0 編集部が注目した重点ポイント
①北米・欧州の躍進で過去最高業績を更新
欧州でのInteragro社の統合による直販体制の強化や、北米での気温上昇に伴う早期の農薬需要増により、海外農薬販売が売上高776億円(前期比12.1%増)と成長を大きく牽引しました。これにより連結業績で過去最高の売上・営業利益を達成しています。グローバル市場での存在感が一段と高まっています。
②BASF社製品の独占販売で国内シェアを拡大
国内農薬市場において、2025年10月よりBASF社の果樹向け製品7品目の独占販売を開始しました。既存の自社剤やコルテバ社製品との強力なシナジーを生み出し、成熟市場である日本国内の果樹剤分野においてシェア20%の獲得と、国内総合シェア3位のポジション確保へ向けた体制を構築しています。
③次世代の成長に向けたスマート農業展開を推進
AI害虫同定計数システムの新ブランド「AiPics」のリリースや、ベトナムでの低炭素米プロジェクトへの「AcroSeeker」活用など、AI診断技術の収益化と温室効果ガス削減への貢献を積極的に推進しています。化学農薬に留まらない、新たなデジタル収益源の創出に向けた取り組みが加速しています。
1 連結業績ハイライト
出典:日本農薬 決算説明会資料 2026年3月期 P.11
売上高
1,118億円 (+11.9%)
営業利益
108億円 (+26.8%)
経常利益
105億円 (+48.6%)
純利益
72億円 (+206.8%)
2026年3月期の通期決算は、中核である農薬事業において、利益率の高い北米や欧州向けを中心に自社開発品目の販売が大きく伸びたことで、過去最高の売上高および営業利益を更新しました。米国子会社での補償金収入や、欧州関係会社の業績好調による持分法投資利益の増加も重なり、純利益は前期比で約3倍の大幅な増益を達成しています。
通期予想に対する進捗評価としても、売上高1,093億円、営業利益92億円の予想に対し、それぞれ実績が1,118億円、108億円と100%を大きく超過しており、極めて順調な業績拡大を実現しています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:日本農薬 決算説明会資料 2026年3月期 P.19
農薬事業(国内)
事業内容:水稲、果樹、野菜等の用途に応じた殺虫剤・殺菌剤・除草剤等の製造および販売。
業績推移:米価高騰による水稲栽培面積の増加や、他社製品の拡販により、売上高は255億円(前期比+9.3%)と堅調に推移。
注目ポイント:コルテバ社製品の拡販に加え、BASF社からの果樹向け製品の独占販売権獲得が事業拡大の大きな転換点です。自社製品との相乗効果により国内市場での提案力が飛躍的に高まっており、高度な専門知識を持った営業・技術普及人材が強く求められています。
注目職種:技術営業、アグリノベーション推進担当
農薬事業(北米)
事業内容:米国およびカナダにおいて、果樹や野菜などのスペシャリティクロップ向け農薬を中心に展開。
業績推移:果樹・ナッツ類向けの技術普及活動が奏功し、売上高は179億円(前期比+18.9%)と大幅な増収。
注目ポイント:カリフォルニア州における気温上昇による病害虫多発の需要を的確に捉え、殺虫剤販売が大きく伸長しました。カナダでの同業者向け除草剤販売も堅調であり、過去最高の売上を記録するなど、全社のグローバル成長を力強く牽引する中核市場となっています。
注目職種:海外営業、グローバルマーケティング担当
農薬事業(欧州)
事業内容:環境規制が厳しい欧州市場において、高い安全性を持つ自社ポートフォリオを武器に農薬を販売。
業績推移:果樹・ばれいしょ向け除草剤の好調やInteragro社の統合効果により、売上高は211億円(前期比+58.6%)と急成長。
注目ポイント:2023年に買収した英国Interagro社の統合シナジーにより、英国・アイルランドでの直販体制を本格化させています。厳しい規制環境下でも競合剤の代替需要を確実に獲得しており、新規市場開拓やアジュバント関連製品の普及に貢献できるグローバル人材への期待が高まっています。
注目職種:事業開発(M&A推進)、海外薬事申請担当
農薬事業(中南米)
事業内容:農業大国ブラジルを中心に、広大な作付面積を誇る大豆等の穀物向け農薬ビジネスを展開。
業績推移:流通在庫の適正化を推進したものの、ジェネリック攻勢等で売上高は242億円(前期比-1.2%)と微減。
注目ポイント:足元では農産物相場の低迷や天候不順の影響で苦戦していますが、今後の再成長に向けてグループファイナンスを活用した金融費用削減や、自社開発品目の販売構成比引き上げ等の抜本的な収益力強化を進めており、経営企画や事業管理の専門性が発揮できる環境です。
注目職種:海外事業管理、経営企画担当
農薬事業(アジア)
事業内容:インド市場をはじめ、台湾、ベトナム等のアジア地域における農薬の製造・販売事業。
業績推移:インドや西アジアでの多雨による散布機会逸失等により、日本を除くアジアの売上高は132億円(前期比-10.0%)と苦戦。
