0編集部が注目した重点ポイント
① DPE社の操業停止で営業利益88億円の改善効果を生む
米国子会社DPE社でのクロロプレンゴム製造設備暫定停止に伴い、当期に88億円の営業利益改善効果を創出して赤字を解消しました。事業ポートフォリオ再編による構造改革が進む中、生産基盤の再構築や事業改革を主導する人材の活躍機会が拡大しています。
② AI向け先端材料スネクトンの専用プラントが竣工する
低誘電有機絶縁樹脂「スネクトン」の専用プラントが2026年5月中旬に竣工し、銅張積層板(CCL)メーカー各社より認定を取得しました。AIサーバーや次世代通信向け需要拡大に対応するため、先端材料開発や技術営業職の重要性が高まっています。
③ 東洋スチレンを子会社化し事業基盤を強化する
当期に東洋スチレンの株式を追加取得し連結子会社化(負ののれん発生益65億円計上)したほか、Flowersやカイノスを子会社化しました。ヘルスケアや機能性ポリマー分野でM&Aやアライアンスを推進する事業開発人材への期待が高まっています。
1連結業績ハイライト
出典:2025年度(2026年3月期)決算説明会資料 P.7
売上高
3,842億円
前期比 △4.0%
営業利益
262億円
前期比 +82.0%
経常利益
192億円
前期比 +153.1%
親会社株主に帰属する当期純利益
156億円
前期比 黒字転換
当期の連結業績は、原燃料価格下落に伴う製品価格の見直し等により売上高が前期比4.0%減の3,842億円となったものの、AI関連や電力インフラ向け需要の拡大、および米国DPE社の操業停止効果(88億円改善)が寄与し、営業利益は前期比82.0%増の262億円と大幅なV字回復を果たしました。純利益も大船工場用地売却益(82億円)や政策保有株式売却益(126億円)の計上により、前年の赤字(△123億円)から黒字転換を達成しています。
通期公表予想に対する評価は、売上高(予想3,900億円に対して3,842億円)こそわずかに未達となったものの、営業利益(予想250億円に対して262億円、達成率104.9%)および純利益(予想150億円に対して156億円、達成率104.6%)が上回り、順調な着地となりました。
2事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度(2026年3月期)決算説明会資料 P.9
電子・先端プロダクツ部門
事業内容:AI向け半導体用球状シリカ・アルミナ、アセチレンブラック、高信頼性放熱プレート「アルシンク」、低誘電有機絶縁樹脂「スネクトン」等の製造・販売を行います。
業績推移:AI関連や電力インフラ向けの需要伸長により、売上高1,044億円(前期比13.3%増)、営業利益138億円(同51.5%増)と大幅な増収増益を達成しました。
注目ポイント:半導体パッケージ基板向け「スネクトン」専用プラントの竣工や、球状アルミナのGDDR7・多層パッケージ向け採用など最先端ノードでの導入が進んでいます。次世代電子材料のR&Dやグローバルマーケットへの技術提案を牽引する開発研究員や技術営業のニーズが高まっています。
注目職種:電子材料開発研究員、プロセスエンジニア、グローバル技術営業
ライフイノベーション部門
事業内容:インフルエンザワクチン、抗原迅速診断キット、臨床検査試薬、がん治療ウイルス製剤等の開発・製造・販売を展開しています。
業績推移:新型コロナ感染症の落ち着きに伴う検査需要の減少等を受け、売上高405億円(前期比6.3%減)、営業利益62億円(同34.9%減)となりました。
注目ポイント:体外診断用医薬品事業を展開するカイノス社の子会社化など、検査試薬ポートフォリオの拡大を進めています。予防から診断・治療にわたるライフサイエンス領域での新製品開発や、アライアンスを推進するバイオ・医療専門人材の貢献が期待されます。
注目職種:診断薬開発研究員、薬事申請担当、バイオ事業開発
エラストマー・インフラソリューション部門
事業内容:クロロプレンゴム、セメント、特殊混和材、コルゲート管などの建築・土木資材の製造・販売を手掛けています。
業績推移:クロロプレンゴム需要の低調から売上高は975億円(前期比12.6%減)となったものの、米国DPE社の操業停止効果により営業利益は68百万円となり赤字解消・黒字化を果たしました。
