0 編集部が注目した重点ポイント
① DNAチップ研究所を完全子会社化
2025年度1Qに、遺伝子解析技術に強みを持つ株式会社DNAチップ研究所へのTOBが成立し、同社を完全子会社化しました。これにより、ライフケアやウェルネスに次ぐ第3の柱として育成中のメディカル領域が強化され、ヘルスケア分野での新たなキャリア機会が拡大しています。
② ポリオレフィン事業の統合を決定
基礎化学品領域の強靭化に向け、合弁会社である株式会社プライムポリマーに住友化学株式会社の国内ポリプロピレン事業等を統合する最終契約を締結しました。2026年7月の事業統合に向けた準備が進められており、事業再構築に伴う抜本的な構造改革が加速しています。
③ 一部子会社の帰属セグメントを見直し
2025年度より、エム・エーライフマテリアルズ株式会社等の帰属をライフ&ヘルスケアやモビリティ領域からICTソリューションへ変更しました。市場の変化に合わせた管理体制の機動的な再編が行われており、各領域の注力方針がより鮮明になっています。
1 連結業績ハイライト
出典:決算説明資料 P.6
売上収益
1兆6,688億円
前期比 ▲7.8%
コア営業利益
1,000億円
前期比 ▲0.9%
親会社の所有者に帰属する当期利益
344億円
前期比 +6.6%
※コア営業利益 = 営業利益から非経常的な要因(事業撤退・縮小損失等)を除いた、事業の経常的な収益力を示す指標
2026年3月期(2025年度)の通期決算は、先端半導体向け材料の需要拡大等によりICTソリューション領域が好調に推移したものの、ナフサ価格の下落に伴う在庫評価損や中東情勢の緊迫化による影響を受け、全体では減収およびコア営業利益の微減となりました。また、中国のフェノール事業等に対する減損損失が影響し、営業利益も減少しています。
今年度のコア営業利益の実績は、中東情勢の影響等により期中の計画に対して進捗が遅れている(計画未達)状況で着地しましたが、来期は成長領域での事業拡大と不採算部門の構造改革効果の発現を見込んでおり、コア営業利益1,050億円への増益を計画しています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:決算説明資料 P.8
ライフ&ヘルスケア・ソリューション
事業内容: ビジョンケア材料、オーラルケア材料、農業化学品などを展開しています。
業績推移: ビジョンケアの高屈折レンズ向けや農薬の販売が堅調に推移し、売上収益2,591億円、コア営業利益342億円の増収増益でした。
注目ポイント: 拠点再編等の構造改革効果が着実に表れています。また、DNAチップ研究所の完全子会社化により、次世代の注力領域であるメディカル・診断事業への展開が本格化しており、ヘルスケア分野での新規事業開発や技術研究を牽引できる人材の活躍機会が拡大しています。
💡 注目職種: 新規事業企画、メディカル・バイオ研究員、薬事申請担当
モビリティソリューション
事業内容: エラストマーや機能性コンパウンドなどの複合材料、自動車開発支援などのソリューション事業を展開しています。
業績推移: 自動車生産の停滞や米国関税の影響により販売数量が落ち込み、売上収益5,154億円、コア営業利益510億円と減収減益でした。
注目ポイント: 足元の環境は厳しいものの、タフマーの差別化領域(高機能包装材料やシューズ向け等)への多用途展開や、アーレンの営業提携などを通じて製品競争力を高めています。自動車の軽量化や電動化を見据えた、次世代素材の提案力を持つ技術営業やマテリアル開発職への期待が高まっています。
💡 注目職種: ポリマー材料開発エンジニア、テクニカルセールス、用途開発
ICTソリューション
事業内容: 半導体・電子部品工程部材、光学材料、不織布、高機能食品包装材料などを展開しています。
業績推移: 先端半導体向け材料の需要拡大に牽引され、売上収益2,795億円、コア営業利益369億円と増収増益でした。
注目ポイント: 質疑応答でも言及された通り、生成AIの拡大を背景に、イクロステープのバックグラインド工程以外への展開や、EUVペリクルの販売増など、先端領域で過去にない力強い成長を見込んでいます。デジタル社会のインフラを支える半導体プロセスエンジニアの需要が急増しています。
💡 注目職種: 半導体材料プロセスエンジニア、光学デバイス研究員、品質保証
ベーシック&グリーン・マテリアルズ
事業内容: エチレン、プロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン材料などの基礎化学品を展開しています。
業績推移: クラッカーの低稼働やナフサ価格下落による在庫評価損の影響が重く、売上収益5,999億円、コア営業損失184億円でした。
注目ポイント: 収益改善に向けて、西日本・千葉地区でのエチレン設備の集約やポリオレフィン事業の統合など、抜本的な再編を断行しています。持続可能な化学産業への転換に向け、設備のグリーン化推進やプラントの最適化を担う生産技術・設備管理の人材が不可欠となっています。
💡 注目職種: プラントエンジニア(機械・電気)、生産管理、環境安全コンプライアンス
その他
事業内容: その他の関連事業等を展開しています。
業績推移: 売上収益149億円、コア営業損失1億円と概ね前年並みの水準で推移しました。
注目ポイント: 全社の事業活動を側面から支援する役割を担っており、継続的な業務効率化と適切なリソース配分が進められています。
💡 注目職種: バックオフィス全般
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:決算説明資料 P.19
2027年3月期(2026年度)については、中東情勢の緊迫化に伴う減産やエネルギー効率悪化の影響(コア営業利益で約△150億円)を織り込んだ上で、全社で売上収益1兆9,000億円、コア営業利益1,050億円への増収増益を計画しています。長期経営計画「VISION 2030」に基づき、ICTやライフ&ヘルスケア領域への投資を加速させる方針です。
質疑応答で言及された通り、ポリオレフィン事業統合のシナジー効果は今回の予想には含んでおらず、構造改革による将来的な上積み余地も残されています。また、基礎化学品分野における在庫評価のブレ等に対しては、価格転嫁(フォーミュラ)のタイムラグ短縮に向けた交渉を進めるなど、収益基盤の安定化に努めています。激変する事業環境下において、変革をリードし、新素材や次世代通信、メディカル等の領域で新たな価値を創出できる人材の採用に注力していく見通しです。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
事業ポートフォリオの抜本的な転換期にあるため、半導体材料やヘルスケア・メディカルなどの成長領域での専門性発揮をアピールすることが有効です。また、基礎化学品領域を志望する場合は、設備のグリーン化や効率化といったサステナビリティ課題に対する具体的な貢献意欲を示すと良いでしょう。
面接での逆質問例
「VISION 2030のもとで大胆な事業ポートフォリオの変革が進んでいますが、私が志望するポジションにおいて、中長期的にどのような新しい価値の創造や事業への貢献が期待されていますか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)
- 2025年度決算の概要及び2026年度業績予想の概要
- ネットカンファレンス Q&A



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