注目ポイント:ベンズピリモキサン等の主力品目が天候要因等で伸び悩んだため、今後はインド事業における抜本的な再建策の実行と現地営業体制の再構築が急務となっています。成長市場での立て直しというチャレンジングなフェーズにあり、事業再生や新興国マネジメントの経験が活かせるフィールドです。
注目職種:新興国事業マネージャー、サプライチェーン統括
農薬以外の化学品事業
事業内容:シロアリ薬剤等の木材保存剤や、外用抗真菌剤ルリコナゾール等の医薬品・動物用医薬品の開発・販売。
業績推移:シロアリ薬剤や国内向け医薬品の販売が堅調に推移し、売上高は41億円(前期比+18.5%)と好調。
注目ポイント:アグリマート社との協業によるシロアリ薬剤「ネクサスZ」の普及拡大や、医薬品「ルリコナゾール」のアジア・オセアニア地域への展開など、ライフサイエンス領域での新たな収益基盤の確立を目指しており、農薬分野以外の多様な専門知識を持つ人材が求められています。
注目職種:医薬品事業開発、特販営業担当
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:日本農薬 決算説明会資料 2026年3月期 P.44
今後の見通しでは、次世代パイプラインである新規殺虫剤「シベンゾキサスルフィル(CBX)」の日本および韓国における登録申請の完了が大きなマイルストーンです。既存剤への感受性が低下した害虫にも有効な画期的製品として、将来的にピーク時売上高50億円以上を目指しており、研究開発や海外展開の要となります。また、環境貢献と収益化を両立するスマート農業の推進として、AI害虫同定システム「AiPics」の本格提供や、ベトナムでのアプリ「AcroSeeker」活用による低炭素米プロジェクトへの参画など、デジタルソリューションの社会実装も加速しています。
一方で、中東情勢の緊迫化による原材料調達リスクへの対応や、インド・ブラジル等の海外拠点における構造改革および収益力改善が経営の優先課題として挙げられており、グローバルな事業管理やサプライチェーン最適化に貢献できる専門人材の採用ニーズが継続的に高い状況にあります。
4 求職者へのアドバイス
HINT志望動機のヒント
日本農薬は、長年培った化学合成技術を基盤に、グローバルでの食料安全保障とサステナビリティに貢献する「食とくらしのグローバルイノベーター」への進化を掲げています。特に、欧州におけるM&Aの成功やBASF社との独占販売提携など、戦略的アライアンスを駆使した事業拡大に積極的です。「日本の優れた農薬・農業技術を世界へ発信したい」「AI等のデジタル技術や環境配慮型製品で農業課題を解決したい」という明確なビジョンは、強力な志望動機となるでしょう。
Q&A面接での逆質問例
「御社は次世代パイプラインである『シベンゾキサスルフィル』のグローバル展開を計画されていますが、私が応募するポジションでは、新規有効成分の海外市場への導入プロセスにおいてどのような役割を期待されますか?」
「海外子会社(特にインドやブラジル)の抜本的な収益改善が急務とされていますが、現場のマネジメント体制や本社との連携において、現在最も注力されている課題についてお聞かせください。」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
有休取得しやすい雰囲気も徐々にできつつある
残業も休日出勤も自身でコントロールできる範囲が大きく、プライベートとの両立はしやすい方だと思われる。近年の残業時間超過問題や働き方改革には敏感になっており、残業時間を減らそうという取り組みはなされている。また、有給休暇取得も推進されており、実質的な取得率は上昇しており、有休取得しやすい雰囲気も徐々にできつつある。
(20代後半男性・研究開発・正社員) [キャリコネの口コミを読む]仕事量が多く定時までに捌けない人、会社のためにと遅くまでコツコツと働く人から見れば、不公平感は否めない
研究員は基本的に裁量労働制の勤務体系をとらされる(ほぼ強制的に)ため、残業時間の概念がない。部署により、人により業務量がかなり異なるため、残業80時間の人と0時間の人の給料が同じだったりする。基本給は決して十二分とは言えない額であり、裁量労働手当なる手当もあるが残業代には見合わない額であるため、手取りとしては十分ではない。残業を強制するような風習が強いわけではないので、残業時間を抑えて早く帰宅する人も多く、勤務体系を上手に活用する方法もある。一方で、仕事量が多く定時までに捌けない人、会社のためにと遅くまでコツコツと働く人から見れば、不公平感は否めない。
(20代後半男性・研究開発・正社員) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 決算短信
- 2026年3月期 決算説明会資料



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