス開発の人材が強く求められています。
注目職種
プラットフォーム開発エンジニア、データアナリスト、欧州営業統括
中国地域
【地域概要】 ピアノ事業をはじめとする同社グループの業績を左右する最重要戦略拠点の一つです。
【業績推移】 経済停滞によるピアノ市場の低迷やモビリティ音響機器の減少で厳しい推移となりました。
【注目ポイント】 中国市場はマクロ経済の減速とピアノ需要の減退により通期では大きな減収要因となりましたが、楽器事業の四半期別成長率では下げ止まりの兆しが見え始めており、数から付加価値訴求への転換を図っています。具体的には、シニア層向けの老年大学における教室開校や、動画・ライブ配信・ECを融合した「抖音(Douyin)公式旗艦店」の展開など、デジタルマーケティングを軸とした新価値創造を推進しており、中国市場の構造改革を現地で主導できる優秀なマネジメント人材が必要とされています。
注目職種
中国デジタルマーケティング、現地法人マネジメント、EC事業企画
その他地域(新興国など)
【地域概要】 インドやフィリピンなど、今後の高い成長ポテンシャルを秘めた最重点開拓市場です。
【業績推移】 インドを中心にポータブルキーボード等が好調で、実質ベースでの高成長を維持しました。
【注目ポイント】 インドでは現地生産モデル(PSR-I610等)の価格競争力と供給力を活かして販売を拡大しています。バンガロールへのエクスペリエンスセンター開設や、世界的音楽家A.R.ラフマーン氏のブランドアンバサダー起用など、音楽需要創造に向けた戦略的投資が加速しています。また、フィリピン教育省との初等教育に関する連携など政府レベルの「スクールプロジェクト」も進んでおり、グローバルビジネスの最前線で市場開拓を担う海外営業や事業開発の人材に大きなチャンスがあります。
注目職種
新興国事業開発、海外営業(インド・東南アジア担当)、CSR・教育プロジェクト推進
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 決算説明会資料 P.7
2027年3月期の通期業績予想は、売上収益4,900億円、事業利益380億円、親会社の所有者に帰属する当期利益280億円と、成長軌道への回帰による増収増益を見込んでいます。中期経営計画「Rebuild & Evolve」の2年目として、外部環境の変化に迅速に対応しつつ、価格適正化の推進や高付加価値商品の拡売によってコストアップ要因を打ち返す方針です。既存事業の利益構造改善を進めるとともに、新規事業創出のための投資(戦略投資枠600億円)を加速させ、持続的な成長基盤を確立する計画です。また、後発事象として米国関税還付手続きが開始されているものの、本予想には織り込まれておらず、さらなる上振れ要因となるポテンシャルを残しています。
4 求職者へのアドバイス
中期経営計画「Rebuild & Evolve」のもとで進められている構造改革や新規事業創出に共感し、自身の専門性を活かして貢献したいという姿勢が評価されます。特に、ギター事業の収益性改善やインド市場での現販一体の拡大、デジタルプラットフォームであるYamaha Creator Passの立ち上げなど、攻守両面でのダイナミックな事業変革に携わる意欲を示すことが、強力な志望動機に繋がります。
・アコースティックピアノの生産拠点再編やホームオーディオの外部委託生産拡大が完了した今、次のフェーズにおけるコスト構造の最適化とものづくり力の強化に、中途採用の専門人材としてどのように貢献できるか教えてください。
・重点領域とされるベニューやバーチャルエンターテインメント、クリエイター事業における新規事業開発を加速させる上で、現在グループ内で最も不足しており、外部人材に期待されている経験やスキルは何でしょうか。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 決算説明会資料(2026年5月11日発表)
- 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月11日発表)



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