注目ポイント:青海工場への生産集約とDPE社の操業停止により収益構造が大きく好転しました。さらに、2025年6月のセメント生産終了に向けた転換が進んでおり、事業基盤の再構築や環境資材の市場開拓を担うプロジェクトマネージャーの役割が重要です。
注目職種:生産技術エンジニア、環境資材マーケター、事業構造改革推進担当
ポリマーソリューション部門
事業内容:スチレンモノマー、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、食品包装材料、合繊かつら用原糸「Toyokalon」等の製造・販売を行います。
業績推移:原燃料価格下落に伴う販売価格改定で売上高1,241億円(前期比8.3%減)となったものの、営業利益35億円(同209.8%増)と大幅な増益を達成しました。
注目ポイント:東洋スチレンの連結子会社化やToyokalonの生産集約、食品包材用シートの適正価格への是正が収益改善に寄与しています。高機能樹脂の用途開拓やサステナブル包材の開発を加速する応用開発エンジニアや営業プロフェッショナルが求められます。
注目職種:高機能樹脂応用開発、包装材料ソリューション営業、生産統括
その他部門
事業内容:YKアクロス等の商社機能、プラントエンジニアリング事業などのサービスを提供しています。
業績推移:売上高175億円(前期比1.1%減)、営業利益24億円(前期比1.3%増)と、堅調な利益水準を維持しました。
注目ポイント:商社機能を通じたグループ製品の流通販路拡大や、エンジニアリング技術による生産設備の安定操業を支えています。物流最適化や施設保全、エンジニアリング事業の企画推進において専門知識を持つ人材が力を発揮しています。
注目職種:化学品商社営業、プラントエンジニア、サプライチェーン企画
3今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度(2026年3月期)決算説明会資料 P.17
次期(2027年3月期)の連結業績予想は、売上高4,500億円(前年比17.1%増)、営業利益300億円(同14.4%増)、当期純利益160億円を見込んでおり、経営計画「Mission2030」のもと持続的な成長軌道に乗る見通しです。中東情勢の緊迫化に伴う原燃料調達制限やコスト高(△50億円影響)を想定しつつも、価格転嫁や製品ミックスの改善で吸収する計画です。AI向け最先端材料(スネクトン等)の専用設備本格稼働やアセチレンブラックのタイ新規製造拠点投資など、成長事業への集中投下が加速しており、グローバルマーケットでの事業拡大と技術開発を後押しする高度な専門人材の獲得が採用の重点となっています。
4求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
経営計画「Mission2030」に基づき、不採算事業の抜本的改革と「電子・先端」「ライフイノベーション」等の成長分野への集中的な投資が進んでいます。「これまでの専門技術や事業開発経験を活かし、最先端材料やヘルスケア事業のグローバル展開にどう貢献できるか」を具体的に示すことで、企業の成長戦略に即した力強い志望動機となります。
面接での逆質問例
- AIサーバーや次世代通信向け「スネクトン」等の専用設備が稼働しますが、最先端分野における新材料開発やCCLメーカーとの協業で現場に求められるスピード感やミッションは何ですか。
- DPE社の設備暫定停止など事業構造改革が進む中、既存事業の収益性改善と成長領域へのリソースシフトにおいて現場でどのような取り組みが行われていますか。
- 今後の株主還元方針(総還元性向50%目安)のもと、設備投資やR&D投資とのバランスを踏まえた成長事業の展開ペースについて、各現場での重点課題を教えてください。
5転職者が知っておきたい現場のリアル
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2025年度(2026年3月期)決算説明会資料



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